外交・安全保障に関する調査会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
令和五年二月十五日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月九日
辞任 補欠選任
古庄 玄知君 今井絵理子君
二月十四日
辞任 補欠選任
今井絵理子君 山下 雄平君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 猪口 邦子君
理 事
朝日健太郎君
こやり隆史君
松川 るい君
塩村あやか君
平木 大作君
串田 誠一君
浜口 誠君
岩渕 友君
委 員
赤松 健君
生稲 晃子君
上野 通子君
永井 学君
長谷川英晴君
森 まさこ君
山下 雄平君
吉川ゆうみ君
羽田 次郎君
三上 えり君
水野 素子君
高橋 光男君
金子 道仁君
松野 明美君
浜田 聡君
伊波 洋一君
事務局側
第一特別調査室
長 中西 渉君
参考人
内閣府原子力委
員会委員長代理
元軍縮会議日本
政府代表部特命
全権大使 佐野 利男君
公益財団法人日
本国際問題研究
所軍縮・科学技
術センター所長 戸崎 洋史君
長崎大学核兵器
廃絶研究センタ
ー副センター長
・教授 鈴木達治郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
○外交・安全保障に関する調査
(「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序
構築~」のうち、「軍縮・不拡散①(NPT・
CTBT・FMCT・INF・新START)
」について)
─────────────
この発言だけを見る →午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月九日
辞任 補欠選任
古庄 玄知君 今井絵理子君
二月十四日
辞任 補欠選任
今井絵理子君 山下 雄平君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 猪口 邦子君
理 事
朝日健太郎君
こやり隆史君
松川 るい君
塩村あやか君
平木 大作君
串田 誠一君
浜口 誠君
岩渕 友君
委 員
赤松 健君
生稲 晃子君
上野 通子君
永井 学君
長谷川英晴君
森 まさこ君
山下 雄平君
吉川ゆうみ君
羽田 次郎君
三上 えり君
水野 素子君
高橋 光男君
金子 道仁君
松野 明美君
浜田 聡君
伊波 洋一君
事務局側
第一特別調査室
長 中西 渉君
参考人
内閣府原子力委
員会委員長代理
元軍縮会議日本
政府代表部特命
全権大使 佐野 利男君
公益財団法人日
本国際問題研究
所軍縮・科学技
術センター所長 戸崎 洋史君
長崎大学核兵器
廃絶研究センタ
ー副センター長
・教授 鈴木達治郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
○外交・安全保障に関する調査
(「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序
構築~」のうち、「軍縮・不拡散①(NPT・
CTBT・FMCT・INF・新START)
」について)
─────────────
猪
猪口邦子#1
○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会します。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、古庄玄知君が委員を辞任され、その補欠として山下雄平君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、古庄玄知君が委員を辞任され、その補欠として山下雄平君が選任されました。
─────────────
猪
猪口邦子#2
○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。
本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「軍縮・不拡散①(NPT・CTBT・FMCT・INF・新START)」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、内閣府原子力委員会委員長代理・元軍縮会議日本政府代表部特命全権大使佐野利男君、公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長戸崎洋史君及び長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授鈴木達治郎君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、佐野参考人、戸崎参考人、鈴木参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
また、発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず佐野参考人からお願いいたします。佐野参考人。
この発言だけを見る →本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「軍縮・不拡散①(NPT・CTBT・FMCT・INF・新START)」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、内閣府原子力委員会委員長代理・元軍縮会議日本政府代表部特命全権大使佐野利男君、公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長戸崎洋史君及び長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授鈴木達治郎君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、佐野参考人、戸崎参考人、鈴木参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
また、発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず佐野参考人からお願いいたします。佐野参考人。
佐
佐野利男#3
○参考人(佐野利男君) 紹介していただきました佐野でございます。
今日いただきましたお題目は、NPT、CTBT、FMCT、INF、新STARTなど、二国間、多国間を始め、多様な枠組みで進められている核軍縮、核不拡散の現状、成果、課題、及び核軍縮、不拡散の推進に向けた意見、提言ということで、先生方には釈迦に説法になってしまうかも分かりませんけど、一応確認の意味を含めてお話しさせていただきたいと思います。
なお、本日の意見の陳述は、私の今の職である内閣府原子力委員あるいはいかなる組織を代表した、組織の意見を代表したものではございません。私の個人の見解でございます。御承知おきください。
まず、多様な枠組みの現状で、このレジュメを用意いたしましたけれども、これを丁寧に説明していただきますと四十分掛かるということが分かっていますので、若干省略しながら要点のみをお話ししたいと思います。
NPT、核不拡散条約でございますけれども、七〇年に発効して今年五十二年、三年ですか、百九十一か国が加盟している戦後の核秩序の根幹を成すものであって、国際安全保障の礎石であるという認識でございます。
五か国のみに核保有を認めている言わば不平等条約です。これは、一九六七年一月以前に核実験をした五か国ですね、これに核保有を認めて、当時、一九六〇年代の課題というのは核兵器をいかに拡散しないかということであったわけで、この拡散を望まない米ソにより主導された、まあ言わば主権平等を犠牲にした条約であって、当時の知恵であったというふうに私は考えております。そのうち、西独、そして日本が入ることによって、この当時の国際政治における敗戦国の主な国ですね、西独、日本が入ることによって一定の目的を達成した条約であると思います。
ただ、不平等なんですが、その条約の中にグランドバーゲン、大きな取引と書きましたけれども、つまり、将来にわたってこの不平等性を解消していこうと、つまり核兵器国が核を廃絶していく方向のベクトルを明記しておる。これは六条、有名な六条でございますけれども、同時に、非核兵器国の原子力の平和利用、この権利を認めていこうと、こういう条約でございます。
二十五年たった九五年、これが重要な年なんでございますけれども、無期限の延長に国際社会が合意しました。つまり、不平等性が糊塗されたわけですね。ただ、その見返りに非核兵器国が得たものがあると。それは、その下のちょっと太字で書いてありますが、CTBT、包括的核実験禁止条約、これの早期採択、これはもう交渉が内々続いていたわけですが、それから、二番目にFMCT、兵器用核分裂性物質の生産禁止条約、三番目に、一番最後の行ですが、中東の非大量破壊兵器地帯の実現、で、次のページの一番上ですが、消極的安全保証、大体この四つぐらいが非核兵器国が無期限延長の代わりに勝ち取ったといいますか、そういう項目でございます。
まず、CTBTからいきますと、これは端的に申し上げますと、地下核実験を禁止したものです。地下核実験を禁止することによって、以前からあった部分的核実験禁止条約、つまり海中、大気圏、宇宙も入れてですね、全てのところ、場所における核実験を禁止しております。ただ問題は、発効要件が敷居が高かったわけですね。そこに書いてあります八か国が現在も締結しておりません。米、中、インド、パキスタン、エジプト、イスラエル、イラン、北朝鮮、この八か国です。署名数は百八十五ともう非常に多いんですけれども、いずれにせよ発効していないと。
この現状がこういうことですが、問題としては、やっぱり国際政治の現実から見て、この八か国が批准していくのは非常に難しいと。つまり、米は御存じのように共和党と民主党、立場が違います。上院で三分の二以上を取らなければ批准できません。中国はアメリカを見ている、インドは中国を見ている、パキスタンはインドを見ている。それから、エジプト、イスラエルは相互に見合っているわけですね。イランもイスラエルを見ている。北朝鮮は御存じのような開発をしてしまっていると。この八か国が批准してCTBTが発効するというのは非常に難しいと思います。
ただ、二か国を除いて、今この国際社会の中に核実験できるか、国際的な世論に抗してできるか、私はできないと。二か国というのはロシアと北朝鮮のことを言っているんですが、この国以外に核実験はできないという規範が各国の指導者の中にあると思います。そういう意味では、CTBTの八割方のその条約の精神というものは尊敬、尊重されているというふうに言えると思います。
これを発効するために、例えばもう一度外交会議を招集するとか、あるいは条約の暫定適用という手はあるかも分かりませんけれども、しても同じですね、この八か国が入ってこないわけですから。つまり、国際政治の問題であって、条約を発効させる云々というのは二次的な問題じゃないかというふうに考えております。
FMCT、これは兵器用核分裂性物質生産禁止条約です。端的に申し上げますと、核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウム、これの生産を禁止していこうという、ある意味で画期的な条約ですね。これができましたら、ある意味では核軍縮、核廃絶の道が大きく開かれるという条約ですけれども、これが残念ながらジュネーブの軍縮会議において、二十数年にわたって交渉がなされてきませんでした。
その理由は、本音ベースで言うとこのFMCTを望まない国があるということだと思いますが、表面的には、ほかにプライオリティーがある、ほかのイシューにプライオリティーがあるということでですね、例えば宇宙の問題とか、ことをいうわけですが、たまたまこのジュネーブの軍縮会議はコンセンサスがルールですから、一か国でも反対すると交渉が始まりません。そういう状況がずるずると今日まで及んでおります。ですから、成果が出てないということです。課題は山積です。
ただ、条約の草案を作っている国もあるし、それから条約が始まった場合に即交渉が開始できるように様々な準備がなされてきている。日本政府も相当努力をしてきております。この軍縮会議のルールを、コンセンサスルールを変えるのはどうかというのがよく議論されますけれども、それも一つの方法かと思われます。
中東の非大量破壊兵器地帯、大量破壊兵器といっても、特に非核地帯をつくろうと。その心は、イスラエルの核を放棄させようということですね。当時、アラブ諸国が無期限延長に合意したのは、もしイスラエルの核が放棄されれば非常に望ましい状況ができるという、言わば冷戦後のユーフォリアの中にいたんだと思いますけれども、ただ、これも全く進展しておりません。いろんな会議を開いておりますけれども、まさに会議は踊るで、実際は全く進展しておりません。
現実世界に目をやりますと、かなり難しいですよね。今の中東和平の状況を見て、イスラエルが核を手放すか。つまり、イスラエルは、自分たちは中東における最初の核兵器国にはなりませんという形で曖昧政策を取っているわけですが、まあほとんどのアラブ諸国は持っていると思っているわけですから、この実現は見通しは困難であると。
