憲法審査会

2023-05-10 参議院 全51発言

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会議録情報#0
令和五年五月十日(水曜日)
   午後一時十四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     若林 洋平君     松川 るい君
     宮崎  勝君     山本 香苗君
     礒崎 哲史君     大塚 耕平君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     下野 六太君    佐々木さやか君
     川合 孝典君     礒崎 哲史君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     進藤金日子君     赤松  健君
     松川 るい君     友納 理緒君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         中曽根弘文君
    幹 事
                浅尾慶一郎君
                片山さつき君
                堀井  巌君
                牧野たかお君
                山本 順三君
                熊谷 裕人君
                杉尾 秀哉君
                西田 実仁君
                音喜多 駿君
                大塚 耕平君
                山添  拓君
    委 員
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                赤松  健君
                臼井 正一君
                衛藤 晟一君
                加藤 明良君
                小林 一大君
                古庄 玄知君
                佐藤 正久君
                友納 理緒君
                中西 祐介君
                松下 新平君
                松山 政司君
                丸川 珠代君
                山田  宏君
                山谷えり子君
                石川 大我君
                打越さく良君
                小西 洋之君
                古賀 千景君
                辻元 清美君
                福島みずほ君
               佐々木さやか君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                山本 香苗君
                浅田  均君
                東   徹君
                猪瀬 直樹君
                礒崎 哲史君
                舟山 康江君
                仁比 聡平君
                山本 太郎君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長      加賀谷ちひろ君
   法制局側
       法制局長     川崎 政司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○幹事補欠選任の件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について(参議院の緊急
 集会について))
    ─────────────
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中曽根弘文#1
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 幹事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在幹事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中曽根弘文#2
○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、幹事に大塚耕平君を指名いたします。
    ─────────────
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中曽根弘文#3
○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について委員間の意見交換を所要一時間三十分を目途に行います。
 発言を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。
 発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。
 一回の発言時間は各五分以内でお述べいただき、法制局に答弁を求める場合は、答弁を含め五分以内といたします。
 発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。
 堀井巌君。
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堀井巌#4
○堀井巌君 自由民主党の堀井巌です。
 参議院の緊急集会について見解を申し上げます。
 憲法五十四条二項の参議院の緊急集会の規定は、国会召集ができない場合に緊急事態が発生したときに、でき得る限り民主政治を徹底しながら暫定的な処理を可能とする制度と理解をいたしております。
