杉尾秀哉の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
 参議院の合区問題について、先月末、合区対象四県の知事、副知事より、参考人として意見聴取をしました。そこで口々に語られたのが、投票率の低下と無効票率の上昇や地方の声が届きにくくなることなど、合区がもたらす深刻な影響です。民主主義の危機だという意見表明もありました。
 しかし、いずれの出席者も、その解消策として憲法改正を挙げたものの、究極的に方法は問わない、矛盾がないのは憲法改正だがスピード感という観点からいうと様々な方法もある、まずは合区解消に向けた合意と前進を期待するなどといった、むしろ現実的な方策により早急に合区解消を図ることを優先すべきとの考え方でした。
 また、昨年七月に決議を出した全国知事会会長の平井鳥取県知事も、決議の中にある憲法改正等の抜本的な対応により合区を確実に解消するの「等」は、法律による対処を意味していることを認めておりまして、これらを考えれば、自民党が言う憲法改正による合区解消は喫緊の課題でないことは明らかです。
 さらに、参考人質疑の中で述べられた改憲論には様々な問題点があることも指摘しておかなければなりません。まず、平井知事は、歴史的な社会、経済、政治ユニットとして都道府県からの選出が必要だという、こういう認識を示しておりますが、全ての国民の投票価値の平等という憲法十四条に基づく人権を犠牲にすることを考えれば、正当性の根拠が不十分と、こういうふうに言わざるを得ません。
 また、参議院を地域代表制や地方の府とすべきという、こういう主張についても、憲法四十三条が規定した参議院が全国民の代表であることと矛盾しますし、さらに、冒頭述べた合区による様々な弊害は改憲の法的正当性の根拠となり得るのかという問題や、合区選出の議員が両県にまたがる問題解決について、むしろ全国民の代表として必要な政治的調整の役割を担うことを期待されるという事情もあると思います。
 これらのことを考えますと、憲法改正による合区解消も別の憲法上の矛盾を生じさせ、百年河清を待つかのごとしで、究極の解決策とならないのは明らかであります。
 加えて、道州制やブロック単位の大選挙区制などの提案についても否定的な意見が大勢を占めたことを申し添えておかなければなりませんし、アメリカ合衆国の上院が人口に関係なく各州二人ずつ割り当てられていることになぞらえる議論も、この国の成り立ちからして憲法上の正当性を持ち得ません。
 さて、ここで私どもの合区解消案を改めて説明しますと、合区の廃止は憲法改正によらずとも国会法及び公選法の改正によって解決する方策があるということ、二院制の下で参議院が国民のために果たすべき独自の役割や機能を構想し、それらの実現のためには都道府県選出の参議院議員が必要不可欠であるということ、具体的には、参議院として、人口減など構造的な地方問題の解決や災害対応機能の充実強化などを担うための新たな委員会設置など国会改革が必要である、こういうものです。
 こうした私どもの考え方に対しては、平井知事より、地方の課題を集中的に審議する場が参議院に常設されれば知事会としても協力したい、参議院に地方の意見を聞く場をつくってほしい、こうした前向きな答弁がありました。また、こうした改革と並行して、衆議院の約半数の参議院の議員増も検討に値するでしょう。
 いずれにしましても、このまま合区問題を放置すれば、次は飛び地や、人口規模が異なる例えば私の地元の長野県や隣の山梨県といった都道府県同士が合区になるケースが生じることも避けられず、今後、本審査会の合区問題の議論においては、一票の較差が大きい県の関係者や有識者のヒアリングなどを実施するとともに、参議院改革協議会の議論に資することが求められます。
 なお、最後になりますが、我が会派の法律による合区解消策では、緊急集会の機能強化が必須であることを付言いたします。なぜならば、投票価値の平等の根拠となる憲法十四条に対抗し得る根拠条文は、選挙制度の国会裁量を認めた四十七条と緊急集会の五十四条しか見出せないからであります。
 今後示されるでありましょう緊急集会の各派見解において、これらの対極にある七十日間限定説など、違憲かつ立憲主義に反する見解を自民党さんが採用しないことを期待しまして、私の意見表明とします。
 ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 121114183X00520230517_004

発言者: 杉尾秀哉

speaker_id: 27581

日付: 2023-05-17

院: 参議院

会議名: 憲法審査会