憲法審査会
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会
会議録情報#0
令和五年六月七日(水曜日)
午後二時二十九分開会
─────────────
委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
赤松 健君 松川 るい君
生稲 晃子君 進藤金日子君
宮崎 勝君 山本 香苗君
吉良よし子君 仁比 聡平君
六月六日
辞任 補欠選任
丸川 珠代君 梶原 大介君
山本 香苗君 高橋 光男君
東 徹君 片山 大介君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 中曽根弘文君
幹 事
浅尾慶一郎君
片山さつき君
堀井 巌君
牧野たかお君
山本 順三君
熊谷 裕人君
杉尾 秀哉君
西田 実仁君
音喜多 駿君
大塚 耕平君
山添 拓君
委 員
青山 繁晴君
赤池 誠章君
臼井 正一君
衛藤 晟一君
加藤 明良君
梶原 大介君
小林 一大君
古庄 玄知君
佐藤 正久君
進藤金日子君
中西 祐介君
松川 るい君
松下 新平君
松山 政司君
山田 宏君
山谷えり子君
石川 大我君
打越さく良君
小西 洋之君
古賀 千景君
辻元 清美君
福島みずほ君
佐々木さやか君
高橋 光男君
矢倉 克夫君
安江 伸夫君
浅田 均君
猪瀬 直樹君
片山 大介君
礒崎 哲史君
舟山 康江君
仁比 聡平君
山本 太郎君
事務局側
憲法審査会事務
局長 加賀谷ちひろ君
─────────────
本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(参議院の緊急
集会及び参議院議員の選挙区の合区問題につい
て))
─────────────
この発言だけを見る →午後二時二十九分開会
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
赤松 健君 松川 るい君
生稲 晃子君 進藤金日子君
宮崎 勝君 山本 香苗君
吉良よし子君 仁比 聡平君
六月六日
辞任 補欠選任
丸川 珠代君 梶原 大介君
山本 香苗君 高橋 光男君
東 徹君 片山 大介君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 中曽根弘文君
幹 事
浅尾慶一郎君
片山さつき君
堀井 巌君
牧野たかお君
山本 順三君
熊谷 裕人君
杉尾 秀哉君
西田 実仁君
音喜多 駿君
大塚 耕平君
山添 拓君
委 員
青山 繁晴君
赤池 誠章君
臼井 正一君
衛藤 晟一君
加藤 明良君
梶原 大介君
小林 一大君
古庄 玄知君
佐藤 正久君
進藤金日子君
中西 祐介君
松川 るい君
松下 新平君
松山 政司君
山田 宏君
山谷えり子君
石川 大我君
打越さく良君
小西 洋之君
古賀 千景君
辻元 清美君
福島みずほ君
佐々木さやか君
高橋 光男君
矢倉 克夫君
安江 伸夫君
浅田 均君
猪瀬 直樹君
片山 大介君
礒崎 哲史君
舟山 康江君
仁比 聡平君
山本 太郎君
事務局側
憲法審査会事務
局長 加賀谷ちひろ君
─────────────
本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(参議院の緊急
集会及び参議院議員の選挙区の合区問題につい
て))
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中
中曽根弘文#1
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会及び参議院議員の選挙区の合区問題について各会派の意見表明を十分以内で行います。
発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。
また、御発言は着席のままで結構でございます。
なお、本日は氏名標をお立ていただかなくて結構でございます。
それでは、御意見を順次お述べいただきたいと存じます。
山本順三君。
この発言だけを見る →日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会及び参議院議員の選挙区の合区問題について各会派の意見表明を十分以内で行います。
発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。
また、御発言は着席のままで結構でございます。
なお、本日は氏名標をお立ていただかなくて結構でございます。
それでは、御意見を順次お述べいただきたいと存じます。
山本順三君。
山
山本順三#2
○山本順三君 自由民主党、山本順三でございます。
参議院の緊急集会及び合区問題について、我が会派の意見を表明いたします。
まず、憲法五十四条に規定された参議院の緊急集会です。
我が会派は、この規定の意義、位置付けを、衆議院議員の不存在により国会召集ができない場合に緊急の必要が発生したとき、総選挙により衆議院議員が選出をされ国会が召集されるまでの間、できる限り民主政治を徹底しながら暫定的な処置、処理を可能とする制度というふうに理解をいたしております。
続いて、主要な論点について申し上げます。
一点目は、衆議院の解散のみならず、任期満了を含むのかという点です。
三人の参考人は、濃淡はありましたけれども、類推適用で任期満了を含めても構わないということでありました。
我が会派も、総選挙が予定され、かつ最長六十日間という一時的な衆議院議員の不存在という意味では解散も任期満了も変わりはなく、任期満了時にも参議院の緊急集会による対応を認め得るというふうに考えております。
二点目は、最長七十日間を超えるかという期間の限定についてであります。
松浦参考人は、憲法は七十日を超えて緊急集会を開くことを想定しておらず、重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、長期間総選挙を実施することが困難となる事態では、両院が完全な形で政府を統制する方が望ましく、諸外国の制度にある議員の任期の延長が好ましいという意見でした。
我が会派も、参議院の緊急集会が両院同時活動の例外であることから、七十日間を大きく超えることは憲法の想定外というふうに考えております。
三点目でありますけれども、参議院の緊急集会において議員が発議できる議案の範囲です。
この点につきましては、内閣が示した案件に関連するものという点で限定的ではありますが、その中で、国の最高機関の一翼を占める参議院の位置付けと民主政治を徹底させるという参議院の緊急集会制度の趣旨を踏まえるならば、事実上広く解釈し得るというふうに考えます。
四点目、参議院の緊急集会の権能の範囲です。
一時的な衆議院議員の不存在を念頭に、民主政治を徹底させるという趣旨を踏まえれば、国会の権能の全てに及ぶとの考え方の下、内閣が示した案件に関連する範囲内で、特別会の召集を待つことができない程度の即時に対応すべきものに限って広く認めてもよいのではないかというふうに考えます。
ただし、衆議院や内閣との関係を大きく変えることまではできず、その関係では限定的に考える必要があります。また、総理が欠けた場合まで考えるとなれば、そもそも参議院の緊急集会を開催できない場合にも備える必要があると考えます。
五点目であります。
参議院の緊急集会においてとられた措置の効力の暫定性についてでありますが、これについては三人の参考人は暫定的なものとし、我が会派も同様の考えであります。
その上で、参議院の緊急集会は、有事の場合に活用できないというものではないものの、日本国憲法自体が、制定時の議論として不測の災害等の場合にはエマージェンシーパワーにより措置をすればよいという考え方があったように、有事を想定した制度が十分に整備されているとは言えないことも事実です。
一方、松浦参考人によれば、諸外国の憲法において、非常事態に対する措置をとる緊急政令等を実定化している国や議員の任期延長を制度化している国は少なくないという指摘もあります。
安全保障環境が厳しさを増し、自然災害の激甚化、頻発化への懸念が高まる中、参議院の緊急集会に加え、緊急政令や緊急財政処分、そして議員任期の延長の創設について議論を深めるときだというふうに考えます。
同時に、衆議院議員の不存在時に非常事態に対する、非常事態に対応するための緊急政令等を民主政治の下に置くという視点は大切であり、行政監視に重きを置いてきた参議院が果たすべき役割についても検討が求められると考えます。
続いて、合区問題について申し上げます。
まず、地方公共団体の憲法上の位置付けの明確化を図るべきであります。そしてあわせて、合区解消のために、都道府県の存在の重みをしっかりと認識した上で憲法改正について議論を進めるべきです。
憲法審査会では、合区導入の四県それぞれから知事、副知事を参考人として意見聴取を行いました。そこでは、明治以来、都道府県というものはほぼ変わらずに民主主義のユニットである、また、都道府県の知事や議会という存在があって、都道府県単位で民意を集約し、代表を選出し、その代表が国政と地方をつなぐパイプ役になってきたという事実がある、そして我が国の民主主義にしっかりと根付いた制度を大切にしてほしいという発言が相次ぎました。また、合区では、隣り合う両県の国政に対する意見が異なる場合、合区選出議員がどのような姿勢で臨むかということについて確認するすべがないとの指摘もございました。
確かに投票価値の平等は極めて大切であり、それを追求していかなければなりません。現在、参議院改革協議会においても精力的に選挙制度について議論を続けています。しかし、投票価値の平等という観点だけで都道府県という境目を取り払っていけば、合区導入四県の投票率が急落したように、住民の政治参加意欲を減退させ、民主主義の衰退につながることも十分留意すべきです。
地方も合区の見直しを求めています。全国知事会など地方六団体、そして三十五もの県議会からも要望や決議が出されております。最新の世論調査結果を見ても、国民は合区解消を求めています。このままでは人口の少ない地方の声がいずれ国政に届かなくなるのではないかという切実な危機感が広がっていると見られます。
最高裁判決は、これまで、投票価値の平等については、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準としているものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関係において調和的に実現されるものと位置付けてきました。
そこで、自民党では合区問題の抜本的な解消のため、両議院の議員選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるとするとともに、参議院議員については、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができると憲法改正の条文イメージを示しております。
また、憲法学者の中には、投票価値の平等ということからこぼれ落ちる利益を確保する観点で、都道府県との結び付きを参議院の役割として制度化してはどうかという趣旨の意見もあります。
我が会派では、政権選択の衆議院に対し、参議院は地方代表的な性格と多様な意見を反映させる性格に重きを置いた院であると認識し、都道府県単位の選挙区と全国比例という二つの投票行為から成る現行制度を基本とした上で、地方の府として更に一層地方との連携を図るとともに、憲法改正による抜本的な合区解消に至るまでの対応として法律改正による合区解消についても議論を進めることはあり得ると考えます。
最後に、改めて投票価値の平等が大切であると同時に、合区問題も民主主義の根幹に関わる大切な問題との認識で、二院制における参議院の地方代表的な性格にも関連する議論と併せて国民的議論が更に深まっていくことを期待して、私の発言を終わります。
この発言だけを見る →参議院の緊急集会及び合区問題について、我が会派の意見を表明いたします。
まず、憲法五十四条に規定された参議院の緊急集会です。
我が会派は、この規定の意義、位置付けを、衆議院議員の不存在により国会召集ができない場合に緊急の必要が発生したとき、総選挙により衆議院議員が選出をされ国会が召集されるまでの間、できる限り民主政治を徹底しながら暫定的な処置、処理を可能とする制度というふうに理解をいたしております。
続いて、主要な論点について申し上げます。
一点目は、衆議院の解散のみならず、任期満了を含むのかという点です。
三人の参考人は、濃淡はありましたけれども、類推適用で任期満了を含めても構わないということでありました。
我が会派も、総選挙が予定され、かつ最長六十日間という一時的な衆議院議員の不存在という意味では解散も任期満了も変わりはなく、任期満了時にも参議院の緊急集会による対応を認め得るというふうに考えております。
二点目は、最長七十日間を超えるかという期間の限定についてであります。
松浦参考人は、憲法は七十日を超えて緊急集会を開くことを想定しておらず、重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、長期間総選挙を実施することが困難となる事態では、両院が完全な形で政府を統制する方が望ましく、諸外国の制度にある議員の任期の延長が好ましいという意見でした。
我が会派も、参議院の緊急集会が両院同時活動の例外であることから、七十日間を大きく超えることは憲法の想定外というふうに考えております。
三点目でありますけれども、参議院の緊急集会において議員が発議できる議案の範囲です。
この点につきましては、内閣が示した案件に関連するものという点で限定的ではありますが、その中で、国の最高機関の一翼を占める参議院の位置付けと民主政治を徹底させるという参議院の緊急集会制度の趣旨を踏まえるならば、事実上広く解釈し得るというふうに考えます。
四点目、参議院の緊急集会の権能の範囲です。
一時的な衆議院議員の不存在を念頭に、民主政治を徹底させるという趣旨を踏まえれば、国会の権能の全てに及ぶとの考え方の下、内閣が示した案件に関連する範囲内で、特別会の召集を待つことができない程度の即時に対応すべきものに限って広く認めてもよいのではないかというふうに考えます。