 その上で、まず、衆議院議員の不存在についてであります。
 これまでも我が会派から発言がありましたが、五十四条二項に明示されている衆議院の解散による衆議院議員の不存在、そして、類推解釈から、衆議院の任期満了後で総選挙が行われる前が含まれると考えております。
 緊急集会を開く期間についてであります。
 衆議院の解散の場合、五十四条一項の規定により、最長でも七十日間と考えられます。任期満了の場合は、公職選挙法や国会法により、最長で六十日間となります。つまり、任期満了の場合を類推解釈で含めたとしても、解散時を超える期間にはならないというふうに考えます。
 一方、解散あるいは任期満了により衆議院議員が不存在となった場合に大災害等が発生し、最長七十日間を超えて選挙ができないときに緊急集会を開く最長期間を例外的に柔軟に考えてよいのかという議論もございます。憲法学者の方々の見解も、必ずしも明確ではありません。ただ、緊急集会は両院同時活動の例外であり、七十日間を大きく超えることは憲法の想定外ではないかと考えます。
 そこで、大災害等により国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、国民の生命、身体、財産を保護するため、内閣による緊急政令等で対処する考え方があります。民主政治の下で状況に応じた適切な対処ができるよう、緊急政令等についても憲法に規定を置くべきではないかと考えます。
 この緊急政令等ですが、憲法制定時には、不測の災害の場合にはエマージェンシーパワーにより措置する考え方がありました。また、憲法学者の方々の中にもそのような考え方はあります。憲法において、非常事態に対する措置をとる緊急政令等を実定化しているという国が大半という研究もございます。同時に、衆議院議員の不存在時に非常事態に対応するための緊急政令等を民主政治の下に置くという視点は大切です。
 そこで、行政監視に重きを置いてきた参議院の役割から、緊急集会による緊急政令等への一定の関与が考えられます。
 以上、論点の中から、衆議院議員の不存在と緊急集会を開く期間、そして緊急政令と行政監視について考えるところを申し上げました。
 その上で、改めて緊急集会の議論と併せて、衆議院、さらには国会議員の不存在や召集不可能時への対応、そして他国の憲法にあるような緊急政令等の制度、これらに係る憲法改正の議論を進めるべきと申し上げます。同時に、緊急政令等への民主政治の統制として緊急集会を活用することについても、参議院が率先して議論すべきです。
 そこで最後に、川崎参議院法制局長に伺います。
 参議院の緊急集会による行政監視機能の発揮、特に緊急政令等への行政監視について、法制的な観点から見解を伺いたいと存じます。
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川崎政司#5
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。
 参議院の緊急集会は、衆議院の解散中において緊急の必要が生じた場合に、国会の議決等を要する措置を行政に委ねることなく対処するためのものであり、その点では民主的な意義を持つものであると考えられます。
 他方、非常事態における緊急政令等の制度を憲法で設ける際には、国会の召集が可能となった段階で速やかにその承認や措置を求めるべきことが規定されるのが一般的でございます。そして、その場合には、現行の制度を前提とすれば、衆議院が不存在時においては参議院の緊急集会を求めることを規定することが一つの案として考えられるのではないかと思われます。
 ちなみに、法律によるものではありますが、災害対策基本法等による緊急政令の場合にも、その制定後、直ちに臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めることが規定されております。
 以上のように、参議院の緊急集会の制度は、衆議院の不存在時において緊急の必要が生じた場合に参議院が行政の統制や監視の役割を果たすものであると位置付けることができるのではないかと思われます。
 以上でございます。
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堀井巌#6
○堀井巌君 ありがとうございました。
 終わります。
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中曽根弘文#7
○会長(中曽根弘文君) 杉尾秀哉君。
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杉尾秀哉#8
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
 参議院の緊急集会についての過去二回の討論を踏まえまして、今回私からは改めて、緊急事態における議員の任期延長などのための憲法改正は不要であり、むしろ危険ですらあるということを申し述べます。
 そもそも、参議院の緊急集会の制度導入の経緯たる立法事実とは、当時の日本政府が、自然災害大国である我が国の実情を踏まえて、GHQ草案にはなかった衆議院議員不在時の緊急の立法措置の仕組みが必要だという問題提起を行い、これにGHQ側が内閣の国家緊急権で対処すればよいと応答したところ、最終的にこれに対して日本側が、それでは憲法に緊急権の定めが置かれていた明治憲法以上の弊害の原因になると反論して制定に至ったという事情があります。
 こうした経緯に鑑みれば、参議院の緊急集会は、明治憲法下での緊急勅令や緊急財産処分を認めず、国会中心主義の立場から、緊急時においても国会が対応しようとする制度であるということは明らかです。
 これについて、橋本公亘元中央大学教授は、日本国憲法は、国会中心主義を確立するため、明治憲法にあった緊急勅令や緊急財産処分のような権限を行政府に一切認めないこととしたと解説し、また、小林直樹元東大教授も、参議院の緊急集会はあくまで国会中心主義を貫こうという趣旨であり、現行憲法下では緊急時においても議会的コントロールなしに立法や予算などの重要決定をなさしめないように考慮されていると、このように述べておられます。
