柴愼一の発言 (本会議)
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○柴愼一君 立憲民主・社民の柴です。柴愼一です。
会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案について、財務大臣及び金融担当大臣に質問いたします。
冒頭、一言申し上げます。
我が党の小西洋之議員が予算委員会で取り上げた放送法をめぐる問題についてです。
そもそも小西議員が提供した文書を、総務大臣、総務省が公文書だと認め、確認するのに一体何日掛けたのですか。怠慢も甚だしく、極めて遺憾です。予算委員会での資料配付すら拒否した与党側の姿勢も、いかがかと思います。
そして、文書の正確性について、捏造だと言い張り、立証責任が小西議員にあるなどと言う高市大臣に至っては、もはや論外です。御自身が言及されたとおり、大臣の職、議員の職に関わる問題だと断ぜざるを得ません。
事は放送法の公平性にも関わる重大な問題です。認めるべきことはしっかり認め、過ちを繰り返すことのないよう、国会審議への真摯な対応を政府・与党に強く求め、質問に入ります。
岸田総理は、昨年の臨時国会における所信表明演説で、日本は国難とも言える状況に直面している、世界が、そして日本が直面する歴史的な難局にあるとの認識を示されました。私もそう思います。この国難とも言える状況、歴史的な難局を乗り越え、未来を切り開いていくための政策の転換が必要です。しかし、本法律案では、従来ベースの延長線でしかありません。
岸田総理は本年の年頭会見において、この三十年間、企業収益が伸びても、期待されたほど賃金が伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった、私はこの問題に終止符を打ち、賃金が毎年伸びる構造をつくりますと述べています。岸田総理、いいこと言うなと思いました。
日銀による異次元の金融緩和を始めとするアベノミクスは、結論だけ見れば、大企業、資産保有者には大きな成果、株価上昇、金融資産の増大、巨額の内部留保という形でたまりましたが、実質賃金の引上げ、中小零細企業の収益改善にはほとんど効果がありませんでした。たまった富は滴り落ちてこなかったのです。
岸田総理御自身がおっしゃるように、この問題に終止符を打つ政策の転換が求められています。賃上げを実現するための政策の転換が必要です。
岸田総理は、成長と分配の好循環を回すとしていますが、ある意味アベノミクスによって一部で成長はしたのです。今はその効果を全体に及ぼす分配のときなのです。
まさに、税による所得再分配機能を発揮させるべきと考えますが、政府の見解を求めます。
岸田総理は、年頭会見において、成長と分配の好循環の中核である賃上げを何としても実現しなければなりませんと発言されています。
ところが、政府の期待する春闘の集中回答日が今月中旬に迫る中、本法律案では賃上げに資するような目ぼしい税制措置が示されていません。
昨年、令和四年度税制改正において、企業向けの賃上げ促進税制が強化されたことをもって、政府は税制による賃上げ支援は十分であるとのお考えでしょうか。本制度による賃上げの政策効果はどの程度なのか、具体的に全法人の何%が賃上げ税制を利用する見込みなのか、明確にお答えください。
また、岸田総理は、本通常国会の施政方針演説において、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金を引き上げますと述べられていますが、どのようにして賃上げを行うのか、具体的にお答えください。
私自身、労働組合出身であり、賃上げ自体は労使交渉で決せられるものとの認識がありますが、岸田総理は行政府の長であり、ある意味、雇用主、使用者でもあります。経団連に賃上げをお願いするだけでなく、自らの責任で賃上げを実現するべきではありませんか。くれぐれも人事院勧告に基づく賃上げなどという責任逃れをなさらないよう、あるべき賃上げの姿を政府自らが見せることが必要です。見解をお示しください。
既に本年一月の消費者物価指数は昨年同月より四・二%上昇し、四十一年四か月ぶりの水準となりました。光熱費などが高騰し、経済的な理由により、シングルマザーの四人に一人が主食を切り詰めたり、高齢者が医療機関に受診するのを控え、病状が悪化するケースまで出始めている、そんな状況が広がっています。
加えて、追い打ちを掛けるように、年度初めの四月には輸入小麦の政府売渡価格の改定時期が迫り、大手電力会社も四月からの料金引上げを経済産業省に申請しています。価格改定が集中する時期である四月を見据えれば、たとえ労使交渉で賃上げが実現しても、物価上昇分に見合う賃上げ額となるかは不透明な状況です。
こうした現状に鑑み、政府は賃上げの責任を企業や労働組合に押し付けるのではなく、政府による直接的な支援策を税制において急ぎ検討するべきです。消費税の時限的な減税は、生活者にとってみれば家計の可処分所得を増やし、実質的な賃上げ効果をもたらします。これは税制による分配政策です。
税率五%への時限的な消費税減税を今こそ検討すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
本法律案の目玉の一つとされているNISAの抜本的拡充について伺います。
法案では、NISA口座を利用した年間投資額及び生涯投資額が引き上げられ、非課税保有期間も恒久化されるとしています。
政府はその政策目的を眠った現預金の有効活用による経済効果にあるとしていますが、その効果を具体的に数字で示すべきです。NISA拡充は歳入減を伴う減税政策であることの重みを踏まえ、明確にお答えください。
今後、長期・積立・分散投資の重要性はとりわけ現役世代にとってますます高まっていくことから、そのための支援措置が必要であると認識しています。
