吉田千秋の発言 (国土交通委員会)
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○参考人(吉田千秋君) よろしくお願いいたします。
まず、こういう場、設けていただきまして本当にありがとうございます。ちょっと慣れない感じなので聞きづらいところがあるかもしれませんけれども、ちょっとお聞きいただければと思います。
今、森前市長さんのお話で半分ぐらい終わったかなという気持ちになっちゃっているんですけれども、今のお話も含めて現実問題として鉄道事業者がどういう形で取り組んできたかというお話をさせていただきたいと思います。
お手元の資料、一枚めくっていただきますと、基礎情報があります。このひたちなか海浜鉄道、おかげさまで全路線がひたちなか市内に入っているというちょっと特殊な路線でして、それだけちょっとお含みおきいただければと思います。第三セクターでして、ひたちなか市が五一%、それから経営引き継いだ茨城交通さんが四九%という形になっております。
三ページ目になりますけれども、存続の背景としてはどちらも一緒なんですけれども、お客様が減って、当時の事業者がこれ以上鉄道をやっていけなくなったということが始まりです。最盛期の昭和四十年には三百五十万人、これが二〇〇七年に七十万人まで減っちゃったということで、ただ、廃線に対してひたちなか市民がどうしてもこの鉄道は残したいということで、官民一体で湊線の活性化に取り組むということで始まったという路線でございます。その際、当時の市長さんがおっしゃったのが、行政の力は限界があるだろうということで、社長は公募して、第三セクターとはいえ市長が社長になっていたら駄目だという話から始まったという路線になっています。
こういう形で、二〇〇八年の四月一日、十五年前ですけれども、茨城交通から鉄道部門を分社化という形でこの会社が出ております。これが、今回の法改正でありました従来の事業者から行政の支援を受けて引継ぎという一つの例になっておるかと思いますので、こういうことを一応お含みおきいただければ。
その中で、市民とそれから行政が協働という形でやってきたということの一つの例としまして、まず、おらが湊鐵道応援団。市民の皆さんなんですけれども、本当に市民の皆さんです、自治会の皆さんなんですけれども、この方々がやっぱり自分たちの鉄道を守らなきゃいけないということで、ここにありますように、まず駅にサービスステーションというものをつくって、外からのお客様にお出迎えをすると。それから、鉄道ではなかなか気が付かなかったんですけれども、地元の商工会とかに声を掛けて、住民ならではのことですけれども、鉄道の御利用のお客様に特典をあげようと。例えば鉄道で来たらお酒が一本ただになりますよとか、そういうことをやるというようなことで、鉄道と町を市民の力で結び付けるということで、鉄道と町と再活性化を図るということをやってくれる。
そうやっているうちに、あっ、あそこはこんなことをやっているんだということで、大学生さんがアートイベントをやってくれたりとか、それから掃除をやってくれたりとか、また、これはもう鉄道会社は思い付かなかったんですけれども、正月、海まで鉄道で行って初詣をしようという、こういうのが、がらがらの列車が、毎年、最近、四百人ぐらいのイベントに今年なりまして、こういう形で市民の皆さんのアイデアを取り入れて頑張っていく。
それから、応援団の皆さん、応援団報というものを作って、鉄道がこんなことをやっていますよとかいうことを広くアピール。これの強みは、自治会組織が通じているということで、市の方がこれをちゃんと市の広報誌、それから回覧板なんかに載せていただいて、月に一遍は全市民の目に通るということで、市民一体で鉄道を守っていこうということを行政の立場、それから市民の立場から一生懸命やっていただく。
五ページ目になりますけれども、その象徴として、鉄道の存続が決まったときに、こうやって市長さんと応援団長さん、お二人で、守っていこうということで誓いを立てたという形になっています。
