山下芳生の発言 (本会議)

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○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。会派を代表し、安保三文書について総理に質問します。
 岸田政権が閣議決定した安保三文書は、戦後の安全保障政策を大転換し、敵基地攻撃能力の保有とGDP二%への大軍拡に踏み切るものです。
 歴代政権が掲げてきた専守防衛の建前さえかなぐり捨て、憲法九条を真っ向からじゅうりんするもので、断じて容認できません。
 まず指摘したいのは、三文書には、東アジアの平和をどう構築していくか、主体的な外交戦略が欠落していることです。
 三文書は、ウクライナ侵略のような事態が東アジアで発生することは排除されないとして、防衛力を抜本的に強化していくとの結論を一足飛びに導き出していますが、総理は、侵略に至った経緯と背景をどのように認識しているのでしょうか。
 ヨーロッパでは、ソ連崩壊後、ロシアを含む全ての国が参加する欧州安全保障協力機構、OSCEという包摂的な対話の枠組みが発展しました。一九九九年には、欧州安全保障憲章を作り、OSCEを紛争の平和的解決のための主要な機関と定めました。
 ところが、NATO諸国もロシアも、その枠組みを生かさず、相互に不信を高め、軍事対軍事の悪循環に陥っていきました。
 総理、今回の事態に至った背景には、軍事対軍事の悪循環に陥った外交の失敗があったのではありませんか。
 侵略の最大の責任がロシアにあることは当然です。しかし、同時に、なぜこのような事態に至ったのかを冷静に検証すべきです。
 軍事対軍事の悪循環に陥り、戦争の危険を高める軍事力の増強ではなく、地域の全ての国が参加する包摂的な対話の枠組みを発展させることこそ、ウクライナの事態から酌み取るべき教訓なのではありませんか。答弁を求めます。
 アジアでは、既にASEANが、国連憲章の原則に基づき、武力行使の放棄と紛争の平和解決を義務付けた東南アジア友好協力条約、TACを土台に、徹底した対話によって信頼醸成を図り、友好と協力を前進させてきた先例があります。
 今ASEANは、加盟十か国と日本、アメリカ、中国、韓国、ロシアなど八か国で構成する東アジア・サミット、EASを強化し、行く行くは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという、ASEANインド太平洋構想、AOIPを推進しています。
 憲法九条を持つ日本こそが、ASEANと協力し、包摂的な平和の枠組みを発展させて、東アジアを戦争の心配のない地域にするための積極的な外交を展開すべきではありませんか。
 中国が、東シナ海や南シナ海で力ずくで現状を変更しようとしていることを、我が党は国際法に基づいて厳しく批判しています。しかし、中国は、我が国にとって、歴史や文化はもちろん、経済の面でも欠かすことのできない大切な隣国です。日中関係の改善は、東アジアの平和の枠組みを発展させる上でも重要です。
 二〇〇八年の日中共同声明は、国交正常化以降の両国間の合意を踏まえ、双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認しています。
 また、尖閣諸島など東シナ海での緊張状態について、二〇一四年の合意では、日中双方が異なる見解を有している、つまり紛争問題が存在することを認めた上で、対話と協議を通じて問題を解決することを確認しています。さらに、ASEANが推進するAOIPに対しても、日中両国の政府が共に賛意を示しています。
 政府は、こうした日中間に存在する共通の土台を再確認し、平和と友好の関係を確かなものにしていく外交に本腰を入れて取り組むべきではありませんか。
 ところが、今、政府は、アメリカに追随して、平和と協力ではなく、対立と分断を拡大する道を突き進もうとしています。
 アメリカのバイデン政権は、中国を唯一の競争相手に位置付け、同盟国を巻き込みながら、軍事、外交、経済のあらゆる面で抑え込み、自らの覇権を維持強化しようとしています。民主主義対専制主義の戦いというスローガンの下に、特定の価値観で世界を二分し、米豪印日のクアッドや米英豪のAUKUSを始め中国を包囲する枠組みを強化しています。
 三文書は、米国とともに、外交、防衛、経済等のあらゆる分野において日米同盟を強化していくと述べていますが、これは、アメリカの中国包囲網づくりに全面的に協力するということではありませんか。こうしたブロック的対応は、地域の対立と分断を広げ、戦争の危険を高めることになるのではありませんか。
 南西諸島から南シナ海に至る地域の島々に長射程ミサイルを配備する計画は、元々アメリカの軍事戦略から始まったものです。アメリカのインド太平洋軍は二〇二〇年に議会に提出した予算要望書で、いわゆる第一列島線に長距離ミサイルを配備する計画を示し、その中核に同盟国を位置付けています。敵基地攻撃能力の保有決定に至る過程でアメリカとどのような協議を行ったのですか。
 今アメリカは、同盟国を巻き込みながら、敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化させた統合防空ミサイル防衛、IAMDを構築しようとしています。
 政府は、敵基地攻撃能力の保有に当たり、日米で調整要領を検討するとしていますが、何のために、どういう内容を定めるのですか。
 総理は、IAMDに参加するものではない、全く別物だと言います。しかし、トマホークの運用に必要な地形情報や攻撃目標の位置情報を得るためにも、また日米で攻撃目標の重複を避けるためにも、日米の一体的運用は不可欠なのではありませんか。また、日米それぞれが独立した指揮系統に従って行動すると言いますが、飛来する複数のミサイルに日米のどのイージス艦が対処するかを瞬時に判断するためには指揮系統の一元化が必要なのではありませんか。
 日本の敵基地攻撃能力がIAMDに組み込まれ、米軍の指揮統制下で運用されることになるのは明らかです。それぞれ明確な答弁を求めます。
 三文書は、空港、港湾の軍事利用の拡大やインフラ整備の推進を打ち出しました。
 今、米軍は、大規模な部隊を固定した基地に集中させるのではなく、小規模の部隊を一時的に分散、展開させる考え方に移行しています。台湾有事を想定し、米軍のミサイル部隊が南西諸島の島々を転々としながら、中国の艦艇に攻撃を加えるという日米共同作戦計画の原案が策定されたことも報じられています。
 空港、港湾の軍事利用拡大も、こうしたアメリカの軍事戦略の具体化なのではありませんか。今後、南西諸島などの空港、港湾で米軍が軍事訓練を拡大することになるのではありませんか。住民を危険にさらす軍事利用の拡大はやめるべきです。
 軍事態勢の強化は、国内だけではありません。
 三文書は、望ましい安全保障環境の創出や、国際法違反の侵略を受けた国を支援するための重要な政策手段として、官民一体となって武器輸出を進めるとしています。
 さらに、同志国の安全保障能力を強化するために、資機材の供与やインフラ整備を無償で行う政府安全保障能力強化支援、OSAも立ち上げました。
 総理、望ましい安全保障環境とは何ですか。これもアメリカの中国包囲網を強化することですか。しかも、そこに新たな販路を見出し、国内の軍需産業を成長産業にしようとしているのではありませんか。
 戦争で自国の経済を潤すような国にしてはなりません。見解を求めます。
 日本国憲法は、二度と戦争を起こさないという決意の下、国と国との争い事を絶対に戦争にしない、外交努力で解決することを求めています。憲法九条を生かし、東アジアに平和を構築するための外交にこそ取り組むよう強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X01820230426_020

発言者: 山下芳生

speaker_id: 9284

日付: 2023-04-26

院: 参議院

会議名: 本会議