音喜多駿の発言 (憲法審査会)
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○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
先月の審査会において、私は、憲法第五十四条に規定された参議院の緊急集会の趣旨と必要性、またその限界についての認識をお示しした上で、憲法改正による緊急事態条項の新設について提言を行いました。
本日は、衆議院の方ではかなり議論が煮詰まっているこの緊急集会の限界性について、もう少し詳しく意見を述べてまいります。
我々が提言している緊急事態条項案、議員の任期延長案においても、参議院の緊急集会の重要性はいささかも変わることはありません。しかし、そこには明確に限界があります。
一点目の限界性は、長期にわたる場合を想定していないという点です。
参議院の緊急集会の要件として、一、衆議院の解散中であること、二、国に緊急の必要があること、三、内閣の求めによることという三つがありますが、このうちの一、衆議院の解散中であること、言い換えれば、解散中にしか緊急集会が開かれないという限定された要件が昨今想定されている緊急事態にそぐわないのではないかと考えます。
なお、この解散要件については衆議院の任期満了に類推適用ができるという意見もありますが、仮にそうだとしても、直後に衆議院の議決を求めていることからも、長期の緊急事態まで想定されているとは考えられません。
緊急集会が想定しているのは、国政選挙を通常どおりに行える程度の状況、近いうちに国会が開会されることを前提としています。大規模災害の発生、感染症や戦争の拡大など長期にわたる緊急事態が発生し、国政選挙の適正な実施ができない状態が生じた場合、参議院の緊急集会だけでは対処が困難になります。これが一点目の限界性です。
二点目の限界性は、緊急集会の権能における限界です。
国会法によりますと、第九十九条第一項で、「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とあります。次に、第百一条には、「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあります。
すなわち、緊急集会は内閣の請求の際に総理が示した案件に絞られています。その上で、集会を開く際に総理が示せる案件について幅広く設定することはできない、個別具体的に示さなければならないという考え方が主流となっています。国会法に例示やホワイトリストがない以上、行政の恣意的な暴走を防ぐためにも、個別具体的に示すことが必要であるという考え方は妥当であると考えます。
なお、緊急集会は国会の権限を代行するものであるので、法律案の議決、予算の議決、条約の承認など国会の権限に属する全てを議することができるというのが通説でありますが、誤解してはならないのは、緊急集会には一般的にそうした権限がある中で、総理が初めに提示した個別具体的案件しか国会で議論ができないということです。
しかしながら、一点目の限界性で述べたような長期にわたる緊急事態が生じた場合、当然、当初想定した案件のみを議論するだけでは足りなくなる、国会の権限全てを行使することが求められる可能性が出てくること、これは大いに予想されます。参議院の緊急集会の権能では対処できない課題、事態が出てくる、これが二点目の明白な限界性です。
こうした二点の限界を踏まえて、やはり緊急事態条項が必要であると考えます。
繰り返しになりますが、いかなる緊急事態にあっても、国会機能や二院制の原則を維持し、権力の統制を果たすことは極めて重要であり、選挙が実施できないことによって国会議員が不在となる事態を避けるためにこそ、憲法改正、緊急事態条項の制定が必要なのだということを強調しておきたいと思います。
これは何も現行憲法における参議院の緊急集会の存在意義や権能を軽視するものでは全くありません。しかしながら、安全保障環境の激変や大規模災害発生のリスク、そして百年ぶりに感染症の蔓延を経験した我が国にとって、参議院の緊急集会では補い切れない長期にわたる緊急事態は想定をしておくべきであり、そうなった際の行政の暴走、権力の暴走を止めるためにも、緊急事態条項、議員の任期延長の項目の創設につき早急に前に進めるべきである、この参議院の緊急集会の権能や議論についても早急に取りまとめを行うべきであると申し上げまして、私からの意見とさせていただきます。
ありがとうございました。