後藤茂之の発言 (本会議)

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○国務大臣(後藤茂之君) 井上哲士議員の御質問にお答えいたします。
 法制度の検討についてお尋ねがありました。
 厚生労働省では、雇用類似の働き方に係る論点整理等検討会について、令和二年十二月にこれまでの御意見を整理したことをもって一区切りとし、フリーランス・トラブル一一〇番の設置、運営など、フリーランスの方が安心して働ける環境整備に取り組んできたところと承知しています。
 一方、内閣官房においては、令和二年に関係省庁と連携し、フリーランスの実態を把握するための調査を実施しました。調査によると、取引先とのトラブルを経験したことがあるフリーランスのうち、そもそも取引条件に関する書面、電子メールが交付されていない者や交付されていても取引条件が十分に明記されていなかった者が六割となっています。こうした状況を改善し、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、事業者とフリーランスとの取引について、書面での契約のルール化など、法制面の措置を検討してきました。
 また、令和三年に内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査によると、フリーランスは報酬の不払や支払遅延を始めとしたトラブルを経験する方が多く、かつ特定の発注者への依存度が高い傾向にあることが確認できており、発注事業者との関係において不当な不利益を受けやすい立場にあると考えられます。
 本法律案は、こうした調査や政府での検討を踏まえて国会に提出したものです。
 法案に関する労働政策審議会での議論についてお尋ねがありました。
 本法案は、我が国でフリーランスが直面しているトラブルについて、報酬の支払遅延や取引上の不当な行為など、事業者間取引において見られるものが多く、ハラスメントなどのトラブルについても取引上の力学関係に、力関係に由来しているものと考えることができることから、取引の適正化等を図る法制として立案したものです。
 昨年四月の新しい資本主義実現会議では、取引適正化のための法制度の整備について御議論をいただくとともに、昨年九月には法案の素案についてパブリックコメントを実施し、広く意見を求めてきました。
 このように、本法案は取引の適正化を主な目的とするものであることを踏まえ、労働政策審議会への諮問、答申は行っていませんが、本法案にはフリーランスの方々の就業環境の整備に関する事項も含まれることから、労働政策審議会雇用環境・均等分科会に法案の検討状況等の報告を行いました。
 今回御審議いただいている法律案は、様々な立場の皆様からいただいた多様な御意見を踏まえたものになっていると考えています。
 いわゆるギグワーカーの法的保護についてお尋ねがありました。
 海外におけるギグワーカーの法的保護について、例えばEUでは、デジタル労働プラットフォームを通じて働く者の雇用契約関係について、一定の要件を満たせば雇用契約と推定する規定を盛り込んだ指令案が提案されていると承知しています。
 この指令案については、雇用契約を機械的に推定することの是非やその要件の内容において各国間で立場の隔たりがあり、いまだに成立に至っていないものと承知しており、我が国としては、引き続きその動向に注視していく必要があると考えています。
 他方、現在我が国でフリーランスが直面しているトラブルについては、報酬の支払遅延や取引上の不当な行為など、事業者間取引において見られるものが多く、ハラスメントなどのトラブルについても取引上の力関係に由来しているものと考えることができることから、取引の適正化等を図る法制として本法案を立案し、速やかに対応策を講じることとしたものです。
 労働基準監督署の対応についてお尋ねがありました。
 いわゆるフリーランスと呼ばれる方であっても、実態を勘案して総合的に判断した結果、労働者性があると判断されれば、労働基準関係法令に基づき労働者として必要な保護が図られるものと承知しています。
 労働基準監督署においては、フリーランスを含め、労働基準関係法令違反がある旨の申告がなされた場合には、相談者の方から丁寧に話を聞くなど事実確認を行い、労働者性の有無を判断していると承知しています。
 引き続き、労働基準監督署において労働者性の判断が的確に行われるようにするとともに、調査の結果、労働者に該当し、労働基準関係法令違反が認められる場合には、厳正な監督指導が行われるよう、厚生労働省において適切に対応することが重要であると考えています。
 契約時の条件明示についてお尋ねがありました。
 フリーランスと発注事業者間の取引は、事業者間取引として当事者が自由に取引条件の提示、変更等を行うものでありますが、本法案では、取引条件に関するトラブルを防止するため、募集情報や的確表示や業務委託契約直後の書面等による取引条件の明示を義務付けています。
 一方、事業者取引における契約自由原則の観点から、事業者取引に対する行政の介入は最小限にとどめるべきものであることに留意する必要があります。