ただし、衆議院や内閣との関係を大きく変えることまではできず、その関係では限定的に考える必要があります。また、総理が欠けた場合まで考えるとなれば、そもそも参議院の緊急集会を開催できない場合にも備える必要があると考えます。
五点目であります。
参議院の緊急集会においてとられた措置の効力の暫定性についてでありますが、これについては三人の参考人は暫定的なものとし、我が会派も同様の考えであります。
その上で、参議院の緊急集会は、有事の場合に活用できないというものではないものの、日本国憲法自体が、制定時の議論として不測の災害等の場合にはエマージェンシーパワーにより措置をすればよいという考え方があったように、有事を想定した制度が十分に整備されているとは言えないことも事実です。
一方、松浦参考人によれば、諸外国の憲法において、非常事態に対する措置をとる緊急政令等を実定化している国や議員の任期延長を制度化している国は少なくないという指摘もあります。
安全保障環境が厳しさを増し、自然災害の激甚化、頻発化への懸念が高まる中、参議院の緊急集会に加え、緊急政令や緊急財政処分、そして議員任期の延長の創設について議論を深めるときだというふうに考えます。
同時に、衆議院議員の不存在時に非常事態に対する、非常事態に対応するための緊急政令等を民主政治の下に置くという視点は大切であり、行政監視に重きを置いてきた参議院が果たすべき役割についても検討が求められると考えます。
続いて、合区問題について申し上げます。
まず、地方公共団体の憲法上の位置付けの明確化を図るべきであります。そしてあわせて、合区解消のために、都道府県の存在の重みをしっかりと認識した上で憲法改正について議論を進めるべきです。
憲法審査会では、合区導入の四県それぞれから知事、副知事を参考人として意見聴取を行いました。そこでは、明治以来、都道府県というものはほぼ変わらずに民主主義のユニットである、また、都道府県の知事や議会という存在があって、都道府県単位で民意を集約し、代表を選出し、その代表が国政と地方をつなぐパイプ役になってきたという事実がある、そして我が国の民主主義にしっかりと根付いた制度を大切にしてほしいという発言が相次ぎました。また、合区では、隣り合う両県の国政に対する意見が異なる場合、合区選出議員がどのような姿勢で臨むかということについて確認するすべがないとの指摘もございました。
確かに投票価値の平等は極めて大切であり、それを追求していかなければなりません。現在、参議院改革協議会においても精力的に選挙制度について議論を続けています。しかし、投票価値の平等という観点だけで都道府県という境目を取り払っていけば、合区導入四県の投票率が急落したように、住民の政治参加意欲を減退させ、民主主義の衰退につながることも十分留意すべきです。
地方も合区の見直しを求めています。全国知事会など地方六団体、そして三十五もの県議会からも要望や決議が出されております。最新の世論調査結果を見ても、国民は合区解消を求めています。このままでは人口の少ない地方の声がいずれ国政に届かなくなるのではないかという切実な危機感が広がっていると見られます。
最高裁判決は、これまで、投票価値の平等については、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準としているものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関係において調和的に実現されるものと位置付けてきました。
そこで、自民党では合区問題の抜本的な解消のため、両議院の議員選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるとするとともに、参議院議員については、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができると憲法改正の条文イメージを示しております。
また、憲法学者の中には、投票価値の平等ということからこぼれ落ちる利益を確保する観点で、都道府県との結び付きを参議院の役割として制度化してはどうかという趣旨の意見もあります。
我が会派では、政権選択の衆議院に対し、参議院は地方代表的な性格と多様な意見を反映させる性格に重きを置いた院であると認識し、都道府県単位の選挙区と全国比例という二つの投票行為から成る現行制度を基本とした上で、地方の府として更に一層地方との連携を図るとともに、憲法改正による抜本的な合区解消に至るまでの対応として法律改正による合区解消についても議論を進めることはあり得ると考えます。
最後に、改めて投票価値の平等が大切であると同時に、合区問題も民主主義の根幹に関わる大切な問題との認識で、二院制における参議院の地方代表的な性格にも関連する議論と併せて国民的議論が更に深まっていくことを期待して、私の発言を終わります。
中
杉
杉尾秀哉#4
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
会派を代表して、緊急集会を中心に意見を述べます。
そもそも緊急集会は、憲法制定時の立法事実として、災害などの際に緊急の立法等の機能を確保するために設けられたものです。また、金森大臣の答弁にあるように、どんなに精緻な憲法を定めても口実を付けて破壊されるおそれが絶無とは断言し難いという戦前の教訓を踏まえた国民代表機関であり、全体の改選期のない万年議会である参議院に二院制国会の代行機能を託し、民主政治を徹底させるという根本趣旨に立脚する制度でもあります。
この緊急集会が災対法などの緊急政令を可能とする憲法七十三条六号の罰則付委任立法とともに措置されたことに鑑みますと、日本国憲法には五十三条の臨時会を含めて体系的かつ十全な緊急事態法制が整備されていると言えます。
さらに、緊急集会については、金森大臣が、国会議員の任期の延長は許されず、必ず選挙に訴えて国民と国家の表裏一体化を現実化すると答弁で示したように、国民の選挙権を保障するとともに、一刻も早い総選挙の実施を必然とすることで緊急事態から平時への復元力が担保されるなど、権力の簒奪と濫用を防ぐ仕組みとなっています。
つまり、緊急集会は、国民主権、国会中心主義、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理に基づき、かつ、これらの諸原理を守り抜くためのもので、良識の府参議院が世界に誇るべき制度であります。
したがって、我々の会派は、緊急集会を積極的に肯定、評価し、その機能をより一層十全に確保する観点から提言を行います。
まず、任期満了に係る論点について、GHQとの協議において日本側が解散以外の場合も提案していたことや、憲法制定議会やその後の関係者の議論には任期満了時を積極的に排除する見解はなかったことに加え、むしろ金森大臣が説明するように、参議院ができたことによって、それと組み合わせて更に一つの利益を考えようという見地と、日本国憲法が緊急勅令、緊急処分などを認めておらず、どうしても国会というものがいつでも開き得る体制を何らかの国会制度の趣旨を徹底して実行するために、二院制の下で参議院が担う役割として、権力の濫用を排除しつつ、いついかなるときでも国会代替機能を確保するという緊急集会の根本趣旨があります。
これらに照らせば、憲法五十四条二項の類推適用により任期満了の際にも緊急集会は開催可能と解すべきで、それは立憲主義とも整合すると考えています。
次に、緊急集会で参議院議員が発議できる議案についてですが、緊急集会を両議院と内閣の三つの権力の抑制と均衡に立脚する制度と理解した上で、現行の国会法の総理大臣の示した案件に関連のあるものに限るとの制約は基本的に妥当なものと考えております。
その一方で、緊急集会の機能確保を十全のものとする観点からは、内閣による新案件の追加や、参議院が内閣に新案件の追加を促し、必要に応じて内閣に代替措置の検討も含めた説明責任を果たさせる国会法の改正を行うべきです。
また、緊急集会の権能については、国に緊急の必要があるときに国会の機能を一時的に代行するものとして、法律、予算など広く国会の権限に属するものに及ぶ一方、参議院の単独議決や緊急の必要性の観点から認められないものもあると考えます。
具体的には、憲法改正の発議、内閣不信任決議はこの機能の外にあると解すべきであり、総理大臣の指名については憲法七十一条や内閣法九条の総理大臣臨時代理制度で対処すべきと考えますが、一方、土井参考人の学説のように、総理や多数の国務大臣を欠く深刻な国家緊急事態では、法理上は指名可能な場合もあり得ると考えます。
このように、私たちの会派の見解は、長谷部、土井両参考人を始め、学界の通説や多数説とも整合するものです。
他方、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨と完全に矛盾する議員任期延長のための改憲が主張されていることは誠に遺憾と言わざるを得ません。以下、理由を申し述べます。
まず、任期延長改憲の論拠となっている緊急集会七十日間限定説は、参院憲法審で、衆院憲法審で改憲を主張する会派の説明によれば、五十四条一項の四十日プラス三十日という文理解釈によってのみ、緊急集会を次の新しい国会が七十日以内に召集されることを前提とした平時の制度と断定するものです。
しかし、こうした憲法解釈は、五十四条二項の国に緊急の必要があるときという文理や、緊急集会がナショナルエマージェンシーという大震災等の深刻な国家緊急事態にも対処する有事の制度として制定された立法事実に明確に反する上、解散時の内閣の居座りを排除するためにという規定、五十四条一項の趣旨や、任期延長の間に太平洋戦争が開戦された戦前の反省から、権力の濫用を排除するために設けられた緊急集会の根本趣旨そのものにも全く反します。
すなわち、緊急集会は、一日も早い総選挙の実施を必須としつつ、その間に緊急性を要する立法等を行う必要がある場合である限り、七十日を超えても開催できると当然に解すべきものです。にもかかわらず、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨に一言の言及もないまま憲法審の毎週開催で七十日間限定説を繰り返すのは、緊急集会を恣意的に曲解するもので、濫用排除の制度を破壊して濫用可能な憲法改正を行おうとするものと断ぜざるを得ません。かかる憲法尊重擁護義務と立憲主義に反する暴論は国民と参議院を愚弄するもので、我が会派は絶対に容認できず、任期延長改憲には明確に反対をするものです。
また、改憲各派は緊急集会は二院制の例外という単純な見解を各論点で振りかざしておりますが、金森大臣が任期延長を明確に否定する一方、衆議院の不在のときの不便を補う合理的な方法と説明した緊急集会の根本趣旨は、権力の濫用を排除しつつ、二院制の枠内で国会制度の趣旨を徹底して実行しようとするものにほかなりません。つまり、こうした形式的な二院制の例外論で緊急集会の機能を矮小化することは、まさに本末転倒と言わざるを得ません。
さらに、改憲会派の主張するいわゆる選挙困難事態についてですが、国民の選挙権の制限に極めて厳格な要件を付した最高裁の判例法理は普遍性を有するもので、日弁連の累次の提言にもありますように、避難先での投票の確保など選挙困難事態を防ぐための措置を早急に講じることが必須です。
具体的には、戦前の任期延長の濫用や東日本大震災、それに戦後の第一回総選挙の実例などを教訓に、いかなる事態にあっても半年を超えない数か月のうちに総選挙を実施する方策や体制の整備をこの国会の責任において速やかに行わなければなりません。
こうした事態では繰延べ投票や緊急集会で選挙期日延期の臨時特例法を議決する必要性も想定されますけれども、被災地を中心とした衆議院議員の選出が遅れるという主張については、被災地を含む選挙区や全国比例の参議院議員と被災地外の衆議院議員が多数存在することなどから、被災地の実情を適切に国政に反映させることは可能というふうに考えております。
いずれにしても、被災地外の国民の選挙権を制限する正当性は憲法の国民主権や議会制民主主義の原理からは見出せず、また、被災地の概念が通用しない感染症などを含めて、政府の緊急事態対応への国民の判断の機会を奪うことは決して許されません。
この点、改憲各派の主張や二党一会派の条文案の選挙困難事態の要件には何ら具体性がなく、改憲の趣旨が不明である一方、選挙を一日も早く実施するための具体策に欠けており、改憲の立法事実の立証は極めて不十分です。
なお、議員任期の延長には、第二次安倍政権以降の言わば、例えば七条解散の濫用の極みとも言えます二〇一七年国難突破解散や二〇二一年秋の任期満了直前の菅内閣の退陣など、濫用の危険性を実証する例が枚挙にいとまがありませんし、もしその危険がないというのなら、我々の会派が四月十二日に幹事会協議事項としたコロナ禍において政府・与党が臨時国会を召集しなかった理由を示すとともに、改憲による緊急政令の対象分野や対象事項を具体的に明らかにしてください。
最後に、本審査会での議論を踏まえて、参院改革協議会において緊急集会の機能強化に関する解釈の整理や国会法改正の議論を、また選挙制度専門委員会でそれに付随する国民の選挙権確保の方策等の議論を行い、それぞれ早急に結論を出すべきです。
なお、もう一つのテーマであります合区制度については、我々の会派は、単純な各県最低一名を選出する改憲は平等権や全国民代表などの原則から深刻な憲法問題を有すると考えており、我々が提出する法律による合区廃止案の必須の条件として、本審査会の平成二十六年附帯決議が示すような法令解釈のルールに基づく緊急集会の正しい憲法解釈とその機能強化の実施があることを付言して、会派の代表意見といたします。
この発言だけを見る →会派を代表して、緊急集会を中心に意見を述べます。
そもそも緊急集会は、憲法制定時の立法事実として、災害などの際に緊急の立法等の機能を確保するために設けられたものです。また、金森大臣の答弁にあるように、どんなに精緻な憲法を定めても口実を付けて破壊されるおそれが絶無とは断言し難いという戦前の教訓を踏まえた国民代表機関であり、全体の改選期のない万年議会である参議院に二院制国会の代行機能を託し、民主政治を徹底させるという根本趣旨に立脚する制度でもあります。
