岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山添拓議員にお答えいたします。
 旧優生保護法、国家賠償請求訴訟についてお尋ねがありました。
 旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省をし、心から深くおわびを申し上げる次第です。
 その上で、係争中の個別の訴訟につきましては、それぞれ個別に検討し、事案の内容に応じて一つ一つ丁寧に対応しており、三月二十三日の大阪高裁判決についても、関係省庁において判決内容を精査した上で適切に対応してまいります。
 国連憲章の遵守についてお尋ねがありました。
 昨年十月、百四十三か国が賛成したウクライナの領土一体性及び国連憲章の原則の擁護に関する決議は、国連総会の場で、国際社会の大多数が一致して国連憲章の原則と目的を守る強い意思を表明したものです。また、本年二月に百四十一か国が賛成した決議は、国連憲章の原則にのっとった包括的、公正かつ永続的な平和、これを求めております。
 一刻も早くロシアが侵略をやめるよう、国際社会が結束して毅然と対応し、これらの決議の実施に至ることが重要であります。そのために、我が国として、G7を始めとする各国と連携しながら、力による一方的な現状変更の試みに対抗する国際社会の取組、これを主導してまいります。
 NATOの信託基金を通じたウクライナ支援についてお尋ねがありました。
 御質問で言及された類似の基金の意味するところは明らかではありませんが、今般拠出を行うNATOの信託基金は、殺傷性のない装備品の供与を実現できる枠組みで、拠出国が使途の指定を行うことができることから、先ほど申し上げたウクライナ支援に資するものと判断し、今般、当該信託基金への拠出、これを決定をいたしました。
 我が国の拠出を通じた支援についても、殺傷性のない装備品の供与に使途をしっかりと指定をした上で、今後細部を調整することとしております。
 防衛装備移転とウクライナ支援についてお尋ねがありました。
 かつての武器輸出三原則等では、平和国家としての我が国の立場から、国際紛争等を助長することを回避するため、慎重に対処することを基本としていました。その結果、実質的に全ての地域に対して武器の輸出を認めないこととなったため、政府は個別の必要性に応じて例外化措置を重ねてきました。
 こうした中で、新たな安全保障環境に適合するよう、それまでの例外化の経緯を踏まえ、包括的に整理をし、二〇一四年に防衛装備移転三原則を定めました。その中でも、平和国家としての基本理念は引き続き堅持をしていくこととしております。
 御指摘のウクライナへの装備品等の提供については、こうした防衛装備移転三原則と自衛隊法第百十六条の三に基づき適切に行ったものであります。
 今般の日・ウクライナ首脳会談においても、ゼレンスキー大統領から、日本のこれまでの支援に対して深甚なる感謝が述べられたところであり、今後も日本ならではの形で切れ目なくウクライナを支えてまいります。なお、軍縮・不拡散等の国際社会の取組に積極的に貢献するとの我が国の立場、これに変更はありません。
 三文書とウクライナ侵略の教訓についてお尋ねがありました。
 今般のウクライナ侵略を踏まえれば、国際社会の平和及び安全の維持に関する主要な責任を有する国際連合安全保障理事会の常任理事国によって、武力の行使の一般禁止という国際社会の大原則があからさまな形で破られており、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、同様の深刻な事態が、将来、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて発生する可能性も排除されないものであると考えております。
 こうした状況も踏まえ、三原則においては、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛力の抜本的強化を進めることとしておりますが、同時に、我が国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための力強い外交を展開する方針も明記をしております。
 いずれにせよ、これらの取組は憲法、国際法、国内法の範囲内で専守防衛の考え方を堅持して進めていくものであり、このことは繰り返し説明をしているとおりであります。
 そして、欧州安全保障協力機構、OSCEについてお尋ねがありました。
 OSCEは、五十七か国が加盟する地域安全保障機構であり、政治的対話を行う場の提供などを通じて加盟国間の信頼醸成を行う機関であると承知をしております。
 ウクライナ情勢をめぐるOSCEの動きについて我が国として評価を行う立場ではありませんが、ロシアのウクライナ侵略はそもそも国際法違反であります。OSCE加盟国が他の加盟国を侵略するという事態であり、これ、国際秩序の根幹を揺るがし、断じて正当化することができないものとして非難すべきものであると考えております。
 東アジア地域における平和の枠組みについてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しく複雑になる中、我が国は各国との連携を強化し、自由で開かれたインド太平洋、FOIPのビジョンを共有する国の輪を更に広げていきます。
 アジアではASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っており、多層的な地域協力の枠組みがあります。ASEANの提唱するASEANアウトルック、AOIPは、FOIPと理念を共有するものです。引き続き、我が国として、ASEAN中心性を尊重し、積極的な貢献を行いながら、FOIPを実現するための協力、一層強化していく考えであります。
 三文書と平和主義についてお尋ねがありました。
 国家安全保障戦略等においては、まず優先されるべきは積極的な外交の展開であり、同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要であるとの考え方を示しました。こうした考え方に基づき、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で国民の命や平和な暮らしを守り抜くため、防衛力の抜本的強化を具体化したところです。
 国家安全保障戦略等に基づく施策はあくまで憲法の範囲内で行うものであり、平和国家としての我が国の歩み、いささかも変えるものではありません。
 自由で開かれたインド太平洋、FOIPや、日米豪印の在り方についてお尋ねがありました。
 自由で開かれたインド太平洋、FOIPは、包摂的で開かれたビジョンであり、特定の国を念頭に置いたものではありません。日本は、FOIPの考え方に賛同してもらえるならば、どの国・地域とも協力をしてまいります。また、日米豪印は、そうしたFOIPの実現に向け、様々な分野で実践的な協力を進める取組です。
 その上で、諸外国に対して防衛政策の具体的な考え方を明確にするなど自国の安全保障政策の透明性を確保する、このことが重要であると考えております。
 ASEANとの協力についてお尋ねがありました。
 日本は法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意であり、そのためにも、グローバルサウスとの関係を強化することが重要であると考えています。そのような考えから、私は、先週のインド訪問に際して、自由で開かれたインド太平洋、FOIPのビジョンを更に発展させるプランを発表いたしました。
 日本としては、ASEANを中心とした地域協力の枠組みへの積極的な貢献、さらにはその強化に取り組むとともに、FOIPを実現するためのASEANとの協力、これを一層強化していく考えであります。
 東南アジア友好協力条約、TACについてお尋ねがありました。
 同条約は、東南アジアにおける平和、友好及び協力の促進を目的としており、主権や領土一体性の尊重、紛争の平和的解決、武力の不行使など、国連憲章も掲げる基本原則を掲げております。
 我が国を含む多くの国々が東南アジア諸国とともにこの条約を締結しており、国際社会が歴史的な転換期にある中、この条約の意義は引き続き大きいものであると考えております。
 東南アジア首脳会議、EASと東アジアの平和についてお尋ねがありました。
 東アジア首脳会議は、米中も含む各国首脳の間で地域共通の課題について率直な対話を行うことができる重要なフォーラムです。同時に、我が国は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPと本質的な原則を共有するインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPを一貫して強く支持をしております。
 ASEANを含む関係国と緊密に連携しつつFOIPを推進していくとともに、AOIPに示されているような地域の平和と繁栄に積極的に貢献していく考えであります。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-03-27

院: 参議院

会議名: 本会議