鈴木俊一の発言 (本会議)

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○国務大臣(鈴木俊一君) 柴愼一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、税による所得再分配機能についてお尋ねがありました。
 再分配機能の強化の観点から、税制については、これまでも時々の経済社会の変化を踏まえながら、累次の改正を行ってきております。
 具体的には、所得税について、再分配機能の回復を図る観点から、平成二十五年度改正において最高税率の引上げを行っております。相続税につきましても、格差の固定化防止等の観点から、平成二十五年度改正において基礎控除の引下げや最高税率の引上げ等の見直しを行っております。
 今後の税制の在り方については、これまでの税制改正の趣旨や経緯のほか、経済社会の構造変化も踏まえながら、引き続き検討してまいります。
 次に、賃上げ税制についてお尋ねがありました。
 賃金につきましては、税制のみならず、企業収益や雇用情勢など様々な要因から影響を受けることが考えられますが、過去に行われた調査によれば、賃上げ促進税制が賃金の引上げを後押ししたと回答した企業が多くあったことや、毎年おおむね約十万社の企業に御活用いただいてきたことなどを踏まえれば、一定の効果があったと考えております。
 また、令和四年度税制改正の影響を反映した賃上げ税制の利用見込みについては、アンケート調査の結果等を基に行った推計においては、全法人の三%程度と見込まれています。
 次に、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃上げについてお尋ねがありました。
 民間部門だけでなく、公的に価格が設定されている保育などの社会保障分野においても制度に応じて民間給与の伸びを踏まえた改善等を図ることは重要であり、今後、それぞれの制度を所管する関係省庁において対応を検討し、取組を進めていくものと承知しております。
 また、公共調達に参加する企業の賃上げについては、令和四年度から、所定の賃上げを表明した企業に対して入札において評価の加点措置を実施するとともに、公共工事設計労務単価を引き上げてきたところであり、こうした取組を通じて参加企業の賃上げにつなげていくことが重要であると考えております。
 次に、政府自らが行う賃上げについてお尋ねがありました。
 政府が支払う賃金として、国家公務員の給与については、公務員の適正な処遇を確保し、公務員の給与に対する国民の理解を得る観点から、人事院勧告を踏まえ、民間準拠を基本とすることが適切であると考えております。
 また、政府が主導して決める賃金についても、民間に賃上げをお願いする以上、率先して引き上げる努力をしていく必要があると考えており、これまでも、岸田内閣において、看護、介護、保育などの現場で働いている方の収入の引上げに取り組んできたところであります。
 次に、物価対策、賃上げ対策としての消費税減税についてお尋ねがありました。
 政府としては、年度末に向けて、総合経済対策、補正予算の執行を加速するとともに、賃上げに向けた取組を強化してまいります。また、足下の物価高騰に速やかに対応すべく、エネルギー、食料品価格の影響緩和について必要な追加策を検討してまいります。
 その上で、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置付けられている消費税について、減税を行うことは考えておりません。
 次に、NISAの抜本的拡充の経済効果についてお尋ねがありました。
 NISAの抜本的拡充、恒久化が日本経済に与える影響は、実際にどのような株式、投資信託、債券にそれぞれどの程度の規模の投資がなされるかなどにより様々であるため、具体的な数値でお答えすることは困難でございます。
 その上で、一般論として申し上げれば、まず、資産所得倍増プランでは、家計に眠る現預金を投資につなげることで、勤労所得に加え金融資産所得を増やしていくことを目指しており、これが家計の可処分所得の増加となり、消費の増加につながることが期待できると考えます。また、家計の投資が企業の成長の原資となれば、企業価値の向上が期待され、それはまた家計の金融資産所得の更なる拡大につながるものと考えております。
 政府としては、こうした成長と資産所得の好循環を実現していきたいと考えております。
 次に、資産所得倍増についてお尋ねがありました。
 今は投資余力がないという方も含め、広く国民の所得を引き上げていくためにも、賃上げが最重要課題と認識しております。
 政府としては、物価上昇を超える賃上げの実現に向け、賃上げに取り組む中小企業等の生産性向上の支援の拡充などに取り組むとともに、成長分野への円滑な労働移動を人への投資の強化と一体的に進めることで、構造的な賃上げの実現を目指してまいります。
 また、資産所得倍増プランは、賃上げを通じた家計の勤労所得だけではなく、金融資産所得も増やしていく観点から策定したものであり、少額ずつでも長期的、継続的に安心して投資を行うことができる環境を整備することで家計の資産形成を促進していきたいと考えております。
 次に、NISAの恩恵についてお尋ねがありました。
 現状、NISAの利用者の七割は年収五百万円未満であるなど、NISAは中間層を含めた幅広い層の資産形成に活用されていると考えています。さらに、今般のNISA制度の見直しを行うことによって、これまで以上に長期・積立・分散投資による資産形成を行いやすくなり、中間層など、資産形成をより一層サポートすることができるものと考えています。
 一方、今般のNISAの拡充に当たっては、年間投資枠や一生涯にわたる非課税保有限度額を設定することにより、投資余力が大きい層に対する際限ない優遇とならないよう留意しております。特に、年間投資枠は売却しても再利用できないこととしており、短期的に売買を繰り返すような取引をする上で大きな制約になるものと考えています。
 また、金融庁としても、証券会社等による回転売買の勧誘が行われることがないよう、監督指針を改正し、モニタリングを行うとともに、長期・積立・分散投資による安定的な資産形成の重要性について家計への金融経済教育を強化していく方針です。
 こうした対策も併せ、短期的な回転売買を抑制していきたいと考えています。
