音喜多駿の発言 (本会議)
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○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
会派を代表して、総理の帰朝報告に対して質問をいたします。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、国家の主権と領土の一体性を侵害する露骨な侵略行為であり、力による現状変更を重ねるロシアの不法行為は断じて容認できません。日本政府においては、民主主義陣営と固く結束し、ウクライナと連帯するべきであり、今回の総理の訪問には敬意を表します。しかし、訪問のロジスティクスに問題がなかったか、訪問の成果が具体的に何であるのか、明確な貢献が今後どこまでできるかについて丁寧に確認をさせていただきたいと思います。
各国首脳がウクライナ入りする際には、それぞれ各国の軍人や軍の特殊部隊が警備を担当しています。しかしながら、日本の場合、防衛省・自衛隊が移動や警護に関与していなかったことが明らかになっています。SPなどは同行したということですが、警護の点でウクライナ側に多くの負担を強いてしまったのではないでしょうか。
今回のウクライナ入りにつき、自衛隊による警護は行われず、ウクライナ政府が全面的に責任を負って実施をしたことにつき、妥当と考えているのか、改めて総理に伺います。
この点、自衛隊による警護が行われなかった理由は自衛隊法です。自衛隊法に要人警護のために自衛隊を海外派遣する規定がないために、今回、総理のウクライナ入りに自衛隊は全く関与ができませんでした。安全保障環境が激変し、不確実性が増す時代において、自衛隊法の仕組みを再考する時期に来ていると考えます。
自衛隊は、原則禁止、一部許可のいわゆるポジティブリスト方式の下で活動することが求められていますが、原則許可、一部禁止のネガティブリスト方式に改めるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
ロジスティクスの観点では、情報管理についても万全であったか疑問が残ります。ポーランドで総理が列車に乗る様子がテレビで放送されましたが、これは、我が党の浅田均議員が先般指摘をしたとおり、これがもしテレビカメラではなく、ある国のスナイパーだった場合、深刻な事態に陥った可能性がありました。一方で、一部の閣僚からは、何で総理が安全な地域に戻ってから放送しないのかというような、報道に統制を掛ける声も聞こえます。しかし、これはひとえに政府の情報管理能力の問題であり、報道の自由について政府や閣僚が介入することはできる限り避けるべきだと考えます。
今回のウクライナ訪問について、一部閣僚から報道の在り方に疑問の声が上がっているところ、外務省の発表も先行していたことを踏まえれば、報道規制と捉えられるような発言はいささか問題と言えないか、総理に見解を伺います。
その上で、今回の訪問に際して、情報管理について、報道規制の発想ではなく、報道機関が把握してしまったというセキュリティーの視点で問題がなかったか検証するべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、ウクライナ支援の内容面について伺います。
総理は、必勝しゃもじを贈られたとのことですが、このしゃもじには、飯を取る、すなわち敵を召し捕るという意味が込められており、日露戦争にも由来するものであると言われています。ウクライナに対して、ロシアという敵を召し捕るという強いメッセージを込めているのか、総理の贈答品に込めた率直な思いを伺います。
そういった強い思いが仮にあるのであれば、ウクライナへの強い連帯と具体的な支援という形で進める必要があります。我が党は、総理がウクライナ入りされたちょうど同じ日に、私たち国会議員が歳費やボーナスを自主カットして積み立てる、身を切る改革によって捻出したお金を原資に、ウクライナに日本製のピックアップトラック二十台や缶詰などの食料品を贈呈することができました。御協力いただいたポーランド大使館にも心から感謝したいと思います。これは、ウクライナ側のニーズが非常に高いものであり、全権特命大使も我々が本当に求めていたものと喜んでくださいました。ウクライナ大使館など関係者と接触していく中で、具体的な要望が複数あり、日本政府とウクライナ政府の間のコミュニケーションが不足しているのではないかと率直に感じています。
ウクライナのニーズにつき、政府として詳細な聞き取りは十分に行えているのでしょうか。また、総理は今回の訪問でどのような具体的なニーズを酌み取ってきたのでしょうか、伺います。
