佐野利男の発言 (外交・安全保障に関する調査会)
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○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。
これまた非常に重要な御質問だと思いますけれども、私の意見は、核保有、核武装ですね、これは論外だと思います。それから、核共有は、議論をするのは有益ですけれども、実際国内の政治状況を考えた場合は難しいだろうと。したがって、第三の道を探る必要があると、こういう結論なんですけどね。
なぜ核武装が論外かというと、元々NPT、先ほど説明しましたように、当時JFKが、J・F・ケネディが、あと十年もすれば核保有国が十も十五も増えてしまうと、核の拡散を最も恐れたわけですね。それでソ連と組んでつくったのがこのNPT。だから、核を拡散しないという大本があるわけです。そうじゃなければ核のカオスに陥ると。どの国も核を持ってしまうと。それを曲がりなりにも防いできたのが、曲がりなりにもというのは、イランとかそういう、北朝鮮という国は抑止できませんでしたけど、曲がりなりにも核の拡散を防いできたのはNPTなんですね。
日本は、NPTに入るときに日本の外務省は非常にいいディスカッションをしています。発効が七〇年ですけど、日本が入ったのは七五年だと思いましたけれども、遅れて入るんですね。それは、やはり日本の安全保障を考えた場合、NPTに入るのがいいのかどうかという議論があったんです。批准するときに安全保障についての声明を出しています。NPTの十条、つまり脱退についての声明を出しているんです。それだけやっぱり当時はリアリズムがあったんですね、国際情勢に対する。
現在、それ以降、日本は、NPTの実は優等生として国際社会を引っ張ってきた経緯があります。その日本、NPTの優等生である日本が今核武装をするということは、核の秩序を根底から崩してしまう愚策だと思いますね。日本が核武装したら隣の国も核武装しますよ。もうあらゆる国が核武装し出します。そういった重みを日本政府、日本は持っていると。
核共有については、私は、日本の国民の皆さんの安全保障感覚をリアリスティックにするためには議論は有効だと思います。ただ、イージス・アショアの適地を見付けることができなかったとか、それから今、普天間の話が、沖縄の話がありますけど、国内の情勢を考えると、核共有する、今の政府はしないと言っているわけですけれども、つまり核共有するということは非核三原則の機構ですね、それを変えるということになるわけですが、今の政府はしないということになっていますが、核共有をするということがいかに国内政治的に難しいか。まさに政権一つ二つぶっ飛ぶような話ですね、これ、核共有というのは。私は難しいと思います。
じゃ、第三の道というのは何かというと、今の状況というのは、アメリカの戦略核によって抑止、核の傘があるわけですが戦術核がないという、こういう話ですよね。で、七九年のNATOの二重決定と同じような状況があるわけですけれども、やっぱりそこは、核はアメリカに任せるしかないというのが私の意見です。
つまり、どういうことかというと、艦船に核を搭載する、搭載していたんですね。アメリカもロシアも艦船に核を搭載していました、潜水艦以外ですよ。九一年にレーガン・ゴルバチョフ、レーガン・エリツィンがイニシアチブを取って大幅な核軍縮、核削減をやります。その際に、艦船から戦術核を外してそれを保管すると、双方ですね、ロシアもアメリカも。だから、もう一度艦船に戦術核を搭載するというオプションはあると思います。それでこう浮遊させると、浮遊してもらうと。それは、何も核共有するまでもなくて、戦術核レベルにおける核抑止を強化することになろうかと思います。
ただ、私の聞くところによると、今、戦略核というのも相当の精度が上がっていて、精度が昔の戦略核と違って、確度がかなり急激に高まっているわけですね。ですから、戦略核だけでも十分核抑止できるんだというかなり強い意見もありますので、その辺りは検討していく必要が、つまり、今の戦略核を、日米同盟を強めていくということが結局重要なんじゃないかなというふうに考えています。