後藤茂之の発言 (本会議)

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○国務大臣(後藤茂之君) 高木かおり議員の御質問にお答えいたします。
 フリーランスの位置付け及び本法案のメリットについてお尋ねがありました。
 政府としては、個人が多様な働き方の中から、それぞれのニーズに応じた働き方を柔軟に選択できる環境を整備することが重要であり、フリーランスという働き方は選択肢の一つであると考えています。現に、自分の仕事のスタイルで働きたい、働く時間や場所を自由にしたいといった理由から、フリーランスとして働くことを積極的に選択する個人が多数いるものと承知しています。
 一方で、事業者間取引において、業務委託を受けるフリーランスの方々が不当な不利益を受けるといった取引上のトラブルが生じている実態があることから、フリーランスの方々が安定的に働くことのできる環境を整備することは重要です。
 このため、今回の法律案では、取引の適正化を図るため、特定受託事業者に業務委託をする事業者に対し、給付の内容の明示等を義務付けるとともに、就業環境の整備を図るため、特定受託事業者に業務委託をする事業者に対し、育児介護等に対する配慮、ハラスメント行為に係る相談体制の整備等を義務付けること等を盛り込んだところです。
 本法律案により、フリーランスの方々が不当な不利益を受けることなく安定的に働くことができ、ひいては個人が多様な働き方の中からそれぞれのニーズに応じた働き方を柔軟に選択できる環境が整備されるものと考えております。
 働き方にかかわらない能力向上支援、社会保障、税制の仕組みの構築、労働市場改革等についてのお尋ねがありました。
 政府としては、多様な働き方を選択しやすくなる環境整備を進めていくため、働き手の立場に立った支援が重要であると考えています。このため、フリーランスを含め、多様な働き方で働く方々が自律的なキャリア形成を行えるよう、キャリアコンサルティングの機会の提供などの支援を行っています。
 また、社会保障や税制は、働き方に中立的であり、自らの選択による労働移動を阻害しないようなものであるべきだと考えています。このため、勤労者皆保険の実現に向けた取組を進めるとともに、働き方によって有利不利が生じない公平な税制を構築する観点から、退職所得課税について引き続き丁寧に議論していきます。
 その上で、解雇ルールについて、金銭を支払えば自由に解雇できるという制度を導入することは考えていませんが、円滑な労働移動を推進することは、構造的な賃上げにつながる好循環を生み出す鍵となるものと考えています。
 このため、働く人の立場に立って、意欲ある個人に対するリスキリングによる能力向上支援、職務に応じてスキルが適正に評価され、賃上げに反映される職務給の確立、自らの選択による主体的労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革に取り組んでいきます。
 さらに、ミスマッチの解消については、ハローワークにおいて、引き続き、求職者と求人者のニーズに沿ったきめ細かなマッチング支援を行ってまいります。
 新たに本法案による規制が必要である理由についてお尋ねがありました。
 従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受けるフリーランスについては、従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間で交渉力やその前提となる情報収集力の格差が生じやすいと考えられます。また、フリーランス・トラブル一一〇番には、発注事業者からのハラスメントなど、交渉力等の格差に起因して個人の就業環境が害されるといった相談も寄せられています。
 このため、本法案においては、個人で業務委託を受けるフリーランスを対象として、取引の適正化を図るとともに、ハラスメントの防止などフリーランスの就業環境の整備を図ることとしています。
 一方、独占禁止法は、市場における公正かつ自由な競争を促進することを目的とするものであり、市場における競争の促進とは直接関係しない就業環境整備に関する規制は対象としていません。また、下請代金法は、親事業者と下請事業者との下請取引において、取引構造上、交渉力等の格差が生じることから、下請取引の適正化等を図るものです。具体的には、資本金一千万円超の親事業者と一千万円以下の下請事業者といった事業者間の下請取引を規制対象としています。
 このため、独占禁止法や下請代金法では、ハラスメント防止など、個人の就業環境整備に関する規制になじまないことや、資本金一千万円以下の事業者とフリーランスとの間の取引が規制対象とならないことから、新法として本法案を提出することといたしました。
 本法案の規制の影響とフリーランスへの発注控えの懸念についてお尋ねがありました。
 本法案は、いわゆるフリーランスの方々に業務委託を行う発注事業者に対し取引条件の明示等の義務を課すことにより、フリーランスに係る取引の適正化等を図るものです。
 他方で、事業者間取引における契約自由の原則の観点から、事業者間取引に対する行政の介入は最小限にとどめるべきであることに加え、発注事業者に過度な義務を課した場合には、フリーランスへの発注控えにつながりかねないことにも留意が必要です。
 このため、本法案においては、発注事業者の負担とフリーランスに係る取引適正化等の両面でバランスを取りながら、必要な規制を盛り込んでいます。
 具体的には、本法案では、取引条件の明示、支払期日における報酬の支払、受領拒否の禁止等を規定していますが、これらの規制は事業者間取引において当然に行われるべき内容であり、発注事業者に対し新たに過度な負担を課すものではないと考えています。
 一方で、下請代金法で規定されている取引記録の作成、保存義務や法定の遅延利息による支払義務については、発注事業者にとって負担が大きいと考えられることから、本法案には盛り込んでいません。
 また、個人であるフリーランスを保護する観点から、ハラスメント対策などの就業環境の整備に関する措置を盛り込んでいますが、発注事業者が雇用主の立場として既に講じている措置と同様の内容を求めるものであり、発注事業者に対し新たに大きな負担を迫るものではないと考えています。
