憲法審査会

2023-04-26 参議院 全120発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
令和五年四月二十六日(水曜日)
   午後一時三十四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     吉井  章君     松川 るい君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     松川 るい君     若林 洋平君
     山本 香苗君     宮崎  勝君
     大塚 耕平君     川合 孝典君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
    佐々木さやか君     下野 六太君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         中曽根弘文君
    幹 事
                浅尾慶一郎君
                片山さつき君
                堀井  巌君
                牧野たかお君
                山本 順三君
                熊谷 裕人君
                杉尾 秀哉君
                西田 実仁君
                音喜多 駿君
                礒崎 哲史君
                山添  拓君
    委 員
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                臼井 正一君
                衛藤 晟一君
                加藤 明良君
                小林 一大君
                古庄 玄知君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                中西 祐介君
                松下 新平君
                松山 政司君
                丸川 珠代君
                山田  宏君
                山谷えり子君
                若林 洋平君
                石川 大我君
                打越さく良君
                小西 洋之君
                古賀 千景君
                辻元 清美君
                福島みずほ君
               佐々木さやか君
                下野 六太君
                宮崎  勝君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                浅田  均君
                東   徹君
                猪瀬 直樹君
                川合 孝典君
                舟山 康江君
                仁比 聡平君
                山本 太郎君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長      加賀谷ちひろ君
   参考人
       鳥取県知事    平井 伸治君
       島根県知事    丸山 達也君
       徳島県副知事   勝野 美江君
       高知県副知事   井上 浩之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○幹事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について(特に、参議院
 議員の選挙区の合区問題を中心として))
    ─────────────
この発言だけを見る →
中曽根弘文#1
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 幹事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在幹事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
中曽根弘文#2
○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、幹事に礒崎哲史君を指名いたします。
    ─────────────
この発言だけを見る →
中曽根弘文#3