この緊急集会が災対法などの緊急政令を可能とする憲法七十三条六号の罰則付委任立法とともに措置されたことに鑑みますと、日本国憲法には五十三条の臨時会を含めて体系的かつ十全な緊急事態法制が整備されていると言えます。
さらに、緊急集会については、金森大臣が、国会議員の任期の延長は許されず、必ず選挙に訴えて国民と国家の表裏一体化を現実化すると答弁で示したように、国民の選挙権を保障するとともに、一刻も早い総選挙の実施を必然とすることで緊急事態から平時への復元力が担保されるなど、権力の簒奪と濫用を防ぐ仕組みとなっています。
つまり、緊急集会は、国民主権、国会中心主義、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理に基づき、かつ、これらの諸原理を守り抜くためのもので、良識の府参議院が世界に誇るべき制度であります。
したがって、我々の会派は、緊急集会を積極的に肯定、評価し、その機能をより一層十全に確保する観点から提言を行います。
まず、任期満了に係る論点について、GHQとの協議において日本側が解散以外の場合も提案していたことや、憲法制定議会やその後の関係者の議論には任期満了時を積極的に排除する見解はなかったことに加え、むしろ金森大臣が説明するように、参議院ができたことによって、それと組み合わせて更に一つの利益を考えようという見地と、日本国憲法が緊急勅令、緊急処分などを認めておらず、どうしても国会というものがいつでも開き得る体制を何らかの国会制度の趣旨を徹底して実行するために、二院制の下で参議院が担う役割として、権力の濫用を排除しつつ、いついかなるときでも国会代替機能を確保するという緊急集会の根本趣旨があります。
これらに照らせば、憲法五十四条二項の類推適用により任期満了の際にも緊急集会は開催可能と解すべきで、それは立憲主義とも整合すると考えています。
次に、緊急集会で参議院議員が発議できる議案についてですが、緊急集会を両議院と内閣の三つの権力の抑制と均衡に立脚する制度と理解した上で、現行の国会法の総理大臣の示した案件に関連のあるものに限るとの制約は基本的に妥当なものと考えております。
その一方で、緊急集会の機能確保を十全のものとする観点からは、内閣による新案件の追加や、参議院が内閣に新案件の追加を促し、必要に応じて内閣に代替措置の検討も含めた説明責任を果たさせる国会法の改正を行うべきです。
また、緊急集会の権能については、国に緊急の必要があるときに国会の機能を一時的に代行するものとして、法律、予算など広く国会の権限に属するものに及ぶ一方、参議院の単独議決や緊急の必要性の観点から認められないものもあると考えます。
具体的には、憲法改正の発議、内閣不信任決議はこの機能の外にあると解すべきであり、総理大臣の指名については憲法七十一条や内閣法九条の総理大臣臨時代理制度で対処すべきと考えますが、一方、土井参考人の学説のように、総理や多数の国務大臣を欠く深刻な国家緊急事態では、法理上は指名可能な場合もあり得ると考えます。
このように、私たちの会派の見解は、長谷部、土井両参考人を始め、学界の通説や多数説とも整合するものです。
他方、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨と完全に矛盾する議員任期延長のための改憲が主張されていることは誠に遺憾と言わざるを得ません。以下、理由を申し述べます。
まず、任期延長改憲の論拠となっている緊急集会七十日間限定説は、参院憲法審で、衆院憲法審で改憲を主張する会派の説明によれば、五十四条一項の四十日プラス三十日という文理解釈によってのみ、緊急集会を次の新しい国会が七十日以内に召集されることを前提とした平時の制度と断定するものです。
しかし、こうした憲法解釈は、五十四条二項の国に緊急の必要があるときという文理や、緊急集会がナショナルエマージェンシーという大震災等の深刻な国家緊急事態にも対処する有事の制度として制定された立法事実に明確に反する上、解散時の内閣の居座りを排除するためにという規定、五十四条一項の趣旨や、任期延長の間に太平洋戦争が開戦された戦前の反省から、権力の濫用を排除するために設けられた緊急集会の根本趣旨そのものにも全く反します。
すなわち、緊急集会は、一日も早い総選挙の実施を必須としつつ、その間に緊急性を要する立法等を行う必要がある場合である限り、七十日を超えても開催できると当然に解すべきものです。にもかかわらず、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨に一言の言及もないまま憲法審の毎週開催で七十日間限定説を繰り返すのは、緊急集会を恣意的に曲解するもので、濫用排除の制度を破壊して濫用可能な憲法改正を行おうとするものと断ぜざるを得ません。かかる憲法尊重擁護義務と立憲主義に反する暴論は国民と参議院を愚弄するもので、我が会派は絶対に容認できず、任期延長改憲には明確に反対をするものです。
また、改憲各派は緊急集会は二院制の例外という単純な見解を各論点で振りかざしておりますが、金森大臣が任期延長を明確に否定する一方、衆議院の不在のときの不便を補う合理的な方法と説明した緊急集会の根本趣旨は、権力の濫用を排除しつつ、二院制の枠内で国会制度の趣旨を徹底して実行しようとするものにほかなりません。つまり、こうした形式的な二院制の例外論で緊急集会の機能を矮小化することは、まさに本末転倒と言わざるを得ません。
さらに、改憲会派の主張するいわゆる選挙困難事態についてですが、国民の選挙権の制限に極めて厳格な要件を付した最高裁の判例法理は普遍性を有するもので、日弁連の累次の提言にもありますように、避難先での投票の確保など選挙困難事態を防ぐための措置を早急に講じることが必須です。
具体的には、戦前の任期延長の濫用や東日本大震災、それに戦後の第一回総選挙の実例などを教訓に、いかなる事態にあっても半年を超えない数か月のうちに総選挙を実施する方策や体制の整備をこの国会の責任において速やかに行わなければなりません。
こうした事態では繰延べ投票や緊急集会で選挙期日延期の臨時特例法を議決する必要性も想定されますけれども、被災地を中心とした衆議院議員の選出が遅れるという主張については、被災地を含む選挙区や全国比例の参議院議員と被災地外の衆議院議員が多数存在することなどから、被災地の実情を適切に国政に反映させることは可能というふうに考えております。
いずれにしても、被災地外の国民の選挙権を制限する正当性は憲法の国民主権や議会制民主主義の原理からは見出せず、また、被災地の概念が通用しない感染症などを含めて、政府の緊急事態対応への国民の判断の機会を奪うことは決して許されません。
この点、改憲各派の主張や二党一会派の条文案の選挙困難事態の要件には何ら具体性がなく、改憲の趣旨が不明である一方、選挙を一日も早く実施するための具体策に欠けており、改憲の立法事実の立証は極めて不十分です。
なお、議員任期の延長には、第二次安倍政権以降の言わば、例えば七条解散の濫用の極みとも言えます二〇一七年国難突破解散や二〇二一年秋の任期満了直前の菅内閣の退陣など、濫用の危険性を実証する例が枚挙にいとまがありませんし、もしその危険がないというのなら、我々の会派が四月十二日に幹事会協議事項としたコロナ禍において政府・与党が臨時国会を召集しなかった理由を示すとともに、改憲による緊急政令の対象分野や対象事項を具体的に明らかにしてください。
最後に、本審査会での議論を踏まえて、参院改革協議会において緊急集会の機能強化に関する解釈の整理や国会法改正の議論を、また選挙制度専門委員会でそれに付随する国民の選挙権確保の方策等の議論を行い、それぞれ早急に結論を出すべきです。
なお、もう一つのテーマであります合区制度については、我々の会派は、単純な各県最低一名を選出する改憲は平等権や全国民代表などの原則から深刻な憲法問題を有すると考えており、我々が提出する法律による合区廃止案の必須の条件として、本審査会の平成二十六年附帯決議が示すような法令解釈のルールに基づく緊急集会の正しい憲法解釈とその機能強化の実施があることを付言して、会派の代表意見といたします。
中
西
西田実仁#6
○西田実仁君 国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の権能を緊急事態においても維持するため、憲法第五十四条には参議院の緊急集会に関する規定が置かれています。この制度の意義及び特徴を振り返った上で、緊急事態にどのような対応策が考えられるのかについて、これまでの発言を踏まえつつ、参議院公明会派としての意見を以下に取りまとめます。
まず、参議院の緊急集会は、参議院の基本的かつ重要な権能であることを確認したいと思います。その上で、参議院の緊急集会には以下の三つの特徴があると考えられます。いずれも、緊急事態が発生した場合における緊急集会の利点とも言い換えられます。
まず第一に、迅速かつ臨機応変な対応が可能です。
憲法第五十四条第二項は、内閣が参議院の緊急集会を求めることができるための要件として、国に緊急の必要があるときと定めております。この解釈について、学説上は、特別会の召集を待つことができない程度の緊急の必要があればよく、災害時における集会の対応も含まれているなど、一般に議員の任期延長等の前提条件としての緊急事態宣言の発出に係る要件として議論されているものよりも広く解されています。
また、内閣の求めがあってから集会までの期間について、過去の例では三日又は四日となっております。したがって、参議院の緊急集会は様々な事態において迅速かつ臨機応変に対応できるというメリットがあるのではないでしょうか。
第二に、緊急事態への対応に必要な権能が認められております。
参議院の緊急集会については、その暫定的、一時的な位置付けを踏まえ、例えば緊急の必要がないとされる憲法改正の発議や内閣不信任決議の行使は認め難いとされております。しかし、緊急事態への対応に必要な内閣提出法律案の提出は当然に可能であるほか、国会法第百一条の規定に基づき、議員は内閣から示された案件に関連する議案を提出することも可能とされております。
この点、学説上は、著しい緊急事態に対応するため内閣から示された参議院の緊急集会の案件が広範なものになれば、その権能も相当に広範に行われることになるとの見解があります。土井参考人からも同様の見解が示されました。このような場合、国会法第百一条の規定に基づき議員が議案を提出できる範囲についても、その示された案件に関連して相当に広範なものとなり、議員発案による対応も十分に可能と考えられます。
第三に、手続及び運営が既に整備されております。
参議院の緊急集会における手続及び運営に関しましては、国会法及び参議院規則において所要の規定の整備がなされているほか、過去二回の先例を踏まえた先例録も整理されており、これらにのっとった手続及び運営を通じてその権能が発揮されるものと考えられます。
次に、緊急集会の制度を活用するために検討すべき課題について触れます。
まず、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合です。
憲法五十四条第二項の規定により、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合は参議院の緊急集会を用いることができるか。この点に関して、憲法制定時には衆議院議員の任期満了時を参議院の緊急集会の対象から意図的に外したわけではなく、また近時の学説では、衆議院の解散による総選挙の場合との間で衆議院不存在という点から根本的な差異があるとは言えないとして、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合であっても、憲法第五十四条第二項の類推適用により参議院の緊急集会を求め得るとの見解が多く見られるようになってきております。解釈による解決も十分に考えられます。実際、さきの参考人質疑におきましても、三人の参考人はいずれも類推適用で構わない、類推適用できるとしております。
次に、参議院の緊急集会を開くことができる期間です。
参議院の緊急集会を開くことができるのは衆議院の解散後最大七十日間であるから、長期間にわたる対応が求められる場合には難しいのではないかとの意見があります。ただし、この憲法規定は、選挙を行うのに必要な期間を考慮しつつ、衆議院が欠けている期間をできる限り短くしようとする趣旨とされており、学説上は、衆議院の解散の日から四十日以内に総選挙が実施できない事態になったとしても、延期された総選挙が違憲無効とはならないとの見解があります。長谷部、土井両参考人からは、七十日を超えて緊急集会を認めることはあり得る、できるとの見解が示されました。
また、衆議院議員の任期延長等による対応であっても、その民主的正統性からすれば、長期間にわたる対応ができるかについては議論があり得るところであり、こうした点を踏まえれば、参議院の緊急集会との間で根本的な差異があるとまでは言えないのではないでしょうか。むしろ土井参考人が指摘したように、正規の国会、すなわち民主的正統性を有する国会に戻す回復力は、国会の権能を代行しているにすぎない参議院の緊急集会の方が衆議院議員の任期延長等により衆参がそろう国会の存在よりもより大きいと言えるのかもしれません。
以上を踏まえれば、衆議院の解散後又は衆議院議員の任期満了前後に災害等緊急事態が発生した場合における対応策としては、以下の二案が考えられます。
まず、衆議院の解散時においても衆議院議員の任期満了時においても、衆議院が不存在となった後は参議院の緊急集会により対応し、一部地域で繰延べ投票を実施するも可能な範囲で総選挙を実施するというA案。次に、衆議院の解散後に災害等が発生した場合及び衆議院議員の任期満了後に災害等が発生した場合については、原則として参議院の緊急集会により対応しつつ、可能な範囲で総選挙を実施することに加えて、一定期間が経過した後も引き続き相当数の選挙区において総選挙の実施が困難な場合は、緊急集会の議決による元衆議院議員の身分復活により対応する。そして、衆議院議員の任期満了前に災害等が発生した場合には、衆議院が不存在となった後はやはり原則として参議院の緊急集会により対応しますが、あらかじめ相当期間、相当数の選挙区において総選挙の実施が困難と見込まれる場合は、国会の議決により衆議院議員の任期延長により対応するB案。