 こうした観点から、緊急政令などとセットで議論をされている緊急事態における議員の任期延長論を考えますと、数々の疑問点が浮かんできます。
 まず、衆議院の任期延長は、議院内閣制の日本の場合、内閣総理大臣の任期延長、つまり延命を意味するということです。例えば、近年でもロシアや中国などで憲法改正によって最高権力者の任期が延長される例が起きています。これらの国々は民主的と言い難いとはいえ、日本のような民主国家においても同様のことは起こり得ます。こうした権力持続化の危険性を私たちは十分に認識する必要があります。
 また、改憲五会派は、二院制の枠内で設けられた参議院の緊急集会について二院制の例外だとの根拠のない主張をしていますが、先ほども述べましたように、緊急集会は緊急事態に際しても国会中心主義や国民主権を貫くために設けられた制度であり、もし例外だから問題だというのであれば、議員の任期延長は国民主権の例外であることや、緊急政令を可能にする緊急事態条項が立憲主義など近代法の基本原理の例外であることこそ問題にすべきではないでしょうか。
 さらに、選挙権の制約という観点の重要性も指摘せざるを得ません。
 在外邦人選挙権制限違憲訴訟で最高裁大法廷は、議員を選挙で選定するという国民の権利は議会制民主主義の根幹を成すもので、国民の選挙権を制限することは原則として許されないと明確に述べた上で、国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置をとらないという不作為によって国民が選挙権を行使することができない場合も憲法違反である、このように断じています。
 つまり、選挙困難事態という定義も要件もあやふやな事態を掲げておきながら、大災害等であっても一日も早く選挙を実施可能とするための投票環境の整備等の議論は行わず、任期延長の改憲議論ばかりを進めようとするのは、最高裁が指摘したのと同じであり、かかる状況で選挙権の制約の議論を先行させることは、自ら国会議員の存在自体の正統性の根拠を失わせることにもつながりかねません。
 なお、憲法制定時に金森大臣も、国会議員の任期をその会期延長の形式をもって自ら延ばすということは甚だ不適当であろうと思います、ゆえに、憲法において正確に四年というふうに任期をつくりまして、それによって自発的に会期の伸長はできない、そのときには必ず選挙に訴えて、果たして国民が国家と表裏一体化しているかどうか現実に現さねばならぬ、このように答弁をされています。
 ここまで述べてまいりましたように、緊急時における衆議院の任期延長は、憲法制定時の経緯や国民主権、基本的人権の尊重、そして国会中心主義のいずれの観点においても重大な問題をはらむものと言わざるを得ません。また、明治憲法下での緊急勅令を想起させる緊急事態下での緊急政令も、これと同様であることは論をまちません。
 私からは以上です。
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中曽根弘文#9
○会長(中曽根弘文君) 西田実仁君。
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西
西田実仁#10
○西田実仁君 災害等の緊急事態は政府に権限が集中することから、その活動を国会で適切に監視するため、むしろできる限り選挙を通じて議員の民主的正統性を確保する必要性が高いと考えます。
 なぜ憲法に議員の任期が定められているのか。それは、定期的な選挙によって国民代表性の付与を更新するためであります。にもかかわらず、選挙をせずに議員の任期延長をすることは、その間、解散は禁止され、総選挙が実施されないことから、国民から選挙の機会を奪うことになります。それゆえ、災害等でもできる限り総選挙を実施すべきであり、公職選挙法では繰延べ投票の規定が設けられています。
 しかし、繰延べ投票では公平公正な選挙の実施が困難ゆえ、緊急事態が収束するまでの間、議員の任期延長等を行い、全国一律に投票を行うべきではないかとの指摘があります。しかし、一、現行制度において認められている繰延べ投票制度そのものを否定するわけにはいかない、また、二、議員の任期延長がなされている間は総選挙が実施されないとすれば国民から選挙の機会を奪うことにならないか、三、そもそも全国一律に投票を行うべきとの憲法学説は見当たりません。
 衆議院解散後でも緊急事態においては前衆議院議員の身分復活を認めるという議論も衆議院で行われていますが、内閣不信任決議が可決されたこと等を受けて憲法第六十九条に定める衆議院の解散がなされた場合、内閣と衆議院が解消し難い対立関係にもあるにもかかわらず、元衆議院議員が身分復活することで果たして機能するのか。また、衆議院の解散は、内閣不信任決議の可決等におけるもののほか、内閣が国政に対する新たな民意を問うために行われるものであるところ、衆議院の解散により身分を失った元衆議院議員が復活して国政に関わる判断に関与することが適当と言えるのか、慎重な検討が必要であります。さらに、衆議院の解散は、衆議院議員としての身分を失わしめる重大な行為であることからこそ、天皇の国事行為として国民に広く知らしめる形で確定的に行われるものであるにもかかわらず、容易に身分復活を認めてよいのかどうかについても検討が必要です。
 一方で、災害等で一部の地域で投票ができない場合に公選法に定める繰延べ投票を行うことは、比例区の当選者が確定せず、また、被災地等から選出された議員が不在になるという点において問題ではないかとの指摘があります。
 しかしながら、一、全ての国会議員は全国民を代表する存在であり、また、参議院の選挙制度は選挙区選出と全国比例による選出から成り立っており、被災地等の事情を含めた判断をし得る立場にあると言える、二、我が国の国会では定足数制度が取られており、そもそも特定の選挙区選出議員等が一定期間不在であったとしても定足数を満たしていれば議会の構成そのものには瑕疵はないとするのが基本ではないか、三、現行の選挙制度の下でも議員に欠員が生じるたびに必ず補欠選挙を行うとはされていないことも踏まえる必要があります。