四番目に、消極的安全保証ですけれども、これは実は、そのNPTが無期限延長される前に安保理の九八四によって五核兵器国が供与したもの、つまり、核兵器国は非核兵器国に対して核の使用及び核の威嚇をしないという約束をしたものですが、これは皆様既に御存じのように、クリミア併合あるいは今回のウクライナの侵略時におけるロシアの態度を見ても明らかに違反されている。したがって、これは宣言なんですね。条約でもなければ、公的拘束力がある文書じゃありません。ただ、これを条約にするかという動きはあります。ただ、核兵器国がどれだけ譲歩するかということだと思います。
この四項目を今から見ると、必ずしも現実的とは考えられないような約束の見返りとして無期限の延長をしたというのが現実であります。
それ以降のNPTの動きを見てみますと、注目されるのは、二〇〇〇年の会議という、運用検討会議ですが、これで全面的核廃絶の明確な約束というのを核兵器国がしております。そのための、実現するための十三の具体的な措置についても約束しております。これは二〇一〇年の最終文書でも引き継がれ、これが最後のNPTの合意になっているわけです。昨年行われました二〇二二年の最終文書は、ロシア一か国の反対によってほごにされました。
現在の状況ですが、やっぱりNPTの運用検討会議で合意文書ができないという状況で、NPTに対する求心力が弱まっているということが言えると思います。対立が表面化している。つまり、非核兵器国対核兵器国、ロシア対加盟国、米英仏対ロ中、それから核兵器禁止条約派と核兵器国あるいは同盟国、こういった対立が明確になってきております。特に、核兵器国間の対立、米中の対立ですね、が今後のNPTのマネジメントに深刻な影響を与えると思います。今までは、善しきにつけあしきにつけ、五か国が固まって合意形成に参加していたわけですが、今後実のある合意は困難だと言わざるを得ないと。
しかしながら、そのNPT運用検討会議の失敗、NPTの求心力が失われているということに過度に悲観的になる必要はないと私は考えております。なぜならば、実際の核兵器の削減というのは、米ソあるいは米ロですね、の二国間、そして英仏の一方的な宣言で行われてきていたわけで、NPTの合意によって削減されてきたわけじゃないんですね。したがって、今後何よりも重要なのは国際安全保障環境の改善ですけれども、大国間競争の中でも同時並行的に米ロのこのSTARTに加えて中国を交渉に参加させる、あるいは米中でもいいと思うんですけれども、そういった軍備管理交渉を始めることが重要だと思います。
次に、INFですけれども、これは皆様御存じのように、七九年の核戦争の危機の後、NATOが二重決定をした。つまり、ソ連、当時のソ連が中距離核戦力、SS20が主ですが、配備するのに対して、NATO側は同時にパーシングⅡという中距離を配備する決定をして、同時に交渉をしましょうと、つまり抑止と同時に交渉をしましょうと、そういう結果できた条約です。
発効が遅れるわけですけれども、これは英仏のミサイルを入れるかどうかということで遅れてきたんですが、結局発効して、米ロともこれを全廃します。それを二〇一九年にトランプ政権が破棄したわけですね。これは後で述べますけれども、この三十年の間に、米ロが手を縛られている間にそのほかの国、特に中国がミサイル開発に乗り出してきたというのに対して取った私は勇断だと思いますが、現在は破棄の状態にあります。
次に、新STARTですけれども、米ロ、先ほど申し上げましたように、米ソ、米ロはこのSTART条約を中心に核兵器を削減してきたわけですね。往時は七万発ありました。現在は大体一万二千から一万三千発、総数が、なっていますが、このSTARTで合意しているのは展開されている戦略核のみなんですね、千五百五十発。これは、おおむね両方とも約束を守っています。というのは、検証を、しっかりした検証機能を持っているわけです。衛星あるいは現地査察、それによって約束は守られていると。
他方、最近の動きとして、ウクライナ戦争の影響を受けてロシアが二国間査察を拒否しているとか、あるいはリャブコフの発言とかいろいろございますけれども、いずれにせよ条約は生きてはいます。これは二〇二六年までです。
問題は、この二〇二六年に期限が来るわけですが、これをどうするかという問題ですね。一番いいのは、新START条約に中国を加えて、かつ交渉対象を戦略核のみならず戦術核も含めた全ての核兵器国、核兵器、これはアメリカが提案していたんですが、そういう土俵ができればよろしいわけですけれども、ヨーロッパ正面において圧倒的に戦術核に優位に立っているロシアが戦術核を交渉のまないたにのせるというのはなかなか考えにくい。そうすると、少なくとも、私が思うに、単純延長でもいいから二〇二六年からもう一度五年間延長してほしいと、そのための交渉をアメリカが始めるべきだというふうに思っております。
その次の核兵器禁止条約と核セキュリティーについては、ここでは省略しておきます。後ほどの議論で出てくると思います。
次に、核軍縮、核不拡散の推進に向けた意見、提言ですけれども、国際情勢は、冷戦後の国際協調の時代ははるか遠くに遠のいてしまって、現在は大国間競争の時代、抑止の時代に入っている、軍拡の時代ですね、入っていると思います。しかし、少なくともこのSTART条約の単純延長でもいいからやってほしいというふうに考えております。合意できなかったNPTの最終文書に実はパラグラフ十七というのがあって、ここでは両国とも後継条約に実質的に合意しているわけですね。だから、そういう意思はあったと。
それから、何よりも重要なのは、中国をこの軍備管理交渉に参加させることが重要であると。当時、NATOが七九年に二重決定しましたけれども、それと同じように、抑止力を強化すると同時並行的に軍備管理交渉の、まあ準備交渉でもいいから始めていくと。で、交渉を始めて同じテーブルに着く限り、相互の脅威認識を把握せざるを得ないし、猜疑心の解消にもなるし、信頼醸成機能を持つわけですね。
じゃ、中国が果たして乗ってくるかという大きな疑問があるわけですが、私は、中国が関心を持つ分野、主にソフトな分野だと思いますが、NASAにある、アルテミス合意というのがありますけれども、宇宙の平和利用とか、宇宙の資源の利用とか、あるいはスペースデブリの対策、現在約十八か国ぐらいが参加して、ウクライナも実は入っているんですが、そういった宇宙の平和利用をこのソフトの面から始めていくことも一法じゃないかと。
中国が一番望むのはMDですね、ミサイルディフェンスの能力を制限したいと。圧倒的に優位に立つアメリカのMDの能力を制限したいということでしょうけれど、アメリカは恐らく乗ってこないと思いますね、自分の優位性を落とすわけないわけで。そういう力関係ある中で、ソフトの面から交渉を始めていくというのが一つの方法だろうと思います。それから、ですから、現在の東アジアの状況というのは、七九年のヨーロッパの正面の状況と極めて類似しているというふうに考えます。
最後に、今後の核不拡散ですけれども、一番重要なのは、新たな核保有国の出現を阻止すると。プーチンが今回示した核の恫喝というのは、不用意にも核兵器の閾値を下げてしまったわけですね。同時に、核拡散の危険性というものを広げてしまった。そういう効果を持ってしまったわけで、潜在的な核保有国への手当てがどうしても必要になってくる。
それから、NPTの求心力が弱まる中で、NPTにとどまるメリットというのを途上国メンバーに示していく必要があると。そのためには、例えばIAEAがやっている放射線を使ったがん治療、これアフリカ等々、途上国の首脳が非常に興味を持つわけですが、こういったものを示していく必要があると。
それから、核兵器禁止条約グループも含めて、対立状況を解消して、NPTを共に支えると、そういう姿勢を示していく必要があるかと思います。
また、新たな軍縮マシンを創設したり、あるいは既存の枠組みの改革に向けて国連がイニシアチブを取っていくというのも一法かと思われます。
若干走ってまいりましたけども、以上で私の御説明を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →今日いただきましたお題目は、NPT、CTBT、FMCT、INF、新STARTなど、二国間、多国間を始め、多様な枠組みで進められている核軍縮、核不拡散の現状、成果、課題、及び核軍縮、不拡散の推進に向けた意見、提言ということで、先生方には釈迦に説法になってしまうかも分かりませんけど、一応確認の意味を含めてお話しさせていただきたいと思います。
なお、本日の意見の陳述は、私の今の職である内閣府原子力委員あるいはいかなる組織を代表した、組織の意見を代表したものではございません。私の個人の見解でございます。御承知おきください。
まず、多様な枠組みの現状で、このレジュメを用意いたしましたけれども、これを丁寧に説明していただきますと四十分掛かるということが分かっていますので、若干省略しながら要点のみをお話ししたいと思います。
NPT、核不拡散条約でございますけれども、七〇年に発効して今年五十二年、三年ですか、百九十一か国が加盟している戦後の核秩序の根幹を成すものであって、国際安全保障の礎石であるという認識でございます。
五か国のみに核保有を認めている言わば不平等条約です。これは、一九六七年一月以前に核実験をした五か国ですね、これに核保有を認めて、当時、一九六〇年代の課題というのは核兵器をいかに拡散しないかということであったわけで、この拡散を望まない米ソにより主導された、まあ言わば主権平等を犠牲にした条約であって、当時の知恵であったというふうに私は考えております。そのうち、西独、そして日本が入ることによって、この当時の国際政治における敗戦国の主な国ですね、西独、日本が入ることによって一定の目的を達成した条約であると思います。
ただ、不平等なんですが、その条約の中にグランドバーゲン、大きな取引と書きましたけれども、つまり、将来にわたってこの不平等性を解消していこうと、つまり核兵器国が核を廃絶していく方向のベクトルを明記しておる。これは六条、有名な六条でございますけれども、同時に、非核兵器国の原子力の平和利用、この権利を認めていこうと、こういう条約でございます。
二十五年たった九五年、これが重要な年なんでございますけれども、無期限の延長に国際社会が合意しました。つまり、不平等性が糊塗されたわけですね。ただ、その見返りに非核兵器国が得たものがあると。それは、その下のちょっと太字で書いてありますが、CTBT、包括的核実験禁止条約、これの早期採択、これはもう交渉が内々続いていたわけですが、それから、二番目にFMCT、兵器用核分裂性物質の生産禁止条約、三番目に、一番最後の行ですが、中東の非大量破壊兵器地帯の実現、で、次のページの一番上ですが、消極的安全保証、大体この四つぐらいが非核兵器国が無期限延長の代わりに勝ち取ったといいますか、そういう項目でございます。
まず、CTBTからいきますと、これは端的に申し上げますと、地下核実験を禁止したものです。地下核実験を禁止することによって、以前からあった部分的核実験禁止条約、つまり海中、大気圏、宇宙も入れてですね、全てのところ、場所における核実験を禁止しております。ただ問題は、発効要件が敷居が高かったわけですね。そこに書いてあります八か国が現在も締結しておりません。米、中、インド、パキスタン、エジプト、イスラエル、イラン、北朝鮮、この八か国です。署名数は百八十五ともう非常に多いんですけれども、いずれにせよ発効していないと。
この現状がこういうことですが、問題としては、やっぱり国際政治の現実から見て、この八か国が批准していくのは非常に難しいと。つまり、米は御存じのように共和党と民主党、立場が違います。上院で三分の二以上を取らなければ批准できません。中国はアメリカを見ている、インドは中国を見ている、パキスタンはインドを見ている。それから、エジプト、イスラエルは相互に見合っているわけですね。イランもイスラエルを見ている。北朝鮮は御存じのような開発をしてしまっていると。この八か国が批准してCTBTが発効するというのは非常に難しいと思います。
ただ、二か国を除いて、今この国際社会の中に核実験できるか、国際的な世論に抗してできるか、私はできないと。二か国というのはロシアと北朝鮮のことを言っているんですが、この国以外に核実験はできないという規範が各国の指導者の中にあると思います。そういう意味では、CTBTの八割方のその条約の精神というものは尊敬、尊重されているというふうに言えると思います。
これを発効するために、例えばもう一度外交会議を招集するとか、あるいは条約の暫定適用という手はあるかも分かりませんけれども、しても同じですね、この八か国が入ってこないわけですから。つまり、国際政治の問題であって、条約を発効させる云々というのは二次的な問題じゃないかというふうに考えております。
FMCT、これは兵器用核分裂性物質生産禁止条約です。端的に申し上げますと、核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウム、これの生産を禁止していこうという、ある意味で画期的な条約ですね。これができましたら、ある意味では核軍縮、核廃絶の道が大きく開かれるという条約ですけれども、これが残念ながらジュネーブの軍縮会議において、二十数年にわたって交渉がなされてきませんでした。
