長谷川茂雄の発言 (国土交通委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(長谷川茂雄君) 長谷川茂雄といいます。今日は、意見を述べる機会をいただき、委員の皆様、関係者の皆様にまずはお礼を申し上げたいと思います。
 特に配付資料は用意してありませんが、原稿を用意してきましたので、これを読まさせていただきます。
 今回、改定案が提案されている法案は、高速道路に関わる費用負担の在り方ということかと思いますが、私自身は、研究者でもなく学者でもなく、道路問題に現場で関わってきた一市民ですので、このような立場から意見を述べさせていただきます。
 まずは、建設費の費用負担についてです。
 調査室の方で作られております参考資料の中で、高速道路の整備の経緯という部分で、道路公団による建設方式により順次整備と管理が行われてきたとありますが、これはあたかも民間資金で高速道路の整備が行われてきたような印象を与えていますが、実態はそうではないということをまず指摘したいと思います。
 高速道路整備が発表されてきた現場でも、当初は、道路公団による民間資金で整備するといった説明がされてきました。しかし、実際には資金のほとんどを税金によって賄う整備計画で、このような整備方法を合併施行方式と説明されてきています。このようなときに国が負担する費用負担部分については直轄事業、道路公団の民営化後は新直轄事業というふうに呼ばれています。
 資料の四ページで取り上げられています東京外環道もこの合併施行方式の一例ですが、この東京外環道の当初費用、事業費は一兆二千八百二十億円でした。このうち道路会社が負担する有料道路事業分が二千四百六十三億円、国が負担する直轄事業分が一兆三百五十七億円です。事業費の八割は税金で整備するということです。
 そもそも、完成後に民間会社の所有物として管理運営される設備、民営化後は機構の所有ということですが、そのほとんどを税金で賄うことが果たして適切で妥当なのか、また国民の理解を得られるのかは大きな問題だと感じています。
 私たちは、道路住民運動連絡会は四十七年に今年なりますが、先輩たちの時代から、このような合併施行方式について、薄皮まんじゅう方式は断じて容認できないと批判してきました。薄皮まんじゅう方式といいますのは、その言葉どおり、外側の部分の負担が民間会社、実際の中身のほとんどを税金で賄うことをやゆして表現したものですが、まあ言い得て妙ですが、実態をよく表した表現だと思います。
 また、この東京外環道は、その後、国土交通省で数回、事業再評価が行われています。二〇二〇年の再評価の時点では事業費が二兆三千五百七十五億円と当初費用の約二倍になっており、費用対効果、BバイCは一・〇一です。
 東京外環道では、地中拡幅部という地下のトンネルから地上のインターチェンジに向かう部分については、過去に例のない難工事の直径約四十メートルから六十メートルの強固な構造物として工事、施工するということが発表されており、二〇二〇年の再評価では、この部分の事業費として約五千三百億円がプラスされております。果たしてこのような難工事をきちんとできるのか、費用は現在発表されている額で本当に収まるのかには私たちは大きな疑問を抱いています。外環道全体の事業費は、これまで発表されている額では収まらないのではないかというふうに考えています。今後費用が増えていけば、費用対効果、BバイCは一以下になることは確実ですが、これらの増え続ける費用負担について、NEXCO各社が負担するのか、それとも国が負担するのかは、国交省はいまだに正確には発表しておりません。
 この費用対効果については、衆議院の参考人質疑で上岡直見さんも指摘されておりました。圏央道横浜環状南線では、費用対効果が一以下になったけども見直されていないということを指摘されております。
 国の方針では、費用対効果が一以下になったら事業は中止か見直しをすることになっていたのではないかということを述べたいと思います。これは、二〇〇九年頃の国会の答弁で、当時の大臣が費用対効果について質問された際に、一以下になったら見直しや凍結をするというふうに何度も述べられていましたので、国の方針としてはそうなのではないかということを述べたいと思います。
