仁比聡平の発言 (法務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
断固として、この委員会の審議終局は許されないし、政府案の強行採決は絶対に許されない。日本共産党を代表して、断固反対の討論を申し上げたいと思いますが、野党対案、一体どうなるんですか。
この参議院の法務委員会の審議で、野党対案も一括して審議をする中で、政府案の立法事実に、その、しかも根本部分に関わる重大な問題が次々と噴き上げているのに、それをそのままにして、蓋をして、大臣、いかにも憮然としておられるけれど、このまま終局、採決なんてあり得ない。先ほど委員長が職権で終局を宣言したこと自体が私は国会の自殺に等しいと思います。
数で決めてはならないことがあるんですよ。確かに、自民党、公明党、そして法案に賛成する会派の方々の数はこの委員会において多いです。ですが、数で決めてはならないことがあるのではありませんか。だから、昨晩も、国会正門前に四千人もの方々が連日の抗議行動で集まられました。月曜日には五千五百人。そうした声が、大臣と、そしてこの国会に突き付けられている。なぜですか。
昨日、大臣の問責決議案を否決する本会議の中で、公明党の谷合議員が、大臣を問責するべきじゃないという理由を、どんな質問にも真摯に答えてこられたと、そうおっしゃいましたが、私に関して言うと、議事録を振り返れば、大臣が、何度も私が問うのに手を挙げようとせず、座ったまま、答弁をされなかったという場面が幾つもありました。そして、その場面というのは、私が今週の本会議で、入管の闇、民主主義が届かない入管の闇を暴こうとする質問について、入管庁の方を見るばかりで、大臣自身の認識、答えてこられなかったじゃないですか。この入管行政というのは一体何ですか。
私が委員会審議振り返って最も象徴的だと思うのは、五月十八日の入管庁西山次長の答弁でした。
野党対案の発議者木村英子議員が、密室での虐待、入管収容の人権侵害性を強く訴える、私は、そういう入管収容は、身体の自由、人身の自由を奪うものであって、今回の政府案が、違反調査のための捜索などについては令状主義を充実させる、裁判所の審査を受けるとしながら、なぜ人身の自由、人を拘束するのに令状要らないと言うのかというその問いに対して、入管庁、こう答えたでしょう。今話をしているのは送還の問題だと。それは、国家にとって好ましくない外国人の在留を禁止し、強制的に国外に退去させること、すなわち国家の主権に関わる問題として、本質的に行政権に分類される、そう気色ばんで、声を荒げて、この場で答弁したじゃないですか。行政権、本質的に行政権だ、だから裁判所の審査なんか許さないと、それが入管庁の民主主義が届かない闇じゃないですか。
その人権侵害構造の中で、二〇〇七年以来だけでも、十八件もの、十八人もの方々が入管収容所で命を落とされてきた。そのお一人であるウィシュマ・サンダマリさんの御遺族がこの委員会室に遺影を携えられて傍聴しておられるのは、こんな政府案をこのまま通して成立をさせれば、次のウィシュマさんが生まれてしまうからですよ。絶対にそんなことは許されない。
先ほど石川議員が指摘をされたとおり、この参議院審議を通じて、非正規滞在の当事者の皆さんと、そして保護と共生をこそ願う市民の皆さんの連帯、手をつなぐ力というのは本当に大きくなってきたと思います。私たちの野党対案は、その声を実現をさせるために真剣な議論を尽くした上で提出をされ、この委員会でも審議をされてきました。この方向にこそ、差別と排斥ではなく保護と共生をという国際条約の要請に応える私たちの社会の希望の道があるのではありませんか。これをこんな形で強引に打ち切って政府案を強行させる、強行するということは断じて許されません。
阿部浩己参考人は、国家の利益を中心に据えた二十世紀の国際法でなく、人間の利益を中心に据えた二十一世紀の国際法の在り方をしっかり反映させた形で入管法が見直されることを念じていますと述べたではありませんか。