○会長(中曽根弘文君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、憲法に対する考え方について(特に、参議院議員の選挙区の合区問題を中心として)について、本日の審査会に鳥取県知事平井伸治君、島根県知事丸山達也君、徳島県副知事勝野美江君及び高知県副知事井上浩之君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
中曽根弘文#4
○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
この発言だけを見る →
中曽根弘文#5
○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する考え方について(特に、参議院議員の選挙区の合区問題を中心として)について、参考人の皆様から御意見を伺います。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本審査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、平井参考人、丸山参考人、勝野参考人、井上参考人の順にお一人十分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 全体の所要は二時間を目途といたします。
 なお、御発言は、質疑、答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず平井参考人にお願いいたします。平井参考人。
この発言だけを見る →
平井伸治#6
○参考人(平井伸治君) 皆様、こんにちは。本日は、この伝統ある、そして非常に重要な審議をされておられます憲法審査会に、私ども、知事、副知事のメンバーを呼んでいただきましたこと、心から全国知事会としても感謝を申し上げたいと思います。是非、皆様にもこうした選挙区の問題につきまして御関心を寄せていただき、この解決を図っていただきたいと念願をいたしております。
 それでは、座って御説明を申し上げたいと思います。
 私自身、この度、隣の丸山知事と一緒に、全国の統一の地方選挙でこの度当選を果たさせていただきました。また引き続き皆様に四年間お世話になりますが、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そして、今日、お手元の方に概略の資料をお持ちをいたしております。問題意識を共通にしたいという思いでございます。やっぱりいろいろと御意見はあろうかと思いますが、後ほどまた質疑でお話合いをさせていただければと思います。
 今、ウクライナ情勢が心配です。これは民主主義の危機と言ってもいい状況だと思います。ペンは剣よりも強しと言いますが、この法理が妥当しなくなってきている、それが現在の世界の状況であります。しかし、民主主義は守らなければなりませんし、民主主義の学校とも言われる地方自治、この自治体の機能というものが今問われ直しているのだと思います。
 そういう意味で、政治に対する信頼性、投票率の低下ということが今回の統一地方選挙でも問題になりました。これは、決して参議院も他人事ではないと御理解をいただきたいと思います。投票率にも影響したり、それから代表の正統性も地元で問われかねない、そういう事態が今起こっている、これが私たちが民主主義を守らなければならないという使命の中で私たちが共に考えるべき課題だと思います。そういう意味で、全国知事会でも度々問題意識を発信させていただいております。
 今日、一枚目の方にお書きを申し上げましたのは、私の問題意識でございます。
 この国におきましては、明治二十三年の府県制以来、都道府県というものはほぼ変わらずに来ています。これが民主主義のユニットだと私たちは考えています。都道府県の知事、あるいは議会という存在があり、これが民意を集約をして、私たちの単位で代表が選ばれ、それが国政と地方をつなぐ、そういうパイプ役になっていただく、これがそもそも想定をされていたわけであります。
 しかし、それが問われかねない事態が今、合区ということで都道府県の境目が取り払われようとしている。これは中長期的に見て民主主義を衰退させることになるのではないか、そういう深刻さを感じているところであります。
 参議院におかれましては、是非とも一人一人、それぞれ都道府県という政治的ユニット、これは経済、社会等のユニットでもあります。そこから選ばれるようにいま一度制度設計を考えていただきたい。なかんずく憲法の問題も絡むと思います。なぜなら、最高裁の判決にもよりまして違憲ということが言われるわけでありますので、憲法の方が変わってもらわなければならないのかもしれません。例えば、都道府県単位での選出というようなことなど、規定している国は正直ざらにあります。そういう意味で、そうした違いが我が国の憲法の中にはあるということをいま一度強調をさせていただきたいと思います。
 釈迦に説法なお話ばかりで恐縮でありますが、二ページ目を開けていただければと思います。
 青い折れ線グラフがこれが従来の選挙区制度によるもの、赤い折れ線グラフが合区によってどう変わったかということを鳥取県で示させていただきました。投票率は、鳥取県は実は全国順位一位、二位、三位という、金、銀、銅のどれかに入るぐらい投票率が高かったです。ところが、合区をした後は一気に二十位、そしてこの度は三十二位というふうにがくがくがくと落ちてしまいました。当然、全国の投票率を下回ることにもなっています。考えられないことです。