A案、B案、それぞれについての論点及び反論は幾つか考えられます。
例えば、A案については、緊急事態においては衆参両院そろった国会で対応すべきではないか、また、公平公正な選挙の実施の観点から全国一律に投票を行うべきではないか、さらには、被災地等選出議員が不在となること等は問題ではないか等々。一方で、B案についても、国民から選挙の機会を奪うこととならないか、衆議院の解散の意味付けからして身分復活後の国会が機能するのか。さらに、身分復活の要件やその判断権者、判断の具体的手続、身分復活終了時の判断の要件、身分復活による効果、身分復活後の元衆議院議員の民主的正統性や身分復活による国会、衆議院の権能の範囲などについても議論があるところでしょう。さらに、衆議院の任期満了前に災害等が発生した場合についても同様の論点ないし反論が考えられます。参議院においても同様に議員の任期延長をすべきではないかという論点もあります。
ただ、これらの膨大な論点について、この限られた時間で全て触れることは困難であります。是非とも当審査会において、これらの論点について更なる議論が交わされることを望みます。
合区の解消については、特定の県のみが県単位の議員を選出できないことから、当該住民の皆様による不満が噴出していることは理解しており、是正は必要であります。ただ、いかなる選挙制度を取るにしても、投票価値の平等という憲法価値と相矛盾する制度改正は行うべきではないと考えます。衆参でほぼ同等の権能を持ち、衆議院が不存在のときには参議院の緊急集会によって国会を代行できるまでの役割を与えられている参議院の在り方に関わるからであります。
そこで、我が会派としては、投票価値の平等と地域代表的性格の調和を図るため、全国を十一のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱していることを主張いたしております。
以上です。
この発言だけを見る →まず、参議院の緊急集会は、参議院の基本的かつ重要な権能であることを確認したいと思います。その上で、参議院の緊急集会には以下の三つの特徴があると考えられます。いずれも、緊急事態が発生した場合における緊急集会の利点とも言い換えられます。
まず第一に、迅速かつ臨機応変な対応が可能です。
憲法第五十四条第二項は、内閣が参議院の緊急集会を求めることができるための要件として、国に緊急の必要があるときと定めております。この解釈について、学説上は、特別会の召集を待つことができない程度の緊急の必要があればよく、災害時における集会の対応も含まれているなど、一般に議員の任期延長等の前提条件としての緊急事態宣言の発出に係る要件として議論されているものよりも広く解されています。
また、内閣の求めがあってから集会までの期間について、過去の例では三日又は四日となっております。したがって、参議院の緊急集会は様々な事態において迅速かつ臨機応変に対応できるというメリットがあるのではないでしょうか。
第二に、緊急事態への対応に必要な権能が認められております。
参議院の緊急集会については、その暫定的、一時的な位置付けを踏まえ、例えば緊急の必要がないとされる憲法改正の発議や内閣不信任決議の行使は認め難いとされております。しかし、緊急事態への対応に必要な内閣提出法律案の提出は当然に可能であるほか、国会法第百一条の規定に基づき、議員は内閣から示された案件に関連する議案を提出することも可能とされております。
この点、学説上は、著しい緊急事態に対応するため内閣から示された参議院の緊急集会の案件が広範なものになれば、その権能も相当に広範に行われることになるとの見解があります。土井参考人からも同様の見解が示されました。このような場合、国会法第百一条の規定に基づき議員が議案を提出できる範囲についても、その示された案件に関連して相当に広範なものとなり、議員発案による対応も十分に可能と考えられます。
第三に、手続及び運営が既に整備されております。
参議院の緊急集会における手続及び運営に関しましては、国会法及び参議院規則において所要の規定の整備がなされているほか、過去二回の先例を踏まえた先例録も整理されており、これらにのっとった手続及び運営を通じてその権能が発揮されるものと考えられます。
次に、緊急集会の制度を活用するために検討すべき課題について触れます。
まず、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合です。
憲法五十四条第二項の規定により、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合は参議院の緊急集会を用いることができるか。この点に関して、憲法制定時には衆議院議員の任期満了時を参議院の緊急集会の対象から意図的に外したわけではなく、また近時の学説では、衆議院の解散による総選挙の場合との間で衆議院不存在という点から根本的な差異があるとは言えないとして、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合であっても、憲法第五十四条第二項の類推適用により参議院の緊急集会を求め得るとの見解が多く見られるようになってきております。解釈による解決も十分に考えられます。実際、さきの参考人質疑におきましても、三人の参考人はいずれも類推適用で構わない、類推適用できるとしております。
次に、参議院の緊急集会を開くことができる期間です。
参議院の緊急集会を開くことができるのは衆議院の解散後最大七十日間であるから、長期間にわたる対応が求められる場合には難しいのではないかとの意見があります。ただし、この憲法規定は、選挙を行うのに必要な期間を考慮しつつ、衆議院が欠けている期間をできる限り短くしようとする趣旨とされており、学説上は、衆議院の解散の日から四十日以内に総選挙が実施できない事態になったとしても、延期された総選挙が違憲無効とはならないとの見解があります。長谷部、土井両参考人からは、七十日を超えて緊急集会を認めることはあり得る、できるとの見解が示されました。
また、衆議院議員の任期延長等による対応であっても、その民主的正統性からすれば、長期間にわたる対応ができるかについては議論があり得るところであり、こうした点を踏まえれば、参議院の緊急集会との間で根本的な差異があるとまでは言えないのではないでしょうか。むしろ土井参考人が指摘したように、正規の国会、すなわち民主的正統性を有する国会に戻す回復力は、国会の権能を代行しているにすぎない参議院の緊急集会の方が衆議院議員の任期延長等により衆参がそろう国会の存在よりもより大きいと言えるのかもしれません。
以上を踏まえれば、衆議院の解散後又は衆議院議員の任期満了前後に災害等緊急事態が発生した場合における対応策としては、以下の二案が考えられます。
まず、衆議院の解散時においても衆議院議員の任期満了時においても、衆議院が不存在となった後は参議院の緊急集会により対応し、一部地域で繰延べ投票を実施するも可能な範囲で総選挙を実施するというA案。次に、衆議院の解散後に災害等が発生した場合及び衆議院議員の任期満了後に災害等が発生した場合については、原則として参議院の緊急集会により対応しつつ、可能な範囲で総選挙を実施することに加えて、一定期間が経過した後も引き続き相当数の選挙区において総選挙の実施が困難な場合は、緊急集会の議決による元衆議院議員の身分復活により対応する。そして、衆議院議員の任期満了前に災害等が発生した場合には、衆議院が不存在となった後はやはり原則として参議院の緊急集会により対応しますが、あらかじめ相当期間、相当数の選挙区において総選挙の実施が困難と見込まれる場合は、国会の議決により衆議院議員の任期延長により対応するB案。
A案、B案、それぞれについての論点及び反論は幾つか考えられます。
例えば、A案については、緊急事態においては衆参両院そろった国会で対応すべきではないか、また、公平公正な選挙の実施の観点から全国一律に投票を行うべきではないか、さらには、被災地等選出議員が不在となること等は問題ではないか等々。一方で、B案についても、国民から選挙の機会を奪うこととならないか、衆議院の解散の意味付けからして身分復活後の国会が機能するのか。さらに、身分復活の要件やその判断権者、判断の具体的手続、身分復活終了時の判断の要件、身分復活による効果、身分復活後の元衆議院議員の民主的正統性や身分復活による国会、衆議院の権能の範囲などについても議論があるところでしょう。さらに、衆議院の任期満了前に災害等が発生した場合についても同様の論点ないし反論が考えられます。参議院においても同様に議員の任期延長をすべきではないかという論点もあります。
ただ、これらの膨大な論点について、この限られた時間で全て触れることは困難であります。是非とも当審査会において、これらの論点について更なる議論が交わされることを望みます。
合区の解消については、特定の県のみが県単位の議員を選出できないことから、当該住民の皆様による不満が噴出していることは理解しており、是正は必要であります。ただ、いかなる選挙制度を取るにしても、投票価値の平等という憲法価値と相矛盾する制度改正は行うべきではないと考えます。衆参でほぼ同等の権能を持ち、衆議院が不存在のときには参議院の緊急集会によって国会を代行できるまでの役割を与えられている参議院の在り方に関わるからであります。
そこで、我が会派としては、投票価値の平等と地域代表的性格の調和を図るため、全国を十一のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱していることを主張いたしております。
以上です。
中
音
音喜多駿#8
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
初めに、参議院の選挙区の合区問題について、我が会派の立場を述べさせていただきます。
我々は、合区を容認する立場です。現行憲法を考えた場合、一票の較差問題を解決することは非常に重要であり、現状では合区はその解決策として合理的です。とはいえ、合区は抜本的な解決策にはなり得ません。
そもそも、参議院の選挙制度についてこの憲法審で議論するのであれば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形について議論をするべきです。現行の都道府県制が現代の日本にとって最適な形なのか、道州制の導入やそれに伴う憲法改正まで視野に入れた議論が必要だと我々は考えています。この問題を明確にすることなく参議院の選挙制度の議論を行うことは望ましいことではありません。
我々は、現状の統治機構、つまり都道府県制は役目を終えつつあると認識しております。現在の都道府県は四十七の行政単位に分かれており、各地域の経済や社会情勢に対応するためには大きな調整や協力が必要です。しかし、都道府県間の調整や協力は複雑で時間が掛かる場合があり、迅速な意思決定や政策の実施が難しいという問題があります。このことは、コロナ対応の初期に都道府県間の連携が取りづらかったという点であらわになりました。今まさに、より大きな行政区にして地方自治体の統治を効率化し、より迅速かつ効果的な政策の立案や実施をすることが求められています。
加えて、参議院の選挙制度に触れるのであれば、そもそも衆議院のカーボンコピーともやゆされる参議院の在り方そのものに対する議論も必要です。地域代表を似通った選挙制度で選出すれば、必然的に衆議院と参議院の役割は似通ったものにならざるを得ません。
合区の解消によって地域代表を選出するという方向性以外に、参議院の在り方そのものを変え得るような解決策はないのか。例えば、都道府県知事と参議院議員の兼職や将来的な一院制の是非などこそ憲法審査会という場で行うのにふさわしい議論ではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。
次に、参議院の緊急集会について意見を述べます。
衆議院の任期満了に類推適用できるのかという点については、有識者の見解もおおむね一致しているように、認められ得ると思われますが、その場合でもなお憲法改正をして、その旨を明記するべきと考えます。
そして、今国会の衆参の憲法審査会で緊急集会について最も多く論点に挙げられたものの一つが、その期間の限定についてです。この点、我々は、憲法五十四条一項の文理解釈により、緊急集会を行えるのは七十日以内であり、その限界性を理由の一つとしてやはり緊急事態条項が必要であると考えます。
一方で、先日来、長谷部参考人は、緊急時には七十日に縛られない、このような発言をして議論を呼んでおります。この点、私からは再度、七十日に限定されるべき旨の意見と理由を述べさせていただきます。
第一に、憲法に明確に数字が書いてあることの重要性です。
憲法には、例えば第五十三条の「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」というように期間に数字の定めがない規定もあり、そのような規定では解釈の余地が残り、法律などが対応することになります。しかしながら、明確に期間の定めがある場合、そうした解釈の余地をなくすというのがその趣旨であることは明白です。憲法五十四条一項は七十日間に限定されると考えるべきです。
第二に、長谷部先生は、緊急事態の法理を理由に、七十日以上の開催を認めるというロジックを立てられておりました。その際に、赤信号は緊急時には無視してもよいという意味でバッコーク判決を衆議院憲法審で御紹介されていましたが、同じ判決には、同時に、緊急時の場合の赤信号無視の例外について法律に書き込むことを議会に要求をしています。裏を返せば、七十日以上の開催については、別途憲法に書き込んでいない限り認められないということになるのではないでしょうか。
第三に、七十日以上の緊急集会が認められると仮定すると、いつまで可能であるのかという議論になります。しかしながら、その規定が憲法にない以上、決定は内閣が担うことになるでしょう。これでは権力の濫用がまかり通ることになり、到底受け入れられるものではありません。
以上の理由により、やはり五十四条一項の緊急集会は七十日を超えて開催できないと考えるべきです。
また、今回の衆参の憲法審査会で論点になった部分として、緊急集会の権限と案件が挙げられます。
