西村康稔の発言 (本会議)
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○国務大臣(西村康稔君) 礒崎議員からの御質問にお答えをいたします。
公正な移行についてお尋ねがありました。
議員御指摘の公正な移行は、GXに伴う円滑な労働移動などの雇用の確保の考え方を含むものと承知をしております。その重要性も踏まえて、本法律案で規定した脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、脱炭素と経済成長を両立させ、雇用の創出、所得の拡大につなげ、成長と分配の好循環を生み出すことを意味しております。
この意味で、まさに公正な移行、特に円滑な労働移動などの雇用の確保の観点は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に含意されております。本法律案に基づきGX推進戦略を策定する際は、この公正な移行を明記して、必要な政策にしっかりと取り組んでまいります。
社会全体でのGXの実現についてお尋ねがありました。
GXの実現、実行には、新たに生まれる産業などへの円滑な労働移動を始め雇用の確保の観点が大変重要であると認識しております。
このため、企業のGX実現に向けた取組を後押しするとともに、リスキリング等の人材育成の取組とグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動を進めるとともに、技術開発を通じた雇用の維持確保にも取り組んでまいります。
また、大企業のみならず、中堅・中小企業を含めてサプライチェーン全体でGXに取り組むことが重要です。このため、中堅・中小企業による温室効果ガスの排出削減に資する設備投資等を支援する補助金の拡充や要件緩和を行うとともに、相談窓口の体制強化や専門家によるハンズオン支援の体制構築などをきめ細かく実施してまいります。
GXの実現、実行に向けた政策を議論する場についてお尋ねがありました。
GXの実現、実行に当たっては、産業構造の転換や円滑な労働移動を含む雇用の確保など、横断的な課題に取り組む必要があります。
こうした観点から、GX実行会議では、日本経済団体連合会、経団連の十倉構成員、日本労働組合総連合会、連合の芳野構成員を始め日本商工会議所や地域の金融機関、消費者団体や学識経験者など、多様な有識者に加わっていただき、議論を行いました。
GXの分野では、技術開発や各国の動向が大きく変化していく可能性があり、政策の実行に当たっては、GX実行会議等で進捗評価を定期的に実施し、必要な見直しを効果的に行ってまいります。その際には、御指摘の公正な移行や個別具体的な論点についてもしっかり議論して取り組んでまいります。
失業なき労働移動についてお尋ねがありました。
GXの実現に向けては、雇用の確保やセーフティーネットの整備、新たに生まれる産業などへの円滑な労働移動の観点が大変重要と認識をしております。リスキリング等の人材育成含め、労使の代表者もメンバーに入ったGX実行会議等において議論を深めてまいります。
その上で、御指摘のような排出量取引制度で得た収入を職業教育訓練や所得支援等に措置する仕組みを検討しているわけではありませんが、リスキリング等の人への投資については、五年で一兆円のパッケージとして、政府全体で取組を強化することとしております。
GX経済移行債を活用した支援についてお尋ねがありました。
御指摘の先行投資支援は、排出削減と産業競争力強化、経済成長を共に実現するためのものであり、閣議決定したGX実現に向けた基本方針において要件を定めております。また、具体的な事業は、国会における予算案の議決を経て実施することとしております。
原子力や、水素、アンモニアと化石燃料の混焼は、我が国がエネルギーの安定供給を確保しつつ排出削減を実現する有力な手段の一つであります。将来的には、混焼にとどまらず、水素、アンモニアの専焼に向けて取組を進めます。
いずれにせよ、GX経済移行債の具体的な資金使途については、外部の有識者の意見等も踏まえながら検討してまいります。
その上で、GX経済移行債については、これまでの国債と同様に、同一の金融商品として発行することに限らず、国際標準に準拠し、民間の第三者認証を得た形での発行も目指して検討してまいります。
明示的なカーボンプライシングへの一本化についてお尋ねがありました。
税の原則は公平、中立、簡素でありますが、既存税制や関連制度は、それぞれの課税根拠等に応じ必要性や許容性を精査の上措置しており、今回の法案のみを契機とした整理は困難であります。
その上で、今般導入する制度は、まさに炭素価格が表れる明示的カーボンプライシングであります。あらかじめ導入時期や方針を明確にし、早期に取り組むほど将来の負担が軽くなる仕組みとし、企業のGX投資の前倒しを促します。
今般導入するカーボンプライシングの取扱いや既存税制等も含む日本の制度による排出削減への寄与が国際的に適切に評価されるよう、諸外国と継続して議論をしてまいります。
排出量取引制度などの成長志向型カーボンプライシングについてお尋ねがありました。
本制度では、導入時期や徐々に水準を引き上げていく方針をあらかじめ示し、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことで、早期にGXに取り組むほど将来の負担を軽くし、企業の排出削減効果の高い投資を引き出してまいります。また、今年度からGXリーグで試行的に実施し、二〇二六年度から本格的に稼働させる排出量取引制度には電力や鉄鋼を含め六百社以上が参加を表明しており、EUと同水準の国内排出量の四割以上をカバーしております。
本法律案に規定しているとおり、排出量取引制度などを実施するための具体的な詳細規定は、この法律の施行後二年以内に検討を行い、法制上の措置を講じることとしております。
これらの施策を総合的に実現、実行することにより、我が国の経済成長、産業競争力強化と排出削減を共に実現をしてまいります。
国外の制度との互換性、国際ルール作りについてお尋ねがありました。
カーボンプライシングに限らず、各国制度は、それぞれの経済・エネルギー事情やその他の国内政策との関係なども踏まえ設計されるものであり、互換性のみを追求して制度を設計するものではないと考えております。
その上で、EUにおける排出量取引制度を始め諸外国の制度の実態や教訓を踏まえながら我が国での制度設計につなげていくことは大切であると考えております。また、国際的な取引も視野に入れたカーボンクレジット市場の創設も目指してまいります。
成長志向型カーボンプライシング構想について、更なる国際的な理解が進むよう、しっかりと対外発信も進めつつ、国際的に整合性が取れるよう諸外国とも継続して議論していく考えであります。
中国のレアアース磁石製造技術の輸出禁止措置についてお尋ねがありました。
中国政府が改定作業を行っている中国からの輸出を禁止又は制限する技術リストの中で、レアアース磁石の加工技術を輸出禁止の対象とする方向で検討がなされていると承知をしております。
今回の改定はまだ中国政府内で検討中のものと承知しており、我が国経済や企業への影響について慎重に分析をしているところであります。我が国としては、様々なリスクにも対応できるよう、サプライチェーンの強靱化のため、永久磁石の生産能力増強や省レアアース磁石の開発、リサイクル技術の開発、導入、レアアース等の重要鉱物の権益確保に向けた取組を進めてまいります。
米中デカップリングの進行に対し、両国の間でどういったスタンスを取るのかというお尋ねがございました。
日本は、これまで貿易立国としてルールベースの自由でオープンな国として成長を実現してまいりました。国際秩序が揺らぐ中にあっても、分断ではなく協調が重要であり、自由で包摂的な経済秩序の構築を主導していくというのが我が国の基本的立場であります。
その上で、我が国にとって唯一の同盟国であるアメリカと緊密に連携しながら、経済安全保障の確保を図り、G7、IPEF、WTOなどの多国間枠組みを活用してまいります。最大の貿易相手国である中国との関係については、我が国の国益が確保されるよう適切な経済関係を構築してまいります。(拍手)
〔国務大臣西村明宏君登壇、拍手〕