岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山本順三議員の御質問にお答えいたします。
 基本的な政治理念についてお尋ねがありました。
 私は、内閣総理大臣として、直面する様々な課題を乗り越え、平和で安全、安心で豊かな日本という国を守り、次の世代に引き継いでいくことが私の使命だと考えています。守るべきものは、こうした国のありようであり、そこで暮らす国民の暮らしです。
 今歴史の分岐点を迎える中にあって、守るべきものを守るために、必要であれば、様々な制度、予算、さらにはこれまでの常識など、政治の力で変えられるものは全て変えていく覚悟を持ち、この難局に立ち向かってまいります。
 例えば、いざというときに国民の命を守り抜くために、平和国家としての我が国の有様は、ありようは一切変えることなく、防衛力の抜本的強化に取り組みます。また、持続可能で包摂的な経済社会をつくっていくために、民間の活力を重視するという基本は変えずに、民の力を引き出すための新たな官民連携を進め、新しい資本主義を実現してまいります。
 こうした考えの下、これからも、我々が直面する課題に正面から愚直に向き合い、一つ一つ答えを見出すために全力を尽くしていきたいと考えております。
 我が国の安全保障環境及び安全保障政策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中でも、政府の最も重要な責務として、国民の命や暮らしを守り抜かなければなりません。
 そのために、まず優先されるべきは首脳レベルを含む積極的な外交の展開ですが、同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要です。いざというときに国民の命を守り抜けるのかという観点から、反撃能力保有を含む防衛力の抜本的強化を具体化した今回の決定は、戦後の安全保障政策を大きく転換するものですが、抑止力、対処力を高めるために不可欠なものです。外交力、防衛力を含む総合的な国力を最大限活用しつつ、三文書で示した施策を早急に取り組んでまいります。
 防衛費の考え方についてお尋ねがありました。
 防衛力の抜本的強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。一年以上にわたって活発な議論を積み重ねており、その過程において、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛費の規模を導き出しています。
 政府・与党の決定を踏まえて、今国会に令和五年度予算を提出しており、与野党との活発な国会論戦を行ってまいります。それによって、さらに国民の皆様への丁寧な説明も行ってまいります。
 核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。
 ロシアの核兵器による威嚇などにより、現在、核兵器のない世界に向けた道のりは一層厳しいものになっています。
 このような中、先般の欧州、北米訪問では、核兵器のない世界に向けた取組について各国首脳と議論を行い、G7広島サミットの成功に向けて引き続き緊密に連携していくことを確認いたしました。
 G7広島サミットにおいては、広島と長崎に原爆が投下されてから七十七年間、核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることは決して許されないとのメッセージを力強く世界に発信するとともに、ヒロシマ・アクション・プランを始め、これまでの取組の上に立って、国際賢人会議の英知も得ながら、現実的かつ実践的な取組を進めてまいります。
 食料安全保障についてお尋ねがありました。
 現下のウクライナ情勢を受けた世界規模の食料危機の中、食料安全保障の強化は緊急の対応が必要な世界の重要課題の一つです。
 我が国としては、昨年末決定した食料安全保障強化政策大綱に基づき、輸入に依存する肥料、飼料、主要穀物の国産化推進など、農業構造の転換を力強く進め、国民生活に直結する食料の供給基盤を確かなものにしていきます。
 その上で、来年度中に食料・農業・農村基本法改正案を国会に提出することを視野に、六月をめどに、食料安全保障を含め、食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。
 少子化対策への決意等についてお尋ねがありました。
 急速に進展する少子化により、昨年の出生数は八十万人を割り込むと見込まれ、我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれています。子ども・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題だと考えます。
 子ども・子育て政策は最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面はもちろんのこと、地域社会や企業の在り方も含めて社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
 まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。
 物価高騰への対応と賃上げの取組についてお尋ねがありました。
 政府は、これまで、物価高の主因たるエネルギー、食料品等に的を絞り、燃料油激変緩和や肥料高騰対策、特に経済的に厳しい世帯への五万円の給付金など、累次にわたりきめ細やかな対策を行ってきたところです。
 さらに、電気・都市ガス料金の負担緩和策によって、今月使用分より家庭において電気料金の二割程度を値引きすることなどにより、燃料油価格の対策と併せて、来年度前半にかけて標準的な世帯において総額四万五千円、エネルギー価格高騰の負担を軽減いたします。
 また、目下の物価高に対する最大の処方箋は賃上げであり、まずは、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、下請Gメンの体制充実等による価格転嫁対策の強化、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇など、政策を総動員して環境整備に取り組みます。
 その上で、構造的賃上げの実現に向け、企業間、産業間の労働移動円滑化等に対する支援として、五年一兆円の政策パッケージを着実に実行してまいります。
 エネルギーや半導体の安定調達、サプライチェーン維持に向けた取組についてお尋ねがありました。
 御指摘の事態が発生した場合の影響については、様々なケースが考えられることから、経済的な損失など、数字を一概にお示しすることは困難ですが、一般論として、例えばエネルギー供給の途絶や大幅な縮小、あらゆる製品に組み込まれ、産業に不可欠である半導体の供給途絶は国民生活や経済活動に甚大な影響を及ぼし得ると考えており、影響を最小化する取組が必要です。
 エネルギーについては、省エネの徹底に加え、石油の備蓄、民間企業における戦略的なLNGの余剰在庫確保など、万が一の脅威への備えの充実、再エネの最大限導入、安全性が確保された原子力の活用など、多様なエネルギー供給源の追求、LNG調達先の多角化などに取り組んでいきます。