 それから、無効の投票率、無効票の率でありますが、これも青いものが従来の鳥取県、全国を下回る状況でありました。コミュニティーが小さいですから、ある程度分かりやすいんですね、間違いにくい。しかし、隣の県から出てくる人も出てくるような選挙になりますと、縁遠くなります。それで白票を投じるんですね。あるいは、この合区はやめろと書く。こういうのも無効票になります。つまり、民主主義の屋台骨である投票制度自体が地元では問われているというのがこの無効票だと御理解をいただきたいと思います。
 次のページを開けていただきますと、これが地方制度と参議院の選挙制度でございます。
 国会開設の勅語が発せられて、伊藤博文先生が憲法調査をしろということになります。当時、モッセという政府の顧問がいました。このモッセは地方自治論者でありまして、地方自治の中で人が育つ、この人が有為の人材として国会議員になるだろうと、そして国会もそれで活性化することになる、地方と国とを両方活性化して日本という国をつくっていこうという思想があったわけです。これに山県有朋内務卿が乗っかりまして、こうした論を立てました。ただ、当時は時期尚早という議論がかなりございました。そういう中、けんけんがくがくの議論をして府県制が誕生し、山県有朋の想定していたとおり、衆議院の総選挙の前に何とか間に合わせることができました。
 注目すべきは、ここで議会が置かれたことです。これによりまして、民主主義の単位というものが生まれました。日本全国津々浦々を通じまして、こういう都道府県ごとに民意をまとめるという機能がこのときから始まるわけです。戦前戦後を問わず、もう百年以上もこうした体制が築かれているわけであります。
 そして、そのうち戦後になりまして、知事の公選制が導入された後も、マッカーサーによりましてこの民主政治を取り入れるべきだと、そういう中、貴族院を廃止するというのがマッカーサーの議論でありました。しかし、参議院というものをつくる、それについては衆議院とは別の構成論理でやろう、それが地域代表制としての都道府県単位の選挙区でございました。こういうような経緯の中で生まれたのが旧来の参議院法制でございます。
 今現在も、都道府県単位でJAだとかあるいはPTAだとか、又は労働組合もそうです。あるいは環境団体にしても、みんな都道府県単位でいろいろと考え、そして陳情、請願を都道府県議会に出し、そこでもまれた結果が意見書としてこの国会の方に届けられる。意見の集約をする母体というのが実はユニットでありまして、これが認められてきたものであります。
 次のページは諸外国でありますが、アメリカもドイツもフランスもこうした広域団体の制度に依拠しているわけであります。恐らく日本の戦後の参議院制度は、アメリカに準拠してやったわけでありまして、半数改選制というのが取り入れられたわけであります。
 六年に二年ずつ、それで二分の一をそれぞれ班ごとに分けて三班で構成していく、そういうアメリカの上院の選挙制度を下敷きにして半数改選ということをやりました。この半数改選が入ったからこそ、選挙区間の較差が拡大する効果がどうしても生まれるわけであります。二、二、四、六という、二、四、六、八という定数になりますので、生まれがちなわけであります。ですから、ここが注目をされたということもあったんではないかと思いますが、アメリカではそういう人口によって一定程度配慮することもせずに、カリフォルニア州でもワイオミング州でも一人ずつ上院の定数というのは各選挙で与えられ、それぞれ二人ずつであります。
 ですから、決して難しいことを言っているわけではなくて、それぞれ、実は欧米でも上院と下院とは違った構成を求めているところがあるということを御理解をいただきたいと思います。
 そして、最後の五ページ目でありますが、その判例の一つの屋台骨になるのが昭和五十八年四月二十七日の判決であります。
 この大法廷判決の中で立法裁量が広く認められました。この立法裁量を国会が持って選挙区制度を制定できる、これは憲法に基づく権能であります。
 その中で、人口比例という憲法十四条に基づくもの以外にも、そうした社会的、経済的あるいは政治的ユニット、これ二つ目のポツのところにありますが、歴史的にも、そういう独自のユニット、実体を有する、この政治的まとまりごとに選出することについては合理性があるというふうに言っているわけです。
 これとの関係で、人口比例主義は一定程度、譲歩、後退を免れないというのがそもそもの判決の骨子であります。これが平成二十四年以降、若干揺らぎますけれども、基本は変わっていないわけであります。是非皆様の方でもそうしたことを考えていただきたいというふうに思います。
 私の方からは以上でございます。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#7
○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
 次に、丸山参考人にお願いいたします。丸山参考人。
