岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 芳賀道也議員の御質問にお答えいたします。
防衛力強化のための税制措置と賃上げについてお尋ねがありました。
防衛力強化と経済対策に対する考え方、これはよく整理して論ずる必要があると考えています。
私は一貫して経済あっての財政との立場であり、だからこそ、多額の国債を発行して三十九兆円の総合経済対策を講じ、足下の物価高、円安への対策、構造的賃上げに向けた支援、七兆円の投資支援などを盛り込んだところです。
賃上げは経済運営政策の最重要課題であり、労働市場改革を通じて、構造的な賃上げの実現に全力で取り組んでまいります。
他方、国民の命、暮らし、事業を守るために我が国の防衛力を抜本強化するためには、責任ある財源を考えるべきであり、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が対応すべきものであると考えております。
今般、法人税の御負担をお願いすることとしておりますが、その際にも、中小企業への配慮を大幅に強化し、全法人の九四%は対象外としています。
防衛力強化は、シーレーン確保、サプライチェーンの維持、抑止力強化による市場攪乱リスクの低減など、円滑な経済活動に直接資する面も多く、御理解をいただきたいと考えております。
賃上げのための政策についてお尋ねがありました。
賃上げ自体は、各企業の支払能力を踏まえながら、個別に労使が交渉し、合意した上で決定されるものですが、成長と分配の好循環の実現に向け、民間だけに任せることなく、国も政策を総動員して、賃上げに向けた環境整備に取り組んでまいります。
まずは、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃金引上げに取り組んでいただきたいと考えております。政府としても、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加えて、公的セクター、あるいは政府調達に参加する企業で働く方の賃金引上げなどに取り組んでまいります。
さらに、意欲ある個人の能力を最大限生かしながら、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げにつながる構造的賃上げを実現すべく、意欲ある個人に対するリスキリングによる能力向上支援、職務に応じてスキルが適正に評価され、賃上げに反映される日本型の職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動を進める、こうした三位一体の労働市場改革に官民連携で着実に取り組んでまいります。
そして、中小企業や農家、畜産農家の収益向上と年金水準についてお尋ねがありました。
物価高騰が長引く中、中小企業や農家を含めた賃上げや所得増を実現するためには、中小企業や農家の収益を上げることが必要です。
具体的には、中小企業における賃上げ実現に向け、ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金など、令和四年度補正予算に盛り込んだ施策の早期執行を通じて、生産性向上などへの支援を一層強化していきます。さらに、中小企業が継続的に賃上げできる環境整備に向けて、下請取引の適正化、そして価格転嫁を促進してまいります。
また、農業については、足下の肥料、飼料の高騰に伴う生産コスト抑制対策や国産化を進めつつ、スマート農業や、更なる輸出拡大支援などによって、稼げる産業とすることを目指してまいります。
年金については、長期的な給付と負担のバランスを確保することで将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みの下で着実に支給してまいります。同時に、年金受給者を含め、住民税非課税世帯への五万円給付など、物価高対策をきめ細かく講じてまいります。
電気料金への支援についてお尋ねがありました。
電気料金支援の水準については、春以降に想定される全国の御家庭における平均的な負担増が二割程度と見込まれることを踏まえて、その水準と同程度の引下げとしています。これまでに引上げ、失礼、値上げ申請があった六社の申請値上げ幅は電力会社ごとに異なっておりますが、今回の電気料金支援を行うに当たっては、公平性や迅速性の観点から全国一律の値下げ幅とし、かつ一月に前倒しして値下げを実施することとしたものです。
また、昨年九月の物価対策において措置をした電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金では、自治体の判断により地域の事情を踏まえたきめ細かい対応ができることとしており、例えば、山形県内でも、この交付金を活用して農業や製造業、介護サービスなど向けの電気代支援等、様々な対策が行われていると認識をしております。
政府としては、まずは電気料金の値引き支援を需要家に確実にお届けできるよう、予算執行に取り組みます。その上で、今後も経済状況を注視し、必要な政策対応にちゅうちょなく取り組んでいきます。
