宮口治子の発言 (本会議)
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○宮口治子君 立憲民主・社民の宮口治子です。会派を代表して質問いたします。
まずは冒頭、総理、覚えていらっしゃいますか。忘れているとは言わせません。ちょうど二年前の四月二十五日、大規模買収事件による参院選広島選挙区の再選挙によって私は議員になり、今この場にいます。今回だけは自民党を勝たしちゃいけん、そういう声の後押しを受け当選いたしました。
選挙の翌月、総理は、当時自民党幹事長だった二階氏に、一億五千万円について国民に明確な説明をするように申入れをされました。党員の気持ちに応え説明責任を果たすことは大事だ、私が党に指示を出せる立場になったら、この姿勢は大事にしたいとも述べられています。いつ説明を行うのでしょうか。もう終わった話、今頃何を蒸し返しているんだというわけにはいきません。二年もたちました。検討はもう結構でございます。広島県の皆様も説明を待っています。党に指示を出される立場に立たれた今、どうぞこの場でしっかり説明責任を果たしてください。丁寧な答弁をお願い申し上げます。
さらに、総理にお聞きします。
和歌山で選挙応援中の総理に対し爆発物が投げ込まれた事件の最中、警備の責任者の一人でもある国家公安委員長が、一報を受けたにもかかわらず、楽しみにしていたうな丼を最後まで食べたと発言したとのことです。広島サミットを前に、こうした事件に対する危機感も緊張感も感じない人物に要人警護、警備の責任を担わせてよいのでしょうか。うな丼大臣は即刻更迭してください。
それでは、本題である安保関連三文書の総理報告について質問いたします。
国家安全保障戦略では、我が国の安全保障上の目標を達成するために用いられる総合的な国力の第一の要素として外交力が掲げられており、大幅に強化される外交の実施体制の下、今後も、多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や他国との共存共栄のための国際協力を展開すると書かれております。
歴史を振り返っても、戦争は常に外交の失敗であり、そもそも安全保障環境の悪化を言うのであれば、その悪化はまさに外交の失敗が招いている事態であることを真剣かつ深刻に受け止めるべきです。
岸田総理は、第二次安倍政権において、四年八か月という戦後二番目に長い期間、外相を務めました。その間の岸田外交が今日の安全保障環境を回避するために、その緊張を緩和するために具体的にどのような二国間、多国間、そして国連外交を主導してきたのか、その岸田外交の実績と真摯なる反省をお示しください。
もう一つの歴史の教訓は、外交の失敗を軍事力の増強でごまかそうとすることです。それがかえって緊張の悪化と戦争の勃発を招いてきたことも歴史が私たちに教えてくれています。
第一の要素として外交力を掲げるのであれば、防衛力ではなく、積極的かつ思い切った外交力の強化にこそ我が国の持てる資源を投入すべきです。しかし、安保三文書には、肝腎の具体的な外交戦略の記述がほとんどありません。代わりに飛び出してきたのは、外交には裏付けとなる防衛力が必要であるという岸田総理の主張です。
そこで、岸田総理にお伺いしますが、国家安全保障戦略で明記されている外交の重要性とその具体的な方策及びその実施体制の大幅な強化の具体的内容についてお示しいただくとともに、それらの外交政策は防衛力の裏付けとして実施するものなのか、見解をお尋ねします。
岸田総理は、反撃能力保有の目的について、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力であり、これにより武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると答弁されています。
しかし、日本に武力攻撃を行う国が現れたときには、日米安保条約に基づき米国が日本を守ることになります。米国は世界でも類を見ない強大な戦力を保有しており、これほどの抑止力はないはずです。その米国の抑止力と、岸田総理が言うかつてなく強固な日米同盟があるにもかかわらず、なぜ日本が反撃能力を保有する必要があるのでしょうか。米国の集団的自衛権の発動、敵基地攻撃能力、あるいは報復攻撃の実行について疑問があるということなのでしょうか。そして、米国による日本への防衛義務がある中で日本が反撃能力を保有することは、武力の行使の三要件にある、ほかに適当な手段がないとの要件を満たすのでしょうか。御説明を願います。
また、三要件の必要最小限度について、政府はこれまで他国を直接攻撃するような攻撃力を行使するようなことは必要最小限度を逸脱するとの立場を取ってきたはずではなかったでしょうか。総理の明確な説明を求めます。
日米の基本的な役割分担について、岸田総理は、二〇一五年の日米ガイドライン上、日本は日本の防衛を主体的に実施する、米国は自衛隊を支援し補完するとともに拡大抑止を提供するとされており、こうした基本的な役割分担は変更しないと答弁されています。他方、ミサイル攻撃への対処については、これまで米国に打撃力を委ねてきました。
今般の反撃能力の保有は、日本が他国領域への打撃力を持つことにほかなりませんが、こうした役割を担うことに方針転換された理由をお示しください。
政府は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合とは、攻撃のおそれがあるにとどまるときではなく、また我が国が現実に被害を受けたときでもなく、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したときと解されていると説明されています。この点、岸田総理は、我が国の武力行使は、憲法、国際法、国内法の範囲内で運用されるわけであり、その範囲内で反撃能力についても運用されると述べておられます。しかしながら、幾ら着手段階での攻撃が正当であったと我が国が主張しても、相手国がミサイル発射の意図はなかったと言い張り、国際社会がそれを信用すれば、我が国は国際法違反の先制攻撃を行ったとみなされることとなります。