そういう形でやっていくうちに、行政さんの方でやっていただいたことということで幾つか言うんですけれども、まず、市民感情の醸成。ひたちなか市、日立製作所の城下町になっているんですけれども、高い自治会組織率ということで、こちらの自治会に声を掛けたらあの人たちはやってくれるだろうという、市民の感情をすごく理解されていて、行政がそういう働きかけをした。それから、当時の市長さん、これはもう徹底して鉄道は守るんだということでリードしてきた。さらには、鉄道と行政は一体化してやっていかなきゃいけないということで、今もそうなんですけれども、市の方から一人、行政から派遣をいただきまして、常に行政と鉄道がスクラムを組みながら鉄道の行政をやっていくということをやっています。
七ページ目、ソフト面になるんですけれども、これについてはどちらでもやっていらっしゃるんじゃないかと思うんですけど、例えば市の広報誌、これで鉄道のイベントを宣伝するとか、それから教育委員会なんかに、うちから定期券をまた買ってくださいね、中学三年生が高校生になったらというときに、市の関係機関で橋渡しをしていただくとか、それから鉄道を使ったまちづくりということで様々なことをやっていただく。さらには、先ほどの市の派遣の方が三年置きに替わっていくんですけれども、十五年たちますとその方々がある程度地位があって、例えば観光の部門とかそれから秘書課とか、そういうところの要所要所に行っていただいて、市全体で、あっ、湊線のことだったら分かるよみたいな行政まで動きになっていて、非常に鉄道会社としてはやりやすいということになっています。
さらに、これは八ページになりますけれども、国、県、市の助成ということで、これは非常に茨城県さんも目を開いていただいているんですけれども、安全施設の設備投資、かなり何度も名前が変わるんでいつも旧近代化の補助制度とは呼んでいるんですけれども、これについて、国の制度で国が三分の一出していただく、これに対して、協調補助として茨城県が三分の一、そして、従来事業者負担でやるべきひたちなか海浜鉄道部分については市が負担ということで、鉄道の安全、それから施設の部分については行政の方で任せてくださいよという形ができている。
それから、しばらくは赤字が出るだろうということで、固定資産分、これについては、固定資産税を払っていただいて、ただ、赤字が出た場合は固定資産税に係る部分はお返ししますよという補助制度、これが上下分離の考え方のちょっと流用かなというところ。
それから、開業から十年、これについてはしばらくは赤字が出るだろうということで、八年目までは修繕費についても県と市が赤字の部分を補助しますよということでやらせていただいている。これが、先ほどいただいた資料ではひたちなか海浜鉄道はみなし上下分離型というところに分類されていたんですけれども、あっ、こういうところなのかなと。自分たちとしては、正直、上下分離という考え方は余りなかったんですけれども、こういうところで活用されているのかなと。
その流れでやっていきますと、いろんなところでつながりができてきまして、例えば九ページ目、地域と連携した活性化施策ということで、行政、鉄道のお祭りとそれから商店街のお祭りを一緒にやるということで、ふだんほとんど人がいない商店街にこれだけの人があふれる。やっぱり、商店街の人にしても鉄道があってよかったなということ、それからお互いプラスになるということ。
さらには、十ページ目になりますけれども、地域との連携ということで、おらが湊鐵道応援団、自治会組織です。それから、商店街との連携、それから那珂湊焼きそば、これはB―1グルメなんですけれども、これも方向性は、焼きそばを売ってもうけようじゃなくて焼きそばでまちづくりをしようという考え方らしいので、その辺との連携をしたりとか、あとは、第一日曜日に朝市、これはちょっと一枚めくっていただいて写真があるんですけれども、せっかく広い駅だからもったいないからということで、JAさんとJFさん一緒になって月に一遍、駅で朝市をやっちゃおうと。
プラスの面としては、ふだん鉄道に縁のない主婦の方に来ていただける。それから、JAさん、JFさんにしてもいい宣伝になる。それから、商店街の活性化というよりも、衰退化がひどくなっていまして、今とうとう商店街で野菜売るお店がなくなっちゃったというところ、そこのフォローになったりとか、いろんな面で鉄道があってよかったなということを見ていただく。
