大塚耕平の発言 (憲法審査会)

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○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 本日は、参議院の緊急集会と合区問題について、とりわけ合目的性の観点から意見を申し述べます。
 緊急集会を開催する緊要性が生じるタイミングについて、過去の発言において三つのケースをお示ししました。すなわち、第一に解散から選挙の告示までの間、第二に選挙告示から投開票日までの選挙期間中、第三に投開票日から国会召集までの間です。
 仮に、第一の解散から選挙の告示までの間に緊急事態が生じた場合には、選挙の中止及びそれに伴う前議員の身分復活及び任期延長の可否が問われます。ここに現在検討している緊急事態条項の内容の意義があります。
 第二に、選挙告示から投開票日までの選挙期間中に緊急事態が発生した場合、第一の場合に比べれば、選挙途中での選挙中止、前議員の身分復活及び任期延長に対する納得感、合理性は低下するものと思われます。
 第三に、投開票日から国会召集までの間に緊急事態が生じた場合には、選出された新議員で速やかに国会を開催すべきと考えます。
 以上の整理において、第一の場合、第二の場合に選挙中止、前議員の身分復活、任期延長がなし得ないケースには、参議院の緊急集会が意味を持つことになります。
 以下、四つの論点に付言します。
 衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことについては問題ないと考えます。衆議院解散と任期満了という原因に違いがあるとはいえ、国会に召集すべき衆議院議員が存在しないという状況においては違いがありません。それゆえ、内閣の判断により、解散されたときだけでなく、任期満了後の場合にも議院の緊急集会を求め得るものと解します。
 緊急集会に関する憲法五十四条二項の規定は衆議院が存在しない例として解散の場合を定めたものですが、大災害の発生等により選挙を施行することができないまま任期満了によって衆議院議員がいなくなった場合においても、内閣は緊急の必要に応じて参議院の緊急集会を求めることができると考えます。緊急集会の趣旨、目的に照らせば、そのように考えることが合理的です。
 緊急集会を開催し得る期間については、制約がないと考えます。参議院の緊急集会の規定は、衆議院解散後、総選挙を経て、特別会が召集されるまでの最長七十日間に緊急の必要が生じた際には、衆議院議員が欠けているために臨時会を召集することができないため、特に参議院一院をもって国会の権能を代行させようというものです。
 法の趣旨、緊急集会の目的に鑑みれば、要するに衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は緊急集会を開けるものとみなすのが合目的性の観点から合理的な解釈であり、目的を達するためには期間に制約を設けるべきではないと考えます。
 緊急集会における発議については、法の趣旨を鑑みれば、衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合には、緊急集会において議員が発議できる議案の範囲について制約はないとみなすのがやはり合目的性の観点から合理的な解釈と考えます。
 国会法第百一条は、参議院の緊急集会において、議員は内閣総理大臣から参議院の緊急集会の請求の際に示された案件に関連あるものに限り議案を発議できるものと定めています。
 この規定は、昭和三十年の国会法改正により設けられ、昭和三十四年の参議院事務局、参考人の答弁では次のように説明されました。
 いわく、緊急の必要の認定は挙げて緊急集会を求める内閣の側にあり、また臨時国会の場合と異なって議員の側には緊急集会の要求権はないということから、一般的に議員の発議権を認めることは困難である、しかし内閣提出議案を審議している上でどうしても関連議案を発議しなければならない場合も考えられるので、関連ある法律案は発議できるものと解される。
 しかし、事務局はこのように答弁しておりますが、しかし、衆議院が存在しない状況下で緊急集会を開催せざるを得ないような緊急事態が生じているわけですから、緊急事態に対応するという合目的性の観点からは、議案に制約を設けることは適切ではないと思います。発議権の内容については、最後の緊急集会の権能に関する論点と関連します。
 緊急集会の権能は国会の権能全般に及ぶとされる一方、案件の性質から参議院の単独の議決のみでは許されないものや、緊急の必要性がないものはその権能の対象外と解されていることに関連し、憲法改正の発議、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約の締結の承認、両院同意案件等について、権能の対象外となるのかどうか、対象外とした場合に例外が認められるかどうかなどをめぐり、解釈上議論があることは承知しています。
 しかし、法の趣旨を鑑みれば、要するに衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合は参議院一院をもって国会の権能を代行している状況であるゆえ、合目的性に適合する範囲においては緊急集会の権能に制約はないとみなすことが合理的と考えます。ただし、その正統性を担保するには、衆議院が発足するまでの間にその有効性を限定することが望ましいほか、衆議院発足後は再審議を義務付ける等の手続を定めることも必要だと考えます。
 次に、合区問題については、昨年六月十日の本会議で発言した内容を要約して申し上げます。
 国民民主党は、合区はやめるべきだという立場です。その論拠として、憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることだと考えるからです。法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは憲法にも法律にも明記されているわけではありません。
 最高裁平成二十九年判決においても、各選挙区の区域を定めるに当たり、都道府県という単位を用いること自体を不合理なものとして許されないとしたものではない、参議院の議員定数の配分に当たり考慮を要する固有の要素があると指摘しているほか、令和二年最高裁判決も都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮することを是認しています。
 合区によって県代表を参議院に送り出さないことが間接的に当該県の行政機能や行政サービスの内容や水準に影響を与え得るという観点から、司法が法的根拠の明確ではない人口割り、単純平等だけで立法府の構成について見解を述べることは三権分立の観点から問題があると考えます。
 憲法上の三権分立は、相互牽制にこそ意味があります。立法府、行政府の至らざる点は司法府の見識をもって臨むべきである一方、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって臨むことには、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあります。
 裁判官に専門的知識が十分ではない問題や、住民に対する行政サービスやライフライン提供に関して責任が持てない問題に関して、司法が国民世論を二分するような判断を示すことは適当ではありません。
 以上のような観点から、立法府は、三権分立の視点とともに、国権の最高機関という憲法上の自らの位置付けを十分に認識し、法的根拠のない司法の判断基準を是としたり、行政府の独断を黙認することのない、自らの運営ルールを確立することが肝要だと思います。
 以上申し述べますとともに、引き続き、憲法審査会で積極的に議論を行い、諸課題に対して一定の結論を出し、国民の負託に応えることを求め、意見とさせていただきます。

発言情報

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発言者: 大塚耕平

speaker_id: 4047

日付: 2023-06-07

院: 参議院

会議名: 憲法審査会