大臣の答弁が、その根幹部分において衆参の審議を通じて揺らぎ、そして崩れ去ってきた。とりわけ、この一週間、重要な問題について新たな事実が発覚し、委員会審議は行われないまま、けれども、その実態が次々と明らかになる中で、大臣自身が答弁をしてこられたことが事実に基づかないものであったということが既に明らかになっているんですよ。
自民党、公明党の皆さん、だから審議を強引に打ち切るんじゃありませんか。本来だったら、職権採決などに及ぶのではなく、それを撤回して審議を続けるというのが当然のことであり、性刑法を始めとした成立をさせるべき法案は先に審議をして、この入管政府改悪案は廃案にするというのが当然の国会のやるべきことなのではありませんか。
今日のこの委員会が始まる前の理事会で、私にとっては初めて聞く重大な事実が明らかになりました。それは、石川大我議員が政府参考人として出席要求をされ、与党が否決をされ、認められなかった大阪入管の常勤医師に関わる問題です。出席を認められない理由として、自民党の福岡筆頭理事は、個人情報に、失礼しました、出頭を認められないだけではなく、個人名を明らかにできない理由として、それは個人情報に関わる問題であるとともに、当該医師が自らの非を認めておらず、訴訟の可能性があるからだという発言なんですね。
この一週間、大臣が訴訟のリスクがあると述べてこられたことは私も承知をしています。それが一体何を意味するのか、一体誰が、どんな訴訟を起こそうというのか、日本中で大きな疑問ありましたけれども、つまり医師は自らの非を認めていない、だから訴訟の可能性があるんですね。
大臣は、これまでの国会答弁において、ウィシュマさんの事件やあるいはカメルーン男性の牛久での死亡事件に関わって、社会一般の医療を提供する入管には義務がある、救急搬送する義務があったなどの事態を受けて改善策に取り組んでいる、そしてその効果は上がっていますと答弁してきたではありませんか。効果が上がっているどころか、全く逆だったと。
昨年の七月のこの大阪入管の医師の採用以来、遅くとも九月以降、入管の被収容者がこの医師の暴言やそして不適切な投薬によって逆に症状が悪化し、そうした中で複数の被収容者からこの医師の解任を求める、そうした声が入管当局に少なくとも上がっていたはず。大臣はそれも含めて御存じだったのではありませんか。
一月の二十日、この事件が起こったときは、私たちのこの通常国会の、通常国会の召集が迫っていた時期でした。一月二十三日召集の、一月二十三日召集の国会に向けて、入管庁と法務省は、この入管法政府改悪案の再提出の意思を示しながら、どんな法案になるのかと私が聞いても全く答えようとしませんでした。一月の二十日にこういう事態まで起こって、これが発覚をしてしまったら、恐らく与党審査やっていたんでしょう、医療施策の改善をすると、その担保を取らなければ再提出なんかできなかったはずなのに。だから、これを入管も、そして大臣、いつ知ったのか分かりませんけど、隠し続けられたのではありませんか。
与党の皆さんは、衆議院、参議院、あるいはその前の与党審査も含めて、入管庁の闇の中で、民主主義が届かないこれまでの入管行政の下で、真実を知らされてこなかったんだということを自らの胸に本当に深く問いかけるべきではありませんか。
今からの採決など絶対にあり得ない、あり得ないですよ。今からでも、委員長、質疑を再開しようじゃありませんか。職権終局を撤回をしてください。
法務大臣は、今からでも遅くない、法案を撤回すると、その決断をされなければ、今も国会を包囲している、傍聴席にもいらっしゃいますけれど、当事者や支援の皆さんの思いを断ち切ってしまうことになる。大臣が真剣に前向きに検討したいとおっしゃってきた、日本で生まれ育った子供たちのその家族の生活も思いもばらばらにしてしまうことになるんですよ。お父さんだけが、お母さんだけが強制送還され、子供たちが引き離される、法的にそういうことになってしまうじゃないですか、この法案成立させたら。絶対に許されないことなんです。
だからこそ、法案を撤回し、共生への希望を開いていくために徹底した審議を更に尽くすということを強く求めて、私の討論を終わります。