その理由は、本音ベースで言うとこのFMCTを望まない国があるということだと思いますが、表面的には、ほかにプライオリティーがある、ほかのイシューにプライオリティーがあるということでですね、例えば宇宙の問題とか、ことをいうわけですが、たまたまこのジュネーブの軍縮会議はコンセンサスがルールですから、一か国でも反対すると交渉が始まりません。そういう状況がずるずると今日まで及んでおります。ですから、成果が出てないということです。課題は山積です。
ただ、条約の草案を作っている国もあるし、それから条約が始まった場合に即交渉が開始できるように様々な準備がなされてきている。日本政府も相当努力をしてきております。この軍縮会議のルールを、コンセンサスルールを変えるのはどうかというのがよく議論されますけれども、それも一つの方法かと思われます。
中東の非大量破壊兵器地帯、大量破壊兵器といっても、特に非核地帯をつくろうと。その心は、イスラエルの核を放棄させようということですね。当時、アラブ諸国が無期限延長に合意したのは、もしイスラエルの核が放棄されれば非常に望ましい状況ができるという、言わば冷戦後のユーフォリアの中にいたんだと思いますけれども、ただ、これも全く進展しておりません。いろんな会議を開いておりますけれども、まさに会議は踊るで、実際は全く進展しておりません。
現実世界に目をやりますと、かなり難しいですよね。今の中東和平の状況を見て、イスラエルが核を手放すか。つまり、イスラエルは、自分たちは中東における最初の核兵器国にはなりませんという形で曖昧政策を取っているわけですが、まあほとんどのアラブ諸国は持っていると思っているわけですから、この実現は見通しは困難であると。
四番目に、消極的安全保証ですけれども、これは実は、そのNPTが無期限延長される前に安保理の九八四によって五核兵器国が供与したもの、つまり、核兵器国は非核兵器国に対して核の使用及び核の威嚇をしないという約束をしたものですが、これは皆様既に御存じのように、クリミア併合あるいは今回のウクライナの侵略時におけるロシアの態度を見ても明らかに違反されている。したがって、これは宣言なんですね。条約でもなければ、公的拘束力がある文書じゃありません。ただ、これを条約にするかという動きはあります。ただ、核兵器国がどれだけ譲歩するかということだと思います。
この四項目を今から見ると、必ずしも現実的とは考えられないような約束の見返りとして無期限の延長をしたというのが現実であります。
それ以降のNPTの動きを見てみますと、注目されるのは、二〇〇〇年の会議という、運用検討会議ですが、これで全面的核廃絶の明確な約束というのを核兵器国がしております。そのための、実現するための十三の具体的な措置についても約束しております。これは二〇一〇年の最終文書でも引き継がれ、これが最後のNPTの合意になっているわけです。昨年行われました二〇二二年の最終文書は、ロシア一か国の反対によってほごにされました。
現在の状況ですが、やっぱりNPTの運用検討会議で合意文書ができないという状況で、NPTに対する求心力が弱まっているということが言えると思います。対立が表面化している。つまり、非核兵器国対核兵器国、ロシア対加盟国、米英仏対ロ中、それから核兵器禁止条約派と核兵器国あるいは同盟国、こういった対立が明確になってきております。特に、核兵器国間の対立、米中の対立ですね、が今後のNPTのマネジメントに深刻な影響を与えると思います。今までは、善しきにつけあしきにつけ、五か国が固まって合意形成に参加していたわけですが、今後実のある合意は困難だと言わざるを得ないと。
しかしながら、そのNPT運用検討会議の失敗、NPTの求心力が失われているということに過度に悲観的になる必要はないと私は考えております。なぜならば、実際の核兵器の削減というのは、米ソあるいは米ロですね、の二国間、そして英仏の一方的な宣言で行われてきていたわけで、NPTの合意によって削減されてきたわけじゃないんですね。したがって、今後何よりも重要なのは国際安全保障環境の改善ですけれども、大国間競争の中でも同時並行的に米ロのこのSTARTに加えて中国を交渉に参加させる、あるいは米中でもいいと思うんですけれども、そういった軍備管理交渉を始めることが重要だと思います。
次に、INFですけれども、これは皆様御存じのように、七九年の核戦争の危機の後、NATOが二重決定をした。つまり、ソ連、当時のソ連が中距離核戦力、SS20が主ですが、配備するのに対して、NATO側は同時にパーシングⅡという中距離を配備する決定をして、同時に交渉をしましょうと、つまり抑止と同時に交渉をしましょうと、そういう結果できた条約です。
発効が遅れるわけですけれども、これは英仏のミサイルを入れるかどうかということで遅れてきたんですが、結局発効して、米ロともこれを全廃します。それを二〇一九年にトランプ政権が破棄したわけですね。これは後で述べますけれども、この三十年の間に、米ロが手を縛られている間にそのほかの国、特に中国がミサイル開発に乗り出してきたというのに対して取った私は勇断だと思いますが、現在は破棄の状態にあります。
次に、新STARTですけれども、米ロ、先ほど申し上げましたように、米ソ、米ロはこのSTART条約を中心に核兵器を削減してきたわけですね。往時は七万発ありました。現在は大体一万二千から一万三千発、総数が、なっていますが、このSTARTで合意しているのは展開されている戦略核のみなんですね、千五百五十発。これは、おおむね両方とも約束を守っています。というのは、検証を、しっかりした検証機能を持っているわけです。衛星あるいは現地査察、それによって約束は守られていると。
他方、最近の動きとして、ウクライナ戦争の影響を受けてロシアが二国間査察を拒否しているとか、あるいはリャブコフの発言とかいろいろございますけれども、いずれにせよ条約は生きてはいます。これは二〇二六年までです。
問題は、この二〇二六年に期限が来るわけですが、これをどうするかという問題ですね。一番いいのは、新START条約に中国を加えて、かつ交渉対象を戦略核のみならず戦術核も含めた全ての核兵器国、核兵器、これはアメリカが提案していたんですが、そういう土俵ができればよろしいわけですけれども、ヨーロッパ正面において圧倒的に戦術核に優位に立っているロシアが戦術核を交渉のまないたにのせるというのはなかなか考えにくい。そうすると、少なくとも、私が思うに、単純延長でもいいから二〇二六年からもう一度五年間延長してほしいと、そのための交渉をアメリカが始めるべきだというふうに思っております。
その次の核兵器禁止条約と核セキュリティーについては、ここでは省略しておきます。後ほどの議論で出てくると思います。
次に、核軍縮、核不拡散の推進に向けた意見、提言ですけれども、国際情勢は、冷戦後の国際協調の時代ははるか遠くに遠のいてしまって、現在は大国間競争の時代、抑止の時代に入っている、軍拡の時代ですね、入っていると思います。しかし、少なくともこのSTART条約の単純延長でもいいからやってほしいというふうに考えております。合意できなかったNPTの最終文書に実はパラグラフ十七というのがあって、ここでは両国とも後継条約に実質的に合意しているわけですね。だから、そういう意思はあったと。
それから、何よりも重要なのは、中国をこの軍備管理交渉に参加させることが重要であると。当時、NATOが七九年に二重決定しましたけれども、それと同じように、抑止力を強化すると同時並行的に軍備管理交渉の、まあ準備交渉でもいいから始めていくと。で、交渉を始めて同じテーブルに着く限り、相互の脅威認識を把握せざるを得ないし、猜疑心の解消にもなるし、信頼醸成機能を持つわけですね。
じゃ、中国が果たして乗ってくるかという大きな疑問があるわけですが、私は、中国が関心を持つ分野、主にソフトな分野だと思いますが、NASAにある、アルテミス合意というのがありますけれども、宇宙の平和利用とか、宇宙の資源の利用とか、あるいはスペースデブリの対策、現在約十八か国ぐらいが参加して、ウクライナも実は入っているんですが、そういった宇宙の平和利用をこのソフトの面から始めていくことも一法じゃないかと。
中国が一番望むのはMDですね、ミサイルディフェンスの能力を制限したいと。圧倒的に優位に立つアメリカのMDの能力を制限したいということでしょうけれど、アメリカは恐らく乗ってこないと思いますね、自分の優位性を落とすわけないわけで。そういう力関係ある中で、ソフトの面から交渉を始めていくというのが一つの方法だろうと思います。それから、ですから、現在の東アジアの状況というのは、七九年のヨーロッパの正面の状況と極めて類似しているというふうに考えます。
最後に、今後の核不拡散ですけれども、一番重要なのは、新たな核保有国の出現を阻止すると。プーチンが今回示した核の恫喝というのは、不用意にも核兵器の閾値を下げてしまったわけですね。同時に、核拡散の危険性というものを広げてしまった。そういう効果を持ってしまったわけで、潜在的な核保有国への手当てがどうしても必要になってくる。
それから、NPTの求心力が弱まる中で、NPTにとどまるメリットというのを途上国メンバーに示していく必要があると。そのためには、例えばIAEAがやっている放射線を使ったがん治療、これアフリカ等々、途上国の首脳が非常に興味を持つわけですが、こういったものを示していく必要があると。
それから、核兵器禁止条約グループも含めて、対立状況を解消して、NPTを共に支えると、そういう姿勢を示していく必要があるかと思います。
また、新たな軍縮マシンを創設したり、あるいは既存の枠組みの改革に向けて国連がイニシアチブを取っていくというのも一法かと思われます。
若干走ってまいりましたけども、以上で私の御説明を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
猪
戸
戸崎洋史#5
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。
御紹介いただきました日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターの戸崎でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
本日の私の報告それから発言ですけれども、全て個人の見解ということで、所属先などを代表するものではないということをあらかじめお断り申し上げたいと思います。
冒頭の報告でございますけれども、軍備管理といったものがどのように考えられて扱われてきたのか、それから更なる軍備管理、そして最終的な目標である核兵器のない世界に向けて進んでいくためにどういったことを考えなければならないか、考える必要があるのかといったようなところを中心にお話しさせていただきたいと思います。
まず、軍備管理ですけれども、最も基本的な定義は、軍事における敵対国間の協力でございます。
現在の国際システムの中では、自助、セルフヘルプ、それから自衛のために抑止力を持つということが必要になっておるわけですけれども、そうした抑止力の維持それから強化がもたらし得る安全保障ジレンマの緩和であったり、それから抑止バランスを安定化させたり、抑止関係にある中でも、敵対関係にある中でも、信頼醸成、それから透明性、そして将来の予見可能性、こうしたものを与えるというのが軍備管理の重要な役割だというふうに位置付けられてきました。核の秩序という言葉がありますけれども、それは抑止とこの軍備管理の二つの柱で成り立ってきたということが言われております。
その軍備管理でありますけれども、パワーであったり抑止力であったり、それをめぐる外交的手段によるせめぎ合いとしての側面というのも非常に強いというのがこれまでの歴史であったかと思います。
軍備管理は、最終的には、他方の抑止力に対する管理であったり制限であったり低減であったりと、そういったようなものを企図したもの、目標としたものであるということで、優位にある国、劣位にある国、それぞれがいかにこの自分の国に、自らに有利な合意をつくり上げていくか、そうしたゲームがその軍備管理交渉の中で行われてきたという側面も少なくなかったのではないかと思います。
最終的に合意が成立するためには様々な譲歩が必要になってきますけれども、譲歩ということは最終的には不完全なものあるいは不満足なもの、そうした合意が成立してしまう可能性もあるということで、あるいは合意したときには満足できたけれども、その先、将来、不満足な状況が生まれてしまうということもあるということで、そうした中で、敵対国が例えば欺瞞であったり違反であったり、そうしたことを行う可能性があり、それに対して効果的に対応できなければ自分たちの国が不利益を被ってしまうという、そうした側面も軍備管理には強かったということであります。
特に、マルチ、多国間の軍備管理について特有の難しさということも一言申し上げておきますと、当然その関係国が増加すればするだけ様々な中でのバランスを見出して維持していくということは難しくなってきますし、譲歩の幅も大きくならざるを得ないということで、そこに不満の種が出てくると。とりわけ、核兵器のように国家安全保障上重要な兵器だとみなされるものについては、そうした不満というものが蓄積してしまう可能性もあるということですね。
