本会議

2023-01-26 参議院 全13発言

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会議録情報#0
令和五年一月二十六日(木曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第三号
  令和五年一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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尾辻秀久#1
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十三日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。水岡俊一君。
   〔水岡俊一君登壇、拍手〕
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水岡俊一#2
○水岡俊一君 立憲民主・社民の水岡俊一です。会派を代表して質問いたします。
 総理は、施政方針演説の中で、戦後七十七年がたった今、我々は再び歴史の分岐点に立っているとおっしゃいました。しかし、お話を聞く限り、問題や課題が山積している中、分かれ道のそれぞれの先に何があり、日本は一体どの道を進もうとしているのか全く理解できません。また、これまでの時代の常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンを持ってとも話されましたが、これまでの常識を捨て去る判断は正しいと言い切れるのか、時代を見通すビジョンとは一体どんなものなのか、それらをお示しになるのが施政方針演説なのではありませんか。そうでなければ、国民の代表である国会議員も、テレビ、ラジオ、インターネット、新聞などを通して見聞きする皆さんも、総理の考えておられることがさっぱり分かりません。
 正直なところ、私は、演説をお聞きしてびっくりしました。あれもやる、これも大事、矛盾をはらんでいようが、とにかく何でもかんでもやるというお話で、一つ一つに深まりがなく、総理の意図や本気度が伝わってきませんでした。
 先日、民主主義について書かれたある本を読みました。政治にも政治家にも選挙にも私はまるで興味が持てない、どうでもいい、そう感じてしまう、楽しく笑顔で生活したい人間は近寄らないにこしたことがなさそうだと辛辣な言葉が続きました。これが多くの国民が感じているところだとすると、まさに日本の民主主義は崩壊寸前ではないかと私は身震いしました。
 そこで、最初の質問です。総理は、選挙の投票率が極めて低いことに代表されるように、日本の民主主義が危機的な状況であることを認識されていると思いますが、その原因はどこにあると思われますか。
 続いて、質問二。今こそ、総理始め閣僚が、国民からの信頼を得た上で、熱意と誠意を持って国会で政策を語ることが求められていると考えますが、総理の見解はいかがですか。
 ここで、国会における議論について基本認識を問うておきたいと思います。
 総理は、演説の中で、政府の検討も決断も、政府における議論も国会における議論も全て重要かつ必要であり、それらに等しく全力で取り組むと意思を表明されました。これについては、はっきり申し上げて、憲法の定める議会制民主主義の認識が根本から間違っていると言わざるを得ません。なぜなら、憲法に定められた国民主権に基づき、内閣法第一条二項には、「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う。」とあり、行政権の行使に対する民主的統制の重要性を強調している趣旨に反しているからです。国会審議をせずして、政府が秘密裏に議論、検討し、勝手に決議することは、議院内閣制の下での国会による内閣監督の機能が全く損なわれているわけです。
 そこで、質問三。総理は、政府の議論や決断を国会の議論と同等だと正当化することは憲法と内閣法を犯すことであるとの認識がありますか。岸田政権になってからも、閣議決定を先行させ国会での議論をないがしろにしていることは、国民主権を真っ向から否定していると考えますが、いかがですか。
 続いて、国会の役割という観点で、参議院に対する総理の認識についてお伺いをします。
 二〇〇七年一月三十日、参議院本会議で民主党の輿石東議員会長が次のように述べています。参議院は、時として衆議院のカーボンコピーと呼ばれることがあるが、二院制はほとんどの先進国で採用され、安定した政治のためには欠かすことのできない制度である。今ほど国民生活の全ての分野において税金の使い方、使われ方が問われているときはない。この分野で参議院の果たす役割は大きい。
 これに続く質問で、自民党の青木幹雄議員会長が次のようなことを発言されました。決算審査の強化は、参議院の独自性の観点からのみで主張しているわけではない。深刻化する少子高齢化や財政状況の悪化など様々な課題を克服し、我が国が永続的に発展していくためには、決算を予算に反映させ、行財政執行の適正化を図ることが不可欠と考えるからである。
 このようなやり取りが過去に何度も繰り返され、参議院における決算重視、参議院の存在意義の確認が与野党を超えて展開をされてきました。当時を知る議員も少なくなってきましたが、紛れもない参議院の歴史として刻まれ、その精神は生き続けています。
 そこで、質問四です。改めて、総理から参議院の存在意義についてどのようにお考えであるか、お示しください。
 質問五です。昨年末の臨時国会では、政府・自公政権は、あらゆる追及から逃れたい一心で一刻も早く店じまいをしたいと、従来から参議院で重要視されてきた決算審査の本会議をすっ飛ばして強引に閉会しました。このことにおける総理の責任をどうお考えか、お聞かせください。
 演説の中での矛盾に満ちた説明の典型は防衛力についてです。
 反撃能力の保有や大幅な防衛予算増額など防衛力の抜本的強化をうたいながら、安全保障政策の大転換ですが、憲法、国際法の範囲内で行うものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての我が国としての歩みをいささかも変えるものではないとおっしゃる。これが矛盾でないと誰が言えるでしょう。
 総理が率いる宏池会の重鎮である古賀誠自民党元幹事長は、敵基地攻撃能力を持てば、完全に専守防衛を逸脱してしまうのではないかと警鐘を鳴らしています。かつて内閣で安全保障を担当された柳澤協二元内閣官房副長官補は、台湾問題をめぐって万一有事となった場合は安保法制に従って対応すると総理は言うが、これは事実上参戦するということ、敵基地攻撃、つまりミサイルの撃ち合いという状況で、日本が戦場になると、国民の命を守ることは不可能と、専守防衛からの逸脱について重大な危惧を指摘をしています。
 そこで、質問六です。総理、安全保障政策の大転換と平和国家としての歩みをいささかも変えないことが矛盾しないとすれば、その理由を御説明ください。
 質問七。専守防衛から逸脱するケースを綿密にシミュレーションされているとすれば、逸脱しないポイントはどこにありますか。
 質問八。これほど重大な安全保障政策の転換について、国会に詳しく説明せず、議論する場を設けないまま閣議決定し、広く公表したのはなぜですか。
 質問九。総理は、絶対に戦争はしないという決意と確信がありますか。まさか時と場合によっては戦争もやむなしと考えていることはないでしょう。お答えください。
 さて、地球が誕生してからの四十六億年を四十六年に縮めたとすると、産業革命が始まったのは今から約一分前のことになります。このたった一分間で、人間活動を起因とする温暖化が起こり、人間の様々な需要による開発が世界の森林を破壊し、生物多様性に多大な損害を与えました。人間の罪深さを痛感するところです。
 総理が気候変動対策に関して述べられたのは、もはや待ったなしとなっているのが深刻さを増す気候変動というくだりだけでした。認識の薄さを思い知らされます。一歩でも前進させなくてはならない気候変動対策は排出削減対策の強化であり、今回の通常国会でその立法提案がないことは甚だ疑問です。
 二〇三〇年度に温室効果ガス排出を四六%削減し、さらに五〇%の高みを目指すという目標達成のために、もはや残された時間はありません。立憲民主党では、緻密なデータを分析、シミュレーションして、二〇三〇年六〇%の削減も可能であるとエネルギー転換戦略で提案をしています。
 質問十です。総理、この目標に変わりはありませんか。そして、目標達成の道筋をどのように見通していますか。
 昨年開催されたCOP27の首脳会議で、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、我々は生死を懸けた闘いのさなかであり、しかも敗北しつつある、我々は気候変動の地獄へと向かう高速道路をアクセルを踏んだまま走っていると発言しています。
 二〇三〇年までの重要な十年間は、もう残り七年しかありません。スウェーデンでは昨年、環境・気候問題担当大臣に、史上最年少、二十六歳の女性、ロミーナ・ポルモタリさんが起用されました。思い切った若手起用です。
