丸山達也の発言 (憲法審査会)
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○参考人(丸山達也君) 本日は、合区対象県であります島根県の実情について意見陳述の機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。
私からは、島根県の状況を中心に大きく三点の弊害について、そして私の考えについて申し上げさせていただきます。
一点目として、各都道府県から議員が選ばれないことの弊害について申し上げます。
合区された二つの県の間で利害が対立する問題が生じた場合に、地方選挙や県議会の議決、また知事の方針といった各県のその県民の意思を確認する方法、これが合区の場合はございません。したがって、こういったものを確認しながら、この議員の皆さんが国政でどういう立ち位置に立つかということを判断していくことができないという問題がございます。
二つの県で利害が対立するような課題なんてあるのかというお話があるかもしれませんが、鳥取県と島根県においては、過去、農林水産省の国営中海干拓事業の実施について意見が分かれたことがございます。まあ固有名詞は避けますけれども、九州地方では整備新幹線について意見の一致を見ない状況があるというふうに認識をいたしております。
このように、隣り合う両県の意見が国の事業や国家的プロジェクトについて異なることは十分にあり得るわけであります。そういった場合に、合区から選出された議員がどのような姿勢で臨むかということについてこの既存の都道府県制度の中で確認するすべがないということ、これは大きな問題であると考えております。
二点目として、選挙区のエリアが広がったことによる弊害であります。
昨年七月の参議院議員選挙では、鳥取・島根の合区の候補者五名おられましたけれども、本県の離島であります隠岐諸島、ここを選挙期間中に訪れられた方は一名でございました。選挙区をくまなく回ることができない、また顔も見れない、声も聞けないといったことが実際に発生をいたしております。候補者の体は一つしかございませんので、合区だから選挙カーを二つに、二台にすればいいんじゃないかという問題では、それでは片付かない問題であります。
島根県と鳥取県を合わせますと東西の距離が三百キロ以上あります。離島もございます。有権者が候補者に接することで、この考え方、行動力などを肌で感じて選んでいくという、この素材を得られる機会が著しく減退しているということでございます。
この弊害が、先ほど平井参考人からもお話がございました、この投票率の低下に顕著に表れております。島根県の投票率は、合区前は六〇%を超えまして六回連続全国一位でありましたけれども、令和四年の選挙では約五六%となりまして、投票率は四・五ポイント低下いたしております。この間の全国平均の低下は〇・六ポイントでございますので著しく低下しているという状況で、全国トップでありました投票率は、令和四年では全国四位となっております。参議院の、参議院選挙における島根県民の直接的な政治参加が低下しているという状況でございます。
このようなこの投票率を招くような合区という制度が国民主権、民主主義に資するものなのかどうかということについて大いに疑問を感ずるところであります。
第三に、更に合区対象が広がった際に生じる弊害、これは想定でございますけれども、今の状況では人口が比較的少ない二つの県がたまたま隣接しておりますけれども、今後は、人口規模を合わせようとすると、飛び地、また人口規模が相当程度異なる都道府県同士が合区になるといったケースが生じ、人口の少ない方の県の声がますます届きにくくなるという可能性が高くなると考えております。
私の考えでございますが、そもそも日本国憲法が二院制を採用しているという理由の一つは民意の忠実な反映でありまして、人口の少ない地域も含めた多様な民意を忠実に反映していくということが求められていると考えております。参議院、衆議院共に一人一票の投票価値の平等に重きを置くのであれば、まあ極論かもしれませんけれども、一院制で足りるのではないかというふうに国民に理解されるのではないかという懸念を持っております。
そうしたことから、この地方創生や人口減少対策など、国政の重要課題の解決に当たりまして、地方の実情をくまなく届けることができる都道府県単位による代表の選出、これが不可欠であると考えております。
その解消の手段としては、論理的には憲法改正、法改正、いずれもあると思いますので、早急に解消してもらいたいという立場からいたしますと法改正を望むところでありますけれども、先ほど平井参考人のお話にもございましたとおり、最高裁判所がこの投票価値の平等に重点を置き、違憲状態といった判決を出すという側面がある以上、法改正で合区を解消した場合に憲法違反という判決で手戻りになるというリスクを考えますと、最終的には憲法改正により合区を解消していただくということが必要ではないかと考えております。
考え方を明確にお伝えするために行き過ぎた表現があったかもしれませんけれども、その旨は御了解いただきたいと思います。
私の意見陳述は以上でございます。