 ただし、これまでの議論にもあったように、現行憲法が二院制を前提として、参議院の緊急集会が後に衆議院の同意がないときには失効するという意味で一時的、限定的、かつ暫定的であることは否めません。
 そこで、いかなる緊急の事態でも参議院の緊急集会プラス繰延べ投票で対応し得るという考え方を基本としつつも、原則緊急集会で対応するとしても、衆議院議員選挙が相当数の選挙区において長期間実施できないという極めて例外的な場合に衆議院議員の任期延長又は前衆議院議員の身分復活を認めるという考えはどうか。ただし、その場合であっても、重要なことは民主的正統性をできる限り維持することである。
 解散後、若しくは任期満了後の前衆議院議員の身分復活には、内閣の求めに応じて参議院の緊急集会を開催し、そこでの議決を伴うべきではないか。選挙で選ばれた参議院議員による議決により、その議決は民主的正統性を有することになります。
 任期を延長した場合や前議員の身分復活をした場合におけるその権能の範囲は、十分な民主的正統性を認めることができない以上、暫定的、一時的なものとして位置付けるべきであり、憲法改正の発議や内閣不信任案の決議などは当然に不可能であります。
 また、議員の任期延長や身分復活の期間の上限についても、民主的正統性の観点から一時的な期間に限定すべきであります。
 以上です。
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中曽根弘文#11
○会長(中曽根弘文君) 音喜多駿君。
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音喜多駿#12
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 先月の審査会において、私は、憲法第五十四条に規定された参議院の緊急集会の趣旨と必要性、またその限界についての認識をお示しした上で、憲法改正による緊急事態条項の新設について提言を行いました。
 本日は、衆議院の方ではかなり議論が煮詰まっているこの緊急集会の限界性について、もう少し詳しく意見を述べてまいります。
 我々が提言している緊急事態条項案、議員の任期延長案においても、参議院の緊急集会の重要性はいささかも変わることはありません。しかし、そこには明確に限界があります。
 一点目の限界性は、長期にわたる場合を想定していないという点です。
 参議院の緊急集会の要件として、一、衆議院の解散中であること、二、国に緊急の必要があること、三、内閣の求めによることという三つがありますが、このうちの一、衆議院の解散中であること、言い換えれば、解散中にしか緊急集会が開かれないという限定された要件が昨今想定されている緊急事態にそぐわないのではないかと考えます。
 なお、この解散要件については衆議院の任期満了に類推適用ができるという意見もありますが、仮にそうだとしても、直後に衆議院の議決を求めていることからも、長期の緊急事態まで想定されているとは考えられません。
 緊急集会が想定しているのは、国政選挙を通常どおりに行える程度の状況、近いうちに国会が開会されることを前提としています。大規模災害の発生、感染症や戦争の拡大など長期にわたる緊急事態が発生し、国政選挙の適正な実施ができない状態が生じた場合、参議院の緊急集会だけでは対処が困難になります。これが一点目の限界性です。
 二点目の限界性は、緊急集会の権能における限界です。
 国会法によりますと、第九十九条第一項で、「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とあります。次に、第百一条には、「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあります。
 すなわち、緊急集会は内閣の請求の際に総理が示した案件に絞られています。その上で、集会を開く際に総理が示せる案件について幅広く設定することはできない、個別具体的に示さなければならないという考え方が主流となっています。国会法に例示やホワイトリストがない以上、行政の恣意的な暴走を防ぐためにも、個別具体的に示すことが必要であるという考え方は妥当であると考えます。
 なお、緊急集会は国会の権限を代行するものであるので、法律案の議決、予算の議決、条約の承認など国会の権限に属する全てを議することができるというのが通説でありますが、誤解してはならないのは、緊急集会には一般的にそうした権限がある中で、総理が初めに提示した個別具体的案件しか国会で議論ができないということです。
 しかしながら、一点目の限界性で述べたような長期にわたる緊急事態が生じた場合、当然、当初想定した案件のみを議論するだけでは足りなくなる、国会の権限全てを行使することが求められる可能性が出てくること、これは大いに予想されます。参議院の緊急集会の権能では対処できない課題、事態が出てくる、これが二点目の明白な限界性です。
 こうした二点の限界を踏まえて、やはり緊急事態条項が必要であると考えます。
 繰り返しになりますが、いかなる緊急事態にあっても、国会機能や二院制の原則を維持し、権力の統制を果たすことは極めて重要であり、選挙が実施できないことによって国会議員が不在となる事態を避けるためにこそ、憲法改正、緊急事態条項の制定が必要なのだということを強調しておきたいと思います。
 これは何も現行憲法における参議院の緊急集会の存在意義や権能を軽視するものでは全くありません。しかしながら、安全保障環境の激変や大規模災害発生のリスク、そして百年ぶりに感染症の蔓延を経験した我が国にとって、参議院の緊急集会では補い切れない長期にわたる緊急事態は想定をしておくべきであり、そうなった際の行政の暴走、権力の暴走を止めるためにも、緊急事態条項、議員の任期延長の項目の創設につき早急に前に進めるべきである、この参議院の緊急集会の権能や議論についても早急に取りまとめを行うべきであると申し上げまして、私からの意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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中曽根弘文#13
○会長(中曽根弘文君) 舟山康江君。
