勝野美江の発言 (憲法審査会)
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○参考人(勝野美江君) 徳島県副知事をしております勝野と申します。
本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
私の方からも、まず徳島県における合区の弊害、五点論点を整理させていただきましたので述べさせていただきます。
平井知事、丸山知事と重なる部分もあろうかと思いますが、まず一点目は投票率の低下であります。
合区導入前の参議院選挙におきます本県の投票率につきましては、平成十九年五八・四七%、平成二十二年五八・二四%、平成二十五年四九・二九%と、全国平均を下回る年もありましたが、その差につきましては最大三・三二ポイントにとどまっておりました。
しかしながら、合区導入後初めてとなります平成二十八年の参議院選挙における投票率が四六・九八%と、全国平均五四・七%を七・七二ポイントも下回るというような状況となりました。さらに、令和元年の参議院選挙における本県の投票率は、全国平均を一〇・二一ポイント下回る三八・五九%と過去最低、そして全国最下位というようなことになってしまいました。昨年七月十日実施の参議院選挙では四五・七二%と、令和元年からは回復したものの、再び全国最下位ということになってしまいました。
このように、合区対象県である本県の投票率は低迷を続けておりまして、まずこの合区の弊害ということが本当に深刻になっているという状況がございます。
二つ目は、これもさきのお話にもありましたが、無効票が増加しております。
合区導入前の参議院選挙におきます本県の無効票投票率は、いずれも全国平均を下回っていたものの、一・九九、二・八七、二・九八というようなパーセントでございました。一方、合区導入後の無効投票率というのが、平成二十八年で二・九六、令和元年六・〇四、令和四年三・四一といずれも全国平均より高く、特に令和元年は全国で最も高いというようなことになってしまいました。
このことから、合区は投票率の低下のみならず無効票の増加も招いているということで、本来選挙制度がより多くの国民の皆さんが政治に関心を持っていただくという制度であるべきですけれども、この合区によって真逆の状況を起こしてしまっているということは、まさに民主主義の根幹を揺るがす重大な問題だというふうに認識をしております。
三つ目です。これは、地方の声が届きにくくなるという課題です。
人口が非常に減少傾向にございまして、徳島県も時間の問題で七十万人を切るというような人口の状況になっております。今後も人口の少ない選挙区の合区が進みますと、ますます地方の声が届きにくくなります。
実は、徳島県は令和元年に一票の較差に関する将来推計を試算をしております。国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口に基づきまして、今後、国勢調査の結果に基づく推計どおり人口減少が進みますと、合区の対象県が二〇二五年には十五県、二〇三五年には二十県にまで拡大していく可能性があるというような悲観的なシナリオも描かれてしまうということです。
地域がそれぞれの特徴を生かし、固有の課題を解決して発展していくには、国政においても全国民の声に配慮した施策や法制度が不可欠であります。合区によって地方の声が国政に届きにくくなるということは、日本全体に不利益をもたらすおそれがあるという視点が重要だというふうに考えております。
四つ目は、自治体間における不平等性の課題です。
合区は、対象になった四県のみが県単位の民意を国政に届けることができなくなるという点において、一票の価値とは異なる不平等性を有するというふうに考えております。また、これまでの合区は隣接する人口規模が近い自治体間において行われておりますが、今後は人口規模が大きく異なる自治体間で行われる可能性もあるという課題がございます。
五つ目です。都道府県ごとに集約される民意を生かす機能の後退という点です。
これは平井知事も御指摘されておりましたが、都道府県の区域には歴史的、政治的、社会的なまとまりを背景に行政府、警察、教育委員会が設置され、農林水産、医療、保健、商工業といったあらゆる組織、団体が都道府県単位で合意形成を行っております。このことは、各都道府県ごとに民意が集約される仕組みが十分機能してきたということの表れであります。参議院についても、都道府県ごとに集約された意見を国政に反映させる場というふうに過去なってきておりますが、合区の導入によって参議院のそのような機能が後退するという懸念がございます。
以上のような課題を踏まえまして、徳島県としての意見を申し上げたいというふうに思います。
昨年の参議院選挙後の一票の較差における裁判では、仙台高裁が合区導入後初となる違憲判決を出したところであります。一票の較差に起因する合区問題の根本的解決には、地域代表制を採用しながら、参議院に地方の声が都道府県単位で国政に反映する仕組みが必要と考えております。
全国知事会からも要望は幾度となく出させていただいておりますが、こういった状態の中では憲法改正などの抜本的な対応により合区を解消していただいて、全ての都道府県の代表が国政に参加できる参議院選挙制度の実現をお願いしたいということで意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。