横沢高徳の発言 (本会議)
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○横沢高徳君 立憲民主・社民の横沢高徳です。
会派を代表し、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案に対し、質問いたします。
法案に先立ち、先日行われましたG7広島サミットについてお伺いします。
被爆地で行われるサミットだからこそ、核なき世界に向けた具体的な一歩を進めてほしい。果たして被爆地広島、長崎の思いは世界の首脳に届いたのでしょうか。
唯一の被爆国のリーダーとして、広島出身の総理として、核なき世界に向けて具体的な一歩を進めることができたのか、その役割を果たせたと言えるのか、岸田総理に伺います。
今回、特に注目されたのは、首脳宣言とは別に核軍縮に焦点を当てた声明、G7における軍縮の独立文書、広島ビジョンです。岸田総理は歴史的意義があると語られておりましたが、被爆地広島、長崎の皆様はどのような思いで受け止めたのでしょうか。広島ビジョンの内容を見ると、これまでの声明などをなぞったもので、軍縮に向けての具体的な対策はなく、また、道筋も全く示されておりません。被爆者の代表や被爆者本人、地元メディアからも、核保有、依存の当事国の責任感が伝わらず、廃絶の文字もないと厳しい意見が出ております。そういった地元の意見を総理はどう受けておられるのか、お伺いをいたします。
特に、核兵器禁止条約については、核兵器のない世界に向けた補完的な条約であることや核禁条約の批准国との対話など、一歩踏み込んで言及すべきだったのではないでしょうか。総理は理想を掲げておりますが、現実に向けた具体的取組を我が国はどのように実行していくのか、世界も注目していると考えます。核兵器禁止条約では、核の傘にあるとされている国、ドイツ、オーストラリアもオブザーバー国として参加しています。そこにすら入っていないということは、核軍縮について議論していることにはならないと考えます。
理想を掲げ、行動するからこそ、結果が出る。総理は理想を実現するためにどのように行動するお考えか。この機会に世界各国の懸け橋となる行動が必要ではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
広島でのサミットは、ゼレンスキー大統領の参加がありました。実現に向けて大変な準備があったと思います。関係者の皆様に心から敬意を表します。
その上で、ウクライナへの追加支援は表明されましたが、その先の停戦に向けた交渉などについての議論はあったのでしょうか。内容は公表できないにしても、そういう議論があったか、そういう努力はあったかどうなのか、岸田総理に伺います。
それでは、法案について伺います。
政府は、防衛力の抜本的強化のため、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、そして増税措置を行うこととしております。しかし、いずれも財源を集めるための苦肉の策であり、国民の皆様にとって理解し難いものと言わざるを得ないものとなっております。
以下、それを質問を通じて明らかにしてまいります。
まず、歳出改革についてです。
政府が想定する財源確保において、令和五年度以降、毎年度二千百億円程度の歳出改革を継続し、五年後の令和九年度には一兆円強とすることとされております。
しかし、ここで気を付けなければいけないのは、政府が言っているのは歳出改革であって、歳出削減ではないということです。これは一見すると同じことのようですが、実際には異なります。
令和五年度について見ると、二千百億円のうち一千五百億円は物価上昇に伴う経費の増加を防衛力強化のための財源に充てるものとなって、なるものであって、何か歳出を削減したものではありません。残る六百億円についても、社会保障関係費以外の歳出を見直した結果確保されたものというものであって、ある特定の経費を削って財源を生み出したという説明ができるものではありません。結局、具体的に何をどのようにして財源を確保していくのか、よく分からないのです。
東日本大震災の復旧復興に当たっては、様々な財源確保が講じられました。その中で、歳出削減については、具体的にどの経費を幾ら削減することで何億円の財源を確保するということが国民にも分かるように明確にされていました。これに対し、今般の防衛力強化のための財源の確保については、政府は、全てが歳出削減によるものではないことをあえて触れず、衆議院の審議においても曖昧な説明に終始しております。
政府の言う歳出改革は、国民の皆様は理解し難い手法でもって財源を確保しているとするものであり、極めて不誠実ではないでしょうか。岸田総理の見解を求めます。
また、岸田総理は、歳出改革など行財政改革の努力を最大限行うと発言してきましたが、果たしてこれが誠実に実行されるのかどうか、法的な担保がありません。
東日本大震災復興基本法では、「復興及びこれに関連する施策以外の施策に係る予算を徹底的に見直し、当該施策に係る歳出の削減を図ること。」という条文が設けられていました。