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舟山康江#14
○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。
 参議院の緊急集会の規定について意見を述べさせていただきます。
 現憲法は、世界の中でも条文数も文字数も著しく少なく、余白の多い憲法と言えます。そのため、条文の変更を経ないままに、政府による恣意的な解釈の変更が何度も行われてきた歴史があるのは御承知のとおりです。
 また、学説の解釈が大きく分かれるような条文も多いわけですけれども、今回のテーマである参議院の緊急集会に関する条文もその一つであり、例えば、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも緊急集会が開けるか否か、その期間はどのくらいかという単純な問いかけに対しても解釈が分かれるような状況にあります。
 このままでは、いざ実際にそういう事態が発生した際に大混乱に陥るのは必至であり、行政府による権力の濫用を防ぐという憲法の重要な役割が失われる事態も招きかねません。にもかかわらず、いつまでも両論併記のままで放置し続けるというのは、立憲主義の危機であると同時に、立法府の怠慢ではないかと私は考えます。改めて、曖昧さを払拭するためにも憲法の議論は必要です。
 私たち国民民主党は、昨年末、緊急事態条項の条文案をまとめました。憲法への緊急事態条項の追加を検討、というと、戦前の軍部の独走やドイツのナチス台頭のように、緊急事態に名を借りて政府が好き勝手に暴走するのではないか、国民の権利が奪われるのではないか、といった懸念の声がたくさん聞こえてきます。緊急事態では、平時よりも強度の措置が必要とされる場合もあります。そして、どうしても国全体が正気を失いがちになるというのが歴史の教訓です。
 新型コロナ発生の初期を思い出してください。突然、何の法的根拠もなく、学校一斉休校や営業自粛要請が内閣から一方的に宣言され、国会の関与もないまま、国民の権利が侵害されました。
 こうした反省を生かし、逆に、どんな緊急事態でも同じ歴史を繰り返さないよう、あらかじめ、権力濫用を防ぎ、民主的な統制を強めるための基準を整備すべきです。
 折しも、日本を始め世界各国が自然災害、感染症の蔓延、武力攻撃、テロなど、想定外の緊急事態に幾度も直面しています。だからこそ、内閣の暴走を止めるための手段として、手続的統制、すなわち国会や最高裁による関与・統制、内容的統制、すなわち人権制限の限界、緊急時でも絶対に侵してはいけない権利の範囲などを規定する、緊急事態権力統制条項を設ける必要性を訴えています。
 こうした緊急事態と現行憲法による参議院の緊急集会を切れ目なく組み合わせて、あらゆる緊急事態下においても国民の生命と財産、そして人権を守れるような法制度を構築することが立法府の責務であると私は考えています。
 先般、国民民主党が日本維新の会、有志の会とまとめた緊急事態条項の条文案では、議員の任期延長の実体的要件として、武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延、その他これらに匹敵する事態の発生と、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域において国政選挙の適正な実施が七十日を超えて困難であることが明らかであることを挙げています。実体的要件に七十日を超えて困難、と入れることで、緊急集会と議員の任期延長のすみ分けを明確に図っているものです。
 緊急集会の機能はやはり一時的、暫定的なものであって、その期間には限界があり、七十日を超える長期にわたってまで無制限に緊急集会開けるようにすることは規定の濫用にならないかと懸念しています。
 まず、七十日を超えて緊急集会開くことの妥当性について、法制局長に御所見をお伺いします。
 もう一点、緊急集会における予算の議決についてお聞きします。
 憲法五十四条三項には、「前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。」とあります。この条文は、やはり緊急事態はあくまで臨時の措置だということだと思いますけれども、長期にわたる予算の議決が許容されるのか。
 この二点についてお聞きします。
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川崎政司#15
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。
 まず一点目の、衆議院の解散後七十日を超えて緊急集会を開くことができるかどうかの問題でございますが、先生がおっしゃられたように、緊急集会は例外的、限定的なものであり、憲法はそのようなものを想定していないという消極的に解する見解が一方でございます。
 その一方で、衆議院総選挙や特別会の召集ができない状況が続いている中で緊急の必要があるのであれば緊急集会で対応せざるを得ないと考える見解もあるものと承知しております。
 これらを踏まえて、先生方で御議論いただく問題であると考えております。
 もう一点、予算の方の関係でございますけれども、基本的には緊急集会の対象となるのは緊急の必要性のあるものに限られること、特別会が召集されるまでの間の暫定措置であることを考慮して判断されるべきであります。
 しかしながら、実際に特別会の召集が困難な場合として様々なケースが想定されるところであり、その時々の状況に応じて必要な予算が内閣から緊急集会に提出されることになるものと考えております。
 以上でございます。
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中曽根弘文#16
○会長(中曽根弘文君) 時間を過ぎておりますので、おまとめください。
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舟山康江#17
○舟山康江君 はい。
 ありがとうございました。