 立憲民主党は未来世代のための法案も作っており、二〇五〇年代を人生の真っただ中で生きていく今の二十代の人たちを環境行政の中心に据えた将来問題研究チームをつくって、日本の環境行政を進めていくというようなビジョンが必要だと私たちは考えています。
 質問十一です。日本は地獄へ向かうアクセルを踏んだままなのに、総理の頭は思考停止状態ですか。さて、どうします。急ブレーキを踏む判断は付きましたか。気候変動に関する思い切った政策を実行するおつもりはありませんか。
 二〇二〇年秋、日本学術会議会員候補のうち、六人のみの任命を当時の菅政権が理由の説明もなく拒否しました。二年がたった昨年末、日本学術会議に組織改革を求める方針を岸田政権が示しました。私は、この方針文書を一読して、極めて異様だと感じました。それは、A4用紙でたった三枚の文中に、政府等と問題意識や時間軸を共有という文言が四回も出てくるからです。
 何を勘違いしているのでしょうか。そもそも、日本学術会議法には会議の独立性が明記されています。アカデミーは政府の有識者会議や諮問会議ではありません。
 そこで、質問十二です。独立した存在である日本学術会議は、政府等と問題意識や時間軸を常に共有する必要はありません。むしろ、時には異なる目線で課題を提起する必要があると考えますが、総理、いかがですか。
 その後に示された具体化検討案では、今次通常国会で関連法案の提出を目指すことなどが含まれていました。任命拒否問題を機に、日本学術会議は改革方針をまとめ、実行に取り組んでいます。そうした事実を無視し、立法事実もなく拙速な法制化を進めることは認められません。このことは、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章日本学術会議会長も懸念するとおりです。
 質問十三です。学術会議側の進めている改革を実行させずに日本学術会議法の改正を急いで行おうとするのはなぜですか。今回の法改正の根拠となる立法事実をお示しください。
 十七歳から十九歳の若者で将来必ず結婚すると思っているのは僅か一六・五%しかいないという驚くべき結果が、日本財団の行った十八歳意識調査で分かりました。一方、結婚願望について尋ねると、六五%以上があると答えているのです。
 総理、この意味をお考えください。婚姻の自由は憲法で定められており、結婚しないことも自由なので、結婚を押し付ける必要はありません。しかし、若者が結婚をしたいのにできないというのは大きな問題です。
 総理は、年頭の記者会見で、異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代からようやく政府が本気になったと思っていただける構造を実現するべく大胆に検討を進めると述べられました。私は笑ってしまいました。やっぱり政府はまだ本気でなかったのだと誰もが認識したでしょう。そして、いまだに本気だとは思えない。
 異次元の少子化対策という言葉。次元が異なるということは、これまでの小粒で的外れな対策ではなく、例えば多様な家族の在り方を認めない現在の婚姻制度を改めたり、雇用制度などの社会構造やライフスタイルを抜本的に改革するなど、従来とは全く発想を変えてこそ異次元と言えるのではないでしょうか。
 そこで、質問十四です。総理、異次元の少子化対策の異次元とは具体的にどのような意味ですか。少子化対策の一環として、多様な家族の在り方を認めない婚姻制度を改革し、選択的夫婦別姓制度や同性婚を導入する考えはありますか。
 そもそも世の中の皆さんは、これまで最低限の少子化対策すら講じていないのに、一足飛びに異次元なんて信じられないと思っています。子供関連予算がOECDで最低水準であると岸田総理も発言しており、優先して確保するべきは防衛予算より子供予算です。
 そこで、質問十五です。防衛予算は五年間で四十三兆円をと明確です。対して、子ども・子育て予算はいつまでに幾らを投入するつもりでしょうか。もし今示せないとすると、やはり優先順位は子ども・子育てよりも防衛ということでしょうか。総理、お答えください。
 産めよ増やせよは時代錯誤です。政府に少子化で国が滅びると言われて、じゃあ出産しようと思う若者がいるでしょうか。ナンセンスも甚だしい。生きにくい社会に人は増えません。安心して子育てできる環境があれば、子供は自然と増えていきます。
 新型コロナの拡大から約三年。政府は、新型コロナが社会経済活動に制限を掛ける疾病であるため、感染法上の位置付けを変更して五類にする方向で議論を進めることを発表しました。しかし、類型見直しの議論は医学的な見地から慎重に行うべきであり、これまでに得られた医学的データや臨床記録を客観的に検証、分析し、それを基に冷静な判断と対応が求められます。
 そこで、質問十六です。二類、五類の二者択一ではなく、新型コロナに合った類型を考えるべきとの指摘がありますが、総理のお考えをお聞かせください。
 質問十七。政府が国際クルーズ客船の受入れを再開しました。二〇二〇年に発生したダイヤモンド・プリンセス号の集団感染を重く受け止める上で、クルーズ客船の受入れ再開をどのような場で議論し、どのような判断で認めることになったのか、御説明ください。
 全国の学校で教員不足が深刻です。政府の無策により働き方改革が進まない中、二一年度病気休職者は過去最高の八千三百十四名に上り、心の病で一か月以上休んだ教員は何と一万人を超えているのです。
 沖縄のとある小学校でついに信じられない出来事が起こりました。病気で休まれた先生の代わりを見付けられないことから、一年生の一クラスを閉鎖することとなったのです。年度途中の学級解散でクラスは解体され、子供たちは他のクラスへ割り振られました。子供たちのショックはどれほどであったか、想像するだけで胸が締め付けられます。各地でこのような事態が起きてしまうほど教員不足は深刻です。
 総理は教職員の処遇見直しを通じた質の向上と述べておられますが、質どころか、そもそも教員がいない状態です。
 そこで、質問十八です。各自治体は教職員を何とか確保しようとしていますが、焼け石に水の状態。地方自治体に責任を押し付けている場合ではありません。国として根本的な対応策が必要だと考えますが、総理、いかがですか。
 二〇二三年度、公立小学校の教員採用試験においては、十二の自治体で採用見込み数より合格者数が下回る深刻な状況となっています。また、東京都の教員採用試験では、新年度より教員免許を持たない二十五歳以上の社会人でも受験できるようにしました。深刻な教員志望者減少を受け、無免許の方でも教職を検討してほしいとアピールしています。
 総理、このことの意味を御理解いただけますか。自民党は十四年前に不適格教員排除とばかりに教員免許更新制度を導入しました。予算を渋って適切な教職員配置を行わず、その上に定額働かせ放題を押し付けて、結果としてこの有様です。
 質問十九。総理、文教政策の失敗によりこのような状況を生んだ与党・自民党の責任をどのように考えますか。そして、今後の文教政策をどのように転換していくおつもりなのか、お答えください。
 質問二十。財務大臣に聞きます。ここまで教員不足が深刻化している中で、依然として教職員定数の合理化を前面に出すことにどんな意味や思慮があるのか、お答えください。
 総理が演説で触れられた包摂的な経済社会づくりについてお尋ねします。
 私たち立憲民主党は、全ての人に居場所と出番のある共生社会を目指していますが、今の政府が目指している社会は方向性が大きく違うように思えてなりません。
 二〇一四年に日本が障害者権利条約を批准してから、私たちの暮らしの中でバリアフリーや合理的配慮が進んできました。この参議院も同様です。批准後に日本がどのように取り組んできたのかを国連の障害者権利委員会が昨年初めて審査しました。
 日本政府への勧告は全体で十八ページにも及び、他の国への勧告と比べても分量が多いものでした。その中で、国連が勧告の中でより力点を置き、強く要請とした一つが日本のインクルーシブ教育についてです。
 インクルーシブ教育は、全ての子供たちが国籍や人種、宗教、性別、貧富の差、障害の有無にかかわらず共に学べる教育のことです。国連が日本政府に強く要請したのは、分離された特別支援教育を中止せよということでした。日本では、障害がある子供たちが地域の学校になかなか受け入れてもらえず、特別支援学級、学校へ行くことがその子のためだと教育委員会が勝手に決め付けている実態があり、強く非難されているのです。
 インクルーシブ教育への転換で日本は世界から大きく後れを取っています。政府の行っている特別支援教育の推進は、分離教育であってインクルーシブ教育ではありません。それを国連に指摘されています。ところが、国連のこの厳しい勧告に対して、驚くことに、文部科学大臣は特別支援教育の中止は考えていないと宣言したのです。
 総理にお聞きします。
 質問二十一。国連の勧告についてどのように受け止めていますか。勧告に従い、分離教育をやめませんか。
 質問二十二。日本が進めているインクルーシブ教育システムと国際的なインクルーシブ教育には大きなギャップがありますが、その隔たりを埋めていくつもりはないのですか。
 質問二十三。総理のおっしゃる包摂的な経済社会づくりとは何ですか。また、多様性について触れるとき、あえて経済と付けた意味を教えてください。