殺傷能力のある軍用品でなくとも、即時に使える具体的なものを現地に届けることは、日本政府の決断があれば桁違いの規模で可能なはずです。よりスピーディーに、事態に応じてウクライナのニーズに合わせた日本独自の適切な支援をしていくべきと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、首脳会談でも議題に上がった対ロ制裁について伺います。
今年のG7の議長国でもある日本は、リーダーシップを発揮して対ロ制裁を進める必要があります。総理も今回の首脳会談において、厳しい対ロ制裁を継続することが不可欠であり、特に制裁回避、迂回対策が重要である点に言及した上で、二月のG7首脳声明で合意した制裁の実施調整メカニズムを早期に立ち上げ、G7議長国として積極的に取り組んでいきたい旨を述べられたとのことですが、具体的に、この二〇二三年二月のG7首脳声明で合意をした対ロシア制裁の実施調整メカニズムはいつ立ち上げるのでしょうか。また、既存のG7による制裁と比較してどのような特徴を有しているのか、総理に伺います。
その上で、ロシアの軍事侵攻は一年を経過しました。戦争を長引かせずに、迅速な停戦、撤退を促すためにも、より厳しい制裁を視野に入れていく必要があります。G7がロシア産の石炭、石油輸入のフェーズアウトや禁止を進める中で、天然ガスの輸入禁止やサハリン・プロジェクトからの戦略的撤退など、日本が更にエネルギー分野での制裁を強化していく余地はあるのかどうか、総理の見解を伺います。
日ウ共同声明についても伺います。
国際刑事裁判所、ICCは、総理のウクライナ入り前の十七日、プーチン大統領に逮捕状を発行しました。ICCには、人道危機における抑止力として大きな役割を果たしています。
一方で、今回の日ウ共同宣言の七項めにおいて、戦争犯罪及びその他の残虐行為の不処罰はあってはならないことを強調したとありますが、この日ウ共同宣言の七項めにICC逮捕状への言及がなかった理由を総理に伺います。ウクライナがICC締結国でないことも理由の一つと考えられますが、これを機にウクライナの参加を呼びかけることも一案ではないでしょうか。総理のお考えを伺います。また、国際法に従ってとありますが、これにはICCへの協力が含まれるのか、併せて総理に伺います。
日ウ共同宣言の二十五項めでは台湾海峡の平和と安定の重要性についても確認しており、覇権国家である中国とロシアとの接近も警戒される中、台湾との連携はこれまで以上に必要不可欠です。すぐさま防衛行動の訓練を共にすることは難しくとも、ミサイルの飛来などに備えた国民保護の訓練の点で進んでいる台湾とのナレッジの共有や共同訓練の実施をまず模索するべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
中国の動向もしっかりと分析し、ロシアと中国との過度な結び付きを警戒する必要があります。総理がウクライナ訪問をした直前に中国の習近平主席はロシアを訪問しています。中国のウクライナ問題における立場をどのように分析をしているか、総理に伺います。
中国がアメリカに代わって世界の覇権国となることも警戒する必要があります。イランとサウジアラビアの関係正常化に続いて、中国がロシアとウクライナの間の仲介外交に本格的に乗り出すことも考えられるのか、中国の狙いをどのように分析しているか、この点も総理に伺います。
最後に、インド訪問について伺います。
総理は、インド世界問題評議会におけるスピーチで、官民合わせて七百五十億ドル以上を投じると表明されました。この点、インド政府が中国からの投資を限定的に許可したことを踏まえれば、今後は、量だけではなく投資の質の点で独自の戦略を取っていく必要があると考えますが、総理の所見を伺います。
FOIP実現のためには官民一体となって取り組む必要があり、現地法人の声もよく聞く必要があります。そして、FOIPの根底にあるものは価値観外交であり、インドで活動する本邦企業から法制の運用が不透明であるという声が多数あることを踏まえれば、開発やインフラ整備だけでなく、法の支配に基づく法制運用支援や高等教育支援なども進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。総理に伺います。
そして、価値観外交を進めるために、インド外交においては、人権担当補佐官の役割も重要になってくるのではないでしょうか。そもそも人権担当補佐官の役割について総理はどのように捉えているか、伺います。
以上、G7議長国として主体的な姿勢を示し、後追いの受動的な対応に陥ることなく、日本の外交プレゼンスを一層高めることを期待をして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