 半導体についても、有志国等との連携強化とともに、令和四年度補正予算において、国内の製造拠点整備等への約一・三兆円の支援策を講じています。
 また、我が国の国民生活や経済にとって重大な、重要な物資の安定供給を確保すべく、昨年成立した経済安全保障推進法の活用も含め、サプライチェーンの維持に万全を期します。
 そして、この経済安全保障推進法では、海運や造船を支える船舶用の部品も特定重要物資として指定をしています。あわせて、海事産業強化法に基づき、我が国海運業による船舶の導入促進と造船業の基盤強化を進めます。こうした取組により、海上輸送を支える海運や造船、舶用工業がその役割を安定的に果たせるよう取り組んでまいります。
 カーボンニュートラルを目指す重化学工業への支援についてお尋ねがありました。
 我が国GDPの一割を占める重化学工業は、日本経済を支える屋台骨である一方、CO2を多く排出する産業セクターでもあります。このため、カーボンニュートラルに向けては、これまでにない技術を確立し、化石燃料を使わない製造プロセスの社会実装を進めていくことが必要です。
 例えば、鉄鋼業については、グリーンイノベーション基金等により、水素還元製鉄など革新的技術の開発を支援しています。さらに、より広く製造業の製造プロセスの転換を促すため、省エネ、低炭素化に資する設備導入支援を強化していきます。
 また、今後、成長志向型カーボンプライシング構想の下、民間企業だけでは投資判断が困難であり、産業競争力強化、経済成長と排出削減のいずれにも貢献する分野を対象に大胆な支援を行ってまいります。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 歴史上初の世界エネルギー危機に直面していると言われる中、エネルギー政策については、いわゆるSプラス3Eの原則の中で、近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるか、これが重要となります。
 我が国の低いエネルギー自給率、高い中東依存度、再エネ適地が限られているといった厳しいエネルギー供給の状況を踏まえると、再エネ導入を最優先とし、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める必要があります。
 具体的には、引き続き厳しい規制基準に基づき厳格な安全審査を行った上で、年末にお示ししたGXに向けた基本方針では、既存の原子力発電所の再稼働を進めるとともに、一定の停止期間に限り運転期間の追加的な延長を認めること、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設に取り組み、廃炉決定した炉の建て替えを進めること、最終処分を含めたバックエンドに政府を挙げて全力で取り組むこと、こうしたことを盛り込んだところです。
 この方針については、今後、各地で開催する説明会などを活用して直接国民の皆様の声に耳を傾けるとともに、国会での議論を通じて政府の考えを説明するなど、あらゆる機会を捉えて丁寧に説明をしてまいります。
 地方の意義と将来についてお尋ねがありました。
 新しい資本主義の主役は地方であり、成長と分配の好循環を図り、我が国の経済社会を持続可能なものとしていくためには、各地域でデジタル実装を加速化し、地方から全国にボトムアップの成長を目指すデジタル田園都市国家構想を実現することが重要です。
 テレワーク普及を始め、デジタルの力で物理的距離がマイナス要素でなくなりつつある中、大都市の人材と地方の企業がつながりイノベーションが創出されるなど、大都市圏と地方との間でウイン・ウインとなる関係性が構築されることで多極型の経済社会を実現し、東京圏への過度な一極集中の是正を図ってまいります。
 昨年十二月には、こうした基本的な考え方を示したデジタル田園都市国家構想総合戦略を閣議決定し、令和五年度予算案では、昨年創設したデジタル田園都市国家構想交付金を追加で一千億円計上をしております。
 例えば、愛媛県宇和島市では、郵便局も活用し、自宅でのオンライン診療や服薬指導のサポート等の取組を行うなど、デジタルの力を活用することにより地方の社会課題を解決し、住民の方々の安全、安心の確保につなげている好事例があると聞いております。こうした事例の横展開を加速化することで、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指してまいります。
 地方、そして地域交通についてお尋ねがありました。
 公共交通は、国民生活や経済活動を支える不可欠なサービスであり、デジタル田園都市国家構想を推進し、地方の活性化を図っていく上で重要な社会基盤です。
 我が国においては、多くの場合、民間事業者が公共交通の運営を担っていますが、人口減少等による長期的な需要減に加え、新型コロナの影響により厳しい経営状況にあります。
 こうした状況も踏まえ、国として、デジタル技術を活用しつつ、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指し、地域の関係者が連携、協働し、全国で利便性、持続可能性、効率性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザインを進めるとともに、地方の暮らしや経済成長の基盤となる高速鉄道ネットワークの構築を進めることとし、今年の夏、新たな国土形成計画をまとめます。
 国土強靱化についてお尋ねがありました。
 激甚化、頻発化する災害に対応するためには、地域の実情を踏まえ、ソフト対策とハード対策を効果的に組み合わせながら取組を強化していくことが不可欠です。
 国土強靱化の五か年加速化対策を着実に推進するとともに、対策後についても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要です。そのため、新たな基本計画を策定するなど、国土強靱化の着実な推進に向けて強力に取組を進めていきます。
 新型コロナを二類相当から五類へと見直す方針についてお尋ねがありました。
 新型コロナの感染拡大から約三年、国民の皆さん、そして現場で働く医師、看護師、介護職員などエッセンシャルワーカーの皆さんの御協力をいただきながら、ウイズコロナへの移行を進めてきました。そして、原則、この春、新型コロナを「新型インフルエンザ等」から外し、五類感染症とする方向で議論を進めます。
 また、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策、措置の対応について、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要と考えており、具体的な内容について検討、調整を進めます。
 これらの見直しのスケジュール等については、厚生労働省の審議会等の議論を踏まえ、早期にお示ししていきます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣谷公一君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-01-26

院: 参議院

会議名: 本会議