政府は、国際社会から疑義が呈されない形で着手段階での反撃能力を行使できるとお考えなのか、それは具体的にどのような判断基準に基づくものなのか、岸田総理の見解をお聞かせください。
政府は、反撃能力を保有する理由について、周辺国のミサイル技術の向上に対応する必要性を説明しています。他方、ミサイル攻撃以外にも、戦闘機、爆撃機、無人機などの基地等に反撃能力を行使し得るかについて、武力の行使の三要件に合致した場合には行使できることを否定していません。その上で、岸田総理は、存立危機事態、つまり集団的自衛権を行使する際にも、武力の行使の三要件を満たしていれば反撃能力を行使し得ると答弁しています。だとすれば、米国に対して相手国の戦闘機等から攻撃があった場合、三要件を満たしていると政府が判断すれば、日本が直接の攻撃を受けていないにもかかわらず、相手国の基地等に対してミサイルを撃ち込むことがあり得ることになります。
当初の反撃能力の保有理由から全く懸け離れた武力行使を行い得る可能性を岸田総理は否定しないのでしょうか。そうであれば、それは完全に憲法違反の武力行使になりませんか。政府の見解をお聞かせください。
岸田総理は、NATOを始めとする国々が経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示している中で、我が国としても、防衛力強化を図る上で、GDP比で見ることは指標として一定の意味があると述べておられます。その上で、我が国の防衛力強化に必要な経費を積み上げた結果として、GDP比二%に達するよう所要の措置を講ずることとなったと述べられております。積み上げた結果、たまたま防衛費が二%に達したという、そんな偶然があり得るのでしょうか。政府は、防衛費を初めからGDP比二%にする目的で積み上げを行ったのではありませんか。総理の見解をお聞かせください。
政府は、防衛力整備計画において、二〇二三年度から二〇二七年度までの防衛関係費の総額を四十三兆円程度とした上で、自衛隊施設等の設備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことで一兆六千億円程度、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用することで九千億円程度を捻出し、結果的に四十兆五千億円程度に抑えると記載されています。この自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うこととはどのようなことを想定しているのでしょうか。具体的にお答えください。
また、そのことによって、一兆六千億円もの巨額の費用を捻出することが本当に可能なのでしょうか。
さらには、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合を事前に織り込んで、今後五年間の防衛計画費の目標を立てることが妥当なのでしょうか。
同計画には、決算剰余金が増加しない場合にあっては、プロジェクトの見直しやコスト管理等によって実質的な財源確保を図るとも記載されていますが、九千億円といえば、例えば本年度の外務省予算が七千五百六十億円程度ですが、これをはるかに上回る額です。このような額が本当に確保できるのでしょうか。これらの見通しを立てるに至った理由と、その妥当性、そして、それが確保できるのだという根拠について、政府の説明を求めます。
防衛力整備計画には、二〇二三年度から二〇二七年度の防衛関係費の総額四十三兆円の後に必要となる経費についての記載もあります。具体的には、二〇二七年度以降の財源確保については、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金、税制措置等、歳出・歳入両面において所要の措置を講ずるとの記載です。今般の五年間の防衛関係費では、大手町プレイスの売却収入や新型コロナウイルス感染症基金の国庫返納などで一部経費を賄うとされていますが、五年後にこうした資金が利用できるとは限りません。そうした場合、五年後も現計画の防衛費の水準を維持しようとすれば、どこかからか財源を捻出しなければなりません。そうすると、更なる増税議論が浮上するおそれもあるのではないでしょうか。
政府が今般の防衛力整備計画に計画終了後の財源の確保を記載した理由について、また計画終了後の防衛費の在り方、財源確保の見通しと更なる増税の可能性について説明を求めます。
以上、安保三文書について説明をいたしました。
私たちは、今回の安保三文書には断固反対ですし、このような戦後日本の平和を守ってきた憲法の平和主義とその支えとなっている専守防衛を踏みにじるような方針転換を、国会の審議も国民的な議論や理解もなしに、閣議決定のみでこっそりと強行してしまうような、国民を無視するような行為は、決して容認するわけにはいきません。
広島県では、G7サミットに向けて急ピッチで環境整備が行われています。私もG7の成功を願っています。先日、松野官房長官は会見で、G7広島サミットで核兵器なき世界の実現に向けて議論を深めたいという考えを示しましたが、広島市教育委員会は、平和学習ノートの改訂に当たり、「はだしのゲン」に関する記述や第五福竜丸に関する記述をテキストから削除、広島市はホームページから劣化ウラン弾に関する記述を一時削除するなど、看過できない様々な問題が噴出しています。核兵器なき世界の実現の方向と相反していませんか。平和主義を踏みにじるようなことが広島でも行われていませんか。広島県選出、私同様、幼い頃から平和教育を学ばれたであろう岸田総理、これらの問題についてどうお考えでしょうか。
立憲民主党は、現行憲法の平和主義と国際協調主義を尊重し、これからも引き続き、専守防衛に徹しつつ、平和外交の努力によって緊張関係を緩和し、アジアと世界の平和をつくり、育てる努力に全力を傾注することをお約束し、私の代表質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