岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 水岡俊一議員の御質問にお答えいたします。
まず、岸田内閣の政治姿勢についてお尋ねがありました。
確かに、民主主義の基盤と言える選挙の投票率が近年低い水準で推移してきたのは事実です。その理由については様々な事情が影響するものと考えますが、投票しなかった理由に、そもそも選挙に関心がないことを挙げた割合が高いという調査結果もあり、大変憂慮すべきことであると考えます。
こうした中、国民の政治への関心を高めるために、政府の立場から我々が熱意と誠意を持って国会で政策を語ることはもちろん、また、各政党が具体的な政策の違いを国民の前に明らかにし、建設的な議論を行うことが重要であると考えます。だからこそ、施政方針演説の中で、政府・与党として決断した方針や決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において国民の前で正々堂々議論したいと決意を申し上げました。
歴史の転換点を迎える中、乗り越えなければならない難しい課題が山積をしています。そうした課題に正面から愚直に向き合い、一つ一つ乗り越えていく、それが私の基本的な認識であり、演説では、限られた時間の中でそうした様々な課題一つ一つを丁寧に取り上げました。それらの内容が分からなかったということであれば、これからの国会論戦の中で、正々堂々議論を行い、政府として丁寧な説明を尽くしていきたいと思います。
政府と国会の関係についてお尋ねがありました。
施政方針演説の中でも申し上げたとおり、多くの皆様の御協力の下、様々な議論を通じて、慎重の上にも慎重を期して検討をし、それに基づいて決断をした政府の方針や決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において、国民の前で正々堂々議論することは大変重要なことであると考えており、国会での議論をないがしろにするつもりは毛頭ありません。
言うまでもなく、こうした考えは、内閣は行政権の行使について全国民を代表する議員から成る国会に対して連帯して責任を負う旨の憲法や内閣法の規定の趣旨に沿ったものであると考えております。
参議院における決算審議の予算への反映等についてお尋ねがありました。
参議院におかれては、これまでも決算審議の充実に力を入れていただいており、そうした参議院の議決内容や決算結果を予算編成作業に適切に反映し、予算の効率的かつ適切な執行につなげていくこと、重要であると考えております。
また、これまでの参議院における決算審議に対する改革を踏まえ、決算の早期提出などに取り組んでおり、令和三年度決算については、昨年十一月に国会へ提出するとともに、令和五年度予算編成等に反映してきたところです。
提出した決算を御審議いただく具体的な日程等は国会においてお決めいただくものと承知しておりますが、いずれにせよ、政府としては、引き続き、決算書類の早期提出、そして決算結果の予算への反映に努めてまいります。
そして、我が国の安全保障政策についてお尋ねがありました。
三文書に基づく取組は、我が国の安全保障政策の大転換であると考えていますが、あくまで憲法、国際法の範囲内で行うものです。平和国家としての歩みを維持するとの方針は三文書が前提としているものであり、矛盾するとは考えておりません。
敵基地攻撃は専守防衛を逸脱するものとの議論がなされていることは承知しておりますが、反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、専守防衛から逸脱するものではありません。
三文書については、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチームなどで活発な議論を積み重ねてきました。その集大成として、政府・与党としての方針を三文書の閣議決定の形でお示しをしました。
議院内閣制の下では政権与党が国政を預かっており、まずは政府・与党において、一年以上にわたる丁寧なプロセスを経て方針を決定しました。その過程において、国会においてもできるだけ丁寧な説明を心掛けてきました。進め方に問題があったとは考えてはおりません。政府・与党の決定を踏まえて今国会に令和五年度予算を提出しており、与野党との活発な国会論戦を行ってまいります。
そして、三文書で示した施策により自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで武力攻撃そのものの可能性を低下させることが重要であると考えており、私が戦争やむなしと考えているということはありません。
我が国の温室効果ガス削減目標など、気候変動対策についてお尋ねがありました。
我が国は、パリ協定の一・五度目標と整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減を掲げています。
我が国の目標は、カーボンニュートラルに向けた削減ペースで見れば、欧米との比較においても野心的なものであり、堅持をいたします。
我が国の温室効果ガスの総排出量は、直近の二〇二〇年度で十一億五千万トン、二〇一三年度比では一八・四%の減少となっており、目標に向けた削減ペースをおおむね達成をしています。
大切なことは、目標を設定した以上は、新たな技術を実用化するイノベーションを生み出し、しっかりと目標を実現することです。
目標実現に向けた取組を加速化するために進めているのが、脱炭素とエネルギー安定供給、そして経済成長、この三つを同時に実現するGXです。
昨年末にGX実現に向けた基本方針を取りまとめたところであり、この方針については、今後各地で開催する説明会などを活用して、国民各界各層からの声に直接耳を傾けてまいります。
本方針を踏まえ、今後十年間で百五十兆円超の投資を引き出す成長志向型カーボンプライシング、国による二十兆円規模の先行投資の枠組みを新たに設け、予見可能性を高めながら企業の投資を誘引していく、このための法案を今国会に提出をいたします。
官民の持てる力を総動員し、GXという経済、社会、産業、地域の大変革に挑戦をしてまいります。
日本学術会議の在り方の見直しについてお尋ねがありました。