 日本の人口ピラミッドは、もはやピラミッドの形ではなく棺おけ型と呼ばれ、現在は年間六十万人も人口が減少しています。二一〇〇年には、日本の人口は約六千万人になると予測をされています。二一〇〇年というと遠い未来のように感じるかもしれませんが、今年おぎゃあと生まれた赤ちゃんが八十歳になる頃がまさに二一〇〇年です。そう思えば、二一〇〇年は全く遠い未来ではなく、既に当事者がいる近い未来なのです。
 その未来世代のため、私たちがきちんと当事者目線で政策決定ができているのか、政府はもちろん、ここに座る皆さんにも改めて考えていただきたいのです。もっと良い未来のため、もっと良い未来のため、総理及び大臣の真摯な答弁を求めまして、質問を終わります。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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岸田文雄#3
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 水岡俊一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、岸田内閣の政治姿勢についてお尋ねがありました。
 確かに、民主主義の基盤と言える選挙の投票率が近年低い水準で推移してきたのは事実です。その理由については様々な事情が影響するものと考えますが、投票しなかった理由に、そもそも選挙に関心がないことを挙げた割合が高いという調査結果もあり、大変憂慮すべきことであると考えます。
 こうした中、国民の政治への関心を高めるために、政府の立場から我々が熱意と誠意を持って国会で政策を語ることはもちろん、また、各政党が具体的な政策の違いを国民の前に明らかにし、建設的な議論を行うことが重要であると考えます。だからこそ、施政方針演説の中で、政府・与党として決断した方針や決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において国民の前で正々堂々議論したいと決意を申し上げました。
 歴史の転換点を迎える中、乗り越えなければならない難しい課題が山積をしています。そうした課題に正面から愚直に向き合い、一つ一つ乗り越えていく、それが私の基本的な認識であり、演説では、限られた時間の中でそうした様々な課題一つ一つを丁寧に取り上げました。それらの内容が分からなかったということであれば、これからの国会論戦の中で、正々堂々議論を行い、政府として丁寧な説明を尽くしていきたいと思います。
 政府と国会の関係についてお尋ねがありました。
 施政方針演説の中でも申し上げたとおり、多くの皆様の御協力の下、様々な議論を通じて、慎重の上にも慎重を期して検討をし、それに基づいて決断をした政府の方針や決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において、国民の前で正々堂々議論することは大変重要なことであると考えており、国会での議論をないがしろにするつもりは毛頭ありません。
 言うまでもなく、こうした考えは、内閣は行政権の行使について全国民を代表する議員から成る国会に対して連帯して責任を負う旨の憲法や内閣法の規定の趣旨に沿ったものであると考えております。
 参議院における決算審議の予算への反映等についてお尋ねがありました。
 参議院におかれては、これまでも決算審議の充実に力を入れていただいており、そうした参議院の議決内容や決算結果を予算編成作業に適切に反映し、予算の効率的かつ適切な執行につなげていくこと、重要であると考えております。
 また、これまでの参議院における決算審議に対する改革を踏まえ、決算の早期提出などに取り組んでおり、令和三年度決算については、昨年十一月に国会へ提出するとともに、令和五年度予算編成等に反映してきたところです。
 提出した決算を御審議いただく具体的な日程等は国会においてお決めいただくものと承知しておりますが、いずれにせよ、政府としては、引き続き、決算書類の早期提出、そして決算結果の予算への反映に努めてまいります。
 そして、我が国の安全保障政策についてお尋ねがありました。
 三文書に基づく取組は、我が国の安全保障政策の大転換であると考えていますが、あくまで憲法、国際法の範囲内で行うものです。平和国家としての歩みを維持するとの方針は三文書が前提としているものであり、矛盾するとは考えておりません。
 敵基地攻撃は専守防衛を逸脱するものとの議論がなされていることは承知しておりますが、反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、専守防衛から逸脱するものではありません。
 三文書については、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチームなどで活発な議論を積み重ねてきました。その集大成として、政府・与党としての方針を三文書の閣議決定の形でお示しをしました。
 議院内閣制の下では政権与党が国政を預かっており、まずは政府・与党において、一年以上にわたる丁寧なプロセスを経て方針を決定しました。その過程において、国会においてもできるだけ丁寧な説明を心掛けてきました。進め方に問題があったとは考えてはおりません。政府・与党の決定を踏まえて今国会に令和五年度予算を提出しており、与野党との活発な国会論戦を行ってまいります。
 そして、三文書で示した施策により自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで武力攻撃そのものの可能性を低下させることが重要であると考えており、私が戦争やむなしと考えているということはありません。
 我が国の温室効果ガス削減目標など、気候変動対策についてお尋ねがありました。
 我が国は、パリ協定の一・五度目標と整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減を掲げています。
 我が国の目標は、カーボンニュートラルに向けた削減ペースで見れば、欧米との比較においても野心的なものであり、堅持をいたします。
 我が国の温室効果ガスの総排出量は、直近の二〇二〇年度で十一億五千万トン、二〇一三年度比では一八・四%の減少となっており、目標に向けた削減ペースをおおむね達成をしています。
 大切なことは、目標を設定した以上は、新たな技術を実用化するイノベーションを生み出し、しっかりと目標を実現することです。
 目標実現に向けた取組を加速化するために進めているのが、脱炭素とエネルギー安定供給、そして経済成長、この三つを同時に実現するGXです。
 昨年末にGX実現に向けた基本方針を取りまとめたところであり、この方針については、今後各地で開催する説明会などを活用して、国民各界各層からの声に直接耳を傾けてまいります。
 本方針を踏まえ、今後十年間で百五十兆円超の投資を引き出す成長志向型カーボンプライシング、国による二十兆円規模の先行投資の枠組みを新たに設け、予見可能性を高めながら企業の投資を誘引していく、このための法案を今国会に提出をいたします。
 官民の持てる力を総動員し、GXという経済、社会、産業、地域の大変革に挑戦をしてまいります。
 日本学術会議の在り方の見直しについてお尋ねがありました。
 グローバル社会が直面している地球規模の課題や新興技術と社会との関係に関する課題など、政策立案に科学的な知見を取り入れていく必要がこれまで以上に高まっています。
 このため、学術会議には、中長期的で俯瞰的かつ分野横断的な課題に関し、広く社会と問題意識や時間軸等を共有しつつ、時宜を得た質の高い科学的助言を行うことが期待をされています。
 ここでいう問題意識等の共有とは、政府等との結論の共有を求めるものではありません。学術的観点に立って、政府とは異なる立場から科学的知見を提供していただくことはもとより重要です。
 一方で、学術会議が政府等への科学的助言を公務として行うことを役割とし、国費が投入される機関である以上は、受け手側の問題意識、あるいは時間軸や現実に存在する様々な制約等を十分に踏まえながら審議等を行っていただく必要があると考えております。
 法案の具体的な内容については検討中ですが、学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるためには、徹底した透明化、ガバナンス機能の強化、これが必要です。また、対話機能の強化、科学的助言機能の強化、会員選考における透明性の向上を始め学術会議自らの改革の成果も着実に法律に取り込みつつ、また政府の考え方を学術会議に丁寧に説明をしながら、更なる改革、加速させていきたいと考えております。
 そして、少子化対策についてお尋ねがありました。
 子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。個々の政策の内容や規模面が重要であるということはもちろんでありますが、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども・子育てを応援するような社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する、こうした次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
