後藤茂之の発言 (本会議)
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○国務大臣(後藤茂之君) 塩村あやか議員の御質問にお答えいたします。
本法律案の立法事実についてお尋ねがありました。
いわゆるフリーランスの保護について検討を開始するに際しては、令和二年に内閣官房において、関係省庁と連携し、フリーランスの実態を把握するための調査を実施しました。調査によると、取引先とのトラブルを経験したことがあるフリーランスのうち、そもそも取引条件に関する書面、電子メールが交付されていない者や、交付されていても取引条件が十分に明記されていなかった者が六割となっています。
こうした状況を改善し、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、事業者とフリーランスの取引について、書面での契約のルール化など、法制面の措置を検討してきました。
また、令和三年に内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査によると、フリーランスは報酬の不払や支払遅延を始めとしたトラブルを経験する方が多く、かつ特定の発注者への依存度が高い傾向にあることが確認できており、発注事業者との関係において不当な不利益を受けやすい立場にあると考えられます。
本法律案は、こうした調査や政府での検討を踏まえて国会に提出したものです。
海外事例の把握等についてお尋ねがありました。
フリーランスに関わる包括的な政策対応について、諸外国の事例を網羅的に把握しているわけではありませんが、例えばEUでは、デジタル労働プラットフォームを通じて働く者の契約関係について、一定の要件を満たせば雇用契約と推定する規定を盛り込んだ指令案が提案されていると承知しています。
一方、現在、我が国でフリーランスが直面しているトラブルについては、報酬の支払遅延や取引上の不当な行為など、事業者間取引において見られるものが多く、ハラスメントなどのトラブルについても、取引上の力関係に由来しているものと考えることができることから、本法案は取引の適正化等を図る法制として立案し、速やかに対応策を講じることとしたものです。
取引内容の明示の意味等についてお尋ねがありました。
本法案第三条では、発注事業者がフリーランスに業務委託をした場合に、給付の内容、報酬の額などの取引条件の明示を義務付けています。また、本法案では、発注事業者とフリーランス双方の利便性向上の観点から、取引条件を記載した書面を交付する方法、取引条件等をメール等の電磁的方法により提供する方法のいずれかを選択できるようにしているため、法律上、これらの二つの方法を含む明示という文言を用いています。発注事業者が明示を行わなかった場合には、本法案第三条に違反し、指導等の対象となるなどの法的効力を有しています。
契約締結を必須としなかった理由についてお尋ねがありました。
本法案第三条では、発注事業者がフリーランスに業務委託をした場合に、給付の内容、報酬の額などの取引条件の明示を義務付けています。ここでいう業務委託をした場合とは、発注事業者とフリーランスとの間で業務委託についての合意、すなわち契約が成立していることが前提となります。
そのため、契約締結に関する義務を課すのではなく、本法第三条の取引条件の明示を義務付けることによって、業務委託契約の内容を明確にさせて後々のトラブルを未然に防止することができること、また、取引上のトラブルが生じたとしても業務委託契約の内容についての証拠として活用できることから、フリーランスに係る取引適正化等を十分に図ることができるものと考えています。
なお、下請代金法においても、本法案と同様に、下請事業者に製造委託等をした場合に給付の内容を記載した書面の交付のみを義務付けているものと承知をいたしております。
過重労働などトラブル防止に必要な禁止規定や、健康診断が受けられないといった問題への対応についてお尋ねがありました。
本法案では、フリーランスの長時間労働を直接的に禁止する規定は置いていません。他方、納期までの期間が通常より短い発注を行い、その結果としてフリーランスが外注すること等を余儀なくさせられ、人件費等のコストが大幅に増加したにもかかわらず、通常の納期で発注した場合の単価と同一の単価を一方的に定めた場合には、法案第五条第一項第四号で禁止する買いたたきに該当し、勧告等の対象になり得ると考えています。
また、議員御指摘のとおり、フリーランスの方についても、働き過ぎにならないように配慮するとともに、定期的に健康診断を受け、健康を確保していただくことは大変に重要です。
現在、厚生労働省では、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催し、その中で、フリーランスの方々が長時間の作業により健康を害することのないようにすることや、健康診断の受診について発注者等に配慮を求めることも議論していると承知しています。この有識者検討会における検討結果も踏まえ、厚生労働省においても適切な対応が取られるものと考えております。