この発言だけを見る →
丸山達也#8
○参考人(丸山達也君) 本日は、合区対象県であります島根県の実情について意見陳述の機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。
 私からは、島根県の状況を中心に大きく三点の弊害について、そして私の考えについて申し上げさせていただきます。
 一点目として、各都道府県から議員が選ばれないことの弊害について申し上げます。
 合区された二つの県の間で利害が対立する問題が生じた場合に、地方選挙や県議会の議決、また知事の方針といった各県のその県民の意思を確認する方法、これが合区の場合はございません。したがって、こういったものを確認しながら、この議員の皆さんが国政でどういう立ち位置に立つかということを判断していくことができないという問題がございます。
 二つの県で利害が対立するような課題なんてあるのかというお話があるかもしれませんが、鳥取県と島根県においては、過去、農林水産省の国営中海干拓事業の実施について意見が分かれたことがございます。まあ固有名詞は避けますけれども、九州地方では整備新幹線について意見の一致を見ない状況があるというふうに認識をいたしております。
 このように、隣り合う両県の意見が国の事業や国家的プロジェクトについて異なることは十分にあり得るわけであります。そういった場合に、合区から選出された議員がどのような姿勢で臨むかということについてこの既存の都道府県制度の中で確認するすべがないということ、これは大きな問題であると考えております。
 二点目として、選挙区のエリアが広がったことによる弊害であります。
 昨年七月の参議院議員選挙では、鳥取・島根の合区の候補者五名おられましたけれども、本県の離島であります隠岐諸島、ここを選挙期間中に訪れられた方は一名でございました。選挙区をくまなく回ることができない、また顔も見れない、声も聞けないといったことが実際に発生をいたしております。候補者の体は一つしかございませんので、合区だから選挙カーを二つに、二台にすればいいんじゃないかという問題では、それでは片付かない問題であります。
 島根県と鳥取県を合わせますと東西の距離が三百キロ以上あります。離島もございます。有権者が候補者に接することで、この考え方、行動力などを肌で感じて選んでいくという、この素材を得られる機会が著しく減退しているということでございます。
 この弊害が、先ほど平井参考人からもお話がございました、この投票率の低下に顕著に表れております。島根県の投票率は、合区前は六〇%を超えまして六回連続全国一位でありましたけれども、令和四年の選挙では約五六%となりまして、投票率は四・五ポイント低下いたしております。この間の全国平均の低下は〇・六ポイントでございますので著しく低下しているという状況で、全国トップでありました投票率は、令和四年では全国四位となっております。参議院の、参議院選挙における島根県民の直接的な政治参加が低下しているという状況でございます。
 このようなこの投票率を招くような合区という制度が国民主権、民主主義に資するものなのかどうかということについて大いに疑問を感ずるところであります。
 第三に、更に合区対象が広がった際に生じる弊害、これは想定でございますけれども、今の状況では人口が比較的少ない二つの県がたまたま隣接しておりますけれども、今後は、人口規模を合わせようとすると、飛び地、また人口規模が相当程度異なる都道府県同士が合区になるといったケースが生じ、人口の少ない方の県の声がますます届きにくくなるという可能性が高くなると考えております。
 私の考えでございますが、そもそも日本国憲法が二院制を採用しているという理由の一つは民意の忠実な反映でありまして、人口の少ない地域も含めた多様な民意を忠実に反映していくということが求められていると考えております。参議院、衆議院共に一人一票の投票価値の平等に重きを置くのであれば、まあ極論かもしれませんけれども、一院制で足りるのではないかというふうに国民に理解されるのではないかという懸念を持っております。
 そうしたことから、この地方創生や人口減少対策など、国政の重要課題の解決に当たりまして、地方の実情をくまなく届けることができる都道府県単位による代表の選出、これが不可欠であると考えております。
 その解消の手段としては、論理的には憲法改正、法改正、いずれもあると思いますので、早急に解消してもらいたいという立場からいたしますと法改正を望むところでありますけれども、先ほど平井参考人のお話にもございましたとおり、最高裁判所がこの投票価値の平等に重点を置き、違憲状態といった判決を出すという側面がある以上、法改正で合区を解消した場合に憲法違反という判決で手戻りになるというリスクを考えますと、最終的には憲法改正により合区を解消していただくということが必要ではないかと考えております。
 考え方を明確にお伝えするために行き過ぎた表現があったかもしれませんけれども、その旨は御了解いただきたいと思います。
 私の意見陳述は以上でございます。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#9