そして、核の問題ではコンセンサスで合意を図っていくということも少なからずあるわけですけれども、もちろんそのコンセンサスで合意することによって、全ての国が履行する、それを守るというようなことになる可能性はありますけれども、他方で、交渉の中では一つの国が拒否権を持ってしまうということもあってなかなか合意ができない、これは先ほど佐野大使の話にもあったことではございますけれども、そうした側面もあるということでございます。
続きまして、現在の核軍備管理の状況でありますけれども、二〇一二年から一三年、新START条約ができたのが二〇一〇年、発効が一一年でありますけれども、その後、既に核軍備管理の停滞、そして現在の逆行というものは始まっていたのだろうというふうに思います。
最も重要な要因は現在進行中の戦略的競争でありますけれども、その中で当然その競争には力というものが必要になってくると。その一つの要素として、核兵器というものが様々な国によって重視されている、核抑止力の重要性の高まりということが一つあると思います。
現在の戦略的競争は、既存の国際秩序を修正したいと考える国と維持したいと考える国、そのせめぎ合いという側面があるわけですけれども、修正したいと考えている国は、今現在自分たちは力を伸ばしているんだと、で、この伸ばしているところで止められたくない、軍備管理のような措置によって力の増大、抑止力の強化というものを抑制されたくないと、そういったインセンティブといいますか、抑制要因が働くということになるかと思います。
他方、現状維持勢力、西側、日本も含めてですけれども、当然その抑制要因としては、そうした修正主義の国々が抑止力を高める中で自分たちも抑止を高めなければならない、対処力を必要とするというようなところが軍備管理に少し後ろ向きになってしまうところもありますけれども、他方で、そうしたその現状を修正しようとする国々の力の台頭というものをこの軍備管理によって少しマイルドにしていくと、抑えていくということができるのであれば、それは軍備管理の非常に、彼らにとっての重要な役割になるということになるということで、そこにインセンティブが働いているのだろうというふうに思います。
そして、現在最も懸念すべきは、戦略的競争の最前線にある地域、北東アジアもそうですし、ヨーロッパ、中東などもそうですけれども、そうした地域問題ですね、ここでの非核、核のエスカレーションの可能性が強く懸念されていて、実際に勃発してしまったのがウクライナであったわけですけれども、そうした中でその抑止力の強化のインセンティブが非常に高まってしまっており、これも軍備管理が進むことを妨げている要因になっているのだろうというふうに思います。
もう一つの要因は、国際システムと戦略関係、抑止関係が変容しているということで、抑止が非常に複雑になっているということなのだろうというふうに思います。
既存の核軍備管理・不拡散体制はおおむね冷戦期の二極構造に起源を持つものでありますけれども、これがまあ多極、世界は多極に向かっているという中で、その中でどのようにバランスを取ったらいいのか、協力を図ったらいいのかということがなかなか考えにくくなっていると、難しくなっているということ。
それから、これも冷戦期には基本的にはその戦略核というものが中心になって考えられていたわけですけれども、それが戦略核だけではなくて、それ以外の戦術核も含めた非戦略核、それから、核兵器だけではなくて核兵器と通常戦力の問題、とりわけ戦略的インプリケーションを持つような兵器、こうしたものが重要になってきているということで、これらを軍備管理の文脈の中に落とし込むにはどうしたらいいのかということ、これまで我々が経験したことのなかったことをやらなければならないということ。
そして、様々な国がある中で、能力であったり、利益、決意、そうしたものへの非対称性が大きいという中で、この辺りのバランスをどうするのかということですね。
既存の核軍備管理・不拡散体制ではなかなかカバーし切れない多くの課題があると、で、カバーするために核軍備管理、軍備管理の在り方について現状では合意がないと、あるいはその合意を図っていくことが難しい、あるいはどういったアイデアでこれを進めていったらいいのかというのがまだ国際社会には合意がないということなのだろうというふうに思います。
続いて、既存の軍備管理の現状については少し手短にお話ししたいと思いますけれども、NPTの第十回運用検討会議については、先ほど佐野大使がお話しされたとおりで、私もおおむね同じ考えを持っておりますけれども、一点だけ。
こうしたその核をめぐる非常に厳しい状況にある中で、最終文書の採択に向けて、締約国、マイナス一ですね、ロシア、の取組というのは、やはりそのNPT体制というものが重要でこれを堅持すべきだという意識に支えられたものだったのではないかというふうに思います。結果として文書は採択できませんでしたけれども、それまでの過程で各国が採択に向けて一生懸命取り組んだという現実、事実と、一応文書の形でドラフトはできたというところは一つ留意すべきなのかなというふうに思います。
もちろん、その会議の中で核兵器国間の亀裂がこれまで以上により目立ったということ、それから中国が非常にアグレッシブに対応したというところは今回の会議の特徴であったかというふうに思います。
続きまして、ポスト新STARTですね、新START後の核軍備管理をどうするかというところで、なかなかそのアメリカとロシアのそもそも折り合いが付いていないと。アメリカは全ての核兵器を対象にすべきだと言っているのに対して、ロシアは攻撃、核兵器だけではなくてミサイル防衛も含めるべきだと、それからアメリカがヨーロッパに配備している戦術核、これも軍備管理に含めていくべきだというところで、二〇一二年、一三年ぐらいからもうずっとこの議論が続いて、折り合いが付いていないという中で現在まで来ているということであります。
で、二〇二六年の二月に新START条約が失効しますけれども、合意できなければ一九七二年以来続いてきた二国間の核軍備管理条約というのが全くなくなってしまうという状況になりますので、私もこれをどうにかして何らかの形で続けていくということは重要なのだろうというふうに思います。
ロシアのウクライナ侵略の話については、もう繰り返しになるかもしれませんけれども、もう様々な形で、核の恫喝であったり偽情報を乱発したりなどですね、そうしたそのロシアの行為というのが軍備管理・不拡散体制の根幹に関わる重大な挑戦なんだということは改めて強調しておきたいと思います。
そして、やはり今後鍵になっていくのが中国ということで、積極的な核戦力の近代化を図っていると、十年後までには少なくとも千発の核弾頭を保有するのではないかという見方がアメリカの核態勢見直しでも示されていますけれども、その中国はNPT上の五核兵器国の中で唯一核兵器をこれまで削減したことがない国ということで、実質的な核軍備管理には非常に消極的な態度を取ってきた国でもある。こうした国をいかにして軍備管理の枠組みの中に取り込んでいくかということが重要な課題になってくるのだろうというふうに思います。
核兵器禁止条約につきましては、様々議論があるところですけれども、二点だけ課題を挙げさせていただくとしますと、一つは、禁止規範の受容度というものがなかなか広がっていかないというところですね。ここはやはり、その秩序あるいは安全保障が維持される程度の中でのみ規範であったり禁止規範というものが国際社会に受容されていくという厳しい現実を示してしまっているのではないかというふうに思います。
もちろん、核兵器の廃絶が実現するためには、規範の要素というのはとても重要だというふうに私も思っておりますけれども、そのために、実現するために何をしなければならないかということを併せて考えなければならないのと、それとの関連では、ロシアの今回のウクライナ侵略と核恫喝に際して、この核兵器禁止条約の、まあ一部ではありますけれども、締約国が必ずしも十分に非難したわけではないということで、規範を主張している国、核についての規範を主張している国が、他方でその国益との関係で、そこにその相克というものが見られたというところも一つ留意しておく必要があるのかなというふうに思います。
そして、こうしたその核兵器をめぐる問題の、核兵器の使用可能性というのが高まる中で、核リスクの低減であったり、それから核兵器、役割の重要性が高まっているということは、繰り返しになるかもしれませんけれども、現在の国際安全保障環境、核をめぐる状況の厳しい状況を逆に反映しているのかなというふうに思います。
最後に、今後どのように核軍備管理を進めていくべきなのかというところ、なかなかその具体的な提案というのは難しい状況でありますけれども、考えなければならない課題ということで、時間軸に沿って少し挙げてみたいと思います。
まず、日本それから世界の最終的な目標が核兵器のない世界であるとすれば、これを実現するための安全保障環境であったり、ナラティブであったり、論理であったり、規範であったり、そうしたものを構築していく必要があると、現在はないということなので、それを構築していく必要があるということなのだろうと思います。現在の世界マイナス核兵器が核兵器のない世界、安全な核兵器のない世界ではないということですので、その点。
そして、これは前回の核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の議長レポートでも示された困難な問題ですね、核兵器の大幅削減であったり、核なき世界のために解決しなければならない、そして、現状では答えが出せない、出せていない問題に取り組まなければならないということで幾つか挙がっておりますけれども、これらの問題に答えを出していかなければ最終的な目標には到達し得ないということで、この部分しっかり考えていく必要があるということであります。
次に、短期的といいますか、より中期的な目標としては、核軍備管理のその新たな枠組みというものを模索していかなければならないのではないかということで、既存の枠組みももちろん活用しつつではありますけれども、今後の世界が直面する多極化、多様化、そして非対称性といったようなものを適切に織り込んでいくと、そして、その中にやはり中国をいかに取り込んでいくかということが最も重要で難しい課題になってくるというふうに私も考えております。
中国を核軍備管理に取り込んでいくためには、当然その中国が参加したいと思うようなインセンティブというものも与えなければならないのかもしれませんけれども、他方で、それが中国に対する宥和、アピーズメントであってはならないというふうに思いますし、その中で、どこまでの、どのようなインセンティブを与えるのか、あるいは、逆に日本なりアメリカなりが抑止力をしっかり持つ中で、中国に対して、そのお互いの関係の中での安定性というものを日本あるいはアメリカなどとともに働きかけていくということが、なかなかこれも難しい問題ではありますけれども、進めていかなければならない課題なのだろうというふうに思います。
そして、最後に、短期的な目標でありますけれども、これ以上核軍縮、核軍備管理、核をめぐる状況が悪化するのを防ぐということが直近の目標になってくるのだろうというふうに思います。
核兵器不使用の歴史の継続というのは最も重要だと思いますし、それと並行して状況悪化の押さえ込みを行っていくと。大きなステップはなかなか取りづらいと思いますけれども、その小さなステップを一つずつ積み重ねていくことで、より先の目標へと近づいていくと。
それから、核兵器を、現在数の削減というのは難しい状況にありますけれども、その中では、まずその行動、核をめぐる行動というものに対する管理であったり制限であったりと、そうしたところを模索していく、あるいは各国が自制に基づいて行動するよう求めていくと、そういったことも考えられるのかなというふうに思いますし、核リスクの低減のところでは、やはり戦略対話ですね、話をする時間、機会がなかなか少なくなっているという中で、まずは対話を進めていく、そして、危機管理であったり危機コミュニケーション、信頼醸成、透明性というものを高めていってほしいというところであります。
最後に、この調査会の一つの柱といいますか、それがマルチラテラリズムということでありましたので、その問題を少しお話ししたいと思いますけれども、マルチというのは難しいところもあるということは先ほどお話ししたとおりでありますけれども、多極化なり多様化、それから非対称性という中で、やはり多層的な取組というものが必要で、その中にマルチラテラリズムの重要性というものもあるのだろうというふうに思います。
今後、新しい枠組みやあるいは核兵器のない世界を可能にするためには、国際社会、まさにマルチですね、そこでの合意というのが絶対的に必要でありますし、マルチで合意した、議論して合意したからこそ履行可能性というものは高まっていくわけですし、そうしたその議論、具体的な措置をマルチで着実に積み重ねていくということが将来的な確固とした国際規範の確立ということになってくるということで、もちろんマルチだけで全てがうまくいくわけではないと思いますけれども、単独、二国間、それから小規模の国家、そして地域、そしてマルチというような多層的な取組で軍備管理を進めていくということがますます重要になっているのではないかと思います。