本法案の下請代金法との適用関係についてお尋ねがありました。
下請代金法は、下請取引の公正化と下請事業者の利益の保護を目的とするものです。一方、本法案は、従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受けるフリーランスの特性に着目して、フリーランスに係る取引の適正化や就業環境の整備を目的とするものです。このように、下請代金法と本法案の趣旨、目的は必ずしも一致するものではないことから、本法案では適用関係の整理規定を置いていません。
なお、発注事業者の一つの行為について本法案と下請代金法の二つの法律を適用し得る場合には、個々の事案に応じて、公正取引委員会等においてどちらの法律を適用するか個別に判断することを想定しています。
育児介護等の配慮義務を本法案に盛り込むこととした背景や政令で定める期間についてお尋ねがありました。
フリーランスの育児介護等については、フリーランス当事者や関係団体等からも、育児介護等がしやすい環境の整備を求める声があると承知しています。このような実態を踏まえ、本法案では、フリーランスが育児介護等と業務を両立できるよう、発注事業者に育児介護等の配慮を求めることとしたものです。
また、育児介護等への配慮義務の対象となる取引の期間については、内閣官房のアンケート調査において、契約期間が一年以上の場合には、仕事の掛け持ち数が減ることにより特定の発注事業者への依存度合いが高まる傾向が見られること、一定期間以上の取引関係があることで当事者間で働き方を調整できる関係性が生まれると考えられることから、これらを参考として政令で定めることとしています。具体的な期間については、関係者の意見をよく伺いながら、取引の実態に即して設定してまいります。
育児介護等の配慮の申出に伴う不利益取扱いの禁止や配慮義務の実効性等についてお尋ねがありました。
本法案においては、フリーランスが育児介護等と業務を両立できるよう、発注事業者に育児介護等の配慮を求めることとしています。一方、事業者間取引においては、取引自由の原則の下、取引内容そのものへの行政の介入は最小限にとどめるべきとの観点から、本法案においては不利益取扱いを禁止することはしていません。
育児介護等への配慮については、厚生労働大臣の定める指針において、想定されるフリーランスからの申出や発注事業者に求められる配慮の具体例についてお示しし、フリーランスが申出をしやすく、また発注事業者が発注控えにつながることなく適切な配慮を行えるよう、丁寧な周知を図ってまいります。
ハラスメントの対策についてお尋ねがありました。
発注事業者とフリーランスの取引において、性的な嫌がらせや業務でミスをした際の暴言、暴力等、発注事業者からフリーランスに対するハラスメントが現実に発生していることから、本法案では、発注事業者に対し、ハラスメント対策に係る体制整備を義務付けています。
具体的には、ハラスメント被害を受けたフリーランスからの相談に対応するための体制整備など、労働関係法令に基づく労働者を対象としたハラスメント対策と同様のものとすることを想定しています。
また、ハラスメント対策については、厚生労働大臣の定める指針において、発注事業者が講ずべき対策の具体例をお示しし、丁寧な周知を図ることで、発注事業者が適切に対策を講じ、フリーランスがハラスメント被害を受けることなく安心して働くことのできる環境の整備に努めてまいります。
当事者に対する周知徹底の取組方針についてお尋ねがありました。
本法案は、いわゆるフリーランスの方々に業務委託を行う発注事業者に対して取引条件の明示義務を課すこと等により、フリーランスに係る取引の適正化等を図るものです。
これらの義務を実効的なものとし、フリーランスの方々を適正に保護するためには、施行までの間に、この法律の趣旨、内容、保護対象となるフリーランスの範囲、規制対象となる発注事業者への範囲等について、フリーランス、発注事業者双方に十分な周知が必要であるものと考えています。
このため、関係者への説明会、パンフレットの配布、関係省庁のウェブサイトやSNSへの掲載など、様々な方法で、広く国民にとって分かりやすいものとなるよう、しっかり周知活動を行ってまいります。
フリーランスを含めた就職氷河期世代の支援についてお尋ねがありました。
就職氷河期世代には、希望する就職ができず不本意ながら不安定な仕事に就いている方など、様々な課題に直面している方々が含まれており、政府としては、令和二年度から就職氷河期世代の就労や社会参加への集中的な支援に取り組んでいます。
昨年末に策定した就職氷河期世代支援に関する新行動計画二〇二三に基づき、これまで実施してきた施策のフォローアップ結果を踏まえて、施策の強化を図りつつ、着実に施策を実行し成果を積み上げていく考えです。あわせて、就職氷河期世代を含めたフリーランスについて、事業者との間の取引の適正化に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