 まずは、こども政策担当大臣の下、今の社会において必要とされる子ども・子育て政策の内容を具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示をいたします。
 そして、なお、選択的夫婦別氏制度の導入については、現在でも国民の間に様々な意見があることから、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると感じています。また、同性婚制度の導入については、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えております。
 そして、新型コロナの類型見直しと国際クルーズ受入れ再開についてお尋ねがありました。
 新型コロナについては、原則、この春、「新型インフルエンザ等」から外し、新たな類型を設けるのではなく五類感染症とする方向で議論を進めます。そして、その際、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策、措置の対応について、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要であると考えており、具体的な内容について検討、調整を進めます。
 国際クルーズ受入れ再開については、国土交通省において、クルーズの安全・安心の確保に関する専門家会議での検討結果を取りまとめた上で、関係業界と検討を重ねてきました。
 先般、業界団体が作成した感染拡大予防ガイドラインについて、関係省庁において専門家の意見を確認し、安全対策が取られていると判断できたため、昨年十一月、国土交通省において受入れ再開を公表いたしました。
 政府として、引き続き、安心してクルーズを楽しめる環境の確保を図ってまいります。
 教師不足への国の対応と文教政策についてお尋ねがありました。
 昨年度、文部科学省が行った教師不足に関する調査において、全国の学校における厳しい状況が明らかになったと承知をしており、政府として危機感を持って受け止めております。
 このため、国としては、教師のなり手の確保のため、講師等の候補者を集めた人材バンクによる情報提供や、休眠免許等保持者に対する教職への入職支援などの取組を強化してまいります。
 また、文教政策については、社会の変化や子供の状況を見据えながら、学校教育の充実発展を図るべく、地域と協働した学校づくりや子供たちの指導に当たる教師の資質向上、そしてGIGAスクール構想の実現などに取り組んでおり、今後とも、子供たち一人一人の多様な個性あるいは能力を最大限に伸ばすよう、教師不足への対応を含め、文教政策、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 そして、障害がある子供の教育に関する勧告や包摂的な経済社会づくりについてお尋ねがありました。
 障害者権利委員会の勧告は法的拘束力を有するものではなく、また、各国ごとに様々な制度があるものと承知をしておりますが、御指摘の勧告の障害のある子供を包容する教育を推進すべきとの趣旨については十分受け止め、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めてまいります。
 具体的には、障害のある子供の教育については、我が国において特別支援学校等に在籍する子供が増加する中、本人及び保護者の意向を踏まえつつ、特別支援学校、特別支援学級、通常の学級、いずれにおいても障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学べるよう環境整備を進めてまいります。
 また、包摂的な経済社会づくりとは、施政方針演説で述べたとおり、老若男女、障害のある方も、ない方も、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会、意欲のある全ての方が、置かれている環境にかかわらず、十全に力を発揮できる社会を目指すものであり、経済活動においても、社会課題の解決と持続的な経済成長を実現していく上で、そうした社会を目指すことは重要であると考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。拍手
   〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕
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鈴木俊一#4
○国務大臣(鈴木俊一君) 水岡俊一議員の御質問にお答えいたします。
 教職員定数についてお尋ねがありました。
 教職員定数については、これまでも少子化に伴う生徒の自然減を反映するとともに、社会情勢の変化に伴う様々な課題に対応するため、既存の定数を見直しつつ必要な措置を行ってまいりました。
 こうした考え方の下、令和五年度予算においても、小学校高学年の教科担任制の推進や小学校四年生の三十五人学級の実現などのため、必要となる教職員定数を措置することとしており、こうした対応を踏まえて、財政演説において、教職員定数の合理化等を図りつつ必要な措置を講じると申し上げたところであります。
 なお、令和五年度予算においては、学校における働き方改革の効果を確実なものとするため、教員業務支援員やスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーなど、外部人材の活用のための予算も計上しており、教員が授業等に注力できる環境を整備することとしております。拍手
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尾辻秀久#5
○議長(尾辻秀久君) 山本順三君。
   〔山本順三君登壇、拍手〕
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山本順三#6
○山本順三君 自由民主党、山本順三です。
 会派を代表して、岸田総理の施政方針演説等政府四演説について質問をいたします。
 まず冒頭、このようにマスクを着用せず、この本会議場で質問できることに感謝します。ポストコロナに向けて一歩一歩前進していくことに喜びを感じるとともに、最近の新型コロナウイルス感染症に対して気を緩めることなく、ウイルスとの共存、共生を図るべく対策を講じていく覚悟です。
 さて、私が参議院に議席を得て十九年目になります。それ以前は愛媛県議会議員として二十一年間政治に関わってまいりました。その過程で、今日ほど大きな変革の嵐が我が国に押し寄せている時期はなかったと改めて振り返っております。
 米ソの冷戦が終結し、グローバリゼーションと相互依存が進む中で、世界の平和と安定が保たれるのではないかという淡い期待は、今やはかない夢です。ロシアによるウクライナ侵略は、一向に戦争終結の様子が見えません。北朝鮮の弾道ミサイルの発射回数は昨年三十回以上とかつてない頻度で、脅威のレベルも格段に上がっています。中国も、尖閣諸島での領海侵入等を繰り返し、台湾周辺でも軍事活動を活発化させ、軍拡のスピードが衰えることはありません。
 我が国の安全保障環境は、極めて厳しいと言わざるを得ません。多くの国民が、今、我が国は、このような変化により、国の存亡と国民の生命が危機にさらされているという不安を抱いていると思います。このようなときにこそ原点に立ち返って、我々政治家は新たな対策を講じていかなければなりません。
 私の座右の銘は不易流行。不易、すなわち、この世には決して変えてはならない大切なことがあり、これは命懸けで守らなければならない。一方、流行、すなわち、時代の流れに即応して変えなければならないことは勇気を持って変える。このような考え方の下、何を変えずに守っていくのか、また何を変えるべきものとして決断していくのかを政策の原点に立てて、この危機の波が迫りくるときにこそ国難に対処していくべきと考えています。
 まさにキーワードは危機管理。日本を取り巻く様々な危機にどのように対処して、国民の生命、財産を守り、安心、安全を確保すべきか。安全保障、食料やエネルギーサプライチェーン、少子化、物価高騰、新型コロナ、地方存続、自然災害といった具体的な危機に絞り込んで政府の方針について質疑をしてまいりますので、率直かつ前向きの、そして確固たる信念に基づいた答弁を期待するものであります。
 そこでまず、岸田総理は、国の内外を問わず、かつてないほど様々な問題が複雑に絡み合いながら我が国の前途に立ちはだかる中、何を守り、何を変革していくのか、その基本的な政治理念についてどのようにお考えか、その一端をお示しいただきたいと思います。
