榛葉賀津也の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛三文書に対し、総理に質問します。
 アメリカCIAのバーンズ長官が、今年二月、中国国家主席が二〇二七年までに台湾を攻撃する準備を整えるよう軍に命じた旨の機密情報を把握している、習近平の野心を過小評価すべきでないと発言し、警鐘を鳴らしました。
 また、西側各国で開催されている昨今の安保関連会議では、もはや戦後は終わり、戦前に突入している、第三次世界大戦は絵空事ではないという切迫感と緊張感漂う議論がされていると聞いています。米中が対立関係から敵対関係になりつつある今、外交安保上、日本の存在が極めて重要になってきていますが、総理は欧米諸国と情報や危機感を共有されていらっしゃるでしょうか。お答えください。
 防衛三文書により、日本の安保政策に長年こびりついていた基盤的防衛力構想の呪縛から解放されたことは率直に評価します。また、今三文書は、我々立法府が、現実から目を背け、リアリティーのある国防議論を長年後回しにしてきた過去からの決別するトリガーでもあります。
 今回の新たな防衛政策の柱の一つが反撃能力の保有です。これは自衛のために必要な、戦争をさせないための抑止力であり、国民民主党はその能力の保有を理解します。反撃能力を自衛権の発動として行使するには国会の承認が必要であり、そうである以上、専守防衛に反するとの批判は当たらないとの指摘もあります。相手国による第一撃着手の認定が難しいのは事実ですが、それ以降の攻撃を抑止するには反撃能力が有用なのは論をまちません。
 日本が反撃能力を持つと、相手国が更に軍備を増強するという指摘も論理的ではありません。戦後七十七年間、日本は反撃能力を持たずに来ましたが、それを尻目に軍拡を続けてきたのは中国、ロシアと北朝鮮であります。憲法の範囲内での反撃能力の在り方について、総理の説得力ある説明を求めます。
 現代戦の難しさは、平時と有事がシームレスであり、非軍事部門が極めて重要になっている点にあります。ある専門家は、軍事的手段と非軍事的手段の割合は一対四。つまり、戦いの八割がサイバーなどの非軍事部門になっていると明言しました。ウクライナにおいても、侵略の四十日も前からロシアによる大規模なサイバー攻撃が始まっていました。
 我が国の致命的な弱点がこのサイバーで、日米同盟の最大の障壁と言われています。二〇二一年にイギリス国際戦略研究所が各国のサイバー能力の分析を行い、世界トップの第一レベルはアメリカでしたが、日本は何とイラン、ベトナム、北朝鮮と同じ最も低い第三レベル、一部を除けば、重大な弱点を抱える国にカテゴライズされました。愕然とします。総理、一昔前までIT国家と言われていた日本が、なぜこんなにも弱体化してしまったとお考えですか。御説明ください。
 今の日本に必要なのは、人材の育成と法律の整備です。世界は今、サイバーにおいても、苛烈な人づくり競争をしており、日本はその競争に完全に後れを取っています。つまり、これは国防の問題ではなく、教育の問題とも言えます。国防においてこそ人づくりは国づくりなのです。
 日本が参照すべき国があります。イスラエルです。かつてサイバー先進国ではなかったイスラエルは、十年以上前から教育カリキュラムを変え、小中学校でサイバーの基礎を教え、全ての高校でサイバーを必須科目にしました。各大学にはサイバーの研究センターを設置し、最先端技術を軍や民間企業と共有しています。
 そのイスラエルに学んだのが韓国です。国防省と大学が連携を強化するとともに、サイバーを専門的に学ぶ学生の学費を免除するなど、韓国も官民を挙げて努力を重ねています。
 総理、日本も他国の成功事例を参考にして、本気でサイバー教育の見直しに取り組みませんか。総理の覚悟をお伺いします。
 能動的サイバー防御の導入が急務ですが、憲法や法律が障壁となっています。憲法九条との関係では、サイバー空間は領海や領空といったような明確な境界がなく、専守防衛の概念はそぐわず、憲法二十一条の通信の秘密は国民に限定される権利との解釈を明確にすべきとの指摘もありますが、総理のお考えをお伺いします。また、電気通信事業法を始め不正アクセス禁止法やウイルス作成罪などの刑法をまとめたサイバー安全保障基本法等を策定するなど、一刻も早い対応が必要と考えますが、併せてお答えください。
 有事の際、最優先すべきは国民保護です。そのための基本的なインフラ整備について、総理にお伺いします。
 まず、Jアラートについてです。北朝鮮による常軌を逸した弾道ミサイルの発射で、Jアラートには信頼性の向上が求められています。ミサイル発射から伝達までの時間短縮や軌道の見極めなど、より精度を高めるための改善を強く求めます。
 他方、全国で防災行政無線が整備されていない市町村が昨年三月段階で七十三団体もあり、Jアラートと防災行政無線が連携していない自治体も存在し、その中には県庁所在地や中核市も含まれます。論外であります。防災行政無線の設置やJアラートの接続は行政の責務であり、一刻も早く改善すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 最後に、有事における自衛隊の輸送や国民保護のための港湾、空港、鉄道の有効利用についてお伺いします。
 台湾有事は日本の有事であります。先島諸島を始めとする南西地域の港湾、空港などの整備と利活用は極めて重要です。しかし、現実は、自衛隊の艦船が接岸しようにもできない港が多数存在します。例えば、台湾から僅か百十一キロメートルに位置する与那国島。特定公共施設利用法により利用できるのは与那国島の祖納港だけですが、吃水六メートルの輸送艦や吃水十一メートルの護衛艦は水深僅か五・五メートルの祖納港には入港できません。他の離島も同じような状況です。
 総理、南西諸島の港湾に自衛隊の艦船が接岸できないなどあり得ません。改修すべきは早急に改修し、今後は港湾の建設当初から有事を想定した水深の確保をすべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 空港もしかりです。輸送機や戦闘機の離発着には三千メートル級の滑走路が望まれますが、条件を満たす飛行場は那覇空港と下地島空港の二か所だけです。しかも、下地島空港はいわゆる屋良覚書があり、軍事利用ができません。南西諸島の空の拠点が余りにも脆弱ですが、総理の認識をお伺いします。また、沖縄県民の安全のためにも、屋良覚書について県と真摯に話し合う時期に来ていると考えますが、併せて総理にお伺いします。
 今も昔も、鉄道は国防にとって重要なインフラです。自衛隊は、かつての北方防衛の名残から、弾薬の約七割を北海道に備蓄しています。有事の際、弾薬や戦車などを南西方面に輸送するには鉄道貨物が欠かせません。しかし、約五十トンある戦車を載せる貨車やクレーンがない、トンネルが戦車の幅より狭く通過できない、鉄橋が戦車の重量に耐えられないなど、問題は山積です。
 また、函館―長万部間を走る函館線は北海道と本州を結ぶ唯一の路線ですが、廃線の危機に直面し、仮に廃線となれば、貨物輸送には重大な影響が出ます。
 鉄道インフラの維持整備は国防の生命線であります。採算ベースのみで存続の是非を決めるのではなく、国防の観点から国が責任を持つべきだと考えますが、総理の認識をお伺いします。
 理想を胸に秘めながらも、国家と国民を守るために、現実を直視し、行動に移す。まさに安全保障政策こそ対決より解決が重要であることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X01820230426_017

発言者: 榛葉賀津也

speaker_id: 9438

日付: 2023-04-26

院: 参議院

会議名: 本会議