 この見直しに関連しまして、高規格幹線道路及び地域高規格道路の今後の見通しやその在り方について幾つか意見を述べたいと思います。
 高規格幹線道路については、参考資料の中にも表や図などを使って多くの資料があります。一方、地域高規格道路というのは、高規格幹線道路を補完する役割を果たすという位置付けで路線が指定されております。道路構造は、どちらも片側二車線、往復四車線の道路構造を基本とするという方針が打ち出されており、自動車専用道路として整備するということが方針とされています。
 ところで、この二つの道路計画でまだ整備されていない延長距離は、高規格幹線道路が一万四千キロ中の約千二百キロ、地域高規格道路が計画延長七千キロのうち約三千九百キロだというふうに思います。この二つの残された区間について今後は誰が費用を負担して整備するのかということは明らかにされておりませんが、例えばこの未整備部分を全て今後造ると仮定した場合、幾ら費用が掛かるのかを試算してみました。この試算の基は、外環道と同時期に事業化された名古屋の環状二号線の一キロ当たりの費用負担を、事業費を目安にしております。そうしますと、高規格幹線道路にはあと約十三兆二千億円、地域高規格道路については約三十四兆一千億円が必要になってくると。これは、十キロ当たりで約千百億円掛かるという想定で試算しております。
 なぜこのような試算をしたのかということですが、国が高規格幹線道路、地域高規格道路も全てを造るという方針で現場で対応しているからであります。私たち住民としては、何十年も前に計画されたものが、何十年もたった後、突然降って湧いたように計画が押し付けられることに異議を唱えてきました。社会経済環境が変わっていく中では、適切にそのときの時代の変化に合わせて見直しをすべきではないかというふうに要望を何度も国に要請してきました。
 その要望を届けるということで、数年前に国土交通省の高規格幹線道路の担当者と面談しました。担当者は何と言ったか。一九八七年に高規格幹線道路について決定しました、四全総ですね、これらは全国に道路網整備をするという国民に対する公約ですので、見直しなどは全く考えていませんと胸を張って述べられました。
 そうすると、参議院の委員会で今回大臣が、事業化の際には客観的な評価を行うという発言をされているようですけれども、これとも整合性が取れていないと。さらに、先ほど述べました二〇〇九年頃の費用対効果が一以下になったら見直しや凍結をするということとも整合性取れないということを指摘したいと思います。
 先ほど試算した合計四十七兆円の未整備区間の仮の費用ですけども、これが今回提案されているスキームの中に組み込まれるのかどうかということについては、私はよく分かりません。しかし、この未整備区間を例えば造るのであれば、きちんと誰がいつ負担するのかということを透明性のある検討会などで、事前の情報公開も徹底させて、住民の意見も反映させるという仕組みもつくった上で検討していただきたいというふうに思います。
 そして、このような費用負担の検討の前に、まずは本当にその計画路線が今後の将来を見据えた上で必要なのかどうかということも、今回五月に大臣が発言された客観的な事業評価できちんと検証していただくことを願っています。
 最後に、今回の料金徴収を二一一五年まで延長するという件について、二つの視点から意見を述べさせていただきます。
 一点目は、今後の将来見通しという視点です。これは、先ほど述べた高規格幹線道路などの在り方についても考える際に前提として考えるべき情報と内容ではないかというふうに考えています。
 今月五月八日に、将来人口推計値の最終統計が発表になりました。それによれば、今後、我が国の人口は、二〇二〇年の一億二千六百十五万人から二〇七〇年には八千七百万人に減少し、高齢化も進行し、六十五歳以上人口割合は、二〇二〇年の二八・六%から一貫して上昇し、二〇七〇年には三八・七%へと増加するということです。