 昨年末、世耕議員を中心に有志で台湾を訪問し、総統や外交部長らとお会いいたしましたが、まさに兵役義務を現在の四か月から一年に延長する計画が発表されたときでありました。我が国も、昨年末に国家安全保障戦略など新たな三文書が閣議決定されており、総統はそれを高く評価され、日台双方にとって大変タイムリーな会談となり、与党間の日台外交防衛の2プラス2の必要性までにも言及されたところです。台湾における有事に対する危機意識の高さがひしひしと伝わってくる場面でありました。
 我が国も、厳しい安全保障環境に置かれているという現実を直視せずに対応を誤れば、国民の生命と安全、国の存亡にとって致命的な事態に陥りかねないところにあることを認識すべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。
 また、安全保障政策の基軸たる新たな三文書で、専守防衛などを念頭に戦後の安保関連の基本原則を維持しつつも、安保政策を実践面から大きく転換する施策が展開されることとなりました。すなわち、防衛力強化や反撃能力の保有、そして年始のG7参加各国への訪問による関係の深化のような外交力強化などの構築が肝要になります。これらの政策転換が、抑止力を高め、守るべきものを守るために必要不可欠であるという点について、総理から直接説明願います。
 さらに、防衛費についても、外交交渉上、総額の提示による国同士の信頼関係の構築も必要とは考えますが、国難ともいうべき厳しい安全保障環境の変化に対処するために必要不可欠な施策を積み上げた結果であるということもしっかり説明していくことが大切だと考えます。総理のお考えをお聞かせください。
 加えて、ロシアの言動により核兵器をめぐる深刻な懸念が高まるなど、厳しい安全保障環境という現実の中で、核兵器のない世界という理想を実現していかなければなりません。総理は、年初の欧州、北米訪問の際、G7首脳との会談で、核兵器のない世界の実現についてどのような成果を得られたのでしょうか。また、それを踏まえたG7広島サミットに向けた取組についても総理にお伺いいたします。
 サイバー攻撃は露見するリスクが低く、攻撃者側が優位にあることから、その脅威は急速に高まっています。国境を越えて、領土内の重要インフラの機能停止や破壊行為、さらには選挙への干渉、機微情報の窃取等も行われています。ロシアによるウクライナ侵略でも、最初の砲撃はサイバー空間で放たれたと言われております。
 各国はサイバー関係の部隊を増強し、中国の戦略支援部隊は十七万五千人、その中に約三万人のサイバー攻撃部隊があります。北朝鮮も約六千八百人のサイバー部隊を抱えています。一方、政府のサイバー攻撃に対応する体制は十分とは言えません。
 そこで、中国や北朝鮮、ロシアなどのサイバー上の脅威にどう対処するのでしょうか。また、高いサイバーセキュリティー技術を有する民間との連携協力をどう考えていかれるのでしょうか。谷担当大臣にお伺いいたします。
 加えて、食料危機についてもお伺いいたします。
 カロリーに着目した食料自給率は、日本の場合、四〇%を切っています。家畜の餌となる飼料の多くも輸入に頼り、飼料自給率は二五%にすぎません。化学肥料の原材料も海外に依存し、その供給が途絶えても厳しい事態となります。
 昨今の国際情勢下では、食料安全保障について、しっかりと検討と議論を重ねて、国民の食と生活を守り抜く覚悟が必要だと思いますが、総理の御認識をお伺いいたします。その上で、野村農林水産大臣は、食料安全保障に対してどのように取組を強化していくおつもりでしょうか。お聞かせください。
 我が国の存亡に係る国難として、少子化があります。
 昨年の出生数は国が統計を取り始めた明治三十二年以降で初めて八十万人を下回ります。しかも、八十万人割れは国の研究所による予測より八年も早くなっています。その流れに歯止めを掛けなければ、社会の活力は失われ、医療や年金、介護など社会保障制度の維持が危ぶまれることになるでしょう。
 昨年十一月、参議院自民党は緊急提言を取りまとめ、経済対策に十万円相当の出産準備金給付等が盛り込まれました。その上で、深刻化した少子化を解決するには、本年四月に本格稼働するこども家庭庁を軸にした、より包括的、総合的な対策の強化充実が必要です。
 結婚を望む方々が結婚できるような環境づくり、出産、子育てしたいと思う方々が増えるような環境の整備、キャリア形成も子育ても両立できる環境の構築等に向けて、社会の意識改革も含め、官民挙げて取り組まなければなりません。
 政府での少子化対策の検討においては、まずたたき台を、次にそれを踏まえて財源の議論を進めるべきだと申し上げます。
 総理は、自ら掲げる新しい資本主義の取組において、子ども・子育て政策を最も有効な未来への投資と位置付けられております。その総理だからこそ、少子化は日本の縮小だという危機感、そして、子ども政策は日本の未来をつくるという期待感、これが国民に伝わるような、ここまでやるのかというほどの大胆な少子化対策を示してほしい、そして、そのことが異次元の少子化対策の展開につながると考えますが、御決意と御所見をお聞かせください。
 民間調査機関の調べでは、本年一月から四月に、約七千品目の食品、飲料の値上げが予定されています。消費者物価指数も、昨年十一月が三・七%、十二月が四%と高くなっています。
 物価高騰対策や最近の為替動向から物価上昇率も落ち着くという見方もありますが、エネルギーをめぐる国際的な状況の不透明感などから、コスト高の傾向がしばらく続くとの予想もあります。
 この物価上昇局面で経済を前向きに転がすには、個人消費を冷え込ませないことが大切であります。その鍵は賃金の上昇です。新しい資本主義を次の段階へ進めるためにも、物価高騰に負けない賃上げは実現されなければなりません。
 そこで、まず、エネルギーや食料品など、物価高騰に対する政府の対応をお伺いします。その上で、現下の価格上昇に対応するためには速やかな賃金上昇、そして、中長期的には、デジタルやグリーンなどの成長産業への労働移動による構造的な賃上げを総理はどのように進めていくお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、サプライチェーン危機について伺います。
 ウクライナへの侵略を機に、世界中で石油や天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、経済への不安定要素が増しています。
 ロシアからの天然ガスパイプラインに依存していた欧州各国では、ほかの国からの天然ガスの確保に莫大なコストを掛けています。
 日本も、石油、天然ガスは他国からの海上輸送に頼っています。仮に台湾海峡等で緊迫した事態となれば、エネルギーの確保は難しくなり、経済的な損失、生活への影響は計り知れません。
 また、世界の半導体受託シェアの六割を超える台湾やその周辺に何かがあれば、コロナ禍で半導体のサプライチェーンが滞った際、日本の経済活動が停滞したとき以上のダメージを受けることになるでしょう。
 万が一このような事態が発生した場合、我が国の経済的な損失はどのようなことになると見込まれるのでしょうか。
 その上で、政府としては、エネルギー輸入のための海上交通路の確保やサプライチェーンの維持等のために、どのように万が一の脅威に対応していくおつもりでしょうか。
 また、海上輸送を担う海運業や造船業、それを支える船舶工業も経済安全保障上極めて重要な役割を担っていますが、その役割を安定的に果たすことができるよう、政府としてどのように対応していかれるのでしょうか。これについて総理にお伺いいたします。
 地球温暖化問題も、世界、そして日本が取り組まなければならない喫緊の課題であります。
 我が国のCO2排出量のうち、国内産業部門は全体の三分の一強を占めており、その中でも鉄鋼業などの重工業部門はその四割以上を占めています。
 一方、二〇五〇年の温室効果ガス排出実質ゼロの政府目標が達成可能となれば、世界がGXへかじを切る中、我が国の産業競争力の強化にも大きく貢献するチャンスにもなります。ただ、革新技術の開発、実用化はそう簡単ではありません。
 例を挙げれば、現在、鉄鋼業は水素還元製鉄といった革新的技術の開発、実用化に取り組んでいますが、この次世代技術が確立したとしても、日本にある二十数基の高炉を全て水素還元に切り替えるとなれば、約十兆円にもなんなんとする膨大なコストが必要になります。また、電気炉を活用するにしても、世界的に見て割高な日本のエネルギーコストを引き下げることが不可欠です。
 そこで、例えば愛媛県であれば鉄鋼業や造船業、製紙業などになりますが、重化学工業が日本の経済、地域の雇用を支えていく重要な産業であるとの認識の下、カーボンニュートラルを目指して苦悩する企業に対してどのような支援をされていくのか、国家戦略として位置付けた上での取組が必要だと思いますが、総理の御見解を伺います。
 また、エネルギーコストやエネルギー供給体制の脆弱性への対応も必要です。
 昨年十二月、総理は、エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を両立するため、安全最優先で原発の再稼働を進めることとしました。その上で、廃炉となる原発の建て替えを念頭に、次世代型の原子炉の開発と建設を進める方針を固められました。また、最長で六十年と定められている原発の運転期間について、審査などで停止した期間を除外し、実質的に上限を超えて運転できるようにするなど、方針も示したところです。