この点、先日、松浦参考人が述べられていたように、内閣不信任決議など衆議院のみに認められている権能が除外されるほか、憲法改正の発議、条約の承認、内閣総理大臣の指名は認めるべきではないと、この点については既におおむね見解の一致があると考えます。
その上で、案件については、憲法第五十四条第二項が緊急集会の要求権を内閣のみに認めており、また、国会法第九十九条第一項で「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とある上、第百一条には「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあることから、内閣が示した案件に縛られる、さらに、個別具体的に指定することが憲法の趣旨であり、その効力も暫定的であると考えられます。
以上により、参議院の緊急集会は、その成立背景からも重要な権能ではあるものの、やはり期間と権限の点で限界があるというのが我々の結論です。すなわち、衆議院解散後あるいは任期満了後に重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期にわたり衆議院が不在となる場合については現行憲法は想定していない、そう考えるべきであります。
参議院の緊急集会に、今述べたような長期の緊急事態の際に国会そのものの役目を負わせようとする解釈は、元々の制度設計にはない過剰な役割を負わせるものであり、現行憲法を守るためにむしろ権力の濫用を許容するかのような極めて不自然な解釈になっている、強い言葉ですが、あえてそう指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、国民の理解と合理的な憲法解釈の下、憲法の理念を守るためにも、緊急時でも立法府を機能させ、時の内閣や権力の暴走をしっかりと防げる仕組みを明記した緊急事態条項の議論を加速させる必要があるのではないでしょうか。
最後に、本憲法審査会の運営について申し上げます。
今国会においては、予算委員会終了後はほぼ毎週の憲法審査会が開催され、活発な議論が行われるようになったことは一歩前進です。一方で、その議論のテーマとしては合区問題と参議院緊急集会のみに終始したこと、明確なゴールに向かう道筋がないままの放談となったことは極めて遺憾であります。合区や緊急集会といった自分たちの身分や権能に関わることだけではなく、憲法議論をめぐっては憲法九条や緊急事態条項など、議論をするべきことが山積みです。
また、我が党は、憲法九条改正と緊急事態条項の創設のほかにも、教育の無償化や統治機構改革、憲法裁判所の設置を独自の憲法改正案として条文化まで済ませた上で提言を行っています。さらに、今国会においては、国民民主党と有志の会と二党一会派で議員任期延長に係る憲法改正の条文案も取りまとめ、提案をさせていただいています。
民意によって選ばれた我々国会議員に求められる役割は、ただ漫然と議論を続けるだけではなく、いずれかの時期には結論を出して前に進むことです。参議院憲法審査会においても、時代の要請に合わせたテーマでより活発に議論を行うとともに、何らかの結論、アウトプットに向けてスケジュールやロードマップを策定すべきことを強く提案し、会派を代表しての発言といたします。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →初めに、参議院の選挙区の合区問題について、我が会派の立場を述べさせていただきます。
我々は、合区を容認する立場です。現行憲法を考えた場合、一票の較差問題を解決することは非常に重要であり、現状では合区はその解決策として合理的です。とはいえ、合区は抜本的な解決策にはなり得ません。
そもそも、参議院の選挙制度についてこの憲法審で議論するのであれば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形について議論をするべきです。現行の都道府県制が現代の日本にとって最適な形なのか、道州制の導入やそれに伴う憲法改正まで視野に入れた議論が必要だと我々は考えています。この問題を明確にすることなく参議院の選挙制度の議論を行うことは望ましいことではありません。
我々は、現状の統治機構、つまり都道府県制は役目を終えつつあると認識しております。現在の都道府県は四十七の行政単位に分かれており、各地域の経済や社会情勢に対応するためには大きな調整や協力が必要です。しかし、都道府県間の調整や協力は複雑で時間が掛かる場合があり、迅速な意思決定や政策の実施が難しいという問題があります。このことは、コロナ対応の初期に都道府県間の連携が取りづらかったという点であらわになりました。今まさに、より大きな行政区にして地方自治体の統治を効率化し、より迅速かつ効果的な政策の立案や実施をすることが求められています。
加えて、参議院の選挙制度に触れるのであれば、そもそも衆議院のカーボンコピーともやゆされる参議院の在り方そのものに対する議論も必要です。地域代表を似通った選挙制度で選出すれば、必然的に衆議院と参議院の役割は似通ったものにならざるを得ません。
合区の解消によって地域代表を選出するという方向性以外に、参議院の在り方そのものを変え得るような解決策はないのか。例えば、都道府県知事と参議院議員の兼職や将来的な一院制の是非などこそ憲法審査会という場で行うのにふさわしい議論ではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。
次に、参議院の緊急集会について意見を述べます。
衆議院の任期満了に類推適用できるのかという点については、有識者の見解もおおむね一致しているように、認められ得ると思われますが、その場合でもなお憲法改正をして、その旨を明記するべきと考えます。
そして、今国会の衆参の憲法審査会で緊急集会について最も多く論点に挙げられたものの一つが、その期間の限定についてです。この点、我々は、憲法五十四条一項の文理解釈により、緊急集会を行えるのは七十日以内であり、その限界性を理由の一つとしてやはり緊急事態条項が必要であると考えます。
一方で、先日来、長谷部参考人は、緊急時には七十日に縛られない、このような発言をして議論を呼んでおります。この点、私からは再度、七十日に限定されるべき旨の意見と理由を述べさせていただきます。
第一に、憲法に明確に数字が書いてあることの重要性です。
憲法には、例えば第五十三条の「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」というように期間に数字の定めがない規定もあり、そのような規定では解釈の余地が残り、法律などが対応することになります。しかしながら、明確に期間の定めがある場合、そうした解釈の余地をなくすというのがその趣旨であることは明白です。憲法五十四条一項は七十日間に限定されると考えるべきです。
第二に、長谷部先生は、緊急事態の法理を理由に、七十日以上の開催を認めるというロジックを立てられておりました。その際に、赤信号は緊急時には無視してもよいという意味でバッコーク判決を衆議院憲法審で御紹介されていましたが、同じ判決には、同時に、緊急時の場合の赤信号無視の例外について法律に書き込むことを議会に要求をしています。裏を返せば、七十日以上の開催については、別途憲法に書き込んでいない限り認められないということになるのではないでしょうか。
第三に、七十日以上の緊急集会が認められると仮定すると、いつまで可能であるのかという議論になります。しかしながら、その規定が憲法にない以上、決定は内閣が担うことになるでしょう。これでは権力の濫用がまかり通ることになり、到底受け入れられるものではありません。
以上の理由により、やはり五十四条一項の緊急集会は七十日を超えて開催できないと考えるべきです。
また、今回の衆参の憲法審査会で論点になった部分として、緊急集会の権限と案件が挙げられます。
この点、先日、松浦参考人が述べられていたように、内閣不信任決議など衆議院のみに認められている権能が除外されるほか、憲法改正の発議、条約の承認、内閣総理大臣の指名は認めるべきではないと、この点については既におおむね見解の一致があると考えます。
その上で、案件については、憲法第五十四条第二項が緊急集会の要求権を内閣のみに認めており、また、国会法第九十九条第一項で「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とある上、第百一条には「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあることから、内閣が示した案件に縛られる、さらに、個別具体的に指定することが憲法の趣旨であり、その効力も暫定的であると考えられます。
以上により、参議院の緊急集会は、その成立背景からも重要な権能ではあるものの、やはり期間と権限の点で限界があるというのが我々の結論です。すなわち、衆議院解散後あるいは任期満了後に重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期にわたり衆議院が不在となる場合については現行憲法は想定していない、そう考えるべきであります。
参議院の緊急集会に、今述べたような長期の緊急事態の際に国会そのものの役目を負わせようとする解釈は、元々の制度設計にはない過剰な役割を負わせるものであり、現行憲法を守るためにむしろ権力の濫用を許容するかのような極めて不自然な解釈になっている、強い言葉ですが、あえてそう指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、国民の理解と合理的な憲法解釈の下、憲法の理念を守るためにも、緊急時でも立法府を機能させ、時の内閣や権力の暴走をしっかりと防げる仕組みを明記した緊急事態条項の議論を加速させる必要があるのではないでしょうか。
最後に、本憲法審査会の運営について申し上げます。
今国会においては、予算委員会終了後はほぼ毎週の憲法審査会が開催され、活発な議論が行われるようになったことは一歩前進です。一方で、その議論のテーマとしては合区問題と参議院緊急集会のみに終始したこと、明確なゴールに向かう道筋がないままの放談となったことは極めて遺憾であります。合区や緊急集会といった自分たちの身分や権能に関わることだけではなく、憲法議論をめぐっては憲法九条や緊急事態条項など、議論をするべきことが山積みです。
また、我が党は、憲法九条改正と緊急事態条項の創設のほかにも、教育の無償化や統治機構改革、憲法裁判所の設置を独自の憲法改正案として条文化まで済ませた上で提言を行っています。さらに、今国会においては、国民民主党と有志の会と二党一会派で議員任期延長に係る憲法改正の条文案も取りまとめ、提案をさせていただいています。
民意によって選ばれた我々国会議員に求められる役割は、ただ漫然と議論を続けるだけではなく、いずれかの時期には結論を出して前に進むことです。参議院憲法審査会においても、時代の要請に合わせたテーマでより活発に議論を行うとともに、何らかの結論、アウトプットに向けてスケジュールやロードマップを策定すべきことを強く提案し、会派を代表しての発言といたします。
ありがとうございました。
中
大
大塚耕平#10
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
本日は、参議院の緊急集会と合区問題について、とりわけ合目的性の観点から意見を申し述べます。
緊急集会を開催する緊要性が生じるタイミングについて、過去の発言において三つのケースをお示ししました。すなわち、第一に解散から選挙の告示までの間、第二に選挙告示から投開票日までの選挙期間中、第三に投開票日から国会召集までの間です。
仮に、第一の解散から選挙の告示までの間に緊急事態が生じた場合には、選挙の中止及びそれに伴う前議員の身分復活及び任期延長の可否が問われます。ここに現在検討している緊急事態条項の内容の意義があります。
第二に、選挙告示から投開票日までの選挙期間中に緊急事態が発生した場合、第一の場合に比べれば、選挙途中での選挙中止、前議員の身分復活及び任期延長に対する納得感、合理性は低下するものと思われます。
第三に、投開票日から国会召集までの間に緊急事態が生じた場合には、選出された新議員で速やかに国会を開催すべきと考えます。
以上の整理において、第一の場合、第二の場合に選挙中止、前議員の身分復活、任期延長がなし得ないケースには、参議院の緊急集会が意味を持つことになります。
以下、四つの論点に付言します。
衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことについては問題ないと考えます。衆議院解散と任期満了という原因に違いがあるとはいえ、国会に召集すべき衆議院議員が存在しないという状況においては違いがありません。それゆえ、内閣の判断により、解散されたときだけでなく、任期満了後の場合にも議院の緊急集会を求め得るものと解します。
緊急集会に関する憲法五十四条二項の規定は衆議院が存在しない例として解散の場合を定めたものですが、大災害の発生等により選挙を施行することができないまま任期満了によって衆議院議員がいなくなった場合においても、内閣は緊急の必要に応じて参議院の緊急集会を求めることができると考えます。緊急集会の趣旨、目的に照らせば、そのように考えることが合理的です。
緊急集会を開催し得る期間については、制約がないと考えます。参議院の緊急集会の規定は、衆議院解散後、総選挙を経て、特別会が召集されるまでの最長七十日間に緊急の必要が生じた際には、衆議院議員が欠けているために臨時会を召集することができないため、特に参議院一院をもって国会の権能を代行させようというものです。
法の趣旨、緊急集会の目的に鑑みれば、要するに衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は緊急集会を開けるものとみなすのが合目的性の観点から合理的な解釈であり、目的を達するためには期間に制約を設けるべきではないと考えます。
緊急集会における発議については、法の趣旨を鑑みれば、衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合には、緊急集会において議員が発議できる議案の範囲について制約はないとみなすのがやはり合目的性の観点から合理的な解釈と考えます。