それから、十二ページ目になりますけれども、そうこうしているうちに、やっぱり地元の高校生さん、高校生さんも一緒になって頑張っていこうということで、高校生発案のゆるキャラというものができまして、これが、やっぱり一緒に鉄道も活性化していこうということで、常に沿線の高校生さんとも連携していくと。
こういうことをやって周りの皆さんに助けていただいたところにもってきて、一応鉄道も何かやっていますよという話をちょっとさせていただきたいんですけれども、十三ページ目になります。
先ほど森前市長さんからいろいろお話があったんですけれども、金上という途中の駅で、うちは単線なので擦れ違い設備を造って、これによって四十分間隔でしか動けなかった列車を二十分間隔で動かせるようにする。これは、国のコミュニティ・レール化の補助制度を使わせていただいてということで、非常に効果的になっております。それから、お客様の声を聞いて、終電、これはかつては二十二時七分だったんですけれども、これじゃ東京から帰ってきてもなかなか帰れないということで、二十三時二十二分まで落とす。
それから、地元の皆さんの要望を聞いて高田の鉄橋という駅を造る。それから、美乃浜学園、これは後で申し上げますけれども、新設校のところに駅を造るということを順次、コミュニティ・レール化の補助制度とか、それから行政の皆さんの力借りながらやってきた。
それから、通学定期券、高いと言われたんで、一年まとめて買ったら安いですよというのを作る。これで通学制度の足を固める。さらには、これは今回の改正のところにも出ていましたけれども、今、実験的ですけれども、ひたちなか市内のバスと鉄道の共通一日乗車券、これをスマホのMaaSの形で作っています。これはまだちょっと実験段階で実績はなかなか上がらないんですけれども、こういう形で徐々に皆さんと一緒に頑張っていこうという試みがある。
それから、十四ページ目、いろんなところとの連携ということになっていくんですけれども、例えばJR東日本さんとの連携、週末パスというものをやっていますけれども、これにうちも入れていただいてということで連携する。それから、大手旅行社さんとは、ツアーの誘致、それから共同で地元の干し芋を使って鉄道と地域を開発して、なおかつ旅行業者さんをそこに送客してということでまちづくりを図ろうということでやる。
さらには、国営ひたち海浜公園、国営の公園なんですけれども、こちらにかなり無理を言いまして、入園券付きの乗車券を発売する。それから、今ちょうど時期なんですけれども、最盛期に一番たくさんお客さんがいらっしゃいますので、うちの鉄道と海浜公園を結ぶシャトルバスを運行すると、こういうことをやってみたり、それから、まちづくり団体、応援団も含めていろんなところがあるんですけれども、こちらのところとの、まあ法と公序良俗に反しなければ連携ということで。
例えば、そういうことで連携すると、うちの廃車になった車両なんかは、じゃ、するかなと思っていましたら、やっぱり目の開きがあって、これは本当に長いこと頑張って走って、無事故で走ってきたんだからもったいないということで、無事故の神社にしたいということで、鉄道そのものを御神体にする鉄道神社というのをつくるとか、いろんなことを考えていらっしゃって、それをそのまま取り入れるようなことをやっております。
加えてということで、十五ページ目になりますけれども、観光誘致ということで、海浜公園へのアクセス、これが潜在需要がすごく増えまして、今、バス一台で始めたのが、今年なんかはバス三台でも足りないぐらいかなというところで、しかも有り難いのが、そのお客様が大体三割ぐらい途中の那珂湊で降りていただいておさかな市場へ寄っていただくということで、鉄道だけじゃなくてやっぱり地域も発展しますよというところの礎になっている。
そんな感じでやっていた結果が、十六ページはちょっとちっちゃな表なのであれなんですけれども、十七ページちょっと見ていただいて、でっかく字を書いているんですけれども、一応開業十年目で、七十万人だったお客様が百万人を突破するところまで行った。それから、本当は八年でやっておかなきゃいけなかったんですが、十年掛かりましたが、どうにか単年度黒字二万五千円達成したと。ただ、これが令和二年度以降、ちょっとコロナのおかげでちょっと厳しい状況になっているかなという話を聞いております。
