山本順三の発言 (憲法審査会)

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○山本順三君 自由民主党、山本順三でございます。
 参議院の緊急集会及び合区問題について、我が会派の意見を表明いたします。
 まず、憲法五十四条に規定された参議院の緊急集会です。
 我が会派は、この規定の意義、位置付けを、衆議院議員の不存在により国会召集ができない場合に緊急の必要が発生したとき、総選挙により衆議院議員が選出をされ国会が召集されるまでの間、できる限り民主政治を徹底しながら暫定的な処置、処理を可能とする制度というふうに理解をいたしております。
 続いて、主要な論点について申し上げます。
 一点目は、衆議院の解散のみならず、任期満了を含むのかという点です。
 三人の参考人は、濃淡はありましたけれども、類推適用で任期満了を含めても構わないということでありました。
 我が会派も、総選挙が予定され、かつ最長六十日間という一時的な衆議院議員の不存在という意味では解散も任期満了も変わりはなく、任期満了時にも参議院の緊急集会による対応を認め得るというふうに考えております。
 二点目は、最長七十日間を超えるかという期間の限定についてであります。
 松浦参考人は、憲法は七十日を超えて緊急集会を開くことを想定しておらず、重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、長期間総選挙を実施することが困難となる事態では、両院が完全な形で政府を統制する方が望ましく、諸外国の制度にある議員の任期の延長が好ましいという意見でした。
 我が会派も、参議院の緊急集会が両院同時活動の例外であることから、七十日間を大きく超えることは憲法の想定外というふうに考えております。
 三点目でありますけれども、参議院の緊急集会において議員が発議できる議案の範囲です。
 この点につきましては、内閣が示した案件に関連するものという点で限定的ではありますが、その中で、国の最高機関の一翼を占める参議院の位置付けと民主政治を徹底させるという参議院の緊急集会制度の趣旨を踏まえるならば、事実上広く解釈し得るというふうに考えます。
 四点目、参議院の緊急集会の権能の範囲です。
 一時的な衆議院議員の不存在を念頭に、民主政治を徹底させるという趣旨を踏まえれば、国会の権能の全てに及ぶとの考え方の下、内閣が示した案件に関連する範囲内で、特別会の召集を待つことができない程度の即時に対応すべきものに限って広く認めてもよいのではないかというふうに考えます。
 ただし、衆議院や内閣との関係を大きく変えることまではできず、その関係では限定的に考える必要があります。また、総理が欠けた場合まで考えるとなれば、そもそも参議院の緊急集会を開催できない場合にも備える必要があると考えます。
 五点目であります。
 参議院の緊急集会においてとられた措置の効力の暫定性についてでありますが、これについては三人の参考人は暫定的なものとし、我が会派も同様の考えであります。
 その上で、参議院の緊急集会は、有事の場合に活用できないというものではないものの、日本国憲法自体が、制定時の議論として不測の災害等の場合にはエマージェンシーパワーにより措置をすればよいという考え方があったように、有事を想定した制度が十分に整備されているとは言えないことも事実です。
 一方、松浦参考人によれば、諸外国の憲法において、非常事態に対する措置をとる緊急政令等を実定化している国や議員の任期延長を制度化している国は少なくないという指摘もあります。
 安全保障環境が厳しさを増し、自然災害の激甚化、頻発化への懸念が高まる中、参議院の緊急集会に加え、緊急政令や緊急財政処分、そして議員任期の延長の創設について議論を深めるときだというふうに考えます。
 同時に、衆議院議員の不存在時に非常事態に対する、非常事態に対応するための緊急政令等を民主政治の下に置くという視点は大切であり、行政監視に重きを置いてきた参議院が果たすべき役割についても検討が求められると考えます。
 続いて、合区問題について申し上げます。
 まず、地方公共団体の憲法上の位置付けの明確化を図るべきであります。そしてあわせて、合区解消のために、都道府県の存在の重みをしっかりと認識した上で憲法改正について議論を進めるべきです。
 憲法審査会では、合区導入の四県それぞれから知事、副知事を参考人として意見聴取を行いました。そこでは、明治以来、都道府県というものはほぼ変わらずに民主主義のユニットである、また、都道府県の知事や議会という存在があって、都道府県単位で民意を集約し、代表を選出し、その代表が国政と地方をつなぐパイプ役になってきたという事実がある、そして我が国の民主主義にしっかりと根付いた制度を大切にしてほしいという発言が相次ぎました。また、合区では、隣り合う両県の国政に対する意見が異なる場合、合区選出議員がどのような姿勢で臨むかということについて確認するすべがないとの指摘もございました。
 確かに投票価値の平等は極めて大切であり、それを追求していかなければなりません。現在、参議院改革協議会においても精力的に選挙制度について議論を続けています。しかし、投票価値の平等という観点だけで都道府県という境目を取り払っていけば、合区導入四県の投票率が急落したように、住民の政治参加意欲を減退させ、民主主義の衰退につながることも十分留意すべきです。
 地方も合区の見直しを求めています。全国知事会など地方六団体、そして三十五もの県議会からも要望や決議が出されております。最新の世論調査結果を見ても、国民は合区解消を求めています。このままでは人口の少ない地方の声がいずれ国政に届かなくなるのではないかという切実な危機感が広がっていると見られます。
 最高裁判決は、これまで、投票価値の平等については、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準としているものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関係において調和的に実現されるものと位置付けてきました。
 そこで、自民党では合区問題の抜本的な解消のため、両議院の議員選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるとするとともに、参議院議員については、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができると憲法改正の条文イメージを示しております。
 また、憲法学者の中には、投票価値の平等ということからこぼれ落ちる利益を確保する観点で、都道府県との結び付きを参議院の役割として制度化してはどうかという趣旨の意見もあります。
 我が会派では、政権選択の衆議院に対し、参議院は地方代表的な性格と多様な意見を反映させる性格に重きを置いた院であると認識し、都道府県単位の選挙区と全国比例という二つの投票行為から成る現行制度を基本とした上で、地方の府として更に一層地方との連携を図るとともに、憲法改正による抜本的な合区解消に至るまでの対応として法律改正による合区解消についても議論を進めることはあり得ると考えます。
 最後に、改めて投票価値の平等が大切であると同時に、合区問題も民主主義の根幹に関わる大切な問題との認識で、二院制における参議院の地方代表的な性格にも関連する議論と併せて国民的議論が更に深まっていくことを期待して、私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 山本順三

speaker_id: 33169

日付: 2023-06-07

院: 参議院

会議名: 憲法審査会