最後に、マトリックス、この会合の事前にいただいたものがありましたので、それに、私が思い付く限りではありますけれども、少し当てはめてみたということで、完全ではございませんけれども、御参考までに付してみました。
ということで、私の御報告は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →御紹介いただきました日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターの戸崎でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
本日の私の報告それから発言ですけれども、全て個人の見解ということで、所属先などを代表するものではないということをあらかじめお断り申し上げたいと思います。
冒頭の報告でございますけれども、軍備管理といったものがどのように考えられて扱われてきたのか、それから更なる軍備管理、そして最終的な目標である核兵器のない世界に向けて進んでいくためにどういったことを考えなければならないか、考える必要があるのかといったようなところを中心にお話しさせていただきたいと思います。
まず、軍備管理ですけれども、最も基本的な定義は、軍事における敵対国間の協力でございます。
現在の国際システムの中では、自助、セルフヘルプ、それから自衛のために抑止力を持つということが必要になっておるわけですけれども、そうした抑止力の維持それから強化がもたらし得る安全保障ジレンマの緩和であったり、それから抑止バランスを安定化させたり、抑止関係にある中でも、敵対関係にある中でも、信頼醸成、それから透明性、そして将来の予見可能性、こうしたものを与えるというのが軍備管理の重要な役割だというふうに位置付けられてきました。核の秩序という言葉がありますけれども、それは抑止とこの軍備管理の二つの柱で成り立ってきたということが言われております。
その軍備管理でありますけれども、パワーであったり抑止力であったり、それをめぐる外交的手段によるせめぎ合いとしての側面というのも非常に強いというのがこれまでの歴史であったかと思います。
軍備管理は、最終的には、他方の抑止力に対する管理であったり制限であったり低減であったりと、そういったようなものを企図したもの、目標としたものであるということで、優位にある国、劣位にある国、それぞれがいかにこの自分の国に、自らに有利な合意をつくり上げていくか、そうしたゲームがその軍備管理交渉の中で行われてきたという側面も少なくなかったのではないかと思います。
最終的に合意が成立するためには様々な譲歩が必要になってきますけれども、譲歩ということは最終的には不完全なものあるいは不満足なもの、そうした合意が成立してしまう可能性もあるということで、あるいは合意したときには満足できたけれども、その先、将来、不満足な状況が生まれてしまうということもあるということで、そうした中で、敵対国が例えば欺瞞であったり違反であったり、そうしたことを行う可能性があり、それに対して効果的に対応できなければ自分たちの国が不利益を被ってしまうという、そうした側面も軍備管理には強かったということであります。
特に、マルチ、多国間の軍備管理について特有の難しさということも一言申し上げておきますと、当然その関係国が増加すればするだけ様々な中でのバランスを見出して維持していくということは難しくなってきますし、譲歩の幅も大きくならざるを得ないということで、そこに不満の種が出てくると。とりわけ、核兵器のように国家安全保障上重要な兵器だとみなされるものについては、そうした不満というものが蓄積してしまう可能性もあるということですね。
そして、核の問題ではコンセンサスで合意を図っていくということも少なからずあるわけですけれども、もちろんそのコンセンサスで合意することによって、全ての国が履行する、それを守るというようなことになる可能性はありますけれども、他方で、交渉の中では一つの国が拒否権を持ってしまうということもあってなかなか合意ができない、これは先ほど佐野大使の話にもあったことではございますけれども、そうした側面もあるということでございます。
続きまして、現在の核軍備管理の状況でありますけれども、二〇一二年から一三年、新START条約ができたのが二〇一〇年、発効が一一年でありますけれども、その後、既に核軍備管理の停滞、そして現在の逆行というものは始まっていたのだろうというふうに思います。
最も重要な要因は現在進行中の戦略的競争でありますけれども、その中で当然その競争には力というものが必要になってくると。その一つの要素として、核兵器というものが様々な国によって重視されている、核抑止力の重要性の高まりということが一つあると思います。
現在の戦略的競争は、既存の国際秩序を修正したいと考える国と維持したいと考える国、そのせめぎ合いという側面があるわけですけれども、修正したいと考えている国は、今現在自分たちは力を伸ばしているんだと、で、この伸ばしているところで止められたくない、軍備管理のような措置によって力の増大、抑止力の強化というものを抑制されたくないと、そういったインセンティブといいますか、抑制要因が働くということになるかと思います。
他方、現状維持勢力、西側、日本も含めてですけれども、当然その抑制要因としては、そうした修正主義の国々が抑止力を高める中で自分たちも抑止を高めなければならない、対処力を必要とするというようなところが軍備管理に少し後ろ向きになってしまうところもありますけれども、他方で、そうしたその現状を修正しようとする国々の力の台頭というものをこの軍備管理によって少しマイルドにしていくと、抑えていくということができるのであれば、それは軍備管理の非常に、彼らにとっての重要な役割になるということになるということで、そこにインセンティブが働いているのだろうというふうに思います。
そして、現在最も懸念すべきは、戦略的競争の最前線にある地域、北東アジアもそうですし、ヨーロッパ、中東などもそうですけれども、そうした地域問題ですね、ここでの非核、核のエスカレーションの可能性が強く懸念されていて、実際に勃発してしまったのがウクライナであったわけですけれども、そうした中でその抑止力の強化のインセンティブが非常に高まってしまっており、これも軍備管理が進むことを妨げている要因になっているのだろうというふうに思います。
もう一つの要因は、国際システムと戦略関係、抑止関係が変容しているということで、抑止が非常に複雑になっているということなのだろうというふうに思います。
既存の核軍備管理・不拡散体制はおおむね冷戦期の二極構造に起源を持つものでありますけれども、これがまあ多極、世界は多極に向かっているという中で、その中でどのようにバランスを取ったらいいのか、協力を図ったらいいのかということがなかなか考えにくくなっていると、難しくなっているということ。
それから、これも冷戦期には基本的にはその戦略核というものが中心になって考えられていたわけですけれども、それが戦略核だけではなくて、それ以外の戦術核も含めた非戦略核、それから、核兵器だけではなくて核兵器と通常戦力の問題、とりわけ戦略的インプリケーションを持つような兵器、こうしたものが重要になってきているということで、これらを軍備管理の文脈の中に落とし込むにはどうしたらいいのかということ、これまで我々が経験したことのなかったことをやらなければならないということ。
そして、様々な国がある中で、能力であったり、利益、決意、そうしたものへの非対称性が大きいという中で、この辺りのバランスをどうするのかということですね。
既存の核軍備管理・不拡散体制ではなかなかカバーし切れない多くの課題があると、で、カバーするために核軍備管理、軍備管理の在り方について現状では合意がないと、あるいはその合意を図っていくことが難しい、あるいはどういったアイデアでこれを進めていったらいいのかというのがまだ国際社会には合意がないということなのだろうというふうに思います。
続いて、既存の軍備管理の現状については少し手短にお話ししたいと思いますけれども、NPTの第十回運用検討会議については、先ほど佐野大使がお話しされたとおりで、私もおおむね同じ考えを持っておりますけれども、一点だけ。
こうしたその核をめぐる非常に厳しい状況にある中で、最終文書の採択に向けて、締約国、マイナス一ですね、ロシア、の取組というのは、やはりそのNPT体制というものが重要でこれを堅持すべきだという意識に支えられたものだったのではないかというふうに思います。結果として文書は採択できませんでしたけれども、それまでの過程で各国が採択に向けて一生懸命取り組んだという現実、事実と、一応文書の形でドラフトはできたというところは一つ留意すべきなのかなというふうに思います。
もちろん、その会議の中で核兵器国間の亀裂がこれまで以上により目立ったということ、それから中国が非常にアグレッシブに対応したというところは今回の会議の特徴であったかというふうに思います。
続きまして、ポスト新STARTですね、新START後の核軍備管理をどうするかというところで、なかなかそのアメリカとロシアのそもそも折り合いが付いていないと。アメリカは全ての核兵器を対象にすべきだと言っているのに対して、ロシアは攻撃、核兵器だけではなくてミサイル防衛も含めるべきだと、それからアメリカがヨーロッパに配備している戦術核、これも軍備管理に含めていくべきだというところで、二〇一二年、一三年ぐらいからもうずっとこの議論が続いて、折り合いが付いていないという中で現在まで来ているということであります。
で、二〇二六年の二月に新START条約が失効しますけれども、合意できなければ一九七二年以来続いてきた二国間の核軍備管理条約というのが全くなくなってしまうという状況になりますので、私もこれをどうにかして何らかの形で続けていくということは重要なのだろうというふうに思います。
ロシアのウクライナ侵略の話については、もう繰り返しになるかもしれませんけれども、もう様々な形で、核の恫喝であったり偽情報を乱発したりなどですね、そうしたそのロシアの行為というのが軍備管理・不拡散体制の根幹に関わる重大な挑戦なんだということは改めて強調しておきたいと思います。
そして、やはり今後鍵になっていくのが中国ということで、積極的な核戦力の近代化を図っていると、十年後までには少なくとも千発の核弾頭を保有するのではないかという見方がアメリカの核態勢見直しでも示されていますけれども、その中国はNPT上の五核兵器国の中で唯一核兵器をこれまで削減したことがない国ということで、実質的な核軍備管理には非常に消極的な態度を取ってきた国でもある。こうした国をいかにして軍備管理の枠組みの中に取り込んでいくかということが重要な課題になってくるのだろうというふうに思います。
核兵器禁止条約につきましては、様々議論があるところですけれども、二点だけ課題を挙げさせていただくとしますと、一つは、禁止規範の受容度というものがなかなか広がっていかないというところですね。ここはやはり、その秩序あるいは安全保障が維持される程度の中でのみ規範であったり禁止規範というものが国際社会に受容されていくという厳しい現実を示してしまっているのではないかというふうに思います。
もちろん、核兵器の廃絶が実現するためには、規範の要素というのはとても重要だというふうに私も思っておりますけれども、そのために、実現するために何をしなければならないかということを併せて考えなければならないのと、それとの関連では、ロシアの今回のウクライナ侵略と核恫喝に際して、この核兵器禁止条約の、まあ一部ではありますけれども、締約国が必ずしも十分に非難したわけではないということで、規範を主張している国、核についての規範を主張している国が、他方でその国益との関係で、そこにその相克というものが見られたというところも一つ留意しておく必要があるのかなというふうに思います。
そして、こうしたその核兵器をめぐる問題の、核兵器の使用可能性というのが高まる中で、核リスクの低減であったり、それから核兵器、役割の重要性が高まっているということは、繰り返しになるかもしれませんけれども、現在の国際安全保障環境、核をめぐる状況の厳しい状況を逆に反映しているのかなというふうに思います。
最後に、今後どのように核軍備管理を進めていくべきなのかというところ、なかなかその具体的な提案というのは難しい状況でありますけれども、考えなければならない課題ということで、時間軸に沿って少し挙げてみたいと思います。
まず、日本それから世界の最終的な目標が核兵器のない世界であるとすれば、これを実現するための安全保障環境であったり、ナラティブであったり、論理であったり、規範であったり、そうしたものを構築していく必要があると、現在はないということなので、それを構築していく必要があるということなのだろうと思います。現在の世界マイナス核兵器が核兵器のない世界、安全な核兵器のない世界ではないということですので、その点。
そして、これは前回の核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の議長レポートでも示された困難な問題ですね、核兵器の大幅削減であったり、核なき世界のために解決しなければならない、そして、現状では答えが出せない、出せていない問題に取り組まなければならないということで幾つか挙がっておりますけれども、これらの問題に答えを出していかなければ最終的な目標には到達し得ないということで、この部分しっかり考えていく必要があるということであります。