 さらに、御指摘の取引条件の明示義務については、当事者間の認識の相違を減らしトラブルを未然に防止するという点において、発注事業者の利益にも資することから、フリーランス同士の取引についても対象としたものです。
 本法案が成立した場合には、施行までの間に本法案に基づく規則や指針等を定める予定ですが、引き続き、発注事業者の負担とフリーランスに係る取引適正化等の両面でバランスを取りながら、関係者の意見をよく確認してしっかり検討をしてまいります。
 禁止行為の規制対象となる契約の期間の長さについてお尋ねがありました。
 本法案は、下請代金法の規制対象となっていない小規模な発注事業者であっても、従業員を使用し、特定受託事業者に委託する場合には、特定業務委託事業者として規制が及びます。
 他方で、事業者間における契約自由の原則の観点から、事業者取引に対する規制に基づく行政の介入は最小限にとどめるべきであることにも留意が必要です。発注事業者に対し重過ぎる負担が生じることのないよう、また、これにより特定受託事業者への発注控えが生じることのないよう、規制は必要最小限とする必要があります。
 また、一般的には、契約期間が長くなるほど発注事業者と受注事業者との間で経済的な依存関係が生じ、それを利用されて不利益を受けやすい傾向にあります。内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査でも、主な取引先との契約期間が長くなるほど取引先から不利益な行為を受けやすいとの実態が見られます。
 こうした実態を踏まえたフリーランス保護の必要性と、過度の負担に係る発注控えを回避する観点も含めて、本法案では、一定の期間にわたって継続する業務委託のみを対象として受領拒否等の禁止義務を課すこととしています。
 なお、御指摘の一定期間内での同じ事業者との間の契約回数に着目する案については、例えば個々の業務委託の契約期間が短い場合であっても、それが実態として同一の契約であり、その更新を繰り返した結果、政令で定める期間を超える場合には禁止義務の対象となることも想定しています。
 本法案の規制対象とならない事案への対応についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、継続的業務委託に該当しないなど、本法案の規制対象とならない場合であっても、受領拒否等の禁止行為についてはあってはならない行為であると考えています。
 このため、政府としては、令和三年三月にフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインを策定し、関係法令の適用関係を明らかにするとともに、問題となり得る事案を明確化し、関係者に対する周知、広報を行ってきました。引き続き、本法案の周知に加え、令和三年に策定したガイドラインの周知を図ってまいります。
 また、政府では、令和二年にフリーランス・トラブル一一〇番を設置し、フリーランスの取引上のトラブルについて一万件を超える相談を受け付けてきています。フリーランス・トラブル一一〇番においては、本法案の規制対象とならない事案も含めて、悪質な問題行為の解決に資するアドバイスや紛争の和解あっせん等を行っており、今後もこうした取組体制を充実させていきます。
 これらの取組により、悪質な行為の是正に努めてまいります。
 育児介護等の配慮に係る申出や実効性を高めるための方策についてお尋ねがありました。
 本法案では、発注事業者は、フリーランスが育児介護等と両立して業務に従事することができるよう、フリーランスからの申出に応じて必要な配慮をしなければならないこととしています。これは、育児介護等について個々人の事情や意向が異なり、業務との両立に向けた配慮が必要かどうかについて、まずはフリーランスの方に判断いただくことが適切であり、フリーランスからの申出を契機として発注事業者に必要な配慮を求めることとしたものです。
 また、厚生労働大臣の定める指針において、育児介護等の配慮について具体的な内容等をお示しするとともに、発注事業者、フリーランス双方への丁寧な周知を図ることにより、フリーランスが申出しやすく、安心して育児介護等と両立しつつ働くことのできる環境の整備に努めてまいります。
 ハラスメント対策の実効性を高めるための方策についてお尋ねがありました。
 本法案では、発注事業者は、ハラスメント対策として、フリーランスからの相談に対応する窓口等必要な体制を整備しなければならないこととしています。また、フリーランスが発注事業者に対しハラスメントに関する相談を行った場合に、これを理由として発注事業者がフリーランスに契約の解除などの不利益な取扱いをすることを禁止するとともに、これに違反した場合には、厚生労働大臣が指導、勧告等を行うことができることとすることによりその実効性を高めることとしています。
 さらに、ハラスメント対策については、厚生労働大臣の定める指針において、発注事業者が講ずべきハラスメント対策の具体例をお示しし、丁寧な周知を図ることにより、発注事業者が適切に対策を講じ、フリーランスがハラスメント被害を受けることなく安心して働くことのできる環境の整備に努めてまいります。
 育児、介護の配慮等に関して定める指針についてお尋ねがありました。
 本法案では、厚生労働大臣が、育児介護等と業務の両立への配慮、ハラスメント対策などについて、発注事業者が適切に対処するために必要な指針を策定、公表することとしています。
 具体的には、育児介護等について、発注事業者が行う配慮の考え方や具体例、ハラスメントに関する相談体制の整備など、発注事業者が講ずべきハラスメント対策の具体例等を定めることを想定しています。
 指針の策定に当たっては、厚生労働省において、発注事業者やフリーランス関係団体、労使団体等の御意見をしっかり伺いながら、取引の実態を反映した内容となるよう検討していくものと承知しています。
 施行後三年をめどとした見直しの対応方針についてお尋ねがありました。
 本法案については、法案附則の検討規定に基づき、本施行後の特定受託事業者をめぐる取引情勢の分析や、様々な業種における課題の把握などに努めるほか、幅広く関係者の意見を確認していくことにより、施行後三年をめどにしっかりと検討してまいります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 後藤茂之

speaker_id: 29562

日付: 2023-04-21

院: 参議院

会議名: 本会議