山下芳生の発言 (本会議)
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○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、いわゆるマイナンバー法等改定案に対し、反対の討論を行います。
そもそも、本日の会議でこの法案を採決することが許されるのでしょうか。
政府はこの間、河野太郎デジタル大臣を先頭に、マイナンバーカードは便利です、安全ですと大宣伝し、カードを持てばポイントが付きます、カードに保険証や年金口座を付ければポイントが更に増えます、合計二万ポイントですなどと、本来任意であるはずの国民のマイナンバーカード取得をあおりにあおってきました。
ところが、今起こっていることは何か。コンビニで他人の住民票が出る、病院で他人の診療情報や薬剤情報が出る、ポイントが他人のカードに付与されるなど、このシステムに対する国民の信頼を崩壊させる深刻なトラブルの連続です。委員会での私の質問に対し、河野大臣は、憲法が保障する国民の生存権、財産権、個人の尊厳を脅かす重大なトラブルだということを認めました。だからこそ、総理の指示でデータとシステムの総点検を行うこととなったのです。
ならば、まず政府として総点検を行い、国会に対策を示すのが当たり前ではありませんか。その上で、トラブルの全容解明はされたのか、再発防止は十分なのかをチェックするのが国会の役割ではありませんか。総点検どころか、目の前でトラブルが相次いでいるさなかに、審議を打ち切って法案だけ通すというのは、国民に対する国会の責任放棄だと言わなければなりません。審議打切り、採決強行に厳しく抗議するものであります。
本法案は、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを国民に事実上強制するものです。
反対理由の第一は、法案が、保険証一枚で誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険制度の崩壊につながるものだからです。
開業医の六三%が加入する全国保険医団体連合会、保団連の最新の調査によると、オンライン資格確認でトラブルがあったと回答した医療機関が六割に上ります。主なトラブルは、有効な保険証が無効と判定された、顔認証付きカードリーダーの不具合が起こったというものであり、トラブルへの対処として最も多かったのは、その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認をしたという回答でした。
厚労省が指定医を取り消すぞと療養担当規則を改定してまで強引に普及してきたオンライン資格確認ですが、マイナ保険証での利用者がまだまだ少ないにもかかわらず、運用開始当初と同じシステムの根本的なトラブルを多く抱えているのです。
一昨日の厚労委員会との連合審査では、こうした問題があるのに、来年秋までに健康保険証を廃止できると判断した根拠は一体何かと問われ、加藤勝信厚労大臣は根拠を示すことができませんでした。ならば、保険証の廃止はやめるべきではありませんか。
昨日、大阪、兵庫、埼玉の保険医協会の先生方が議員会館の私の事務所を訪ねてこられました。共通して訴えられたのは、今はマイナ保険証で受診する患者は一つの診療所で週に一人か二人しかいない、みんな保険証も持ってきているのでトラブルが起こっても対応できる、しかし保険証が廃止されてマイナ保険証のみで受診する患者がどっと増えたらとても対応できない、保険証を残してほしいということでした。
このまま健康保険証を廃止することになれば、システムの不具合によって患者が窓口で十割の負担を求められるケースが増えることは避けられません。負担が重くて必要な受診ができなくなる、患者と医療機関の間で深刻なトラブルとなるなど、全国の医療機関で診療が停滞、中断する事態に発展しかねません。国民に大迷惑を掛けることになる本法案を通すことは許されません。
反対理由の第二は、法案によって、介護が必要な高齢者や障害者など、立場の弱い人たちの医療を受ける権利が奪われることになるからです。
法案は、これまで国と保険者の責務として国民、被保険者に届けられてきた現行の保険証を廃止し、本人の申請による交付方式へと制度を大転換するものです。しかし、審議を通じて、申請漏れや更新漏れによって保険医療が受けられない無保険者が出ることは避けられないことが明らかになりました。
参考人質疑で、保団連の竹田智雄副会長は、百二十人が入居するある特別養護老人ホームでは、ほぼ全員の保険証を原本で預かっていて、預かり証を発行し、施設内で鍵付きの棚で管理していることを紹介されました。この施設では、年間百四十件、二日に一回程度、外部の医療機関での受診に職員が付き添っているとのことでした。
竹田さんは、マイナ保険証は現行の保険証以上に厳重な保管、管理が求められる、万一紛失して個人情報漏えいや不正利用などの重大な事故が起これば大問題になる、担い手不足と新型コロナ対応で苦労を重ねている高齢者施設の職員に更に重大な責任を負わせるような進め方は切にやめていただきたいと訴えられました。
法案では、施設の入居者でマイナ保険証の申請が難しい場合、本人の意思を基にケアマネなどが代理申請することが可能とされています。しかし、竹田さんは、ケアマネに代理申請を求められても、説明、申請など、本来業務ではないのでまずできないと述べられました。
施設入居者のマイナ保険証の申請を一体誰がするのか、政府から具体的な方策は示されておりません。訪問・在宅医療、高齢独居の方々のマイナ保険証の申請、管理も未解決のままです。
同じく参考人質疑で、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、障全協の家平悟事務局長は、障害者の場合、マイナンバーカードの申請、取得、管理、利用のそれぞれに大きな問題を抱えていると告発されました。
申請するときに、顔写真の背後に車椅子のヘッドレストが写っているからと却下された、全盲で病気のため黒目がない人について、黒目がないから写真を撮り直せという指導もあったとのことでした。また、利用するときにも、医療機関で受診するとき、顔認証がエラーになる、不随意運動がある人、一定のところに顔を置けない人はカメラの認証が作動しない、暗証番号の入力が難しい人は言葉で伝えてやってもらうのは怖さがあるとも言われました。
政府は、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化をなどと言いますが、本法案は、介護高齢者や障害者など、最も弱い立場にある人々を取り残すものとなっています。
審議の中で河野大臣が、保険証が廃止されたらマイナンバーカードを申請できない介護高齢者や障害者の医療を受ける権利が剥奪されてしまうことを、保険証廃止を表明した時点で認識していなかったことも明らかとなりました。その責任は極めて重大であります。
自身も首の骨を折ったことで全身に麻痺が残っている家平さんは、車椅子の上から、法案は支援を必要とする人たちの社会的地位を大きく引き下げ、障害者を厄介者、いなくてもよい者など、人間として生きる価値や意味までもおとしめることになると訴えました。
このような法案を通すことは断じて許されません。政府の一存でマイナンバーの情報連携の対象を拡大できるようにすること、本人の同意なしに公金受取口座がひも付けられてしまうことも大問題です。仮に法案が強行されたとしても、矛盾はなくなりません。国民の闘いは一層大きく広がるであろうことを指摘し、反対討論とします。(拍手)