次に、短期的といいますか、より中期的な目標としては、核軍備管理のその新たな枠組みというものを模索していかなければならないのではないかということで、既存の枠組みももちろん活用しつつではありますけれども、今後の世界が直面する多極化、多様化、そして非対称性といったようなものを適切に織り込んでいくと、そして、その中にやはり中国をいかに取り込んでいくかということが最も重要で難しい課題になってくるというふうに私も考えております。
中国を核軍備管理に取り込んでいくためには、当然その中国が参加したいと思うようなインセンティブというものも与えなければならないのかもしれませんけれども、他方で、それが中国に対する宥和、アピーズメントであってはならないというふうに思いますし、その中で、どこまでの、どのようなインセンティブを与えるのか、あるいは、逆に日本なりアメリカなりが抑止力をしっかり持つ中で、中国に対して、そのお互いの関係の中での安定性というものを日本あるいはアメリカなどとともに働きかけていくということが、なかなかこれも難しい問題ではありますけれども、進めていかなければならない課題なのだろうというふうに思います。
そして、最後に、短期的な目標でありますけれども、これ以上核軍縮、核軍備管理、核をめぐる状況が悪化するのを防ぐということが直近の目標になってくるのだろうというふうに思います。
核兵器不使用の歴史の継続というのは最も重要だと思いますし、それと並行して状況悪化の押さえ込みを行っていくと。大きなステップはなかなか取りづらいと思いますけれども、その小さなステップを一つずつ積み重ねていくことで、より先の目標へと近づいていくと。
それから、核兵器を、現在数の削減というのは難しい状況にありますけれども、その中では、まずその行動、核をめぐる行動というものに対する管理であったり制限であったりと、そうしたところを模索していく、あるいは各国が自制に基づいて行動するよう求めていくと、そういったことも考えられるのかなというふうに思いますし、核リスクの低減のところでは、やはり戦略対話ですね、話をする時間、機会がなかなか少なくなっているという中で、まずは対話を進めていく、そして、危機管理であったり危機コミュニケーション、信頼醸成、透明性というものを高めていってほしいというところであります。
最後に、この調査会の一つの柱といいますか、それがマルチラテラリズムということでありましたので、その問題を少しお話ししたいと思いますけれども、マルチというのは難しいところもあるということは先ほどお話ししたとおりでありますけれども、多極化なり多様化、それから非対称性という中で、やはり多層的な取組というものが必要で、その中にマルチラテラリズムの重要性というものもあるのだろうというふうに思います。
今後、新しい枠組みやあるいは核兵器のない世界を可能にするためには、国際社会、まさにマルチですね、そこでの合意というのが絶対的に必要でありますし、マルチで合意した、議論して合意したからこそ履行可能性というものは高まっていくわけですし、そうしたその議論、具体的な措置をマルチで着実に積み重ねていくということが将来的な確固とした国際規範の確立ということになってくるということで、もちろんマルチだけで全てがうまくいくわけではないと思いますけれども、単独、二国間、それから小規模の国家、そして地域、そしてマルチというような多層的な取組で軍備管理を進めていくということがますます重要になっているのではないかと思います。
最後に、マトリックス、この会合の事前にいただいたものがありましたので、それに、私が思い付く限りではありますけれども、少し当てはめてみたということで、完全ではございませんけれども、御参考までに付してみました。
ということで、私の御報告は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
猪
鈴
鈴木達治郎#7
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。
このような機会を与えていただきましてありがとうございます。
私の方は、パワーポイントの資料をお手元に用意させていただきました。そこにタイトルが書いてありまして、私の今日のお話はこのタイトルを中心にお話ししたいと思います。
核抑止に依存しない安全保障政策への転換。そのために七つの提言を最後に出したいと思います。長崎を最後の被爆地にというメッセージですが、今まさに核兵器が使われるリスクが高くなっているという状況で、今こそこのメッセージを伝えたいということで今日お話をさせていただきたいと思います。
一ページ目、開けていただきますと、御存じの、よく御存じの終末時計ですね、今年の一月に、アメリカのブレティン・オブ・アトミック・サイエンティスト、原子力科学者会報というところが毎年出している終末まであと何分かというのが、今年は九十秒になってしまいました。戦後最悪の状況でありまして、この最大の理由がロシアのウクライナ侵攻と核の威嚇、これも既にお二人からもありましたけども、今、最も核使用のリスクが高くなっているということを警告しております。
この下に、そのほかにも、核軍縮、核不拡散の問題で重要な項目が書いてありますが、一つちょっとお二人から話がなかったものとしては、アメリカとロシアの近代化、核兵器の近代化計画、それから新兵器の配備、それから中国の核軍拡に加えて、イギリスが最も熱心であったんですけども、去年上限を、百八十だったのを二百六十発に引き上げるという発表をいたしまして、まさに今お二人から話がありましたように、核軍拡の時代に戻ってしまったというのが現状ではないかと。北朝鮮問題、インド、パキスタン、いろいろ書いてありますけども、非常に今厳しい状況にあるというのが一ページ目です。
二ページ目は、私ども長崎大学核兵器廃絶研究センターが毎年発表している核弾頭のポスターなんですけども、一目で核弾頭の数が分かるようなポスターになっておりますが、右手のグラフがアメリカの全米科学者連盟が出しているデータの推移を写したものですけども、御存じのとおり、冷戦時代の七万発から確かに大きく減ってはいるんですが、今後は増加するかもしれない。先ほどのように、核軍拡の時代に入っていますので、また増加の時代に入っているかもしれないということであります。
三ページ目見ていただきますと、先ほどの終末時計の推移を見たものですが、いろんな過去の国際条約ができますと終末時計の時間が余裕が出てくると、核実験や国際関係が緊張すると悪くなっていくんですが、先ほどの核兵器、核弾頭の数のグラフがどんどん減っていっていますけど、冷戦時代から、しかし、必ずしもそれが終末時計の時計が増えているわけではなくて、逆にどんどん悪化しているというのが現状であります。最近、特にここ数年は戦後最悪の事態を更新していくと、悪い状況になっているということですね。
それから、危機、例えば五三年、米ソ水爆実験、これ一番、二分で一番厳しかったですけれども、その直後、キューバ危機があったときに、その後に部分的核実験禁止条約が結ばれて危機を回避したということで、非常に危ない、国際関係が緊張したときこそむしろ核軍縮の機会であるということもこのグラフは示しているんではないかと思います。
次のページ行っていただきますと、ウクライナ侵攻の話も今出ましたが、一番心配しているのは、ウクライナの侵攻によって、核兵器を持っていた方が自国の防衛に役立つんではないかということを示したというふうに考えられる国が出てきたということですね。最初の方は、核兵器をウクライナが放棄したことで、NPTに参加したことで逆に今回守られなかったんじゃないか、持っている国の方が安全ではないか、そういう言説が回ってしまったということではないかと思います。
次のページ行っていただきますと、同じように北朝鮮もどんどん核兵器を増やしているわけですが、私が一番心配しているのは、昨年の九月八日の新しい核兵器政策の法制化ですけれども、この中で、これまでの先制不使用の政策を変えて先制使用を示唆したと。ロシアと非常によく似た表現になっているんですけれども、核兵器だけではなくてほかの通常兵器でもほかの大量破壊兵器でも、相手からの攻撃や攻撃が差し迫ったと判断された場合には核兵器を使うという新しい法律を作ったということで、この北朝鮮の核の脅威も、いつ核兵器が使われるか分からない状況になったと。
次のページは、それに対して、まあ当然ながら、日韓米の同盟関係にある国が拡大抑止力を強化するということを明らかにしております。これは、今までお二人のお話からもありましたように、当然、核軍拡の時代にどうやって相手の核を止めるかというときに拡大核抑止力を強化するということになるわけですが、この声明の中には、実は前半には、朝鮮半島の完全な非核化に対するコミットメントを再確認する、それから対話をするということも一応入ってはいるんですけれども、ここもまあ重要なところですが、拡大核抑止の強化ということが基本的な方針として大々的に打ち出されているために、これがますますこの緊張を、この地域の緊張を増すおそれがあるということですね。問題は、拡大核抑止、核抑止そのものが効くか、本当に効くのかということですね。それを確保できるのかと。
次のページめくっていただきますと、核抑止が成立する条件として、まあこれ、私、四つ挙げてはいるんですけれども、例えば、核兵器システムが必ず確実に機能する、信頼性が確保されている、これがないと核抑止は効かないんですけれども、例えばサイバー攻撃で核兵器システムがやられてしまいますと、相手がサイバー攻撃してきて、されてしまいますと、撃つ方は、相手の方は、核兵器システムが相手はもう信頼、動かないと分かっていれば先制攻撃をしてくるかもしれない。それから、お互いに相手の意思をちゃんと確認できているかどうか、これができていないとやはり抑止は効かない。それから、限定核戦争でとどまるというふうに思っていれば先に核兵器を撃ってくるかもしれない、三番目はそうですね。それから四番目が、通常兵器と核兵器の区別が付かなくなってしまいますと、核攻撃されれば必ず認識できるという前提がないと、これも核抑止が効かなくなる可能性があって、今、これら四つの状況がどんどん現状に近づいていると、現状はこうなってきているということで、核抑止が効かない場合はどうするんだということについての、この核抑止の神話ですね、核抑止に頼っていれば大丈夫だということで本当に大丈夫なのかということを考えなければいけない。
ということで、長崎大学の我々、核兵器廃絶研究センター、RECNAでは、次のページめくっていただきますと、アジア太平洋核軍縮・不拡散リーダーズネットワーク、APLNとノーチラス研究所と三者で共同研究を始めまして、もし北東アジアで核兵器使用されたらどうなるか、それを止めるにはどうしたらいいかという三年プロジェクトを始めました。
昨年の一月に、二十五の考えられる、十分に起こり得るケースというのを出しました。このときに、軍事、安全保障、あるいは朝鮮半島や核軍縮、危機管理の専門家に集まっていただいて、十分に起こり得るケースというのを考えて、二十五のケースを、事例を出しました。それから得られた示唆が次のページになるんですが、二十五の事例のうち約半分が誤解による先制使用、それから、ほかの問題に気を取られている間に発生してしまう、それからコミュニケーション不足でよって核兵器が使われてしまう。約半数の事例が意図せざる核兵器使用であったということですね。
それから、一旦核兵器が使われてしまうと、その後の展開を測るのが非常に難しい、予見が難しいと。制御不能な核戦争へと激化する可能性が十分にある。
それから、難しいのは、核兵器の種類も質も量も非常に多様化しているので、単純な核抑止論だけでは止まらないかもしれない。したがって、この核兵器をいつ使うか、使わざるかという意思決定も非常に難しくなっている。これも先ほどお話がありましたけれども、非常に抑止論が複雑化しているという先ほど表現でしたが、複雑化しているということは実際に核兵器の使用を止めることが難しくなっているということであります。
次のページめくっていただきますと、ということで、その安全保障の改善を待って核軍縮を始めるというのを待ってられない、このままだといつ核兵器が使われるか分からないという状況であるという認識から、これは国連の中満泉さんが「世界」に寄せられた原稿なんですが、論文なんですが、三つのことをおっしゃっておりまして、まずは、絶対に核兵器は使わないという規範を全員で確認することであると。それから、核兵器使用のリスクを低減するための具体的な議論を始めるべきだ。最後に、核不拡散条約の規範、これをきちんと守ることだと。核兵器は、始まってしまう、核戦争が始まってしまいますと人類を破滅させかねないという、こういう問題であるということを共通認識として取り組む必要があるということであります。