そして、防衛費に関する議論の在り方についてお尋ねがありました。
防衛力の抜本的強化に当たっては、その具体的内容、予算、財源を一体的に国民にお示しするとの方針を、昨年の通常国会から、そして会見でも一貫して申し上げてきました。
その方針に沿って、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチーム、与党税制調査会など、活発な議論を積み重ねてきました。御党からも安全保障政策に関する御提言をいただき、大いに参考にさせていただきました。
その集大成として、政府・与党としての方針を三文書や税制改正大綱の閣議決定の形でお示しをしました。議院内閣制の下では政府・与党が国政を預かっており、まずは政府・与党において一年以上にわたる丁寧なプロセスを経て方針を決定いたしました。進め方に問題があったとは考えておりません。
政府・与党の決定を踏まえて、今国会に令和五年度予算を提出したほか、防衛財源確保法案の提出を予定しており、与野党との活発な国会論戦を行っていきます。それによって更に国民の皆様への丁寧な説明も行ってまいりたいと考えております。
そして、希望につながるメッセージについてお尋ねがありました。
危機のときこそ希望につながるリーダーのメッセージが大切であるという御指摘については、私も同感であります。だからこそ、今回の施政方針演説の最後に、国民の皆さんへのメッセージとして、日本国、日本全国の皆さんが輝ける、未来に希望を持てる、そんな日本をつくっていきたいと思う、こうした趣旨を申し上げました。
私が取り組んでいる賃上げと、投資と改革による経済の好循環の実現、さらには、子ども・子育て政策の強化、女性、若者、地方の力を引き出す政策、いずれもこの国を未来に希望を持てる国としていくための取組であると考えています。
これからも、先送りできない難しい課題に正面から愚直に立ち向かい、一つ一つ答えを出していくことで、この国を未来に希望が持てる国としていきたいと考えております。
十万円のインフレ手当についてお尋ねがありました。
政府は、これまで、物価高の主因たるエネルギー、食料品等に的を絞り、きめ細やかな政策を実施してきました。
特に、家計への影響が大きい低所得世帯に対しては、昨年六月から低所得の子育て世帯に対し児童一人当たり五万円を給付し、昨年十月頃から住民税非課税世帯への五万円給付が開始され、現時点で対象世帯の約七割に給付金が支給されています。さらに、非課税世帯以外の低所得世帯への直接給付も可能な地方向けの交付金を創設するなど、重層的な支援策を切れ目なく講じてきました。
また、現金給付以外にも、電気・ガス料金上昇の負担緩和策によって、今月使用分より家庭において電気料金の二割程度を値引きすることなどにより、九月までに四・五万円程度、エネルギー価格高騰の負担を直接的に軽減をいたします。
こうしたきめ細やかな対応を迅速かつ着実に実行することで、物価高から国民生活を守っていきたいと考えております。
そして、新型コロナ対策の専門家会議の委員と、技術系職員の増員、ポスト増についてお尋ねがありました。
新型コロナ対策の専門家会議の委員については、内閣に設置する新型インフルエンザ等対策推進会議やその分科会、また厚生省のアドバイザリーボードにおいて、これまでも呼吸器内科医等の臨床現場について知見を有する方に委員をお願いするなど、適切な人選を行ってきました。
また、科学技術立国の実現を目指し、行政を推進するに当たって、科学技術の視点を持つということ、これは委員御指摘のように重要であると認識をしており、岸田政権では新たに総理直属の科学技術顧問を置くこととしたところであります。
このような科学技術顧問の助言もいただくとともに、各省庁においてもこのような視点を大事にしながら、技術系職員を始めとした多様な能力を持つ人材を確保、育成し、職種にとらわれない適材適所の人材配置、幹部登用を図るべき、適切に取り組んでまいりたいと考えます。
そして、人口減少、少子化に対する受け止めと子供予算の増額についてお尋ねがありました。
急速に進展する少子化により、昨年の出生数は八十万人を割り込むと見込まれ、我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれています。子ども・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りを許されない課題であると考えております。
子ども・子育て政策は最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面はもちろんのこと、地域社会や企業の在り方も含めて社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化します。そして、その内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら社会全体でどのように安定的に支えていくか、これを考えてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