 我が国が置かれている現状を踏まえれば、極めて現実的な方向性が示されたと考えております。日本のエネルギーコストと安定供給、そして脱炭素化の両立のためには、再稼働やリプレースと次世代型の開発、建設等が必要であることを具体的に国民の皆様に分かりやすく総理から説明をいただきたいと思います。
 東京一極集中と人口の減少が止まらず、地方存続の危機です。少子化と高齢化により、日本全体の人口減少が進む中、大都市圏への人口流入が続けば、地方は更に衰退し、我が国を支えてきた土台が崩れてしまうのではないかという不安を覚えます。
 農業従事者の九九%近くは、東京都、大阪府以外の道府県で農作業に従事しています。平均年齢が六十八歳を超える中、地方の農業生産体制が弱体化し、生産活動が停滞すれば、食料安全保障は危機的な状況に陥ります。
 原子力や自然エネルギー等による電力の供給も、地方がつくり、大都市が消費するという構造になっています。
 そもそも、地方で生まれ、育ち、教育を受けた人材が大都市圏に吸引され、経済活動を支えている。その地方が衰退すれば、大都市圏の成長も持続できなくなります。
 また、今月、日本海のど真ん中で様々な知恵を発揮しながら人口増加をなし得ている島根県の海士町や隠岐の島町を訪ねました。日本の領海やEEZは、隠岐諸島のような有人国境離島があってこそです。これら離島地域に住む人がいなくなり、適切な保全ができなくなれば、領海やEEZは失われ、そこにある天然資源も失われてしまいます。大都市だけで我が国は持続できないということは明々白々です。
 また、霞が関での思考に基づく政策立案だけにとどまらずに、海士町で展開されているような地方独自の政策への支援策をタイムリーに講じていくことの重要性を認識すべきです。
 そこで、総理は、島嶼部を含め、限界市町村と称される自治体が増加し、地方の衰退への危機が高まる中、我が国における地方の意義と将来をどのようにお考えでしょうか。さらに、大都市圏と地方が共に支え合う持続可能な国づくりをどのように進めていくお考えでしょうか。
 そして、岡田担当大臣におかれては、持続可能な国づくりに向けて大胆な地方創生策を進めるべく、どのように政策を展開されようとしているのか、お伺いをいたします。
 地方に生活する者にとって、移動手段の確保は深刻な問題です。高齢者が車の運転をやめようとしても、地方では免許を手放した後の移動手段の確保が難しいのが実情です。
 人口減やコロナ禍により、地方公共交通を担う地方鉄道会社やバス会社も危機的状況に置かれています。経営効率化に努めることは前提ではありますが、地域の活力が失われている危機に直面する中、経営努力や地方からの支援だけで乗り切るのは極めて難しく、大変厳しい状況にあります。かといって、廃線してしまえば、地方は負のスパイラルに陥ります。
 確かに、新型コロナの感染拡大に伴いリモートワーク等の経験する中で、大都市圏から地方への人の流れが大きくなるポストコロナ社会に向けた新たな胎動も感じられるようになりました。この動きを加速化させるには、人体における神経のようなデジタル基盤の整備はもちろんのこと、骨格や血管に当たる交通網により全国が一体的なネットワークで結ばれることが不可欠です。
 そこで、経営的思考一辺倒ではなく、我が国の国土をどのように維持発展させていくのかという視点を持つ必要があります。すなわち、国土のグランドデザインを描くということです。四国新幹線や山陰新幹線を含めた高速鉄道ネットワークの整備、そして地方の隅々まで人々や物資を運ぶ地方鉄道や路線バスといった公共交通網の整備と維持について、国が大きな責任とビジョンを持って政策を進めるべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 気候変動がもたらす自然災害の激甚化、頻発化も深刻な問題です。
 私は、防災担当大臣就任時、平成三十年七月豪雨など、大規模な災害が発生した被災地に何度も足を運び、被災自治体の皆さん方と意見交換を行いました。その中で、自然災害は決まった形態ではなく、各地域、被災地によって異なってくるという特徴があると強く感じてきました。
 人の命を守り、生活を守るためには、地域地域で実情を踏まえながら、緊急度の高い防災・減災、国土強靱化事業を着実に進めていかなければなりません。そして、次の段階として、今の五か年加速化対策ではまだまだ不十分であるからこそ、地域の声を反映させて、しっかりと対応していくことが求められています。
 ハードのみならずソフト面での対策も重要です。地元の状況を頭に入れ、いざというときには的確な指示を下すことができる防災リーダーの存在や日頃からの地域ぐるみの防災訓練は極めて重要です。実際、優れた防災リーダーを有し、防災訓練でやるべきことが身に付いていた集落等では犠牲者を出さなかったという事例が数多くあります。
 是非とも、政府には、ハード面、そしてソフト面の双方から、五か年加速化対策の速やかな実施、さらに、その次を見据えた中長期的な対応について検討していただきたいと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
 新型コロナウイルスの感染が国内で初確認されてから、今月で三年となります。地球誕生から四十六億年、ウイルスの起源は三十年から四十億年前に遡ります。たかだか誕生から数百万年ないし数万年という人類にとって、闘うにしても共存するにしても実に厄介な相手であることは間違いありません。しかし、ようやく明るさが見えてきました。ワクチンや治療薬も開発されるなど、闘い方も分かってきました。
 政府は、今春を視野に二類相当から五類へと見直す方針で検討しています。新規感染者が減少傾向にあり、懸念された変異株の流入も確認されていないことなどから、コロナ禍からの社会の正常化を進めていく時期と考えます。
 ただ同時に、医療費の全額公費負担が続くのか、重症化リスクの高い人たち、特に高齢者などへの医療提供体制はどうなるのか、またマスク着用はどうなるのかなどについて、国民の皆様が不安を持つことがないように、春の見直し時期までにしっかりと準備を進めて、明確に示してほしいと思います。これらの点について、総理のお考えをお聞かせください。
 冒頭にも申し上げましたが、憲法についても、その基本理念たる国民主権、平和主義、基本的人権の尊重などを必ずや守り抜くと同時に、時代の流れに応じて変えるべきは勇気を持って変えていくべきであると確信するところです。
 本当に今の憲法の条文で、現にウクライナで起こっているような力による一方的な現状変更という暴挙の現実化から国民を守ることができるのか、大規模災害が発生したときに国家の機能を維持することができるのか、あるいは人口減に悩む地方の方々の声を国政に反映させることができるのか。
 憲法をめぐる重要な問題を議論し、国民の皆様の前にお示しすることは国会の役目であると考えています。
 この時代の大きな転換期にあって、政府においては、問題を先送りせずに、正面から愚直に挑戦し、政権運営に臨んでほしいと思います。そして、私たち立法府においても、最終的な判断は主権者である国民の皆様の権利である、このことを強く認識しながら、この議論を真正面から進めていかなければなりません。
 与野党の立場を超えて真摯な議論がしっかりと展開できるよう期待するところです。このことを最後に強く訴えて、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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岸田文雄#7
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山本順三議員の御質問にお答えいたします。
 基本的な政治理念についてお尋ねがありました。
 私は、内閣総理大臣として、直面する様々な課題を乗り越え、平和で安全、安心で豊かな日本という国を守り、次の世代に引き継いでいくことが私の使命だと考えています。守るべきものは、こうした国のありようであり、そこで暮らす国民の暮らしです。
 今歴史の分岐点を迎える中にあって、守るべきものを守るために、必要であれば、様々な制度、予算、さらにはこれまでの常識など、政治の力で変えられるものは全て変えていく覚悟を持ち、この難局に立ち向かってまいります。
 例えば、いざというときに国民の命を守り抜くために、平和国家としての我が国の有様は、ありようは一切変えることなく、防衛力の抜本的強化に取り組みます。また、持続可能で包摂的な経済社会をつくっていくために、民間の活力を重視するという基本は変えずに、民の力を引き出すための新たな官民連携を進め、新しい資本主義を実現してまいります。
 こうした考えの下、これからも、我々が直面する課題に正面から愚直に向き合い、一つ一つ答えを見出すために全力を尽くしていきたいと考えております。
 我が国の安全保障環境及び安全保障政策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中でも、政府の最も重要な責務として、国民の命や暮らしを守り抜かなければなりません。