これに対し、今回の防衛財源確保法案では、復興財源確保法とは異なって、増税や決算剰余金、歳出削減による財源確保規定に関する条文は一つも存在しないのです。その結果、復興財源確保法では復興財源三十二・九兆円、一〇〇%調達できる内容だったのに対し、今回の法案で調達できるのは、従来を上回る五年間の防衛力整備に要する費用十七・一兆円から今年度予算で手当てされた一・四兆円分を除く十五・七兆円のうち三・四兆円、割合にすると二〇%程度にしかすぎないということであります。同じ財源確保法という名称でありますけれども、極めて乏しい内容です。
なぜ本法律案に歳出改革、歳出削減に取り組む趣旨の条文を盛り込まなかったのでしょうか。東日本大震災財源確保法のように、財源を確保するためのフルスペックの法案にしなかった理由をお伺いいたします。
政府は、子ども・子育て予算の倍増に向け、内容、予算、財源について更なる検討を進めるとしておりますが、岸田総理は、その前提として、徹底した歳出改革が必要である旨の発言をしております。
防衛力の抜本的強化のための財源については、歳出改革など最大限の努力をした上で、それでも足りない部分について増税措置をお願いすると岸田総理は説明しているのに、子ども・子育て予算の倍増のために更なる歳出改革の余地があるのだとすると、矛盾が生じるのではないでしょうか。
それとも、子ども・子育て予算の倍増に向けた歳出改革は、防衛力強化のための財源として歳出改革では対象とされなかった社会保障関係費に限ったものであるということなのでしょうか。総理の答弁を求めます。
子ども・子育て予算の倍増に向けた財源確保については、社会保険との関係、国と地方との関係、給付と負担との関係などを整理する必要があるのは確かかもしれません。安定財源の確保が求められること自体は変わらないはずです。しかし、総理が最優先の課題と言う子ども・子育て政策の具体的な枠組みの議論は低調です。
これに対し、防衛力強化のための財源については、増税すること自体やその枠組みが大変短い期間で決められました。この違いは一体どうして生じるのでしょうか。結局は、倍増ありき、増税ありきで進められたということではないでしょうか。岸田総理の答弁を求めます。
所得税については、復興特別所得税の仕組みを活用することが考えられており、岸田総理は、個人の税負担は増えないと説明しております。税率だけを見れば、確かにそのとおりでしょう。
しかし、期間は二〇三七年までだったものが、以降最長十三年延長されるわけで、実質的に将来の若者世代が延長分の税金を負担することになります。これまで衆議院の審議において、財源確保について将来世代へ先送りすることなくと言ってきたことと、やろうとしていることが矛盾するのではないでしょうか。
五月十九日の衆議院財務金融委員会において、我が党の米山隆一議員の、国民に新たな負担をお願いするということは、つまり増税ではないのかという質疑に対し、鈴木財務大臣は、増税だという指摘を否定するものではないと、後ろ向きにも増税であることを認められました。
改めて、岸田総理にお聞きします。
今回検討されている新たな税負担の仕組みは増税であるという認識をお持ちでしょうか。総理の答弁を求めます。
復興特別所得税は、東日本大震災からの復興復旧のために必要な財源について、今を生きる全世代で連帯し、負担を分かち合うという理念の下で創設されたものです。このような理念とは関係なく、仕組みにのみ着目して安易に飛び付く政府の姿勢は、復興の理念をないがしろにしているのではないでしょうか。岸田総理の答弁を求めます。
そもそも、このような形を取ること自体、被災地の皆様の心情に対する配慮が足りないのです。世論調査の結果によると、復興特別所得税の一部流用に対し、反対七三%、増税についても、支持しないが八〇%です。
聞く力の岸田総理、この法案審議に当たり、まずは被災地で生活している方の声、将来この国を担う若者の意見を聞くべきではないでしょうか。岸田総理、そしてまた被災地出身でもある鈴木財務大臣の答弁を求めます。
岸田総理は、少子化対策の予算額が平成二十五年度から、約三・三兆円から令和五年度には約六・三兆円へと大きく増加していると、これまでの成果を強調しております。しかし、予算の倍増額は十年間で三兆円というものです。
他方、新たに策定された防衛力整備計画では、令和四年度には五・二兆円という規模であった防衛力整備計画対象経費を、令和九年度には八・九兆円程度とすることが想定されており、このとおりに実現すれば三・七兆円の増加となります。予算の増加額、増加に掛かった年数を比べれば、いかに防衛関係費に偏重しているかが一目瞭然です。
もちろん、立憲民主党も、必要な防衛関係費を確保すること自体に反対するものではありません。しかし、防衛関係費を突出して増加させ、限りある財源をそこに集中させる形となっていることは、政策の選択、予算配分の在り方として極めていびつであると言わざるを得ないのではないでしょうか。岸田総理の見解を求めます。
以上、政府が行おうとしている財源確保策について、問題点の一端を明らかにしてまいりました。国民の皆様の理解が得られるよう、参議院での充実した審議を求めまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