○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
 次に、勝野参考人、お願いいたします。勝野参考人。
この発言だけを見る →
勝野美江#10
○参考人(勝野美江君) 徳島県副知事をしております勝野と申します。
 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私の方からも、まず徳島県における合区の弊害、五点論点を整理させていただきましたので述べさせていただきます。
 平井知事、丸山知事と重なる部分もあろうかと思いますが、まず一点目は投票率の低下であります。
 合区導入前の参議院選挙におきます本県の投票率につきましては、平成十九年五八・四七%、平成二十二年五八・二四%、平成二十五年四九・二九%と、全国平均を下回る年もありましたが、その差につきましては最大三・三二ポイントにとどまっておりました。
 しかしながら、合区導入後初めてとなります平成二十八年の参議院選挙における投票率が四六・九八%と、全国平均五四・七%を七・七二ポイントも下回るというような状況となりました。さらに、令和元年の参議院選挙における本県の投票率は、全国平均を一〇・二一ポイント下回る三八・五九%と過去最低、そして全国最下位というようなことになってしまいました。昨年七月十日実施の参議院選挙では四五・七二%と、令和元年からは回復したものの、再び全国最下位ということになってしまいました。
 このように、合区対象県である本県の投票率は低迷を続けておりまして、まずこの合区の弊害ということが本当に深刻になっているという状況がございます。
 二つ目は、これもさきのお話にもありましたが、無効票が増加しております。
 合区導入前の参議院選挙におきます本県の無効票投票率は、いずれも全国平均を下回っていたものの、一・九九、二・八七、二・九八というようなパーセントでございました。一方、合区導入後の無効投票率というのが、平成二十八年で二・九六、令和元年六・〇四、令和四年三・四一といずれも全国平均より高く、特に令和元年は全国で最も高いというようなことになってしまいました。
 このことから、合区は投票率の低下のみならず無効票の増加も招いているということで、本来選挙制度がより多くの国民の皆さんが政治に関心を持っていただくという制度であるべきですけれども、この合区によって真逆の状況を起こしてしまっているということは、まさに民主主義の根幹を揺るがす重大な問題だというふうに認識をしております。
 三つ目です。これは、地方の声が届きにくくなるという課題です。
 人口が非常に減少傾向にございまして、徳島県も時間の問題で七十万人を切るというような人口の状況になっております。今後も人口の少ない選挙区の合区が進みますと、ますます地方の声が届きにくくなります。
 実は、徳島県は令和元年に一票の較差に関する将来推計を試算をしております。国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口に基づきまして、今後、国勢調査の結果に基づく推計どおり人口減少が進みますと、合区の対象県が二〇二五年には十五県、二〇三五年には二十県にまで拡大していく可能性があるというような悲観的なシナリオも描かれてしまうということです。
 地域がそれぞれの特徴を生かし、固有の課題を解決して発展していくには、国政においても全国民の声に配慮した施策や法制度が不可欠であります。合区によって地方の声が国政に届きにくくなるということは、日本全体に不利益をもたらすおそれがあるという視点が重要だというふうに考えております。
 四つ目は、自治体間における不平等性の課題です。
 合区は、対象になった四県のみが県単位の民意を国政に届けることができなくなるという点において、一票の価値とは異なる不平等性を有するというふうに考えております。また、これまでの合区は隣接する人口規模が近い自治体間において行われておりますが、今後は人口規模が大きく異なる自治体間で行われる可能性もあるという課題がございます。
 五つ目です。都道府県ごとに集約される民意を生かす機能の後退という点です。
 これは平井知事も御指摘されておりましたが、都道府県の区域には歴史的、政治的、社会的なまとまりを背景に行政府、警察、教育委員会が設置され、農林水産、医療、保健、商工業といったあらゆる組織、団体が都道府県単位で合意形成を行っております。このことは、各都道府県ごとに民意が集約される仕組みが十分機能してきたということの表れであります。参議院についても、都道府県ごとに集約された意見を国政に反映させる場というふうに過去なってきておりますが、合区の導入によって参議院のそのような機能が後退するという懸念がございます。
 以上のような課題を踏まえまして、徳島県としての意見を申し上げたいというふうに思います。
 昨年の参議院選挙後の一票の較差における裁判では、仙台高裁が合区導入後初となる違憲判決を出したところであります。一票の較差に起因する合区問題の根本的解決には、地域代表制を採用しながら、参議院に地方の声が都道府県単位で国政に反映する仕組みが必要と考えております。