 そのために、まず優先されるべきは首脳レベルを含む積極的な外交の展開ですが、同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要です。いざというときに国民の命を守り抜けるのかという観点から、反撃能力保有を含む防衛力の抜本的強化を具体化した今回の決定は、戦後の安全保障政策を大きく転換するものですが、抑止力、対処力を高めるために不可欠なものです。外交力、防衛力を含む総合的な国力を最大限活用しつつ、三文書で示した施策を早急に取り組んでまいります。
 防衛費の考え方についてお尋ねがありました。
 防衛力の抜本的強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。一年以上にわたって活発な議論を積み重ねており、その過程において、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛費の規模を導き出しています。
 政府・与党の決定を踏まえて、今国会に令和五年度予算を提出しており、与野党との活発な国会論戦を行ってまいります。それによって、さらに国民の皆様への丁寧な説明も行ってまいります。
 核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。
 ロシアの核兵器による威嚇などにより、現在、核兵器のない世界に向けた道のりは一層厳しいものになっています。
 このような中、先般の欧州、北米訪問では、核兵器のない世界に向けた取組について各国首脳と議論を行い、G7広島サミットの成功に向けて引き続き緊密に連携していくことを確認いたしました。
 G7広島サミットにおいては、広島と長崎に原爆が投下されてから七十七年間、核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることは決して許されないとのメッセージを力強く世界に発信するとともに、ヒロシマ・アクション・プランを始め、これまでの取組の上に立って、国際賢人会議の英知も得ながら、現実的かつ実践的な取組を進めてまいります。
 食料安全保障についてお尋ねがありました。
 現下のウクライナ情勢を受けた世界規模の食料危機の中、食料安全保障の強化は緊急の対応が必要な世界の重要課題の一つです。
 我が国としては、昨年末決定した食料安全保障強化政策大綱に基づき、輸入に依存する肥料、飼料、主要穀物の国産化推進など、農業構造の転換を力強く進め、国民生活に直結する食料の供給基盤を確かなものにしていきます。
 その上で、来年度中に食料・農業・農村基本法改正案を国会に提出することを視野に、六月をめどに、食料安全保障を含め、食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。
 少子化対策への決意等についてお尋ねがありました。
 急速に進展する少子化により、昨年の出生数は八十万人を割り込むと見込まれ、我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれています。子ども・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題だと考えます。
 子ども・子育て政策は最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面はもちろんのこと、地域社会や企業の在り方も含めて社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
 まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。
 物価高騰への対応と賃上げの取組についてお尋ねがありました。
 政府は、これまで、物価高の主因たるエネルギー、食料品等に的を絞り、燃料油激変緩和や肥料高騰対策、特に経済的に厳しい世帯への五万円の給付金など、累次にわたりきめ細やかな対策を行ってきたところです。
 さらに、電気・都市ガス料金の負担緩和策によって、今月使用分より家庭において電気料金の二割程度を値引きすることなどにより、燃料油価格の対策と併せて、来年度前半にかけて標準的な世帯において総額四万五千円、エネルギー価格高騰の負担を軽減いたします。
 また、目下の物価高に対する最大の処方箋は賃上げであり、まずは、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、下請Gメンの体制充実等による価格転嫁対策の強化、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇など、政策を総動員して環境整備に取り組みます。
 その上で、構造的賃上げの実現に向け、企業間、産業間の労働移動円滑化等に対する支援として、五年一兆円の政策パッケージを着実に実行してまいります。
 エネルギーや半導体の安定調達、サプライチェーン維持に向けた取組についてお尋ねがありました。
 御指摘の事態が発生した場合の影響については、様々なケースが考えられることから、経済的な損失など、数字を一概にお示しすることは困難ですが、一般論として、例えばエネルギー供給の途絶や大幅な縮小、あらゆる製品に組み込まれ、産業に不可欠である半導体の供給途絶は国民生活や経済活動に甚大な影響を及ぼし得ると考えており、影響を最小化する取組が必要です。
 エネルギーについては、省エネの徹底に加え、石油の備蓄、民間企業における戦略的なLNGの余剰在庫確保など、万が一の脅威への備えの充実、再エネの最大限導入、安全性が確保された原子力の活用など、多様なエネルギー供給源の追求、LNG調達先の多角化などに取り組んでいきます。
 半導体についても、有志国等との連携強化とともに、令和四年度補正予算において、国内の製造拠点整備等への約一・三兆円の支援策を講じています。
 また、我が国の国民生活や経済にとって重大な、重要な物資の安定供給を確保すべく、昨年成立した経済安全保障推進法の活用も含め、サプライチェーンの維持に万全を期します。
 そして、この経済安全保障推進法では、海運や造船を支える船舶用の部品も特定重要物資として指定をしています。あわせて、海事産業強化法に基づき、我が国海運業による船舶の導入促進と造船業の基盤強化を進めます。こうした取組により、海上輸送を支える海運や造船、舶用工業がその役割を安定的に果たせるよう取り組んでまいります。
 カーボンニュートラルを目指す重化学工業への支援についてお尋ねがありました。
 我が国GDPの一割を占める重化学工業は、日本経済を支える屋台骨である一方、CO2を多く排出する産業セクターでもあります。このため、カーボンニュートラルに向けては、これまでにない技術を確立し、化石燃料を使わない製造プロセスの社会実装を進めていくことが必要です。
 例えば、鉄鋼業については、グリーンイノベーション基金等により、水素還元製鉄など革新的技術の開発を支援しています。さらに、より広く製造業の製造プロセスの転換を促すため、省エネ、低炭素化に資する設備導入支援を強化していきます。
 また、今後、成長志向型カーボンプライシング構想の下、民間企業だけでは投資判断が困難であり、産業競争力強化、経済成長と排出削減のいずれにも貢献する分野を対象に大胆な支援を行ってまいります。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 歴史上初の世界エネルギー危機に直面していると言われる中、エネルギー政策については、いわゆるSプラス3Eの原則の中で、近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるか、これが重要となります。
 我が国の低いエネルギー自給率、高い中東依存度、再エネ適地が限られているといった厳しいエネルギー供給の状況を踏まえると、再エネ導入を最優先とし、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める必要があります。
 具体的には、引き続き厳しい規制基準に基づき厳格な安全審査を行った上で、年末にお示ししたGXに向けた基本方針では、既存の原子力発電所の再稼働を進めるとともに、一定の停止期間に限り運転期間の追加的な延長を認めること、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設に取り組み、廃炉決定した炉の建て替えを進めること、最終処分を含めたバックエンドに政府を挙げて全力で取り組むこと、こうしたことを盛り込んだところです。
 この方針については、今後、各地で開催する説明会などを活用して直接国民の皆様の声に耳を傾けるとともに、国会での議論を通じて政府の考えを説明するなど、あらゆる機会を捉えて丁寧に説明をしてまいります。
 地方の意義と将来についてお尋ねがありました。
 新しい資本主義の主役は地方であり、成長と分配の好循環を図り、我が国の経済社会を持続可能なものとしていくためには、各地域でデジタル実装を加速化し、地方から全国にボトムアップの成長を目指すデジタル田園都市国家構想を実現することが重要です。
