村田享子の発言 (本会議)
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○村田享子君 立憲民主・社民の村田享子です。
私は、会派を代表して、令和五年度予算三案に対し、反対の立場で討論を行います。
冒頭、放送法の政治的公平の改変について申し上げます。
事件の本質は、所管外の礒崎総理補佐官が自ら作成した解釈案を総務官僚に強要し、安倍総理のゴーサインの下、高市大臣がシナリオどおりに国会答弁したという違法なプロセスによる憲法二十一条、言論の自由の破壊です。首相官邸の密室で特定の放送番組を狙い撃ちにした解釈の改変は、その後の各放送局のキャスター降板などの深刻な萎縮効果を生みました。
今回の予算委員会での論戦により、この一連の違法なプロセスが明らかになったことは、そして、それが改めてただされたことは、第二次安倍政権後、安倍政権以降の違憲、違法な政治姿勢を是正し、我が国の民主主義と法の支配の再生に資する重大な意義を持ったと思います。
しかし、高市大臣は、自らの保身のため、かつての部下たちが作成した行政文書を捏造と指弾し、事前の大臣レクを一切受けていないなどと強弁しました。これは、行政文書の信頼を冒涜し、行政の存立自体を否定する暴挙です。しかも、関係の閣僚らが、捏造などしておらず、大臣レクを行ったと良心の証言をしてもなお、自らの国会答弁に反し、いまだ大臣すら辞職していません。
そもそも、放送法を守り、言論の自由を守る総務大臣の職責に違背し、自ら違法な解釈の国会答弁などを遂行した高市大臣は、それだけで辞職に値するのであり、岸田総理の責任を厳しく指摘します。
また、LGBTのQ、LGBTQの皆さんが望む差別解消の実現については、G7広島サミット前に法整備を進めるべきと考えますが、総理は議論を見守ると言うだけで、進展が見られません。
旧統一教会と自民党との関係についても、大事なことは未来に向かって関係を絶つことであるとして過去を明らかにせず、地方組織も含めた徹底した調査は実施されていません。
以上について、総理の真摯な対応を求めるとともに、我が会派として、引き続きこれらの課題について追及することを申し上げ、以下、予算案への反対の理由を申し述べます。
第一の理由は、未曽有の防衛費増額です。
昨年十二月、政府は、国会での議論や国民的な合意もないまま安保三文書を閣議決定し、国家安全保障戦略において防衛費をGDP比二%に達するよう唐突に宣言しました。真に必要な予算を積み上げた結果、防衛費の一定の増額につながることは理解できますが、規模ありきの増額となっています。
防衛装備品の二割弱は海外からの調達ですが、実戦的とは言い難く、先方の言い値で購入したコストの高い調達が含まれています。憲法に基づく専守防衛に徹しつつ、時代の変化に対応した質の高い防衛力の整備を推進すべきです。
さらに、財源については、増税をいつから実施するかは先送りした上、復興特別所得税を流用することは断じて認めることはできません。
第二の理由は、防衛費は増額となる一方で、中小企業対策費や農林水産関係予算は前年比で減少となっている点です。
春闘では大企業を中心に満額回答が相次ぐ中、中小企業に賃上げが広がるかが焦点となっています。政府は物価上昇を超える賃上げや価格転嫁を進めると言いながら、中小企業対策費が減っていることは、本気で賃上げに取り組んでいるのか、その姿勢が問われます。
物価上昇は農林水産業にも影響を与えています。あわせて、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、食料安全保障の強化は必須です。にもかかわらず、予算は減り、私たちが対応を求めてきた酪農への支援も十分なものではありません。
以上二つの予算の減少は納得できませんが、子ども・子育て予算はその全貌すら見えてきていません。これが反対の第三の理由です。
総理は子供予算を倍増すると公言されてきましたが、肝腎の具体策については中身を精査中として国会の審議で明らかにせず、倍増の基礎となる予算の範囲についても不明なままです。このような中、三月十七日、記者会見を開き、子ども・子育て政策の基本的な考えを発表しました。予算審議をしている最中に、余りに国会を軽視した対応ではないでしょうか。しかも、開始時期や財源などの全体像は明らかになっておらず、選挙目当ての政策としか思えません。政権の最重要課題であるならば、予算案で提示し、その具体的な内容について国会で審議すべきです。
最後に指摘しておきたいのは、予算の大前提となる岸田内閣の目指そうとする社会像が明らかではないということです。
三月後半になってから、岸田内閣は追加の物価高騰対策を打ち出すとともに、少子化対策のたたき台の内容が報道ベースで明らかになっています。物価高騰対策に盛り込まれたLPガスや工場向けの特別高圧電力の負担軽減などは我が会派もかねてより対応を求めてきたものであり、また、少子化対策に盛り込まれるとされる児童手当の所得制限撤廃なども同様です。
問題は、これら政府・与党の対策は、野党の主張を一部取り入れて争点を無効化するための小手先のびほう策にしかすぎないのではないかということです。
所得制限については、児童手当以外にも、子育てや教育の支援策に多くの所得制限が設けられています。旧民主党政権下では、社会の分断を生まないために、線引きをなくし全ての人が受益者になれるよう、あらゆる施策において所得制限撤廃が目指されるべきであり、社会全体で子育てを支えるとの思想に基づいて、高校無償化や子ども手当について制限なく支援を行いました。
当時の野党自民党は与党批判を繰り広げましたが、年間出生数が八十万人を割り込むという危機的状況に直面した上、野党の要求や世論の高まりなどに押され、やむを得ず今回の政策を出してきた感は否めず、そこによって立つ政治思想を読み取ることは困難です。
現に、岸田総理も衆議院の予算委員会において、同性婚や選択的夫婦別姓をめぐる問題について、家族観や価値観やそして社会が変わってしまう課題であると答弁されましたが、その変わってしまう価値観、家族観、社会とはどのようなものなのか、明らかではありません。総理は常々、様々な課題について丁寧に議論を重ねていくという趣旨の答弁をしていますが、自らの価値観や社会像を明確に提示して政策を打ち出し、国会という開かれた場で堂々と議論をすることこそがまさに求められているのではないでしょうか。
予算委員会において、政府は、検討中なので詳細は差し控える、六月の骨太方針で提示するので詳細は差し控える、手のうちをさらすことになるので詳細は差し控えるなど、誠意のない逃げ口上に終始し、充実した質疑が行われたとはおよそ言い難い状況でした。
私は昨年初当選しましたが、国会に来て感じたことは、議論の大切さです。政府が議院内閣制の定める国会監督に一切違反することなく、予算委員会で末松委員長が指摘された敬愛の精神の下、多様な考えを持った議員が徹底した議論をすることで課題に対する解決策がブラッシュアップされていく、それこそが国会の本来の在り方だと思います。
今後、個別の政策について誠実な答弁を強く求めるとともに、政策のよって立つ理念や社会像についても大所高所に立って議論を進めていくべきと申し上げ、反対討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)