 全国知事会からも要望は幾度となく出させていただいておりますが、こういった状態の中では憲法改正などの抜本的な対応により合区を解消していただいて、全ての都道府県の代表が国政に参加できる参議院選挙制度の実現をお願いしたいということで意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#11
○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
 次に、井上参考人にお願いいたします。井上参考人。
この発言だけを見る →
井上浩之#12
○参考人(井上浩之君) 高知県の副知事の井上と申します。どうかよろしくお願いいたします。
 本日は、浜田高知県知事からコメントを預かってまいりましたので、私の方から大きく四点お話をさせていただきます。お話が重複する部分もありますけれども、御了承いただければと思っております。
 まず一点目といたしまして、参議院の徳島県・高知県選挙区の現状についてお話をしたいと思います。
 両県とも人口減少が進んでおりまして、合区導入前である平成二十五年の参院選から直近の選挙であります令和四年の参院選までの間に、有権者数は約六・六万人、率にいたしまして五・一%減少しているという状況にございます。また、投票率につきましては、合区導入直前の平成二十五年は高知県で四九・八九%と、五割を若干割っているものの全国では中位の程度でございました。しかし、初の合区選挙となった平成二十八年の高知県の投票率は四五・五二%に下落し、徳島県、高知県両県とも過去最低の投票率となりました。高知県が全国ワースト一位、徳島県がワースト二位でございます。その後の本県の投票率は、令和元年は四六・三四%、全国三十四位、令和四年は四七・三六%、全国四十一位と、若干は改善しておりますけれども、依然として低迷している状況にございます。
 さらに、先ほどもお話がございましたけれども、全体の投票に占めます無効投票の割合でございますが、全国はおおむね二・五から三%程度で推移をしておりますけれども、高知県、平成二十八年には六・一四%ということで、票にしますと一万七千五百票余りになりますが、それほど急増しておりまして、全国一位の無効投票率となっております。しかも、白票がその多くを占めているという状況でございます。これは、有力とされます候補者がいずれも徳島県を地盤とした方でございまして、有力候補者が出ていない本県におきましては、自らの県の代表を選べないといった失望感もございまして無効投票が増えたのではないかというふうに思われるところでございます。
 次に、大きな二点目といたしまして、合区に対する県民の皆さんの受け止めと、その解消に向けた思いにつきましてお話をさせていただきます。
 先ほど申し上げました投票率の低下や無効投票の増大は、一県一代表ではないという合区制度に起因する県民の関心の低下や失望といったものによるものと推察をしております。四十七都道府県のうち四県だけがこうした形で、言わば一人前ではないような扱いを受けているということに関しまして、県民の皆さんの気持ちが深く傷ついているものということの表れではないかと感じています。実際そうした声も直接お聞きをしているところでございます。
 こうした関心の低下や失望による政治離れが投票率の低下につながり、その結果、政治への無関心が更に加速をし、投票率の低迷が続くといった負のスパイラルが生じているようにも思われるところです。
 合区制度は、いわゆる一票の較差の是正策として導入されたものです。その背景には、地方の声の重要性よりも一票の価値の平等性が圧倒的に重視をされたという経緯があると考えております。
 今後もこうした人口比例原則を徹底して貫く限り、更なる合区の拡大は不可避です。その結果、大都市部の議員ばかりが増加をいたしまして、都市部に先んじて人口減少や少子高齢化などの課題に直面をいたしました地方の議員はますます減少し、地方の声がより一層届かなくなるのではないかということを非常に懸念をしております。したがいまして、合区の固定化や拡大は断じて容認はできず、一刻も早い解消を求めたいというのが我々当事者であります県の一貫した思いでございます。
 昨年七月の参院選前に高知県の地元メディアが行った世論調査では、合区を解消すべきとの意見が八割を超えておりました。我々はそうした県民の声に応えていかなければならないと考えております。
 大きな三点目は、抜本的な議論の必要性についてでございます。
 この問題に関する司法の見解には非常に厳しいものがあると認識をしております。令和四年の参院選における一票の較差訴訟の高裁判決では、都道府県を各選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はない、あるいは、合区の解消を強く望む意見や合区県における無効票の増加といった事情だけでは一票の較差が三倍を超えるような投票価値の不平等を是認することはできない、そうした較差が都市部における投票行動に与えてきた影響と併せて公平に検討しなければならないといった、我々が目指す合区の解消にとって非常に厳しい見解が示されております。