十八ページ目の表を見て、グラフ見ていただいたら分かるんですけれども、順調に増えていって、平成二十三年度はこれ震災でちょっと止まりましたので落ちたんですけれども、その後順調に増えていって百万突破してということで、ただ、今、令和二年は一気にちょっとコロナの影響で今落ちているかなという状況ではあります。
ただ、そんな中で、やっぱり地域と一緒に、それから行政、都市機能としてということで、これ、十九ページ目になるんですけれども、沿線の少子化が進んで小学校、中学校を統合するという話になりまして、沿線の三つの小学校、二つの中学校、これを統合して、沿線に駅を造って、学校を造って、そこに鉄道で通ってもらおうと。状況的にも良かったんです、鉄道の沿線に人が住んでいましたので。ですけど、これをやったおかげで子供たちは自転車とか危なくなく鉄道で通うことができる。それから、鉄道としても、希望者全員に市の方からパスが出ますので、大体八百万ぐらいの収入増になる。
あと、行政としても有り難いと言われていたのが、これがもし統合してスクールバスを運行するということになると八百万どころじゃ済まないと、億を超えるお金が年間掛かるということで、行政としても非常に有り難いということで、こういう面でも鉄道の使い方ということ、それから、誰が見てもこれはいいねという使い方ということが分かってきたということがちょっと見えるかなと。
おかげさまで年間の輸送人員は昨年度また百万人を戻しているんですけれども、ただ観光客の五百円のお客様と小学生の何十円ですから、まだ赤字はちょっときついんですけど、そういう状況になっている。
そんな中で、こちらにあるピーク時の深刻な渋滞、今、先ほどちらっと国営海浜公園のことを申し上げましたけれども、自動車でこれだけ渋滞で動かない状況になっている、その下をうちの鉄道が悠々とがらがらの電車が走っていると。この状況をやっぱり市民の皆さんが何とかしてくれという話になりまして、シャトルバスを出したところが二十一ページ目ですけれども、これだけのお客様に御利用いただけるようになったということで、これもなかなか鉄道では思い付かなくて、市民の皆さんとか行政の考え方を取り入れたということでなっているのかなと。
実は今、国の方に許可をいただいて、これ三年になるんですけれども、終点の阿字ケ浦から新駅、海浜公園まで延伸という話出ております。これについて今話を進めているところであります。
これについて、二十三ページ目になりますけれども、多分もっと掛かるとは思うんですけれども、今のところの試算では、二十三ページ目、工費が三・一キロ七十八億円。ただ、七十八億円というところでどうかなというときに、二百万人のお客様が年間いらっしゃいますので、二百万人のお客様のうち一割だけが鉄道を使っていただいたとしても、千円いただいたら二億円。それから、そのうち三割の方が沿線で買物していただけますので経済効果もでっかいということで、これは延伸が何とかできないかなということで、これについては今回の試案であります路線等の編成の変更というところにつながるのかなと思うんですけれども、こういうことも考えていると。
最後のページ、ちょっと大きく書かせていただいたんですけれども、今のところ行政の支援ということで市が考えていますのが、三分の二までは何とか国、県、市で出せないかなと。行政の負担が三分の二、事業者の負担が三分の一の二十六億円だとしたら、先ほど、二億の収入がありますので、初年度から償却前の黒、それから地域経済に大きな効果があるということで、恐らくこれで鉄道というものをちゃんと、今の森前市長さんのお話なんですけど、投資したということになると、今までの考え方と違って恐らく湊線も、どうして維持しようかなじゃなくて、これを都市機能としてどうやって使っていこうかな、鉄道にも地域にももうかるよという話になるものですから、こういうことをやっていきたいなということで、このことを全部含みますとやっぱり今回の法改正というのは非常に期待することが大きくて、特に社総交、こんなふうに鉄道を入れていただいたということがありますので、何とかそのところをやって、湊線自体が全国の地域鉄道の活性化の見本にならないかなということで今仕事をさせております。
含めて、ちょっと冗長な話になったと思いますけれども、事例紹介だけになりましたけれども、御紹介させていただきました。
ありがとうございました。