国会法第百一条は、参議院の緊急集会において、議員は内閣総理大臣から参議院の緊急集会の請求の際に示された案件に関連あるものに限り議案を発議できるものと定めています。
この規定は、昭和三十年の国会法改正により設けられ、昭和三十四年の参議院事務局、参考人の答弁では次のように説明されました。
いわく、緊急の必要の認定は挙げて緊急集会を求める内閣の側にあり、また臨時国会の場合と異なって議員の側には緊急集会の要求権はないということから、一般的に議員の発議権を認めることは困難である、しかし内閣提出議案を審議している上でどうしても関連議案を発議しなければならない場合も考えられるので、関連ある法律案は発議できるものと解される。
しかし、事務局はこのように答弁しておりますが、しかし、衆議院が存在しない状況下で緊急集会を開催せざるを得ないような緊急事態が生じているわけですから、緊急事態に対応するという合目的性の観点からは、議案に制約を設けることは適切ではないと思います。発議権の内容については、最後の緊急集会の権能に関する論点と関連します。
緊急集会の権能は国会の権能全般に及ぶとされる一方、案件の性質から参議院の単独の議決のみでは許されないものや、緊急の必要性がないものはその権能の対象外と解されていることに関連し、憲法改正の発議、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約の締結の承認、両院同意案件等について、権能の対象外となるのかどうか、対象外とした場合に例外が認められるかどうかなどをめぐり、解釈上議論があることは承知しています。
しかし、法の趣旨を鑑みれば、要するに衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は参議院一院をもって国会の権能を代行している状況であるゆえ、合目的性に適合する範囲においては緊急集会の権能に制約はないとみなすことが合理的と考えます。ただし、その正統性を担保するには、衆議院が発足するまでの間にその有効性を限定することが望ましいほか、衆議院発足後は再審議を義務付ける等の手続を定めることも必要だと考えます。
次に、合区問題については、昨年六月十日の本会議で発言した内容を要約して申し上げます。
国民民主党は、合区はやめるべきだという立場です。その論拠として、憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることだと考えるからです。法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは憲法にも法律にも明記されているわけではありません。
最高裁平成二十九年判決においても、各選挙区の区域を定めるに当たり、都道府県という単位を用いること自体を不合理なものとして許されないとしたものではない、参議院の議員定数の配分に当たり考慮を要する固有の要素があると指摘しているほか、令和二年最高裁判決も都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮することを是認しています。
合区によって県代表を参議院に送り出さないことが間接的に当該県の行政機能や行政サービスの内容や水準に影響を与え得るという観点から、司法が法的根拠の明確ではない人口割り、単純平等だけで立法府の構成について見解を述べることは三権分立の観点から問題があると考えます。
憲法上の三権分立は、相互牽制にこそ意味があります。立法府、行政府の至らざる点は司法府の見識をもって臨むべきである一方、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって臨むことには、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあります。
裁判官に専門的知識が十分ではない問題や、住民に対する行政サービスやライフライン提供に関して責任が持てない問題に関して、司法が国民世論を二分するような判断を示すことは適当ではありません。
以上のような観点から、立法府は、三権分立の視点とともに、国権の最高機関という憲法上の自らの位置付けを十分に認識し、法的根拠のない司法の判断基準を是としたり、行政府の独断を黙認することのない、自らの運営ルールを確立することが肝要だと思います。
以上申し述べますとともに、引き続き、憲法審査会で積極的に議論を行い、諸課題に対して一定の結論を出し、国民の負託に応えることを求め、意見とさせていただきます。
この発言だけを見る →本日は、参議院の緊急集会と合区問題について、とりわけ合目的性の観点から意見を申し述べます。
緊急集会を開催する緊要性が生じるタイミングについて、過去の発言において三つのケースをお示ししました。すなわち、第一に解散から選挙の告示までの間、第二に選挙告示から投開票日までの選挙期間中、第三に投開票日から国会召集までの間です。
仮に、第一の解散から選挙の告示までの間に緊急事態が生じた場合には、選挙の中止及びそれに伴う前議員の身分復活及び任期延長の可否が問われます。ここに現在検討している緊急事態条項の内容の意義があります。
第二に、選挙告示から投開票日までの選挙期間中に緊急事態が発生した場合、第一の場合に比べれば、選挙途中での選挙中止、前議員の身分復活及び任期延長に対する納得感、合理性は低下するものと思われます。
第三に、投開票日から国会召集までの間に緊急事態が生じた場合には、選出された新議員で速やかに国会を開催すべきと考えます。
以上の整理において、第一の場合、第二の場合に選挙中止、前議員の身分復活、任期延長がなし得ないケースには、参議院の緊急集会が意味を持つことになります。
以下、四つの論点に付言します。
衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことについては問題ないと考えます。衆議院解散と任期満了という原因に違いがあるとはいえ、国会に召集すべき衆議院議員が存在しないという状況においては違いがありません。それゆえ、内閣の判断により、解散されたときだけでなく、任期満了後の場合にも議院の緊急集会を求め得るものと解します。
緊急集会に関する憲法五十四条二項の規定は衆議院が存在しない例として解散の場合を定めたものですが、大災害の発生等により選挙を施行することができないまま任期満了によって衆議院議員がいなくなった場合においても、内閣は緊急の必要に応じて参議院の緊急集会を求めることができると考えます。緊急集会の趣旨、目的に照らせば、そのように考えることが合理的です。
緊急集会を開催し得る期間については、制約がないと考えます。参議院の緊急集会の規定は、衆議院解散後、総選挙を経て、特別会が召集されるまでの最長七十日間に緊急の必要が生じた際には、衆議院議員が欠けているために臨時会を召集することができないため、特に参議院一院をもって国会の権能を代行させようというものです。
法の趣旨、緊急集会の目的に鑑みれば、要するに衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は緊急集会を開けるものとみなすのが合目的性の観点から合理的な解釈であり、目的を達するためには期間に制約を設けるべきではないと考えます。
緊急集会における発議については、法の趣旨を鑑みれば、衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合には、緊急集会において議員が発議できる議案の範囲について制約はないとみなすのがやはり合目的性の観点から合理的な解釈と考えます。
国会法第百一条は、参議院の緊急集会において、議員は内閣総理大臣から参議院の緊急集会の請求の際に示された案件に関連あるものに限り議案を発議できるものと定めています。
この規定は、昭和三十年の国会法改正により設けられ、昭和三十四年の参議院事務局、参考人の答弁では次のように説明されました。
いわく、緊急の必要の認定は挙げて緊急集会を求める内閣の側にあり、また臨時国会の場合と異なって議員の側には緊急集会の要求権はないということから、一般的に議員の発議権を認めることは困難である、しかし内閣提出議案を審議している上でどうしても関連議案を発議しなければならない場合も考えられるので、関連ある法律案は発議できるものと解される。
しかし、事務局はこのように答弁しておりますが、しかし、衆議院が存在しない状況下で緊急集会を開催せざるを得ないような緊急事態が生じているわけですから、緊急事態に対応するという合目的性の観点からは、議案に制約を設けることは適切ではないと思います。発議権の内容については、最後の緊急集会の権能に関する論点と関連します。
緊急集会の権能は国会の権能全般に及ぶとされる一方、案件の性質から参議院の単独の議決のみでは許されないものや、緊急の必要性がないものはその権能の対象外と解されていることに関連し、憲法改正の発議、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約の締結の承認、両院同意案件等について、権能の対象外となるのかどうか、対象外とした場合に例外が認められるかどうかなどをめぐり、解釈上議論があることは承知しています。
しかし、法の趣旨を鑑みれば、要するに衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は参議院一院をもって国会の権能を代行している状況であるゆえ、合目的性に適合する範囲においては緊急集会の権能に制約はないとみなすことが合理的と考えます。ただし、その正統性を担保するには、衆議院が発足するまでの間にその有効性を限定することが望ましいほか、衆議院発足後は再審議を義務付ける等の手続を定めることも必要だと考えます。
次に、合区問題については、昨年六月十日の本会議で発言した内容を要約して申し上げます。
国民民主党は、合区はやめるべきだという立場です。その論拠として、憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることだと考えるからです。法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは憲法にも法律にも明記されているわけではありません。
最高裁平成二十九年判決においても、各選挙区の区域を定めるに当たり、都道府県という単位を用いること自体を不合理なものとして許されないとしたものではない、参議院の議員定数の配分に当たり考慮を要する固有の要素があると指摘しているほか、令和二年最高裁判決も都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮することを是認しています。
合区によって県代表を参議院に送り出さないことが間接的に当該県の行政機能や行政サービスの内容や水準に影響を与え得るという観点から、司法が法的根拠の明確ではない人口割り、単純平等だけで立法府の構成について見解を述べることは三権分立の観点から問題があると考えます。
憲法上の三権分立は、相互牽制にこそ意味があります。立法府、行政府の至らざる点は司法府の見識をもって臨むべきである一方、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって臨むことには、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあります。
裁判官に専門的知識が十分ではない問題や、住民に対する行政サービスやライフライン提供に関して責任が持てない問題に関して、司法が国民世論を二分するような判断を示すことは適当ではありません。
以上のような観点から、立法府は、三権分立の視点とともに、国権の最高機関という憲法上の自らの位置付けを十分に認識し、法的根拠のない司法の判断基準を是としたり、行政府の独断を黙認することのない、自らの運営ルールを確立することが肝要だと思います。
以上申し述べますとともに、引き続き、憲法審査会で積極的に議論を行い、諸課題に対して一定の結論を出し、国民の負託に応えることを求め、意見とさせていただきます。
中
山
山添拓#12
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参議院の緊急集会及び参議院議員の選挙区の合区について意見を述べます。
憲法記念日を前にした朝日新聞の世論調査では、政治に最も優先して求める課題として憲法を挙げた人は一%にすぎず、年金、医療、介護が三一%、物価高二〇%、景気雇用一九%などが上位を占めました。コロナ危機に続く物価高が暮らしと営業を襲い、給料は上がらず、年金は下がり、先が見えません。改憲が政治の優先課題として求められていないのは明らかです。政治は目の前の困難を解消するために全力を尽くすべきです。
だからこそ、日本共産党は、憲法審査会を動かすべきでないと主張してきました。ところが、今国会では、緊急時対応として参議院の緊急集会では不十分ではないか、そのため衆議院議員の任期延長や緊急事態条項の創設など憲法改正が必要ではないかとの意見が改憲を主張する政党から繰り返し出され、緊急集会をめぐり参議院として考えをまとめるべきだという主張までされてきました。当審査会の権限を逸脱するばかりか、国民の願いに背を向け、国会内の多数派工作で改憲案のすり合わせを図ろうとするものであり、政治の役割を何重にも履き違えています。
緊急時対応を口実とした改憲論は、初めは災害対応を、近年はコロナ対応やロシアのウクライナ侵略を契機とした戦時対応など、時々の情勢と国民の不安や懸念に乗じて理由を変遷させていますが、一貫しているのは、権力分立を一時停止する改憲を目指そうとしていることです。しかし、権利の保障と権力の分立はセットで立憲主義の根幹であり、軽々にその例外を論じるべきではありません。長谷部参考人が述べたように、そのために憲法を変えることは必要か、憲法以下の対処でできることはないのかを十分に議論すべきです。
日本国憲法が明治憲法の緊急勅令や緊急財政処分と同等の仕組みを設けなかったのは、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために、行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくするためです。