 合区解消のための方法論といたしまして、憲法改正によらず、参議院独自の役割や機能を国会法に明確に位置付けた上で、それとセットで都道府県単位の議席配分を行うという考え方もあると承知をしております。しかしながら、今述べましたような司法の見解を踏まえますと、我々といたしましては、やはり憲法改正によって抜本的な対応を図ることが必要ではないかと考えております。
 最後に、四点目として、合区の解消に向けた憲法議論の今後の方向性について若干の御意見を申し上げます。
 我が国は二院制を採用しておりますが、憲法上、衆議院と対比した場合の参議院独自の性格、役割といった点がある種曖昧な状態になっているということがあるように思われます。その結果といたしまして、衆議院と参議院の機能や選挙制度が似てきております。加えて、憲法には地方自治に関する規定が余り手厚くないという課題もございます。
 そうした点を考えますと、憲法改正を前提とした参議院の在り方については、例えば米国の上院なども念頭に置きまして、衆議院よりも人口比例の原則を緩和した形で位置付けることが妥当ではないかと思っております。衆議院は人口比例の原則により全国民の多数の民意を反映させる、一方、参議院は地域の代表として各地方単位での多様な意見を反映させる、言わば地方の府として位置付けることによりまして、二院制を取っている意義を踏まえたよりバランスの取れた制度、組織体系になるのではないかと考えております。
 これは、国あるいは立法府の形を大きく変える大きな改革となります。憲法審査会におかれましては、是非そうした骨太の議論を展開していただきたいと大いに期待をしているところでございます。
 浜田知事の意見は以上となります。どうかよろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#13
○会長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
 なお、質疑が終わった方は、氏名標を横にお戻しください。
 参考人の方々におかれましては、答弁の際、挙手の上、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
 それでは、質疑のある方は、二巡目以降の質疑を希望される方も含め、氏名標をお立てください。
 まず、一巡目は各会派一名ずつ指名させていただき、質疑時間は答弁を含め各八分以内といたします。
 浅尾慶一郎君。
この発言だけを見る →
浅尾慶一郎#14
○浅尾慶一郎君 自由民主党の浅尾慶一郎です。
 参考人の皆様方には大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 今、皆様方の御意見を伺っておりまして、ほぼというか多分全員そういうことになるんだろうと思いますが、今の状況でいえば、憲法を改正して、そしてその合区を解消してほしいというように意見を言っておられたと思いますけれども、一応念のためそのことを確認させていただきたいと思います。
 あわせて、憲法改正ということになりますと一定程度の時間が掛かりますが、その時間も踏まえてでも、改正をしてでも合区を解消したいと、そういうふうに思っておられるかということも含めて御意見をいただければと思います。
この発言だけを見る →
平井伸治#15
○参考人(平井伸治君) 浅尾議員のおっしゃるとおり、憲法改正が必要だというふうに思います。
 ただ、それには現実的に国民の過半数の票がなければなりませんし、両院の三分の二ということもございます。ですが、従来から、本来は違憲判決は出ていなくて、昭和五十八年の大法廷判決が先例となったように、現行の憲法の中でも本来でき得る解釈論なのかもしれません。
 ですから、絶対的なものかどうかというのは正直分からないところはありますが、これまでの判例の流れからして、憲法を改正をし、そして選挙区制度を、選挙制度を国会が立法裁量で定め得る規定になっていますが、そこの考慮条件の中にこうしたことを入れていただければ、恐らくすっきりと最高裁の違憲判決は今後出ないようになるのではないかなというふうに思います。
 当然ながら時間も掛かることになりますが、ただ、我々としては次の通常選挙での改正を強く望んでおります。
この発言だけを見る →
丸山達也#16
○参考人(丸山達也君) いずれでも結構ですけれども、ひっくり返らないために憲法改正というだけでございますので、究極的には手法は問わない、法改正を先行して憲法改正をしてもらうというやり方でも構わないと思いますので、ともかく早急に解消してもらいたいということと、ひっくり返らないようにしていただきたいというこの二点でございます。
この発言だけを見る →
勝野美江#17
○参考人(勝野美江君) 徳島県としても、まず合区解消というのが先にございますが、その合区を解消するためにはやはり参議院の位置付けというものが非常に重視されるだろうと。
 そうなると、矛盾がないのは憲法改正ということになるのですが、スピード感という観点からいうと様々な方法もあろうかと思いますので、まずは優先順位としては合区解消をお願いしたいということでございます。
この発言だけを見る →
井上浩之#18
