佐藤仁の発言 (政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会)

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○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。
 すごく難しい問いだと思うんですけど、まず、今直前に話題になっていた人間の安全保障の話についてちょっと一言だけ言わせてください。
 人間の安全保障を本気でやるということは、相手国政府が嫌だと言ってもやりますかということなんですよね、まあちょっと乱暴に言えば。
 日本の援助というのは、御承知のように基本的に要請主義なので、相手国政府から要請が来て、それを大使館やJICA等でもんで、そこに優先順位を付けて、東京で許可を出して、援助を送り出すと。そうすると、じゃ、政府と反対の、政府と対抗しているような勢力からは、基本的にはその政府ルートでは要請は来ないわけですよね。にもかかわらず、そこに物すごく深刻な人間の安全保障のリスクがあるときにそこに踏み込んでいくのかどうかという話だと思うんです。
 これは、物すごく、その日本のODAの歴史の中で、もしこれを本当にやるんであればこれは大転換だと思うので、私は、この人間の安全保障というのは理念はもちろん理解しますし、誰もそのことに反対する人はいないと思いますけれども、ODAの仕組み上それをどうやってやるのかということはかなり慎重な検討が必要なんじゃないかなと思っています。
 もちろん、日本政府がというよりも、例えば、その人間の安全保障を推進する現地の団体を、あるいは現地でどちらかというと政府と話ができる団体から申請、要請を出させるというような、そういう様々な裏技はあるかもしれませんが、そういうことも含めて考えないと、現在のそのガバメント・ツー・ガバメントの仕組みの中で人間の安全保障が一番深刻に表れている、つまり、その深刻というのは、政府が自国民に対して暴力を働いているときにどうするのかということなんですね。
 これは決してレアなケースではなくて、東南アジアなんかでは、スハルトとかマルコスのお父さんとか、あるいは極端な例でポル・ポトとかですね、物すごい暴力を自国民に対して働いていたわけですから、こういうことに対してODA踏み込むのかというのは大問題だと思います。中西先生おっしゃったように、ミャンマーのことについても日本の態度が迫られるところだと思います。
 そういった中で、連帯とか依存というのは、どちらかというと、将来困ったときに助け合えるような関係を今からつくっておくと。その今からつくるための触媒の一つとして、それは全てではないですけど、触媒の一つとしてODAを使っていくということであって、何かやっぱり、私の冒頭の発言で申し上げましたけど、自立というと、何か自分で全部、自分ができるようになる、それは推し進めていけば、ある種の孤立というか、ほかと関係がなくてもやっていけるような、そういうニュアンスがあると思うんです、そこまで考えている人は余りいないとは思うんですけれども。
 なので、困ったときに助け合えるような関係を日常的につくっていくということで連帯という言葉が使われているのであれば、私はそれは賛成です。
 以上です。

発言情報

speech_id: 121115359X00520230428_037

発言者: 佐藤仁

speaker_id: 26186

日付: 2023-04-28

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会