グローバル社会が直面している地球規模の課題や新興技術と社会との関係に関する課題など、政策立案に科学的な知見を取り入れていく必要がこれまで以上に高まっています。
このため、学術会議には、中長期的で俯瞰的かつ分野横断的な課題に関し、広く社会と問題意識や時間軸等を共有しつつ、時宜を得た質の高い科学的助言を行うことが期待をされています。
ここでいう問題意識等の共有とは、政府等との結論の共有を求めるものではありません。学術的観点に立って、政府とは異なる立場から科学的知見を提供していただくことはもとより重要です。
一方で、学術会議が政府等への科学的助言を公務として行うことを役割とし、国費が投入される機関である以上は、受け手側の問題意識、あるいは時間軸や現実に存在する様々な制約等を十分に踏まえながら審議等を行っていただく必要があると考えております。
法案の具体的な内容については検討中ですが、学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるためには、徹底した透明化、ガバナンス機能の強化、これが必要です。また、対話機能の強化、科学的助言機能の強化、会員選考における透明性の向上を始め学術会議自らの改革の成果も着実に法律に取り込みつつ、また政府の考え方を学術会議に丁寧に説明をしながら、更なる改革、加速させていきたいと考えております。
そして、少子化対策についてお尋ねがありました。
子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。個々の政策の内容や規模面が重要であるということはもちろんでありますが、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども・子育てを応援するような社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する、こうした次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
まずは、こども政策担当大臣の下、今の社会において必要とされる子ども・子育て政策の内容を具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示をいたします。
そして、なお、選択的夫婦別氏制度の導入については、現在でも国民の間に様々な意見があることから、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると感じています。また、同性婚制度の導入については、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えております。
そして、新型コロナの類型見直しと国際クルーズ受入れ再開についてお尋ねがありました。
新型コロナについては、原則、この春、「新型インフルエンザ等」から外し、新たな類型を設けるのではなく五類感染症とする方向で議論を進めます。そして、その際、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策、措置の対応について、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要であると考えており、具体的な内容について検討、調整を進めます。
国際クルーズ受入れ再開については、国土交通省において、クルーズの安全・安心の確保に関する専門家会議での検討結果を取りまとめた上で、関係業界と検討を重ねてきました。
先般、業界団体が作成した感染拡大予防ガイドラインについて、関係省庁において専門家の意見を確認し、安全対策が取られていると判断できたため、昨年十一月、国土交通省において受入れ再開を公表いたしました。
政府として、引き続き、安心してクルーズを楽しめる環境の確保を図ってまいります。
教師不足への国の対応と文教政策についてお尋ねがありました。
昨年度、文部科学省が行った教師不足に関する調査において、全国の学校における厳しい状況が明らかになったと承知をしており、政府として危機感を持って受け止めております。
このため、国としては、教師のなり手の確保のため、講師等の候補者を集めた人材バンクによる情報提供や、休眠免許等保持者に対する教職への入職支援などの取組を強化してまいります。
また、文教政策については、社会の変化や子供の状況を見据えながら、学校教育の充実発展を図るべく、地域と協働した学校づくりや子供たちの指導に当たる教師の資質向上、そしてGIGAスクール構想の実現などに取り組んでおり、今後とも、子供たち一人一人の多様な個性あるいは能力を最大限に伸ばすよう、教師不足への対応を含め、文教政策、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
そして、障害がある子供の教育に関する勧告や包摂的な経済社会づくりについてお尋ねがありました。
障害者権利委員会の勧告は法的拘束力を有するものではなく、また、各国ごとに様々な制度があるものと承知をしておりますが、御指摘の勧告の障害のある子供を包容する教育を推進すべきとの趣旨については十分受け止め、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めてまいります。
具体的には、障害のある子供の教育については、我が国において特別支援学校等に在籍する子供が増加する中、本人及び保護者の意向を踏まえつつ、特別支援学校、特別支援学級、通常の学級、いずれにおいても障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学べるよう環境整備を進めてまいります。
また、包摂的な経済社会づくりとは、施政方針演説で述べたとおり、老若男女、障害のある方も、ない方も、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会、意欲のある全ての方が、置かれている環境にかかわらず、十全に力を発揮できる社会を目指すものであり、経済活動においても、社会課題の解決と持続的な経済成長を実現していく上で、そうした社会を目指すことは重要であると考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