 次に、金融所得課税の見直しについてお尋ねがありました。
 いわゆる一億円の壁と呼ばれる問題については、税負担の公平性を確保する観点から、市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行うこととされていたところです。
 こうした中、かなりの高所得者層では所得税の負担率の低下が著しいことなど、現下の状況等を踏まえ、このような所得税の負担構造の問題について早期に是正する観点から、与党税制調査会において幅広い観点から御議論をいただきました。
 その上で、今般、極めて高い水準の所得を対象として最低限の負担を追加的に求める措置を導入することとし、所得税法の長期譲渡所得に対する課税の考え方も踏まえて、最高税率四五%の半分である二二・五%に近い負担を求めることとなりました。
 政府としては、まずは令和七年から施行される今回の改正の効果をよく見極めてまいりたいと考えております。
 次に、インボイス制度の円滑な導入についてお尋ねがありました。
 インボイス制度への円滑な移行に向けて、個々の事業者の方々に制度の内容や各種の支援策を御理解いただき、必要な準備を行っていただくことが重要だと考えており、リーフレットの作成、税務署の窓口や確定申告会場等での配布、テレビCMや全国紙への広告掲載、インターネットを活用した広報、インボイスコールセンターの体制の拡充といった取組を行ってまいりました。また、中小・小規模事業者のインボイス対応を支援するため、令和四年度補正予算においては、中小企業団体による相談体制の整備のための予算措置など、様々な支援策を盛り込んでいます。
 こうしたこともあり、インボイス発行事業者の登録申請者数につきましては、令和五年二月末現在で累計約二百七十万件、直近では一月当たり約二十三万件の事業者の方から申請があり、順調に推移していると考えています。
 本年十月一日の円滑な導入に万全を期すためにも、引き続き、丁寧に周知、広報を行い、事業者のインボイス制度への対応を支援をしてまいります。
 次に、免税事業者の取引に関する御懸念についてお尋ねがありました。
 インボイス制度への移行により、免税事業者は取引から排除されるのではないかといった小規模事業者の方々の御懸念は承知をしており、政府一体で連携して、丁寧に課題を把握しながら、きめ細かく対応してまいります。
 具体的には、免税事業者を始めとした小規模事業者が取引で不当な取扱いを受けることがないよう、独禁法や下請法等の取扱いの明確化、各事業者団体への法令遵守要請、書面調査や下請Gメンといった取組を通じ、取引環境の整備に政府を挙げて取り組んでまいります。
 また、制度移行後も、六年間は免税事業者からの仕入れであっても一定割合を控除できる、十分な期間の経過措置を設けているところです。
 引き続き、円滑な制度の移行に向けて、関係省庁で連携しながら、免税事業者が取引から排除されることがないよう、適切に対応してまいります。
 次に、軽減税率制度とインボイス制度についてのお尋ねがありました。
 軽減税率制度は、消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮として、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の税負担を直接軽減するものであり、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという点で一定の効果を上げてきたものと考えています。
 この複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なインボイス制度の導入に向け、政府としては、免税事業者を始めとした中小零細事業者の取引については、取引環境の整備に取り組むとともに、令和四年度補正予算においてインボイス対応のための支援策の充実を盛り込み、さらに、令和五年度税制改正においては追加的な負担軽減措置を講ずることとしています。
 政府としては、引き続き、円滑な制度の移行に向けて、関係省庁で連携しながら、制度の内容や支援策をきめ細かく事業者の方々に周知してまいります。
 最後に、防衛費についてお尋ねがありました。
 防衛力の抜本的強化は、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、喫緊の課題です。
 こうした問題意識の下、国家安全保障会議四大臣会合や与党ワーキングチームなどでの一年以上にわたる活発な議論の積み重ねを経て、昨年十二月の防衛力整備計画において、今後五年間で必要となる防衛力の内容と規模を定めております。これらは、防衛力の抜本的強化を達成でき、防衛省・自衛隊としてしっかりと役割を果たせる内容及び規模として積み上げた結果であり、総額ありきとの御指摘は当たらないものと考えております。
 また、抜本的に強化される防衛力は、将来にわたって維持強化していかねばならず、これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏付けとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が不可欠です。
 その財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、税外収入の確保などあらゆる工夫を行うことで必要な財源の約四分の三を確保しましたが、その上で、それでも足りない約四分の一については、税制措置での御協力をお願いしたいと考えております。
 こうした内閣の方針について国民の皆様に御理解をいただけるよう、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。
 なお、何についてどのように国民の信を問うかについては、財務大臣としては答弁を控えさせていただきたいと思います。(拍手)
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発言情報

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発言者: 鈴木俊一

speaker_id: 5579

日付: 2023-03-08

院: 参議院

会議名: 本会議