ということで、その次のページからは私の後半の七つの提言に入ります。次のページめくっていただきますと、まず、先ほど戸崎さんの方からもありましたが、外務省が主催された核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の提言が出ておりまして、すばらしい提言が出ておりまして、その中の文章をちょっと読ませていただきますと、これは核兵器国も非核兵器国もみんな専門家が入って議論をした結果なんですが、核抑止についてこのように書かれています。ある環境下においては安定を促進する場合もあるとはいえ、長期的かつグローバルな安全保障の基礎としては危険なものである、したがって、全ての国はより良い長期的な解決策を模索しなければならない、すなわち核抑止に依存しない安全保障政策を構築していくことであるということで、今日、その七つの下に書いてある提言を一つ一つ説明させていただきます。
最初の三つまでは、あっ、四つかな、四つまではリスク低減の提言、リスク低減のための提言ですね。それから、五、六、七は、核抑止脱却を図って、いずれ核兵器廃絶に向かうための提言ということであります。
では、次のページめくっていただきます。
提言一と二は、先ほどからも何回か言われておりますが、核兵器は絶対使ってはならない国際規範を徹底するということであります。これもさっき引用がありましたが、去年の一月三日に五大核兵器国の首脳が共同声明を出した中に、核戦争に勝者はなく、核戦争は決して戦ってはならないという原則が入っております、表現が入っております。これを是非今回の広島サミットでも国際規範として打ち出していただきたい。
二番目は、これももう既にお二人から提言がありましたが、実際に核兵器を持っている国々の間で核兵器が利用されないためのリスク低減のための対話を始めること。ホットラインの確保はもちろんですが、政策の透明性確保や対話による核戦略の相互理解、それから、サイバー攻撃を禁止する、核兵器に対する、など、核リスク削減のための合意を図っていく、このために日本も、核の傘の国もそういう対話を進めるよう提言をすべきだと思います。
次のページお願いいたします。
三番目は、ここから安全保障における核兵器の役割低減ということですが、今、これから始まる核兵器のない世界に向けた国際賢人会議には是非これをテーマにしていただきたいと思います。
実はここで引用されているのは、もう二年前になりますか、衆議院の予算委員会で斉藤鉄夫議員の質問に答えた茂木外務大臣の国会答弁で、現実の安全保障上の脅威にどういう形で対応していくかということですが、安定的な形で核に頼らずそういうことができるというのが望ましいというふうに日本政府も考えているということでありますので、是非この政策を実現するために皆さんで検討していただきたいということであります。
そのうちの具体例として、一つ、次のページめくっていただきたいんですが、既にこれもお二人から御意見があったと思うんですけれども、先行不使用、いわゆるノー・ファースト・ユースと言われている政策ですね、あるいはアメリカでは唯一の目的政策とも呼ばれていますが、これが残念ながらまだ採用されていない。アメリカでは、前のオバマ政権、今回のバイデン政権で、この先行不使用政策あるいは唯一の目的政策を採用しようという議論があったんですが、残念ながら、主に同盟国、日本や韓国やNATOの国々の反対によって実現していないと。
これは、アメリカの有識者の方々の提言なんですけれども、アメリカの通常戦力を考えれば、拡大核抑止というのは核兵器だけではなくて通常戦力も考えているわけですが、核以外の攻撃を抑止するのはもう十分に米国の通常戦力で通用すると。したがって、核兵器を先行する必要はない。それから、もしアメリカがこの核兵器先行不使用政策を導入していない今の状況だと、ほかの国がやはり、じゃアメリカよりも核兵器の数少ないわけですから、先に使うオプションを重要視してしまうと。ということは核兵器の使用リスクは高まるということで、是非、核兵器使用のリスクを下げるためにも、アメリカの核先行不使用政策を日本政府が支持すると、これが大事ではないかということをこのアメリカの有識者の方々が提言されております。特に日本が被爆国であること考えますと、先行不使用の政策を是非支持していただきたいというふうに思います。
次は、次のページめくっていただきますと、核兵器の材料である核物質、この量が相変わらず増えているということであります。
これは、これもRECNAで毎年発表している核物質の量を広島型原爆と長崎型原爆に換算したらどれぐらいになるかということを示したものでありますが、分離プルトニウムが五百四十四トン、高濃縮ウランが千二百五十四トンで、合計すると十一万発分も核物質が存在していると。で、今年、昨年発表した数字で初めてこれ全体としては減少したんですが、この減少はほぼ全部高濃縮ウランの減少分で、残念ながら分離プルトニウムは依然増加しています。
次のページちょっとめくっていただきますと、分離プルトニウムの増加を見てみますと、この下の一番下の青い部分が軍事用のプルトニウムで、これはもう冷戦時代からほぼ増えてはいません。増えているのはグレーの部分ですね、民生用の原子力から出てくる分離プルトニウム、それから赤いところが日本の分離プルトニウムでありまして、この民生用、原子力発電所から出てくるプルトニウムを再処理して出てくるものですが、これを止める必要があると。これは、核セキュリティーの面からももちろん大事ですし、将来の核兵器のリスクを下げると、これ以上の核兵器を造らせないという意味でも、この民生用プルトニウムの増加を止める必要があると思います。
では、次のページお願いいたします。
それから、核抑止を乗り越える代替案として、先ほどもお話が出ました消極的安全保証についてお話ししたいんですが、消極的安全保証を国際法で決めている、取決めしているのは、この非核兵器地帯というものであります。非核兵器地帯には当然ながらその地域中に核兵器は置かないということと、消極的安全保証を条約として保障する、核兵器国は非核兵器国を攻撃しないということですね。そのための遵守の検証をするという機関があります。この非核兵器地帯の現象をちょっと、現状を見ていただきますと、次のページ見ていただきますと、既に南半球はほぼ非核兵器地帯で覆われておりまして、世界で百十四か国を対象になっております。むしろ、核の傘の国は世界では少数派であるということであります。
次のページお願いいたします。
実際に北東アジアでこの非核兵器地帯を促進しようということで、これはパグウォッシュ会議が二〇二一年、バイデン政権が誕生するときに提言をいろいろ出しているわけです。そのときの提言の趣旨なんですけれども、北朝鮮の段階的非核化を進めて、朝鮮半島をまず非核兵器地帯条約を目指し、日本も参加して北東アジア非核兵器地帯を設立するというのが提言になっております。当然ながら、地域の安全保障の枠組みをつくってやっていこうという提言をされています。既に実はこの北東アジア非核兵器地帯条約を推進する国際議員連盟が昨年八月八日に発足しておりますので、是非御関心のある方は参加していただきたいと思います。
次のページを見ますと、核軍縮と持続可能性の連携ということで、実は広島県が最近提言を出しておりまして、昨年末にG7サミットに向けた提言も首相に提出しております。この持続可能性との連携によって核問題の議論の場が広がる、ステークホルダーも広がるということで、大変重要な提言だと私は思っております。
次のページお願いいたします。
この橋渡しの役割を果たすのは、もう既にお二人からもかなりありましたので簡単にさせていただきます。特に、核兵器禁止条約への支持、支援、これを是非お願いしたいと思います。趣旨に賛同し、署名に努力するということをまず明言して、実際に署名、批准できなくても、被爆者支援や検証措置への貢献というTPNWへの貢献は日本でもできる、それから、もちろんオブザーバー参加もできるということで、これを是非橋渡し役としては実現していただきたい。
それで、最後のページめくっていただきますと、岸田首相が昨年、NPT会議で演説をされたのは非常に良かったと思います。その中で、この二点をおっしゃったことは非常に私は重要だと。核兵器不使用の継続の重要性と長崎を最後の被爆地にしなければならないということをおっしゃったことで、これを是非今日の私の提言に最後にしたいと思います。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →このような機会を与えていただきましてありがとうございます。
私の方は、パワーポイントの資料をお手元に用意させていただきました。そこにタイトルが書いてありまして、私の今日のお話はこのタイトルを中心にお話ししたいと思います。
核抑止に依存しない安全保障政策への転換。そのために七つの提言を最後に出したいと思います。長崎を最後の被爆地にというメッセージですが、今まさに核兵器が使われるリスクが高くなっているという状況で、今こそこのメッセージを伝えたいということで今日お話をさせていただきたいと思います。
一ページ目、開けていただきますと、御存じの、よく御存じの終末時計ですね、今年の一月に、アメリカのブレティン・オブ・アトミック・サイエンティスト、原子力科学者会報というところが毎年出している終末まであと何分かというのが、今年は九十秒になってしまいました。戦後最悪の状況でありまして、この最大の理由がロシアのウクライナ侵攻と核の威嚇、これも既にお二人からもありましたけども、今、最も核使用のリスクが高くなっているということを警告しております。
この下に、そのほかにも、核軍縮、核不拡散の問題で重要な項目が書いてありますが、一つちょっとお二人から話がなかったものとしては、アメリカとロシアの近代化、核兵器の近代化計画、それから新兵器の配備、それから中国の核軍拡に加えて、イギリスが最も熱心であったんですけども、去年上限を、百八十だったのを二百六十発に引き上げるという発表をいたしまして、まさに今お二人から話がありましたように、核軍拡の時代に戻ってしまったというのが現状ではないかと。北朝鮮問題、インド、パキスタン、いろいろ書いてありますけども、非常に今厳しい状況にあるというのが一ページ目です。
二ページ目は、私ども長崎大学核兵器廃絶研究センターが毎年発表している核弾頭のポスターなんですけども、一目で核弾頭の数が分かるようなポスターになっておりますが、右手のグラフがアメリカの全米科学者連盟が出しているデータの推移を写したものですけども、御存じのとおり、冷戦時代の七万発から確かに大きく減ってはいるんですが、今後は増加するかもしれない。先ほどのように、核軍拡の時代に入っていますので、また増加の時代に入っているかもしれないということであります。
三ページ目見ていただきますと、先ほどの終末時計の推移を見たものですが、いろんな過去の国際条約ができますと終末時計の時間が余裕が出てくると、核実験や国際関係が緊張すると悪くなっていくんですが、先ほどの核兵器、核弾頭の数のグラフがどんどん減っていっていますけど、冷戦時代から、しかし、必ずしもそれが終末時計の時計が増えているわけではなくて、逆にどんどん悪化しているというのが現状であります。最近、特にここ数年は戦後最悪の事態を更新していくと、悪い状況になっているということですね。
それから、危機、例えば五三年、米ソ水爆実験、これ一番、二分で一番厳しかったですけれども、その直後、キューバ危機があったときに、その後に部分的核実験禁止条約が結ばれて危機を回避したということで、非常に危ない、国際関係が緊張したときこそむしろ核軍縮の機会であるということもこのグラフは示しているんではないかと思います。
次のページ行っていただきますと、ウクライナ侵攻の話も今出ましたが、一番心配しているのは、ウクライナの侵攻によって、核兵器を持っていた方が自国の防衛に役立つんではないかということを示したというふうに考えられる国が出てきたということですね。最初の方は、核兵器をウクライナが放棄したことで、NPTに参加したことで逆に今回守られなかったんじゃないか、持っている国の方が安全ではないか、そういう言説が回ってしまったということではないかと思います。
次のページ行っていただきますと、同じように北朝鮮もどんどん核兵器を増やしているわけですが、私が一番心配しているのは、昨年の九月八日の新しい核兵器政策の法制化ですけれども、この中で、これまでの先制不使用の政策を変えて先制使用を示唆したと。ロシアと非常によく似た表現になっているんですけれども、核兵器だけではなくてほかの通常兵器でもほかの大量破壊兵器でも、相手からの攻撃や攻撃が差し迫ったと判断された場合には核兵器を使うという新しい法律を作ったということで、この北朝鮮の核の脅威も、いつ核兵器が使われるか分からない状況になったと。
次のページは、それに対して、まあ当然ながら、日韓米の同盟関係にある国が拡大抑止力を強化するということを明らかにしております。これは、今までお二人のお話からもありましたように、当然、核軍拡の時代にどうやって相手の核を止めるかというときに拡大核抑止力を強化するということになるわけですが、この声明の中には、実は前半には、朝鮮半島の完全な非核化に対するコミットメントを再確認する、それから対話をするということも一応入ってはいるんですけれども、ここもまあ重要なところですが、拡大核抑止の強化ということが基本的な方針として大々的に打ち出されているために、これがますますこの緊張を、この地域の緊張を増すおそれがあるということですね。問題は、拡大核抑止、核抑止そのものが効くか、本当に効くのかということですね。それを確保できるのかと。
