纐纈厚の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(纐纈厚君) 勝部議員、御質問ありがとうございます。二点、御質問いただきました。
 最初に御案内いただきましたのは、一九八一年、私がまだ二十九歳のときに書きました「総力戦体制研究」、サブタイトルが日本陸軍の国家総動員構想という本でございます。そこで、初めて戦前のいわゆる軍国主義、あるいはファシズムというものが、そういう抽象論ではなくて具体的な形態を伴って日本が国家総動員体制を取り、そして最終的には敗戦の憂き目に遭うような戦争国家になっていったというそのプロセスを実証した本が「総力戦体制研究」であったわけでございます。
 そういう意味で、そこに書きましたことを一つだけ取り上げてみたいと思いますけれども、一九一八年、これは大正七年になりますけれども、軍需工業動員法という法律が制定されました。これは、一口で言ってしまえば軍需と民需をワンセットにする、一体化をする、つまり軍工廠だけでは、つまり官営工場だけでは武器生産等々が不可能であったために、戦争国家にしていくためにはいわゆる民間企業にもいわゆる武器生産を委託するという、いわゆる官民合同と当時言っておりました。
 つまり、現在はそういう方向性を今たどりつつあるのではないかという、議員もそういう御懸念を表明されましたけれども、私も全く同感でありまして、いずれ軍需と民需が日本でも軍産複合体という形で一体化をし、これが非常に大きな政治的な役割も、経済的な役割のみならず、政治的にも経済的にも、そして更にもう軍事的にも、ある意味では大きな権力構造をつくり上げていくのではないかという、そういう怖さを私は今ひしひしと感じておりまして、そういう方向性を、今、いよいよもって今回の三文書によってその道筋がつくられてしまったと。これは、もうある意味では一生懸命それをつくられた方々には大変失礼な言い方かもしれませんけども、そういういわゆる軍国日本への先祖返りのような可能性というものを、私は歴史研究者ですから、どうしてもそういう方向に目が向いてしまいます。
 だけども、これは、やはり私は自信を持って、そういう方向性の中に今、日本はたどりつつあるんだということを、ある意味では一研究者としては警鐘を乱打させていただきたいなというふうに思っています。
 ならば、二点目の御質問でございます。
 今後、防衛力に頼らない日本の平和力の構築、展開というものはどういうものがあるかと。先ほど最後の方に少し申し上げましたけれども、やはりこのアジア地帯に平和共同体というものをやはりつくり上げていく。そのためには、ただ単に中国や朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮という言葉ではなくて、私、朝鮮という言葉を使いますけれども、そういったものを非常に排除的、あるいは外側に追いやるのではなくて、やっぱり抱き込むような形で、やはりそこはいろんな矛盾、いろんな困難性を抱えながら、文字どおり外交力によって十分に担保できる領域だというように私は思っておりますし、日本の外交力というものは、大変レベルの高い外交官僚の皆さん方おられますので、民間の有識者等々含めまして英知を集めて、防衛力に頼らない平和安全構想というものをやはりつくり上げていくということが、今本当に多くの方々もそれを実は望んでおられます。それに代わる法律、代わる政策というものが、積極的な法律が、政策が提言ができないがために、今ある流れというものになかなかさお差せないという状況下にあると思います。
 そういうためにも、私は、平和共同体構想というものを、学界という狭い領域だけではなくて、政界、財界含めて広めていかなければいけないというふうに思っております。
 大変抽象的なお答えですけれども、以上でございます。

発言情報

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発言者: 纐纈厚

speaker_id: 11235

日付: 2023-06-01

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会