 御指摘のように、契約時の取引条件の明示を義務付けた場合、契約直後の書面等の交付と併せて、極めて近接した二つの時点で条件明示を義務付けることになります。
 また、この場合、契約直後の書面等の交付のみを義務付ける下請代金法と取扱いが異なることとなり、発注事業者において実務上の混乱が生じるとともに、契約時の条件明示等が特に小規模な発注事業者にとっては負担となり、フリーランスへの発注控えにつながるおそれもあると考えます。
 こうした点を踏まえ、本法案においては、契約時の条件明示は盛り込まないこととしたものであり、まずは募集情報の的確表示や業務委託契約直後の書面等による契約取引条件の明示の遵守、定着を図ってまいります。
 禁止行為の規制対象となる契約の期間等についてお尋ねがありました。
 一般的には、契約期間が長くなるほど発注事業者と受注事業者との間で経済的な依存関係が生じ、それを利用されて不利益を受けやすい傾向にあり、内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査でも同様の実態が見られます。こうした実態を踏まえたフリーランス保護の必要性と、過度な負担による発注控えを回避する観点も含めて、本法案では、一定の期間にわたって継続する業務委託のみを対象として報酬減額の禁止などの義務を課すこととしています。
 御指摘の政令で定める期間については、内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査では、主な取引先との契約関係が三か月を超えて六か月といった長期となるほど取引先から不利益行為を受けやすいという傾向が見られるため、これも一つの参考として検討することとしています。
 具体的な期間は、規制対象となる小規模な発注事業者の負担や規制の実効性などのバランスを踏まえ、今後、関係者の意見をよく確認しながらフリーランス取引の実態に即した期間を設定してまいります。
 デジタルプラットフォーマー等の仲介事業者に対する規制についてのお尋ねがありました。
 御指摘のブローカー、デジタルプラットフォーマー等の仲介事業者については、単に発注事業者とフリーランスとの間の業務委託契約をあっせんしている場合には、契約形態上は業務委託契約には該当しません。
 一方で、契約形態だけでなく、取引実態も踏まえて総合的に判断した結果、実質的に仲介事業者が業務委託を行っていると評価できる場合には、仲介事業者は本法案における特定業務委託事業者に該当し、本法案の規制が課されることになります。
 通常支払われる対価の判断についてお尋ねがありました。
 法案第五条第一項第四号では、通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めることを禁止しています。通常支払われる対価とは、特定受託事業者の給付と同種又は類似の給付について、その特定受託事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価を言います。ただし、一般に支払われる対価の把握が困難な場合には、通常支払われる対価は、特定受託事業者の給付と同種又は類似の給付に係る従来の取引価格となります。
 フリーランスの最低報酬規制の必要性についてお尋ねがありました。
 本法案では、いわゆるフリーランスを保護する観点から、下請代金法では規制対象にならない小規模な発注事業者であっても、従業員を使用し、フリーランスを委託行う場合には、特定業務委託事業者としての規制が課されることになります。
 他方、事業者間取引における契約自由の観点からは、原則として事業者取引に対する行政の介入は最小限にとどめるべきであることに加え、小規模な発注事業者に対して過重な義務を課した場合、発注事業者が業務履行に係る負担を避けようとして特定受託業者に取引することを避ける言わば発注控えが生じること、財務基盤が脆弱な発注事業者も多く、義務が負担となり経営に支障を来すことが懸念されることにも留意することが必要です。
 さらに、特定受託事業者の役務や成果物は多種多様であることから、一律の最低報酬を定めることは困難であると考えられます。
 したがって、本法案においては特定受託事業者の最低報酬に係る規制は盛り込んでいませんが、本法案第五条第一項第四号で禁止する買いたたき等に該当するような報酬が設定された場合には、勧告等の措置により是正を図ることになります。
 フリーランスの長時間労働を是正するためのルール設定についてお尋ねがありました。
 フリーランスの方についても、働き過ぎにより健康を害することのないよう配慮することは重要です。
 このため、現在、厚生労働省では、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催し、議論していると承知しています。この有識者検討会における検討結果も踏まえ、厚生労働省において適切な対応が取られるものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X01720230421_020

発言者: 後藤茂之

speaker_id: 29562

日付: 2023-04-21

院: 参議院

会議名: 本会議