その背景には、緊急事態条項が悪用、濫用されてきた歴史があります。明治憲法下、関東大震災では、戒厳令の中、デマが広がり、社会主義者や朝鮮人、中国人が多数虐殺されましたが、政府はいまだに真相究明に背を向け、責任を認めようとしません。
一九二八年には治安維持法の最高刑を死刑に引き上げる重罰化が緊急勅令で強行され、思想、言論の弾圧に最大限利用されました。ところが、政府は、治安維持法は適法に制定され適法に執行されたと開き直り、謝罪も賠償もなく、被害の実態調査すら拒んでいます。多くの犠牲を生んだ事実への反省もなく、権利侵害の危険と隣り合わせの緊急事態条項を安易に論じるのは、歴史の逆行と言うべきです。
戦後、九条で戦争放棄と戦力の不保持を定めた日本国憲法の下では、戦時対応に名を借りた緊急事態条項は必要なくなりました。戦争になったらどうするかではなく、戦争しないと国際社会に約束するからこそ、いかなるときにも権力分立による権利保障を貫く国際的にもユニークな緊急集会という規定が生まれました。この間、当審査会で与党を始め改憲を主張する意見の中にこうした歴史的経過への言及がほとんどないのは奇異と言うほかありません。
長谷部参考人及び土井参考人は、緊急の場合であっても、内閣の独断専行を避け、可能な限り憲法の定める制度を活用して権力の抑制、均衡を確保することが憲法の趣旨にかなうと主張し、強調しました。憲法五十四条二項が定める緊急集会の理解において欠くことのできない視点です。任期延長を含む緊急事態条項創設へ議論を運びたいがために、蓋然性が疑わしい事態を殊更想定して、本質的とは言い難い論点に拘泥し、憲法の趣旨を踏まえようとしない議論は厳に慎むべきです。
土井参考人が述べたように、代表制民主主義の基盤である国民の選挙権の行使は強く保障される必要があります。長谷部参考人は、二〇〇五年の最高裁判例を引用し、選挙権の制限は、そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難である場合にのみ許されることから、緊急事態においても基本権は可能な限り保障されるべきであると述べました。
一九四一年、対米開戦に向かう情勢での衆議院議員任期の延長は、緊迫した情勢下に選挙を行えば国政について不必要にとかく議論を誘発するという考えによるもので、選挙権の制限自体が目的でした。緊急時にこそ、選挙を通じて議会に代表を選出し、国会の民主的正統性を担保すべきです。
また、議員任期の延長が緊急事態の恒久化を招くという指摘は重大です。長谷部参考人は、衆議院議員の任期を延長すると、総選挙を経た正規のものとは異なる異常なものではあるが、国会に付与された全ての権能を行使し得るある種の国会が存在し、そこでは通常の法律が成立するとし、緊急時の名を借りて、通常時の法制度そのものを大きく揺るがすような法律が次々に制定されるリスクも含まれ、任期の延長された衆議院とそれに支えられた従前の政権党が居座り続けることになりかねないと指摘しました。選挙を通じて国民の審判を受けていない議員だからこそ、歯止めが利かないリスクはより大きく、選挙制度そのものが改変されるなどして元に戻すことが一層困難になりかねないのは深刻です。
一方、参議院の緊急集会制度には、緊急事態から通常時へのレジリエンス、復元力の高さと復元した後のチェック体制という合理性があります。土井参考人は、内閣総理大臣や国務大臣の多くが慣行上衆議院議員から選ばれていることから、自らの正統性を支えるためにはできる限り早期に総選挙が実施されるよう期待でき、復元力があること、また、次の国会が召集された後十日以内に衆議院の同意が必要とされることから、緊急集会の下で講じた措置の合憲性や合法性は衆議院によって網羅的に審査されることを指摘しました。
任期延長による国会は、選挙されていない存在を完全な国会であるかのように扱う点で民主的正統性を欠くばかりでなく、緊急集会と異なり、通常時への復元力も期待できず、民主政治の徹底という憲法の趣旨とは相入れません。
国会の機能を強調するなら、緊急時どころか平時の今、まずこの通常国会で立法府が役割を果たしていると言えるのか、厳しく問われなければなりません。
先週強行されたマイナンバー法改定は、審議のそばからトラブル事例が相次いで発覚し、その全体像すら明らかになっていません。このまま施行など到底できないでしょう。
入管法改定案は、法改正の根拠とされた事実、立法事実が次々崩れ落ち、入管庁がうそとごまかし、隠蔽を重ねてきたことも浮き彫りになっています。時間を積み上げたから採決などというのは、およそ審議の経過を踏まえない暴挙です。
軍拡財源法案は、流用と財政民主主義の潜脱、根拠のない歳出改革と正体不明の増税など、そもそも財源論として破綻しています。もとより、専守防衛を投げ捨て、敵基地攻撃能力保有に突き進むのがなぜ憲法の範囲内と言えるのか、まともな説明はありません。
審議を通じて法案の根幹が揺らぐ事態が浮き彫りになれば、一旦立ち止まり、場合によっては廃案とすることも立法府の重要な責任です。民主主義は時間を必要とします。二院制の下で、参議院は熟議の府とされてきました。自らの存在意義を忘れたかのように、悪法であれ立法事実を欠くものであれ、政府・与党の方針にやすやすと従い押し通そうとするのは、国会の機能を損なう行為と断じざるを得ません。
今、国会に求められているのは、想定外を殊更想定して任期延長や緊急事態条項を論じることではなく、目の前の困難に寄り添い、暮らしと平和を守るため、憲法を生かした政治へ転換し、国会の機能を遺憾なく発揮することです。
なお、本日は参議院議員の選挙区の合区についても意見表明の対象とされています。
合区は、元々自民党の党利党略で強行され、不平等をもたらすことは当初から批判されていました。今度、合区解消を改憲の理由とするのは牽強付会も甚だしいと言わなければなりません。
投票価値の平等と民意の反映を実現する選挙制度をいかに築くかの問題は、そもそも当審査会の役割ではないことを指摘し、意見とします。
この発言だけを見る →参議院の緊急集会及び参議院議員の選挙区の合区について意見を述べます。
憲法記念日を前にした朝日新聞の世論調査では、政治に最も優先して求める課題として憲法を挙げた人は一%にすぎず、年金、医療、介護が三一%、物価高二〇%、景気雇用一九%などが上位を占めました。コロナ危機に続く物価高が暮らしと営業を襲い、給料は上がらず、年金は下がり、先が見えません。改憲が政治の優先課題として求められていないのは明らかです。政治は目の前の困難を解消するために全力を尽くすべきです。
だからこそ、日本共産党は、憲法審査会を動かすべきでないと主張してきました。ところが、今国会では、緊急時対応として参議院の緊急集会では不十分ではないか、そのため衆議院議員の任期延長や緊急事態条項の創設など憲法改正が必要ではないかとの意見が改憲を主張する政党から繰り返し出され、緊急集会をめぐり参議院として考えをまとめるべきだという主張までされてきました。当審査会の権限を逸脱するばかりか、国民の願いに背を向け、国会内の多数派工作で改憲案のすり合わせを図ろうとするものであり、政治の役割を何重にも履き違えています。
緊急時対応を口実とした改憲論は、初めは災害対応を、近年はコロナ対応やロシアのウクライナ侵略を契機とした戦時対応など、時々の情勢と国民の不安や懸念に乗じて理由を変遷させていますが、一貫しているのは、権力分立を一時停止する改憲を目指そうとしていることです。しかし、権利の保障と権力の分立はセットで立憲主義の根幹であり、軽々にその例外を論じるべきではありません。長谷部参考人が述べたように、そのために憲法を変えることは必要か、憲法以下の対処でできることはないのかを十分に議論すべきです。
日本国憲法が明治憲法の緊急勅令や緊急財政処分と同等の仕組みを設けなかったのは、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために、行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくするためです。
その背景には、緊急事態条項が悪用、濫用されてきた歴史があります。明治憲法下、関東大震災では、戒厳令の中、デマが広がり、社会主義者や朝鮮人、中国人が多数虐殺されましたが、政府はいまだに真相究明に背を向け、責任を認めようとしません。
一九二八年には治安維持法の最高刑を死刑に引き上げる重罰化が緊急勅令で強行され、思想、言論の弾圧に最大限利用されました。ところが、政府は、治安維持法は適法に制定され適法に執行されたと開き直り、謝罪も賠償もなく、被害の実態調査すら拒んでいます。多くの犠牲を生んだ事実への反省もなく、権利侵害の危険と隣り合わせの緊急事態条項を安易に論じるのは、歴史の逆行と言うべきです。
戦後、九条で戦争放棄と戦力の不保持を定めた日本国憲法の下では、戦時対応に名を借りた緊急事態条項は必要なくなりました。戦争になったらどうするかではなく、戦争しないと国際社会に約束するからこそ、いかなるときにも権力分立による権利保障を貫く国際的にもユニークな緊急集会という規定が生まれました。この間、当審査会で与党を始め改憲を主張する意見の中にこうした歴史的経過への言及がほとんどないのは奇異と言うほかありません。
長谷部参考人及び土井参考人は、緊急の場合であっても、内閣の独断専行を避け、可能な限り憲法の定める制度を活用して権力の抑制、均衡を確保することが憲法の趣旨にかなうと主張し、強調しました。憲法五十四条二項が定める緊急集会の理解において欠くことのできない視点です。任期延長を含む緊急事態条項創設へ議論を運びたいがために、蓋然性が疑わしい事態を殊更想定して、本質的とは言い難い論点に拘泥し、憲法の趣旨を踏まえようとしない議論は厳に慎むべきです。
土井参考人が述べたように、代表制民主主義の基盤である国民の選挙権の行使は強く保障される必要があります。長谷部参考人は、二〇〇五年の最高裁判例を引用し、選挙権の制限は、そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難である場合にのみ許されることから、緊急事態においても基本権は可能な限り保障されるべきであると述べました。
一九四一年、対米開戦に向かう情勢での衆議院議員任期の延長は、緊迫した情勢下に選挙を行えば国政について不必要にとかく議論を誘発するという考えによるもので、選挙権の制限自体が目的でした。緊急時にこそ、選挙を通じて議会に代表を選出し、国会の民主的正統性を担保すべきです。
また、議員任期の延長が緊急事態の恒久化を招くという指摘は重大です。長谷部参考人は、衆議院議員の任期を延長すると、総選挙を経た正規のものとは異なる異常なものではあるが、国会に付与された全ての権能を行使し得るある種の国会が存在し、そこでは通常の法律が成立するとし、緊急時の名を借りて、通常時の法制度そのものを大きく揺るがすような法律が次々に制定されるリスクも含まれ、任期の延長された衆議院とそれに支えられた従前の政権党が居座り続けることになりかねないと指摘しました。選挙を通じて国民の審判を受けていない議員だからこそ、歯止めが利かないリスクはより大きく、選挙制度そのものが改変されるなどして元に戻すことが一層困難になりかねないのは深刻です。
一方、参議院の緊急集会制度には、緊急事態から通常時へのレジリエンス、復元力の高さと復元した後のチェック体制という合理性があります。土井参考人は、内閣総理大臣や国務大臣の多くが慣行上衆議院議員から選ばれていることから、自らの正統性を支えるためにはできる限り早期に総選挙が実施されるよう期待でき、復元力があること、また、次の国会が召集された後十日以内に衆議院の同意が必要とされることから、緊急集会の下で講じた措置の合憲性や合法性は衆議院によって網羅的に審査されることを指摘しました。
任期延長による国会は、選挙されていない存在を完全な国会であるかのように扱う点で民主的正統性を欠くばかりでなく、緊急集会と異なり、通常時への復元力も期待できず、民主政治の徹底という憲法の趣旨とは相入れません。
国会の機能を強調するなら、緊急時どころか平時の今、まずこの通常国会で立法府が役割を果たしていると言えるのか、厳しく問われなければなりません。
先週強行されたマイナンバー法改定は、審議のそばからトラブル事例が相次いで発覚し、その全体像すら明らかになっていません。このまま施行など到底できないでしょう。
入管法改定案は、法改正の根拠とされた事実、立法事実が次々崩れ落ち、入管庁がうそとごまかし、隠蔽を重ねてきたことも浮き彫りになっています。時間を積み上げたから採決などというのは、およそ審議の経過を踏まえない暴挙です。
軍拡財源法案は、流用と財政民主主義の潜脱、根拠のない歳出改革と正体不明の増税など、そもそも財源論として破綻しています。もとより、専守防衛を投げ捨て、敵基地攻撃能力保有に突き進むのがなぜ憲法の範囲内と言えるのか、まともな説明はありません。
審議を通じて法案の根幹が揺らぐ事態が浮き彫りになれば、一旦立ち止まり、場合によっては廃案とすることも立法府の重要な責任です。民主主義は時間を必要とします。二院制の下で、参議院は熟議の府とされてきました。自らの存在意義を忘れたかのように、悪法であれ立法事実を欠くものであれ、政府・与党の方針にやすやすと従い押し通そうとするのは、国会の機能を損なう行為と断じざるを得ません。
今、国会に求められているのは、想定外を殊更想定して任期延長や緊急事態条項を論じることではなく、目の前の困難に寄り添い、暮らしと平和を守るため、憲法を生かした政治へ転換し、国会の機能を遺憾なく発揮することです。
なお、本日は参議院議員の選挙区の合区についても意見表明の対象とされています。
合区は、元々自民党の党利党略で強行され、不平等をもたらすことは当初から批判されていました。今度、合区解消を改憲の理由とするのは牽強付会も甚だしいと言わなければなりません。
投票価値の平等と民意の反映を実現する選挙制度をいかに築くかの問題は、そもそも当審査会の役割ではないことを指摘し、意見とします。
中
山
山本太郎#14