 改めて、権力濫用を防いで民主的な統制を強めるためにこそ、緊急事態条項による任期延長と緊急集会の在り方、このすみ分け等も含めた議論をしっかりと行っていくべきだということ、そのために、やはり憲法にも書き込むべきということ、このことを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。
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中曽根弘文#18
○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。
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山添拓#19
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 四月十二日の当審査会で、参議院の緊急集会が憲法に規定されるに至った経過について法制局に質問し、次のような答弁を受けました。
 すなわち、日本政府側は、当初、緊急事態において法律又は予算に代わる閣令の制定を可能とする案を提案していましたが、これは明治憲法の緊急勅令あるいは緊急財政処分が念頭に置かれていました。総司令部との交渉を経て、緊急集会の規定が設けられることになった理由について、当時の政府は、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくするように考えたと説明しており、これは権力分立を維持し、それにより国民の権利保障を全うする、立憲主義を貫くことを考慮したものでした。
 天皇主権の明治憲法と国民主権の日本国憲法とでは、いわゆる緊急事態への対応はおのずから異なります。憲法制定議会で金森大臣が述べたように、政府の一存で行うような処置は極力防止しなければならず、国会制度の趣旨を徹底して実行するため、緊急の必要が生じた際には臨時国会を召集して対応し、衆議院の解散後は参議院の緊急集会で対応することとされたものです。
 加えて、日本国憲法は、戦争を放棄し、軍隊を持たないとする九条を掲げました。成文憲法を持つドイツ、フランス、イタリアなどでは、主として戦時の緊急対応のために緊急権を定めています。明治憲法の非常大権や戒厳令も戦時や国家事変を対象としていました。一方、二度と戦争をしないと宣言した日本国憲法の下では、戦時対応に名を借りた緊急事態条項は必要なくなったという点も想起されるべきです。
 したがって、日本国憲法は、緊急事態条項をあえて定めず、権力分立による権利保障を貫く在り方を追求した結果、国際的にもユニークな緊急集会という規定に結実したことを重ねて強調するものです。
 ところが、この間の当審査会では、フルセットの緊急事態条項を設けるべき、憲法に緊急政令の規定を設けるべきなど、日本国憲法の制定に至る議論をおよそ無視した意見が散見されます。看過できません。
 自民党の二〇一二年日本国憲法改正草案や、二〇一八年改憲条文イメージ、たたき台素案、また今般、維新の会や国民民主党などが発表した条文案は、いずれも緊急事態に議員任期を延長する特例を盛り込んでいます。
 法制局によれば、明治憲法下で唯一衆議院任期が延長された例は、一九四一年、対米開戦に向かう情勢下でのものでした。今日のような緊迫した内外情勢下に短期間でも国民を選挙に没頭させることは、国政について不必要にとかく議論を誘発し、不必要な摩擦、競争を生じせしめて、内政外交上甚だ面白くない結果を招くおそれがあるなどとされたものです。
 一年後の一九四二年、戦時下に総選挙を行ったのは、議会の刷新を期し、政治力の結集を図ることがむしろ戦争遂行のため緊要であると考え、戦争の真っただ中であえて総選挙を断行したとされます。
 議員任期の延長も、その後の選挙も、世論を封じ戦争を推し進めようという内閣と多数党の思惑に利用され、侵略戦争を一層深刻化し、内外でおびただしい犠牲を招いたという厳然たる事実があります。日本国憲法が議員任期の延長を定めず、衆議院の総選挙の間は参議院の緊急集会により対応することとしたのは、この痛苦の歴史を踏まえたものにほかなりません。
 五月三日、憲法施行七十六周年の憲法記念日に東京有明で行われた憲法集会には、コロナ禍後最も多い二万五千人が集まりました。北海道から沖縄まで、各地で憲法を守り生かそうと声を上げる取組も行われました。
 日経新聞とテレビ東京の世論調査では、憲法への緊急事態条項創設に賛成四一%に対し、反対が四八%と上回っています。共同通信の世論調査では、改憲の機運が高まっている、どちらかといえば高まっている計二八%に対し、どちらかといえば高まっていない、高まっていないが計七一%と多数を占めました。毎日新聞の世論調査では、岸田首相在任中の改憲について賛成は三五%、反対が四七%と上回りました。一年前と賛否が逆転しています。
 コロナ危機やロシアのウクライナ侵略に乗じて、緊急時対応のために改憲が必要とあおる議論が重ねられてきました。しかし、こうした危機を経てなお改憲は政治の優先課題とはなっていません。今求められているのは憲法を徹底的に生かす政治であり、乱暴かつ前のめりに改憲論議を重ねることではないことを強調し、意見とします。
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中曽根弘文#20
○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
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山本太郎#21
○山本太郎君 参議院緊急集会について、衆議院任期満了時には緊急集会を招集できるのか、七十日間以上開催することができるのかなど、運用面の限界を指摘する意見が結構出てきていますよね。
 確かに、衆院任期満了時や緊急集会の期間について憲法には規定はないです。これらの課題は憲法に沿った解釈と運用ルールで解決できることだと私は思っています。つまりは、必要に応じて衆院任期満了時にも開催する、必要に応じて七十日以上開催もできると憲法解釈すればいいだけのことだと。それほど無理のある話ですか、これは。
 例えば、憲法九条。九条をそのまま読めば自衛隊は違憲ですが、十三条と併せて考えることで合憲だとこれまで解釈してきたわけです。国民の生命、財産を守る上で必要であるということから、これほどまでの解釈も可能となったと。