 そして、もう一つの将来に関する推計についていうと、これは日本経済の経済活動全体にも関わりがあるというふうに思いますが、将来交通需要推計です。交通センサスの統計などでも同じような傾向を示していますが、国土交通省が過去に発表したデータなども同じです。平成十七年頃をピークにして、全国的に交通量は減少し続けています。
 この二つの推計から何が分かるかということを私なりに意見を述べたいと思います。少なくとも今後、日本経済や国民生活維持に必要なインフラ整備の必要性や緊急性は非常に乏しいのではないかと。これは、言い方を変えれば、高度経済成長時代とは全く違った将来を今後私たちは迎えることになるのではないかということを述べたいと思います。
 また、先ほど紹介した人口将来推計についてですけども、これは二〇七〇年までのものしか推計値としては公式に発表しておりません。ということは、二〇二三年の今日時点で二一〇〇年までの数字を出すのは非常に根拠が乏しく不確実性が高いということで、せいぜい五十年先ぐらいまでしかデータを発表していないのだというふうに私は理解しています。
 こういうふうに考えてみますと、今回提案されているものが二一一五年まで、九十五年先まで何かを決めたいということは、これはちょっと理解できないということを正直に申し上げたいと思います。これは例えて言えば、昨日や今日生まれたばかりの赤ちゃんに、将来年金を受け取る時代まで大人たちの借金を背負ってくださいということを我々世代が決めてしまうような非常に愚かな決定になるのではないかということを指摘したいと思います。
 そして、もう一つの重要な点について指摘しなければなりません。これは、今回提案されている参考資料を見ましたけども、全体の収支や費用見通しが全く分からないということを指摘したいと思います。
 衆議院での審議では、五年ごとの調査で一・五兆円が新たに必要になったと、あるいは更新が必要となる蓋然性が高い箇所の事業費が六・八兆円になったということが示されているようですが、五年ごとにやった調査はまだ半分だけということですので、じゃ、残りの半分も含めた維持更新の費用は全体でどれぐらいになるのかということは全く分かりません。
 更に言うと、機構やNEXCO各社の収支状況、あるいは今後の維持補修の見通しの推移、肝腎の高速道路料金の徴収推移や今後の見通し、そして新規事業の費用負担に関する計画なども全く分かりません。
 このように、今回提案されている資料を細かく全部見ても、料金徴収を延期しなければいけないという根拠が全く分かりません。このような事態は、国会の皆さんの用語で言うと、立法事実が不明であるということになるのではないかというふうに理解しています。
 このような状態で料金徴収を九十年後まで認めてくれとどうして提案できるのかも理解できません。マスメディアでは、日本経済新聞やNHKなどが国は高速道路の料金無料化を投げ出したというふうに報道しておりますが、これは私たち、今述べたような国民の感情を素直に表現した報道だというふうに理解しています。
 最後に、持続可能な社会構造への転換の必要について意見を述べさせていただきます。
 過去半世紀の国のいびつな政策誘導で、国の、日本の全体の物流は、トラック輸送などの貨物輸送に偏った経済社会構造になってしまっています。地球温暖化進行の中で、世界中のどこでもCO2排出削減は待ったなしで、ヨーロッパでは自動車をEV車へ転換するということが進んでいます。ところが、日本では、ガソリン燃焼を含むハイブリッド車を温暖化対策として推進している間違った政策が取られています。確かに、自動車から排出されるCO2は全体の十数%で大きくはありませんが、少なくともきちんとCO2排出を削減するということを行うのは、将来世代への私たちの責務だというふうに考えています。
 自動車交通量全体を減らしてCO2の排出削減を進め、そして、物流の基本は鉄道輸送などに転換し、また、ターミナルからの配送用には自動車はEV車を使う、このような形で温暖化対策も含めた持続可能な社会構造への転換を求めることを要望して、発言を終わります。
 ありがとうございます。

発言情報

speech_id: 121114319X01420230523_007

発言者: 長谷川茂雄

speaker_id: 2939

日付: 2023-05-23

院: 参議院

会議名: 国土交通委員会