一方、総務省の全国家計構造調査によると、三十歳未満の世帯平均貯蓄額は約百五十万円、三十歳代でようやく三百六十万円です。金融資産を持たない世帯も少なくありません。このように、ターゲットとなるべき若年層は投資に回す原資そのものが不足しています。こうした現状で、貯金を持たない世帯の資産所得倍増はどのように実現されるのですか。お答えください。
そして、今般のNISA拡充案の要件では、その恩恵は富裕層に偏り、富の集中だけが加速するのではありませんか。さらに、富裕層は、年間投資額の範囲内で短期的に売買を繰り返して、譲渡所得非課税の恩恵をフルに活用することも想定されます。
衆議院財務金融委員会における質疑において、同僚議員がこうした懸念を指摘したところ、鈴木大臣は、場合によっては必要に応じて何らかの措置を検討すると答弁されています。そうであるならば、制度開始の前に国会で方針を明確に示すべきです。金融担当大臣に答弁を求めます。
NISA拡充は金融所得課税の強化と一体で進めるべきであり、かつて民主党政権においてNISAを導入した際には、株式譲渡所得の税率を引き上げた歴史的経過も忘れるべきではありません。
本法律案では極めて高い水準の所得に対する負担適正化が盛り込まれていますが、追加負担が生じる所得水準は約三十億円、人数にすれば二百から三百人程度とされています。所得に占める所得税と社会保険料の負担率が一億円を境に低下する、いわゆる一億円の壁の問題解決には程遠い内容となっており、全く不十分です。
岸田総理は、これまでの委員会審議においても、金融所得課税の強化に対し、マーケットへの影響を考慮しとの答弁を繰り返していますが、アベノミクスによってマーケット、金融資産保有者は既に大きな恩恵を受けており、今こそ適正な税負担を求めるべきではないでしょうか。
政府が目を向けるべきは、マーケットの外に存在する大多数の生活者であり、取り組むべきは、税制における応能負担原則の回復です。
本法律案において金融所得の総合課税化への道筋が開けたことは前向きに受け止めたいと思いますが、そこに課される税率が所得税の最高税率である四五%を適用せず半分の二二・五%とした理由をお答えください。
政府は、所得税の世界で累進性が損なわれている現状において、金融所得課税の見直しについて今後どのように進めるのか、明確な日程とともにお示しください。
本年十月導入予定のインボイス制度について伺います。
これまでも、関係団体の皆さんから、不安のみならず、不安にとどまらず、廃業せざるを得ないとの悲鳴とも言える声が寄せられ、多くの議員がインボイス制度の問題点を指摘しているにもかかわらず、政府は、インボイス制度は必要、円滑な導入に向けてきめ細かく対応していくとの答弁を繰り返すだけです。
十月に向けて、政府が言う円滑な導入ができ得る状況であるとお考えですか。お答えください。
本法律案では、免税事業者がインボイス発行事業者になった際の納税額の軽減措置が講じられていますが、軽減されるとしても税負担が増えることに変わりはありません。そして、その軽減措置も三年間だけ。廃業を検討せざるを得ないのももっともです。
免税事業者であり続けた場合、取引先から取引を断られるかもしれないという不安も払拭されていません。公正取引委員会のQアンドAでも、優越した地位にある事業者が不当な値引きを要求することは優越的地位の濫用に当たるとしていますが、事業者がどの事業者と取引するかは基本的に自由としています。消費税相当額の八割を仕入れ税額控除とする経過措置が講じられていますが、問題を先送りするだけのごまかしでしかありません。
免税事業者が取引から排除されることは本当にありませんか。政府の見解を明確にお示しください。
政府は、複数税率下での適正な税徴収を確保するためにインボイス制度が必要としていますが、そもそも軽減税率は、消費税の逆進性を是正するため、つまり低所得者の救済をうたって導入されたものです。その逆進性緩和効果には大いに疑問があり、そのために中小零細企業に負担増を強いるのは大きな問題です。改めて制度の廃止を明確に求めます。お答えください。
最後に、令和六年以降に予定される防衛増税について伺います。
防衛費増額の最大の問題は、精緻な積み上げのない、総額ありきとしか言いようがない異例の予算計上です。
ところで、岸田総理は、子ども・子育て予算倍増について問われると、額ありきではない、まず内容をしっかり具体化した上で、その次に予算を倍増する大枠を示すと、防衛費とは真逆の方針を掲げます。
なぜ防衛費も子ども・子育て政策と同様に予算内容の具体化から始めないのですか。防衛費を総額ありきで進める理由をお示しください。
防衛費増額が総額ありきである以上、その財源確保措置として示される法人税、所得税、たばこ税の増税は、到底認められるものではありません。
税制の観点で見れば、予定される増税は防衛費の目的税として使用される方針を政府が示したものと言えます。しかし、目的税化するのであれば、納税者の納得感が必要不可欠です。復興特別所得税は、国民、納税者に震災復興のためならと、負担を分かち合うことに合意いただけたからこそ増税が可能だったのであり、その流用は国民への裏切りです。
防衛費においても、子ども・子育て政策と同様に、丁寧な積み上げが必要であり、その上で初めて必要な財源確保の在り方が国会で建設的に議論できるものと認識します。
それでも額ありきの防衛費増額、そのための増税を強行するのなら、国民の信を問うべきと考えますが、見解をお示しください。
以上のように、岸田政権は、分配政策を含め、表向きは聞き心地の良い政策に挑戦する姿勢を見せますが、具体的な政策が共に打ち出されない以上、政治の責任を全うしているとは言えません。時代の大きな転換期にあるからこそ、政策の裏付けとなるふさわしい税制で、新しい社会、一人一人の生活、暮らしを大切にする社会の創造を後押しすべきです。
政府からの真摯な答弁を求めて、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