 参議院緊急集会について、今のままでは緊急集会を七十日以上開けない、任期満了時は無理だ、憲法改正が必要だという論立て自体、無理があるんじゃないですか。国民の生命、財産を守る上で必要があり、憲法に沿った解釈がなされるならば、当然七十日を超えても開催できると考えるのが筋ではないでしょうか。
 これまで好き勝手に解釈しまくって立法までしてきた者たちが、緊急集会などに関しては憲法改正が必要だと悲壮感たっぷりに訴える意図は何なんでしょうか。欲しいのは、憲法改正を私たちの手で行ったという形でしょうか。それに加えて、事実上の白紙委任、緊急事態条項を手に入れたいということでしょうか。
 他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は憲法上許されないと言わざるを得ない、このように、従来、政府は、集団的自衛権は憲法上認められないという見解を示してきました。集団的自衛権は本来、憲法改正をしなければ容認できないものです。それを憲法改正の手続は一切踏まずに、解釈変更の閣議決定で容認、強行採決で立法化しました。憲法改正が党是だと言いながら、本来は立法する以前に必要である憲法改正をやらずに、解釈だけで、数の暴力で強権的に立法化したのはなぜですか。
 四月三十日、NHK「日曜討論」で、衆院憲法審査会の幹事、自民、新藤議員は、今の憲法は占領下で防衛力を放棄させられていたときの憲法だから自衛の範囲や実力組織についての規定がない、だから、憲法に規定のない武力行使や集団的自衛権を一般法で定めてきた、今度は安保法制に書き込んだことを憲法に後付けで盛り込むのだと、そういった趣旨の発言をされていました。
 現行憲法九十八条、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」とあります。憲法を飛び越えた立法は許されない。これさえ理解していない者が国会議員であり、憲法審査会の幹事を務めていることに、同じ国会議員としてではなく、一有権者として危惧します。憲法尊重擁護義務が公務員にはありながら、その感覚が全くない。あきれるのではなく、非常に危険な状態だと考えています。
 話を解釈に戻します。
 参議院の緊急集会の開催要件や期間を広く取る憲法解釈と集団的自衛権の合憲解釈、どちらにより憲法解釈上の無理があるでしょうか。言うまでもありません。
 終わります。
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中曽根弘文#22
○会長(中曽根弘文君) 山田宏君。
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山田宏#23
○山田宏君 自由民主党の山田宏でございます。
 今まで議論をお聞きしておりまして、一点だけ、まず最初に法制局長にお聞きをしておきたいんですが、五十四条の解釈として、四十日以内に、衆議院解散されて四十日以内に選挙、そして三十日以内に召集ということの中で、七十日の中で初めて緊急集会開かれると。さっきも質問ありましたけれども、それを超えた場合の緊急集会というものは基本、通説では考えられない、想定されていないので開けないと、こう解釈をしていいんでしょうか。
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川崎政司#24
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。
 憲法学者はその点についてはっきりと議論をしていないところがございまして、そういう意味で通説がどう考えているかというのはなかなか難しいところがございますけれども、七十日を超えて緊急集会をすることができないという議論においては、緊急集会のその例外性、限定性、一時的なものであるというその性格から、憲法は想定していないという議論がなされているところでございます。
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山田宏#25
○山田宏君 つまり、何も定まっていないと。その時々で考えるしかないと。
 もし七十日を超えて、もうずっと百日、二百日続いた場合ですよ、緊急の危機の場合、そのときに、その緊急集会を内閣が招集した場合、国内ではそれは違憲じゃないかというような議論、合憲じゃないかという議論があって、開くことすらもう大変なやっぱり問題に直面するんじゃないかと、こういうふうに思います。
 そのときに、開けなかった場合、今度は一体どうやって緊急の予算を上程するんだという問題が起きてきますから、やはり、これ、ほっといて解釈でやりゃいいんじゃないかというのは余りにも乱暴過ぎる、私はそう思っております。
 やっぱり、危機は我々の想定したとおり来ないんですよ、それが危機なんだから。七十日で終わるなんてあり得ない。大体、もう最悪の事態を想定するのが政治家の仕事でしょう。最悪の事態、つまり、衆議院も参議院も直下型地震でもう全く開けない、又は戦争になってしまって全く開けない、こうなったとき、一体どうするんですかね。緊急集会もへったくれもないよね、これ。
 だけれども、そうなったときに、やはり早めに人命を救わなきゃいけない。先日、二〇〇四年の私の杉並区長時代の中越地震の経験を申し上げましたけど、もういざ危機というときは早く行動していかないと人命は救えないんですよ。だから、迅速性が大事で正確性は後。
 だから、そういった意味でいえば、迅速に行動していかなきゃいけないときに予算も立てられない、それから新たな法令も作れない、こんなような事態で本当に人命を救えるのと。直下型地震のときはどう、日本が戦争に巻き込まれてしまったときはどうと。そういうときに、人命を救っていく、これを最優先にする政治がやっぱり行われなきゃいけないときに、そのときを想定してちゃんとレールを引いておかないと、いざというとき対応ができないと私は思います。