○山本太郎君 衆議院議員任期延長を主張する者たちは、長期間にわたって選挙が実施できない事態を想定し、現行制度では国会機能が維持できないと訴えます。参議院緊急集会は七十日間しか開けないから長期の非常事態が起きたら対応できない、だから任期延長が必要だと。国民の投票権を制限しなければいけない非常事態とは一体何か。
紛争や大規模災害に見舞われてもなお世界各国では予定どおり選挙を実施し、有権者の参政権を保障、それによって民主主義を維持しています。
二〇一四年、クリミア。ロシアに占拠され、東部で内戦と呼べるような状況が続く中でも、二〇一九年、ウクライナは議会選挙を実施。クリミアもウクライナの一部と認める以上、完全な形での選挙ではもちろんない。それでも国内の投票権は尊重された。ロシアによる軍事侵攻が続く中でも二〇二四年の大統領選は行われる見通し。
東日本大震災を上回る犠牲者を出したと言われるトルコ大震災の復旧は道半ば。けれども、今年五月にはトルコで議会選挙と大統領選挙が行われた。エルドアン政権の震災対応を批判する有権者は野党候補の支持に回り、決選投票までもつれ込んだが、現職エルドアン氏は非常事態を理由に選挙延期や自らの任期延長を図ることはなかった。
トルコでは与野党、自治体、NGOなどが協力し、避難生活者たちが投票できるよう支援策を講じた。五月十四日、ロイターによれば、避難者が地元選挙区で投票できるよう、官民の協力で数万台の無料バスを手配。通常は投票所となる学校が被災したため、テントやコンテナによる仮設投票所を設置。有権者の一人は、地震がなくてもこの大統領選は重要だが、地震によってその重要性が増した、我々は政府対応の遅れと私たちが被った痛みを考慮して投票すると、非常事態においても投票機会があることの重要性を強調する。
昨年九月二十八日、ハリケーン・イアンによる甚大な被害を受けたアメリカ・フロリダ州。同年十一月八日の中間選挙は予定どおり実施。同州だけで死者は百人以上、米調査会社の当時の評価では被害額は最大約十兆円に上るとされた。被災一週間後には瓦れきの散乱する現場でバイデン大統領が選挙に向けて演説。被災者のために何をしてくれるかを見てから政治家の評価を決めたいと有権者の一人は語った。
二〇二一年七月中旬、四百年に一度と言われる豪雨でドイツ、ベルギーでは二百人以上が死亡。ドイツでは避難者に地元選挙区での投票を認める。追加投票所を設置するなどし、同年九月二十六日の連邦議会選挙は予定どおり実施、被災地でも投票率は下がっていない。
二〇〇四年十二月、スマトラ島沖津波でタイは大きな被害を被った。タイ政府の公式発表だけでも四千八百十二人の死亡を確認、負傷者八千四百五十七人、行方不明者四千四百九十九人。それでも二か月後の二〇〇五年二月には下院選挙を予定どおり実施。
世界中で起こっている大規模な非常事態においても選挙は実施されています。自民党や維新などが訴える選挙ができない状態とは何なんでしょうか。火星人の襲来でしょうか。アルマゲドンでしょうか。その主張からは任期延長の必要性が一向に見えてきません。非常事態だからこそ、制約はあっても国民に一票を投じる権利を保障することが重要で、非常事態への対応を含めて政権は国民からの評価を受ける必要がある。
選挙ができない事態とは、客観的に存在するというより、政府がこのような状況で選挙はできないと恣意的に認定することで生まれるもの。国民の審判を受けたくない政権に選挙ができない事態を認定させてはいけない。
自民党の改憲草案平成二十四年版では、地震など大規模災害に際して内閣が緊急事態を宣言し、内閣総理大臣は地方自治体の長に対して必要な指示が可能に。内閣は法律同等の緊急政令を定め、財政上必要な措置をとることもできる。それら政令に基づく総理大臣からの指示は、地方自治体に対して圧倒的な要求となる。
自民党の日本国憲法改正草案QアンドA増補版は、今回の草案では、東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを憲法上明確に規定しましたと述べ、東日本大震災の経験を踏まえた改憲提案であることを強調する。
しかし、東日本大震災のような大規模災害時に求められるのは、中央政府の権限強化ではないと被災地の現場は考えているようだ。
日弁連実施のアンケートによれば、東日本大震災の被災自治体の多くが、災害時には国の権限でなく市町村などの自治体に権限を強化する必要がある、現行の憲法に緊急事態条項がないことが災害対応の障害にはなっていないとの意見を示す。仙台の弁護士会からも、東日本大震災の災害対応について国家緊急権規定が存在すれば適切な対応ができたという事実は全く認められず、福島県弁護士会からは、被災者の救済と被災地の復興のために何より必要なのは、政府に権力を集中されるための法制度を新設することよりも、むしろ事前の災害、事故対策を十分に行うとともに、既存の法制度を最大限に活用することであるなど意見表明されている。
緊急事態条項の提案は、被災地、被災者の意思を踏みにじり、震災を利用する火事場泥棒的行為と言える。内閣が緊急事態を宣言し、議員任期を延長すれば、当然その内閣も延命されるものと想定できる。これで機敏に想定外の状況に対応すると言うが、時の内閣のメンバーが危機対応にたけた危機意識の高い人たちとは限らない。例えば、歴代自民党政権の幹部は、災害、ミサイル発射という危機時に自らの選挙運動を優先、さらにはゴルフや酒盛りで遊びほうける常習犯であった。
おととし十月十九日、衆議院選挙中、北朝鮮がミサイル発射。岸田総理と官房長官は選挙応援で都内不在。危機管理よりも選挙を重視していると批判される。特に岸田首相は、第一報を受けた後、さらにもう一か所、仙台の演説会へ。すぐ電車に飛び乗れば、あと二時間早く東京に帰れた。
安倍首相は、二〇一九年七月二十五日から二十九日まで夏休みを取得。その初日、北朝鮮がミサイル発射。その約一時間後に別荘を出発、ゴルフ場へ。
二〇一八年六月二十八日から七月八日にかけての西日本豪雨真っただ中の七月五日、議員宿舎で開かれた酒盛り、赤坂自民亭には安倍首相、岸田政調会長、小野寺防衛相も参加。官邸で関係省庁の情報を集め指示を飛ばすべき役割の西村官房副長官は、五日の午後十時過ぎ、宴会の写真をツイッターに添付。和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を撮り放題、まさに自由民主党とツイート。
二〇一四年八月二十日、広島市集中豪雨への迅速な対応が求められる状況で、安倍首相は午前八時頃からゴルフを始め、午後九時二十分頃までプレー、東京の官邸に到着したのは十一時頃。
緊張感、責任感、危機管理という言葉とは無縁の者たちのオンパレード。何より、先進国で唯一、三十年間経済不況を続けるような大間抜けたちが非常事態を理由に自ら延命できるようになったら一体どうなるのか。危機意識のない政府を選挙で退陣させることもできなくなってしまいます。そのような不届き者が憲法を変えたいと言えないように先回りしているのが現行憲法であり、この参議院の緊急集会であります。今ある憲法を守れ。それ以上でも以下でもない。
本審査会の時間の使い方を偏ったものには使っていただきたくない。今、この社会的状況の中で苦しんでいる人々のために、間違った経済状況であったり政策を正すような、そのような憲法審査会、違憲状態にある状態を話し合うべきだと申し上げて、終わります。
この発言だけを見る →紛争や大規模災害に見舞われてもなお世界各国では予定どおり選挙を実施し、有権者の参政権を保障、それによって民主主義を維持しています。
二〇一四年、クリミア。ロシアに占拠され、東部で内戦と呼べるような状況が続く中でも、二〇一九年、ウクライナは議会選挙を実施。クリミアもウクライナの一部と認める以上、完全な形での選挙ではもちろんない。それでも国内の投票権は尊重された。ロシアによる軍事侵攻が続く中でも二〇二四年の大統領選は行われる見通し。
東日本大震災を上回る犠牲者を出したと言われるトルコ大震災の復旧は道半ば。けれども、今年五月にはトルコで議会選挙と大統領選挙が行われた。エルドアン政権の震災対応を批判する有権者は野党候補の支持に回り、決選投票までもつれ込んだが、現職エルドアン氏は非常事態を理由に選挙延期や自らの任期延長を図ることはなかった。
トルコでは与野党、自治体、NGOなどが協力し、避難生活者たちが投票できるよう支援策を講じた。五月十四日、ロイターによれば、避難者が地元選挙区で投票できるよう、官民の協力で数万台の無料バスを手配。通常は投票所となる学校が被災したため、テントやコンテナによる仮設投票所を設置。有権者の一人は、地震がなくてもこの大統領選は重要だが、地震によってその重要性が増した、我々は政府対応の遅れと私たちが被った痛みを考慮して投票すると、非常事態においても投票機会があることの重要性を強調する。
昨年九月二十八日、ハリケーン・イアンによる甚大な被害を受けたアメリカ・フロリダ州。同年十一月八日の中間選挙は予定どおり実施。同州だけで死者は百人以上、米調査会社の当時の評価では被害額は最大約十兆円に上るとされた。被災一週間後には瓦れきの散乱する現場でバイデン大統領が選挙に向けて演説。被災者のために何をしてくれるかを見てから政治家の評価を決めたいと有権者の一人は語った。
二〇二一年七月中旬、四百年に一度と言われる豪雨でドイツ、ベルギーでは二百人以上が死亡。ドイツでは避難者に地元選挙区での投票を認める。追加投票所を設置するなどし、同年九月二十六日の連邦議会選挙は予定どおり実施、被災地でも投票率は下がっていない。
二〇〇四年十二月、スマトラ島沖津波でタイは大きな被害を被った。タイ政府の公式発表だけでも四千八百十二人の死亡を確認、負傷者八千四百五十七人、行方不明者四千四百九十九人。それでも二か月後の二〇〇五年二月には下院選挙を予定どおり実施。
世界中で起こっている大規模な非常事態においても選挙は実施されています。自民党や維新などが訴える選挙ができない状態とは何なんでしょうか。火星人の襲来でしょうか。アルマゲドンでしょうか。その主張からは任期延長の必要性が一向に見えてきません。非常事態だからこそ、制約はあっても国民に一票を投じる権利を保障することが重要で、非常事態への対応を含めて政権は国民からの評価を受ける必要がある。
選挙ができない事態とは、客観的に存在するというより、政府がこのような状況で選挙はできないと恣意的に認定することで生まれるもの。国民の審判を受けたくない政権に選挙ができない事態を認定させてはいけない。
自民党の改憲草案平成二十四年版では、地震など大規模災害に際して内閣が緊急事態を宣言し、内閣総理大臣は地方自治体の長に対して必要な指示が可能に。内閣は法律同等の緊急政令を定め、財政上必要な措置をとることもできる。それら政令に基づく総理大臣からの指示は、地方自治体に対して圧倒的な要求となる。
自民党の日本国憲法改正草案QアンドA増補版は、今回の草案では、東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを憲法上明確に規定しましたと述べ、東日本大震災の経験を踏まえた改憲提案であることを強調する。
しかし、東日本大震災のような大規模災害時に求められるのは、中央政府の権限強化ではないと被災地の現場は考えているようだ。
日弁連実施のアンケートによれば、東日本大震災の被災自治体の多くが、災害時には国の権限でなく市町村などの自治体に権限を強化する必要がある、現行の憲法に緊急事態条項がないことが災害対応の障害にはなっていないとの意見を示す。仙台の弁護士会からも、東日本大震災の災害対応について国家緊急権規定が存在すれば適切な対応ができたという事実は全く認められず、福島県弁護士会からは、被災者の救済と被災地の復興のために何より必要なのは、政府に権力を集中されるための法制度を新設することよりも、むしろ事前の災害、事故対策を十分に行うとともに、既存の法制度を最大限に活用することであるなど意見表明されている。
緊急事態条項の提案は、被災地、被災者の意思を踏みにじり、震災を利用する火事場泥棒的行為と言える。内閣が緊急事態を宣言し、議員任期を延長すれば、当然その内閣も延命されるものと想定できる。これで機敏に想定外の状況に対応すると言うが、時の内閣のメンバーが危機対応にたけた危機意識の高い人たちとは限らない。例えば、歴代自民党政権の幹部は、災害、ミサイル発射という危機時に自らの選挙運動を優先、さらにはゴルフや酒盛りで遊びほうける常習犯であった。
おととし十月十九日、衆議院選挙中、北朝鮮がミサイル発射。岸田総理と官房長官は選挙応援で都内不在。危機管理よりも選挙を重視していると批判される。特に岸田首相は、第一報を受けた後、さらにもう一か所、仙台の演説会へ。すぐ電車に飛び乗れば、あと二時間早く東京に帰れた。
安倍首相は、二〇一九年七月二十五日から二十九日まで夏休みを取得。その初日、北朝鮮がミサイル発射。その約一時間後に別荘を出発、ゴルフ場へ。
二〇一八年六月二十八日から七月八日にかけての西日本豪雨真っただ中の七月五日、議員宿舎で開かれた酒盛り、赤坂自民亭には安倍首相、岸田政調会長、小野寺防衛相も参加。官邸で関係省庁の情報を集め指示を飛ばすべき役割の西村官房副長官は、五日の午後十時過ぎ、宴会の写真をツイッターに添付。和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を撮り放題、まさに自由民主党とツイート。
二〇一四年八月二十日、広島市集中豪雨への迅速な対応が求められる状況で、安倍首相は午前八時頃からゴルフを始め、午後九時二十分頃までプレー、東京の官邸に到着したのは十一時頃。
緊張感、責任感、危機管理という言葉とは無縁の者たちのオンパレード。何より、先進国で唯一、三十年間経済不況を続けるような大間抜けたちが非常事態を理由に自ら延命できるようになったら一体どうなるのか。危機意識のない政府を選挙で退陣させることもできなくなってしまいます。そのような不届き者が憲法を変えたいと言えないように先回りしているのが現行憲法であり、この参議院の緊急集会であります。今ある憲法を守れ。それ以上でも以下でもない。
本審査会の時間の使い方を偏ったものには使っていただきたくない。今、この社会的状況の中で苦しんでいる人々のために、間違った経済状況であったり政策を正すような、そのような憲法審査会、違憲状態にある状態を話し合うべきだと申し上げて、終わります。
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