 テレワーク普及を始め、デジタルの力で物理的距離がマイナス要素でなくなりつつある中、大都市の人材と地方の企業がつながりイノベーションが創出されるなど、大都市圏と地方との間でウイン・ウインとなる関係性が構築されることで多極型の経済社会を実現し、東京圏への過度な一極集中の是正を図ってまいります。
 昨年十二月には、こうした基本的な考え方を示したデジタル田園都市国家構想総合戦略を閣議決定し、令和五年度予算案では、昨年創設したデジタル田園都市国家構想交付金を追加で一千億円計上をしております。
 例えば、愛媛県宇和島市では、郵便局も活用し、自宅でのオンライン診療や服薬指導のサポート等の取組を行うなど、デジタルの力を活用することにより地方の社会課題を解決し、住民の方々の安全、安心の確保につなげている好事例があると聞いております。こうした事例の横展開を加速化することで、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指してまいります。
 地方、そして地域交通についてお尋ねがありました。
 公共交通は、国民生活や経済活動を支える不可欠なサービスであり、デジタル田園都市国家構想を推進し、地方の活性化を図っていく上で重要な社会基盤です。
 我が国においては、多くの場合、民間事業者が公共交通の運営を担っていますが、人口減少等による長期的な需要減に加え、新型コロナの影響により厳しい経営状況にあります。
 こうした状況も踏まえ、国として、デジタル技術を活用しつつ、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指し、地域の関係者が連携、協働し、全国で利便性、持続可能性、効率性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザインを進めるとともに、地方の暮らしや経済成長の基盤となる高速鉄道ネットワークの構築を進めることとし、今年の夏、新たな国土形成計画をまとめます。
 国土強靱化についてお尋ねがありました。
 激甚化、頻発化する災害に対応するためには、地域の実情を踏まえ、ソフト対策とハード対策を効果的に組み合わせながら取組を強化していくことが不可欠です。
 国土強靱化の五か年加速化対策を着実に推進するとともに、対策後についても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要です。そのため、新たな基本計画を策定するなど、国土強靱化の着実な推進に向けて強力に取組を進めていきます。
 新型コロナを二類相当から五類へと見直す方針についてお尋ねがありました。
 新型コロナの感染拡大から約三年、国民の皆さん、そして現場で働く医師、看護師、介護職員などエッセンシャルワーカーの皆さんの御協力をいただきながら、ウイズコロナへの移行を進めてきました。そして、原則、この春、新型コロナを「新型インフルエンザ等」から外し、五類感染症とする方向で議論を進めます。
 また、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策、措置の対応について、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要と考えており、具体的な内容について検討、調整を進めます。
 これらの見直しのスケジュール等については、厚生労働省の審議会等の議論を踏まえ、早期にお示ししていきます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。拍手
   〔国務大臣谷公一君登壇、拍手〕
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谷公一#8
○国務大臣(谷公一君) サイバーセキュリティーについて御質問いただきました。
 近年、国家の関与が疑われるサイバー攻撃事案が見られるなど、サイバー空間においては急速に脅威が高まっております。深刻化するサイバー攻撃に対処するためには、我が国のサイバーセキュリティーの全体的な底上げを図っていくことが重要であります。
 そのため、山本順三議員御指摘のとおり、高いセキュリティー技術や多様な脅威情報を有する民間との連携協力は有益であり、これまでにも、例えばサイバーセキュリティ協議会を設置して官民間の情報共有を図ってきたところです。
 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、こうした民間との連携協力体制の強化や、それらを通じた対処能力の向上により、国全体で包括的に取り組むことがますます重要になると考えております。
 昨年十二月には、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させ、最新のサイバー脅威に常に対応できるようにするため、能動的サイバー防御の導入等を内容とした新たな国家安全保障戦略を閣議決定したところです。
 サイバーセキュリティーを担当する大臣として、今後、当戦略に基づき、新たな取組の具体的な内容について検討を進めることなどにより、我が国全体のサイバーセキュリティーの確保、充実に万全を期してまいります。拍手
   〔国務大臣野村哲郎君登壇、拍手〕
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野村哲郎#9
○国務大臣(野村哲郎君) 山本順三議員の御質問にお答えをいたします。
 食料安全保障についてお尋ねがありました。
 近年の食料安全保障のリスクの高まりを踏まえれば、輸入食料や輸入生産資材について過度な依存を低減していくための日本農業の構造転換対策を進めていくことが必要でございます。
 このため、昨年末に食料安全保障強化政策大綱が策定されたところであり、国内で生産できるものはできる限り国内で生産するとの方針の下、小麦や大豆、飼料作目などの海外依存度の高い品目の生産拡大や米粉の利用拡大、畑地化の推進、さらに、堆肥、下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大などを着実に実施してまいります。
 また、食料、農業、農村を取り巻く厳しい環境下で食料安全保障を確立していくために、食料・農業・農村政策を見直す必要があります。このため、現在、食料・農業・農村基本法見直しのための検証を行っており、国民的コンセンサスを形成しながら検証を進め、六月をめどに政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。拍手
   〔国務大臣岡田直樹君登壇、拍手〕
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岡田直樹#10
○国務大臣(岡田直樹君) 山本順三議員にお答えいたします。
 地方創生についてお尋ねがありました。
 地方創生に向けた取組の結果、例えば、山本議員が視察された島根県海士町において、日本全国から高校生を受け入れる島留学を推進し、地域活性化につなげるなど、地域の創意工夫を生かした取組が各地で生まれてまいりました。
 私も昨年、徳島県の山合いにある神山町を訪ね、企業版ふるさと納税を活用して全国でも約二十年ぶりに高等専門学校を新設し、起業家精神あふれる人材の育成を目指す取組を視察してまいりました。地方から価値を発信し、若い世代を呼び込み、人口減少に歯止めを掛ける動きに期待しております。
 現在、なお東京圏への転入超過が続いておりますが、一方で、地方創生の取組により、東京圏からの移住が約千三百市町村において進んだことも事実であります。
 昨年十二月に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想総合戦略に基づき、これまでの成果も踏まえつつ、地域の個性を生かしながら、地方の社会課題の解決や魅力向上の取組をデジタルの力も活用して加速化、深化してまいります。
 総合戦略においては、新たに光ファイバーや5G、データ連携基盤等の整備、また、地方でのデジタル人材の育成確保、さらには高齢者などをサポートするデジタル推進委員の展開なども高い目標を掲げて取り組んでまいります。
 新たなデジタル技術を活用するニーズは地方においてこそ大きいと確信いたしております。優良事例の横展開を加速化し、東京圏への過度の一極集中の是正を図り、地方に根差した持続可能な国づくりに力を尽くしてまいります。拍手
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尾辻秀久#11
○議長(尾辻秀久君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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尾辻秀久#12
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
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