 そういった意味では、今まで何人かの委員さんがお話しになったように、当然、最悪の事態、つまり、衆議院、参議院がもうぶっ潰れて、誰もこれ立ち上がれなくて、行えないときに、政府は何らかの対応をしなきゃいけないときに予備費も作れないって、そうなってしまったら一体どうやって予算を執行するんですか。その場合は、やはり政府が国会に代わって当分、当分の間、必要な予算措置をとる、つまり緊急財産処分、そしてまた法令をきちっと政府が定める緊急政令、こういったことをするのは当たり前のことじゃありませんか。
 やはり、そういった国民の生命をまず第一に救うのであって、憲法を守って国民の命が失われるなんというのはね、逆ですよ、それは。だから、そういった意味では……ヤジ静かに聞きなさい。そういった意味では、このまま行くと超法規的措置の連続になりますよ。
 一九七九年か、ああ七七年か、ダッカで赤軍が日本航空の飛行機を、あれですね、ハイジャックしたときに、彼らの要求ですね、賠償金を出せとか、ああ、身の代金を出せとか、又は刑務所に入っている自分らの仲間を外へ出せとか言ってきましたよ。そのときに、当時の首相は、人命は地球よりも重いとか言って全部要求のんじゃったわけですよ。
 こんなような超法規的な措置を連続させるということになりますよ。そういったことが二度と起きないようにしていくためには、我々立法府があるんじゃないかと、こう考えております。
 そういった意味では、是非前に議論を進めてほしいと。人命を救うことが先、憲法はそれに合わせる、これが私は原則だと考えております。
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中曽根弘文#26
○会長(中曽根弘文君) 辻元清美君。
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辻元清美#27
○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。
 本日、何人かの委員から出された緊急時における内閣による緊急政令等について意見を述べます。
 改憲を主張する自民党などが緊急事態の対象として挙げている事態、一、大規模自然災害事態、二、テロ・内乱事態、三、感染症蔓延事態、四、国家有事・安全保障事態については、既にある法律、災害対策基本法百九条、国民保護法百三十条及び九十三条、新型インフルエンザ特措法五十三条に、緊急事態の際には内閣は次の各号に挙げる事項について必要な措置をとるため政令を制定することができるとあらかじめ書かれており、更に政令対応が必要な事項があるのならば、平時のときにこそ既にあるこの枠組みに追加していくことが現実的であり、憲法改正の必要はないと考えます。
 既に、物資の供給制限、物価統制まで入っています。金融債務のモラトリアム、支払猶予も入っています。更に必要な事項があれば、緊急時が発生してからばたばたと対応を考えるのではなく、あらかじめ平時から必要な対応を検討し、必要事項があれば追加し、法律改正しておくことこそが立法府の責務だと考えます。
 例えば、感染症蔓延事態。五月八日に新型コロナ対応が変わりました。この機会を捉えて検証をしっかり行い、緊急時の政令対応が必要な事項があれば、新型インフルエンザ特措法の五十八条、緊急政令事項に追加しておく必要があります。
 災害対策基本法では、阪神・淡路大震災のときにこの緊急政令の項目が議論され、追加され、さらに、東日本大震災後の発災の翌年の二〇一二年にも改正され、さらにその後、南海トラフ地震を想定し、政府審議会で検討を重ね、二〇一三年に南海トラフ地震型の対応も改正されております。
 この改正を取りまとめたのは当時の山谷えり子災害担当大臣です。このとき、山谷大臣の下で、政府審議会からも、参議院の緊急集会すら開けない事態での緊急政令も加えるべき事項があるのか、一切ないと、一つも指摘されていないのが現状です。取りまとめをされた山谷元大臣は緊急事態について憲法改正が必要だと主張されているようですけれども、矛盾しているんじゃないですか。必要事項があるのならば、なぜ大臣のときに既に法律に規定されている緊急事態の政令制定に追加をされなかったのか、その議論をしなかったのか、私はその理由を教えていただきたいと思います。
 四月の十二日の本委員会で中曽根会長に、改憲による緊急政令の対象分野や具体的事例、立法事実を自民党などに本審査会への提示を求めましたが、本日に至るまで一つも提示されておりません。この国会が閉会されるまでに、平時の今こそ考えて、どんなことが必要だから政令が必要なのか、一つでも御提示いただきたいと思います。引き続きの御検討をお願いします。
 会長、いかがでしょうか。
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中曽根弘文#28
○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。
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辻元清美#29
○辻元清美君 私は、東日本大震災のときに総理補佐官で被災地対応をしました。このときも、緊急事態の政令が必要だと改憲を言った人たちがいます。しかし、現場の自治体の長が反対の声を上げたんです。むしろ、災害のときは、福島でも宮城でも、それから岩手でも、対応が違うんですよ。ですから、むしろ、中央政府の権限を緊急事態だからといって強くするのではなく、知事の権限を強めてくれという意見でした。コロナでも同じですよ。地域によって全く違いました。
 そういう現状をしっかり見た危機対応を今こそやっておくべきなんです。改憲、改憲とおっしゃいますけれども、今やりましょうよ、その中身を、ここで議論を。
 そして、最後にもう一点申し上げます。
 東日本大震災から三か月もたっていない緊急事態の真っ最中に、自民党などは内閣不信任案を提出しました。緊急時には選挙ができないので、衆議院の任期延長をし、また、その場合の内閣不信任案の議決や解散の禁止という改憲を主張しながら、危機の真っ最中に内閣不信任案を提出したのは自民党ですよ。おっしゃっていることとやっていることが全く矛盾しているんじゃないですか。
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