音喜多駿の発言 (憲法審査会)
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○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
初めに、参議院の選挙区の合区問題について、我が会派の立場を述べさせていただきます。
我々は、合区を容認する立場です。現行憲法を考えた場合、一票の較差問題を解決することは非常に重要であり、現状では合区はその解決策として合理的です。とはいえ、合区は抜本的な解決策にはなり得ません。
そもそも、参議院の選挙制度についてこの憲法審で議論するのであれば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形について議論をするべきです。現行の都道府県制が現代の日本にとって最適な形なのか、道州制の導入やそれに伴う憲法改正まで視野に入れた議論が必要だと我々は考えています。この問題を明確にすることなく参議院の選挙制度の議論を行うことは望ましいことではありません。
我々は、現状の統治機構、つまり都道府県制は役目を終えつつあると認識しております。現在の都道府県は四十七の行政単位に分かれており、各地域の経済や社会情勢に対応するためには大きな調整や協力が必要です。しかし、都道府県間の調整や協力は複雑で時間が掛かる場合があり、迅速な意思決定や政策の実施が難しいという問題があります。このことは、コロナ対応の初期に都道府県間の連携が取りづらかったという点であらわになりました。今まさに、より大きな行政区にして地方自治体の統治を効率化し、より迅速かつ効果的な政策の立案や実施をすることが求められています。
加えて、参議院の選挙制度に触れるのであれば、そもそも衆議院のカーボンコピーともやゆされる参議院の在り方そのものに対する議論も必要です。地域代表を似通った選挙制度で選出すれば、必然的に衆議院と参議院の役割は似通ったものにならざるを得ません。
合区の解消によって地域代表を選出するという方向性以外に、参議院の在り方そのものを変え得るような解決策はないのか。例えば、都道府県知事と参議院議員の兼職や将来的な一院制の是非などこそ憲法審査会という場で行うのにふさわしい議論ではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。
次に、参議院の緊急集会について意見を述べます。
衆議院の任期満了に類推適用できるのかという点については、有識者の見解もおおむね一致しているように、認められ得ると思われますが、その場合でもなお憲法改正をして、その旨を明記するべきと考えます。
そして、今国会の衆参の憲法審査会で緊急集会について最も多く論点に挙げられたものの一つが、その期間の限定についてです。この点、我々は、憲法五十四条一項の文理解釈により、緊急集会を行えるのは七十日以内であり、その限界性を理由の一つとしてやはり緊急事態条項が必要であると考えます。
一方で、先日来、長谷部参考人は、緊急時には七十日に縛られない、このような発言をして議論を呼んでおります。この点、私からは再度、七十日に限定されるべき旨の意見と理由を述べさせていただきます。
第一に、憲法に明確に数字が書いてあることの重要性です。
憲法には、例えば第五十三条の「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」というように期間に数字の定めがない規定もあり、そのような規定では解釈の余地が残り、法律などが対応することになります。しかしながら、明確に期間の定めがある場合、そうした解釈の余地をなくすというのがその趣旨であることは明白です。憲法五十四条一項は七十日間に限定されると考えるべきです。
第二に、長谷部先生は、緊急事態の法理を理由に、七十日以上の開催を認めるというロジックを立てられておりました。その際に、赤信号は緊急時には無視してもよいという意味でバッコーク判決を衆議院憲法審で御紹介されていましたが、同じ判決には、同時に、緊急時の場合の赤信号無視の例外について法律に書き込むことを議会に要求をしています。裏を返せば、七十日以上の開催については、別途憲法に書き込んでいない限り認められないということになるのではないでしょうか。
第三に、七十日以上の緊急集会が認められると仮定すると、いつまで可能であるのかという議論になります。しかしながら、その規定が憲法にない以上、決定は内閣が担うことになるでしょう。これでは権力の濫用がまかり通ることになり、到底受け入れられるものではありません。
以上の理由により、やはり五十四条一項の緊急集会は七十日を超えて開催できないと考えるべきです。
また、今回の衆参の憲法審査会で論点になった部分として、緊急集会の権限と案件が挙げられます。
この点、先日、松浦参考人が述べられていたように、内閣不信任決議など衆議院のみに認められている権能が除外されるほか、憲法改正の発議、条約の承認、内閣総理大臣の指名は認めるべきではないと、この点については既におおむね見解の一致があると考えます。
その上で、案件については、憲法第五十四条第二項が緊急集会の要求権を内閣のみに認めており、また、国会法第九十九条第一項で「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とある上、第百一条には「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあることから、内閣が示した案件に縛られる、さらに、個別具体的に指定することが憲法の趣旨であり、その効力も暫定的であると考えられます。
以上により、参議院の緊急集会は、その成立背景からも重要な権能ではあるものの、やはり期間と権限の点で限界があるというのが我々の結論です。すなわち、衆議院解散後あるいは任期満了後に重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期にわたり衆議院が不在となる場合については現行憲法は想定していない、そう考えるべきであります。
参議院の緊急集会に、今述べたような長期の緊急事態の際に国会そのものの役目を負わせようとする解釈は、元々の制度設計にはない過剰な役割を負わせるものであり、現行憲法を守るためにむしろ権力の濫用を許容するかのような極めて不自然な解釈になっている、強い言葉ですが、あえてそう指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、国民の理解と合理的な憲法解釈の下、憲法の理念を守るためにも、緊急時でも立法府を機能させ、時の内閣や権力の暴走をしっかりと防げる仕組みを明記した緊急事態条項の議論を加速させる必要があるのではないでしょうか。
最後に、本憲法審査会の運営について申し上げます。
今国会においては、予算委員会終了後はほぼ毎週の憲法審査会が開催され、活発な議論が行われるようになったことは一歩前進です。一方で、その議論のテーマとしては合区問題と参議院緊急集会のみに終始したこと、明確なゴールに向かう道筋がないままの放談となったことは極めて遺憾であります。合区や緊急集会といった自分たちの身分や権能に関わることだけではなく、憲法議論をめぐっては憲法九条や緊急事態条項など、議論をするべきことが山積みです。
また、我が党は、憲法九条改正と緊急事態条項の創設のほかにも、教育の無償化や統治機構改革、憲法裁判所の設置を独自の憲法改正案として条文化まで済ませた上で提言を行っています。さらに、今国会においては、国民民主党と有志の会と二党一会派で議員任期延長に係る憲法改正の条文案も取りまとめ、提案をさせていただいています。
民意によって選ばれた我々国会議員に求められる役割は、ただ漫然と議論を続けるだけではなく、いずれかの時期には結論を出して前に進むことです。参議院憲法審査会においても、時代の要請に合わせたテーマでより活発に議論を行うとともに、何らかの結論、アウトプットに向けてスケジュールやロードマップを策定すべきことを強く提案し、会派を代表しての発言といたします。
ありがとうございました。