○参考人(井上浩之君) 浜田高知県知事といたしましても、基本的には憲法改正ということで真正面からの議論をしていただきたいというお話でございました。
 ただし、先ほどからお話が出ておりますように、時間的な問題もあるということで、まずは、様々な各党各会派いろんな御意見がある中で、まずは合区解消に向けてしっかりとコンセンサスが得られて前に進んでいくこと、これを一番まず期待しているということでございました。
 以上でございます。
この発言だけを見る →
浅尾慶一郎#19
○浅尾慶一郎君 もう一点。
 それぞれ四名の方が、投票率が大分下がったという話をされておられました。この投票率が下がったのは参議院の選挙だけなのか、あるいは、直近で、平井参考人のところでいえば統一地方選挙もございましたので、一般のほかの選挙、衆議院選挙も含めて下がっているのか。つまり、その合区が原因となる投票率の低下というのがどの程度なのかということについて、もしお分かりになれば教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
平井伸治#20
○参考人(平井伸治君) 合区の影響が極めて大きいと判断しています。
 今回、統一地方選挙で確かに県議選も含めて低下傾向はありますが、それでも全国平均から上回ります。それを下回るということは正直考えられない。
 先ほど御覧いただいた、金、銀、銅メダルでずっと来ていました。島根県さんはずっと一位、で、我々はそれを追っかけていたんですね。ところが、これは一遍で崩れてしまうというのは、やはり縁遠くなったからです。選挙が縁遠くなるというのは、民主主義にとりまして致命的だというふうに考えております。
この発言だけを見る →
丸山達也#21
○参考人(丸山達也君) 先ほどの意見陳述の中でも数字を申し上げましたけれども、令和四年の投票率と合区前の投票率を比較して、島根県の投票率の低下は四・五ポイント、全国平均は〇・六ポイントでございますので、明らかだというふうに私は思っております。ヤジ
この発言だけを見る →
中曽根弘文#22
○会長(中曽根弘文君) 浅尾慶一郎君。
この発言だけを見る →
浅尾慶一郎#23
○浅尾慶一郎君 済みません。
 衆議院選挙とか統一地方選挙も、やはり下がっているのか下がっていないのかということについて教えていただければと思いますが。
この発言だけを見る →
丸山達也#24
○参考人(丸山達也君) 済みません。数字を持ち合わせておりませんので、この場ではお答えがいたしかねますが、私は、この数字をもって明らかであるというふうに理解いたしております。
この発言だけを見る →
勝野美江#25
○参考人(勝野美江君) 昨年の衆議院議員選挙の投票率、手元にすぐ持ってきてございませんが、やはり合区というインパクトが大きく影響したのは確かだということ。それから、残念ながら徳島県は元々投票率が低かったという部分があろうかと思います。
 ちなみに、今回の統一地方選挙は、非常に投票率は過去よりは高かったという事実はございます。
この発言だけを見る →
井上浩之#26
○参考人(井上浩之君) 参議院については、先ほど申し上げましたけれども、合区前の平成二十五年が四九・八九%に対して、平成二十八年、合区後が四五・五二という形で落ちております。それから、衆議院につきましては、平成二十九年が五一・八七%、令和三年は五七・三四%ということで増えております。そういう状況でございます。
この発言だけを見る →
浅尾慶一郎#27
○浅尾慶一郎君 大変参考になるお話をいただきまして、ありがとうございました。
 皆様方のお話を伺いまして、当然、憲法の下でありますし、最高裁の判断もありますので、そうしたことを踏まえて、皆様方の御意見を踏まえて、時間が掛かってもと、抜本的な解消をしてほしいという意見はしっかりと受け止めさせていただきました。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#28
○会長(中曽根弘文君) 杉尾秀哉君。
この発言だけを見る →
杉尾秀哉#29
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
 まず、本日、本審査会にお越しいただき意見をお述べいただきました四人の参考人の皆様に深甚なる敬意、感謝を申し上げたいというふうに思います。
 今指摘がありましたような、例えば投票率低下が示す参政権への影響、それから、人口減少に直面する地方の実情が国政に反映しにくくなる問題、様々指摘がありました。いずれにしても、参議院の合区が我が国の民主主義を揺るがしかねない重大な問題である、この認識は一致しているんだろうというふうに思います。私自身も長野県の選出でして、長野県もお隣の山梨県との合区というのが取り沙汰され、現在もあるということを考えると、こうした危機感を同じく共有させていただくものです。
 その上で、先ほど高知の井上参考人から県民の意識の話がございました。傷ついているという話でしたけれども、こうした県民意識の変化、それから、先ほど行政上の具体的な障害の話もありましたけれども、これについて平井参考人、丸山参考人、勝野参考人、お三方の考え、端的に述べていただければと思います。
この発言だけを見る →
← 戻る