次のページめくっていただきますと、核抑止が成立する条件として、まあこれ、私、四つ挙げてはいるんですけれども、例えば、核兵器システムが必ず確実に機能する、信頼性が確保されている、これがないと核抑止は効かないんですけれども、例えばサイバー攻撃で核兵器システムがやられてしまいますと、相手がサイバー攻撃してきて、されてしまいますと、撃つ方は、相手の方は、核兵器システムが相手はもう信頼、動かないと分かっていれば先制攻撃をしてくるかもしれない。それから、お互いに相手の意思をちゃんと確認できているかどうか、これができていないとやはり抑止は効かない。それから、限定核戦争でとどまるというふうに思っていれば先に核兵器を撃ってくるかもしれない、三番目はそうですね。それから四番目が、通常兵器と核兵器の区別が付かなくなってしまいますと、核攻撃されれば必ず認識できるという前提がないと、これも核抑止が効かなくなる可能性があって、今、これら四つの状況がどんどん現状に近づいていると、現状はこうなってきているということで、核抑止が効かない場合はどうするんだということについての、この核抑止の神話ですね、核抑止に頼っていれば大丈夫だということで本当に大丈夫なのかということを考えなければいけない。
ということで、長崎大学の我々、核兵器廃絶研究センター、RECNAでは、次のページめくっていただきますと、アジア太平洋核軍縮・不拡散リーダーズネットワーク、APLNとノーチラス研究所と三者で共同研究を始めまして、もし北東アジアで核兵器使用されたらどうなるか、それを止めるにはどうしたらいいかという三年プロジェクトを始めました。
昨年の一月に、二十五の考えられる、十分に起こり得るケースというのを出しました。このときに、軍事、安全保障、あるいは朝鮮半島や核軍縮、危機管理の専門家に集まっていただいて、十分に起こり得るケースというのを考えて、二十五のケースを、事例を出しました。それから得られた示唆が次のページになるんですが、二十五の事例のうち約半分が誤解による先制使用、それから、ほかの問題に気を取られている間に発生してしまう、それからコミュニケーション不足でよって核兵器が使われてしまう。約半数の事例が意図せざる核兵器使用であったということですね。
それから、一旦核兵器が使われてしまうと、その後の展開を測るのが非常に難しい、予見が難しいと。制御不能な核戦争へと激化する可能性が十分にある。
それから、難しいのは、核兵器の種類も質も量も非常に多様化しているので、単純な核抑止論だけでは止まらないかもしれない。したがって、この核兵器をいつ使うか、使わざるかという意思決定も非常に難しくなっている。これも先ほどお話がありましたけれども、非常に抑止論が複雑化しているという先ほど表現でしたが、複雑化しているということは実際に核兵器の使用を止めることが難しくなっているということであります。
次のページめくっていただきますと、ということで、その安全保障の改善を待って核軍縮を始めるというのを待ってられない、このままだといつ核兵器が使われるか分からないという状況であるという認識から、これは国連の中満泉さんが「世界」に寄せられた原稿なんですが、論文なんですが、三つのことをおっしゃっておりまして、まずは、絶対に核兵器は使わないという規範を全員で確認することであると。それから、核兵器使用のリスクを低減するための具体的な議論を始めるべきだ。最後に、核不拡散条約の規範、これをきちんと守ることだと。核兵器は、始まってしまう、核戦争が始まってしまいますと人類を破滅させかねないという、こういう問題であるということを共通認識として取り組む必要があるということであります。
ということで、その次のページからは私の後半の七つの提言に入ります。次のページめくっていただきますと、まず、先ほど戸崎さんの方からもありましたが、外務省が主催された核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の提言が出ておりまして、すばらしい提言が出ておりまして、その中の文章をちょっと読ませていただきますと、これは核兵器国も非核兵器国もみんな専門家が入って議論をした結果なんですが、核抑止についてこのように書かれています。ある環境下においては安定を促進する場合もあるとはいえ、長期的かつグローバルな安全保障の基礎としては危険なものである、したがって、全ての国はより良い長期的な解決策を模索しなければならない、すなわち核抑止に依存しない安全保障政策を構築していくことであるということで、今日、その七つの下に書いてある提言を一つ一つ説明させていただきます。
最初の三つまでは、あっ、四つかな、四つまではリスク低減の提言、リスク低減のための提言ですね。それから、五、六、七は、核抑止脱却を図って、いずれ核兵器廃絶に向かうための提言ということであります。
では、次のページめくっていただきます。
提言一と二は、先ほどからも何回か言われておりますが、核兵器は絶対使ってはならない国際規範を徹底するということであります。これもさっき引用がありましたが、去年の一月三日に五大核兵器国の首脳が共同声明を出した中に、核戦争に勝者はなく、核戦争は決して戦ってはならないという原則が入っております、表現が入っております。これを是非今回の広島サミットでも国際規範として打ち出していただきたい。
二番目は、これももう既にお二人から提言がありましたが、実際に核兵器を持っている国々の間で核兵器が利用されないためのリスク低減のための対話を始めること。ホットラインの確保はもちろんですが、政策の透明性確保や対話による核戦略の相互理解、それから、サイバー攻撃を禁止する、核兵器に対する、など、核リスク削減のための合意を図っていく、このために日本も、核の傘の国もそういう対話を進めるよう提言をすべきだと思います。
次のページお願いいたします。
三番目は、ここから安全保障における核兵器の役割低減ということですが、今、これから始まる核兵器のない世界に向けた国際賢人会議には是非これをテーマにしていただきたいと思います。
実はここで引用されているのは、もう二年前になりますか、衆議院の予算委員会で斉藤鉄夫議員の質問に答えた茂木外務大臣の国会答弁で、現実の安全保障上の脅威にどういう形で対応していくかということですが、安定的な形で核に頼らずそういうことができるというのが望ましいというふうに日本政府も考えているということでありますので、是非この政策を実現するために皆さんで検討していただきたいということであります。
そのうちの具体例として、一つ、次のページめくっていただきたいんですが、既にこれもお二人から御意見があったと思うんですけれども、先行不使用、いわゆるノー・ファースト・ユースと言われている政策ですね、あるいはアメリカでは唯一の目的政策とも呼ばれていますが、これが残念ながらまだ採用されていない。アメリカでは、前のオバマ政権、今回のバイデン政権で、この先行不使用政策あるいは唯一の目的政策を採用しようという議論があったんですが、残念ながら、主に同盟国、日本や韓国やNATOの国々の反対によって実現していないと。
これは、アメリカの有識者の方々の提言なんですけれども、アメリカの通常戦力を考えれば、拡大核抑止というのは核兵器だけではなくて通常戦力も考えているわけですが、核以外の攻撃を抑止するのはもう十分に米国の通常戦力で通用すると。したがって、核兵器を先行する必要はない。それから、もしアメリカがこの核兵器先行不使用政策を導入していない今の状況だと、ほかの国がやはり、じゃアメリカよりも核兵器の数少ないわけですから、先に使うオプションを重要視してしまうと。ということは核兵器の使用リスクは高まるということで、是非、核兵器使用のリスクを下げるためにも、アメリカの核先行不使用政策を日本政府が支持すると、これが大事ではないかということをこのアメリカの有識者の方々が提言されております。特に日本が被爆国であること考えますと、先行不使用の政策を是非支持していただきたいというふうに思います。
次は、次のページめくっていただきますと、核兵器の材料である核物質、この量が相変わらず増えているということであります。
これは、これもRECNAで毎年発表している核物質の量を広島型原爆と長崎型原爆に換算したらどれぐらいになるかということを示したものでありますが、分離プルトニウムが五百四十四トン、高濃縮ウランが千二百五十四トンで、合計すると十一万発分も核物質が存在していると。で、今年、昨年発表した数字で初めてこれ全体としては減少したんですが、この減少はほぼ全部高濃縮ウランの減少分で、残念ながら分離プルトニウムは依然増加しています。
次のページちょっとめくっていただきますと、分離プルトニウムの増加を見てみますと、この下の一番下の青い部分が軍事用のプルトニウムで、これはもう冷戦時代からほぼ増えてはいません。増えているのはグレーの部分ですね、民生用の原子力から出てくる分離プルトニウム、それから赤いところが日本の分離プルトニウムでありまして、この民生用、原子力発電所から出てくるプルトニウムを再処理して出てくるものですが、これを止める必要があると。これは、核セキュリティーの面からももちろん大事ですし、将来の核兵器のリスクを下げると、これ以上の核兵器を造らせないという意味でも、この民生用プルトニウムの増加を止める必要があると思います。
では、次のページお願いいたします。
それから、核抑止を乗り越える代替案として、先ほどもお話が出ました消極的安全保証についてお話ししたいんですが、消極的安全保証を国際法で決めている、取決めしているのは、この非核兵器地帯というものであります。非核兵器地帯には当然ながらその地域中に核兵器は置かないということと、消極的安全保証を条約として保障する、核兵器国は非核兵器国を攻撃しないということですね。そのための遵守の検証をするという機関があります。この非核兵器地帯の現象をちょっと、現状を見ていただきますと、次のページ見ていただきますと、既に南半球はほぼ非核兵器地帯で覆われておりまして、世界で百十四か国を対象になっております。むしろ、核の傘の国は世界では少数派であるということであります。
次のページお願いいたします。
実際に北東アジアでこの非核兵器地帯を促進しようということで、これはパグウォッシュ会議が二〇二一年、バイデン政権が誕生するときに提言をいろいろ出しているわけです。そのときの提言の趣旨なんですけれども、北朝鮮の段階的非核化を進めて、朝鮮半島をまず非核兵器地帯条約を目指し、日本も参加して北東アジア非核兵器地帯を設立するというのが提言になっております。当然ながら、地域の安全保障の枠組みをつくってやっていこうという提言をされています。既に実はこの北東アジア非核兵器地帯条約を推進する国際議員連盟が昨年八月八日に発足しておりますので、是非御関心のある方は参加していただきたいと思います。
次のページを見ますと、核軍縮と持続可能性の連携ということで、実は広島県が最近提言を出しておりまして、昨年末にG7サミットに向けた提言も首相に提出しております。この持続可能性との連携によって核問題の議論の場が広がる、ステークホルダーも広がるということで、大変重要な提言だと私は思っております。
次のページお願いいたします。
この橋渡しの役割を果たすのは、もう既にお二人からもかなりありましたので簡単にさせていただきます。特に、核兵器禁止条約への支持、支援、これを是非お願いしたいと思います。趣旨に賛同し、署名に努力するということをまず明言して、実際に署名、批准できなくても、被爆者支援や検証措置への貢献というTPNWへの貢献は日本でもできる、それから、もちろんオブザーバー参加もできるということで、これを是非橋渡し役としては実現していただきたい。
それで、最後のページめくっていただきますと、岸田首相が昨年、NPT会議で演説をされたのは非常に良かったと思います。その中で、この二点をおっしゃったことは非常に私は重要だと。核兵器不使用の継続の重要性と長崎を最後の被爆地にしなければならないということをおっしゃったことで、これを是非今日の私の提言に最後にしたいと思います。
どうもありがとうございました。
猪
猪口邦子#8
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
赤松健君。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
赤松健君。
赤
赤松健#9
○赤松健君 自民党、全国比例の赤松健でございます。
本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。私も二〇二〇年の著作権法改正の際にそちらの参考人の席に座ったことがございます。本日は忌憚のない意見をお聞かせください。
まず、お三方に質問いたします。
昨今、核をめぐる情勢が緊迫しています。その大きなきっかけはやはりロシアによるウクライナ侵攻でありまして、先ほど佐野参考人おっしゃっていましたけれども、昨年八月のNPT運用検討会議でロシアの反対により合意文書が採択されなかったと。あと、また、アメリカとロシアの二国間条約である新START、これにおいても、先ほどもお話ありましたけど、昨年、ロシアがアメリカの査察を拒否する、条約の実効性が不安視されています。で、ロシアのみならずアジアでも、中国が核武装を強化しており、さらに北朝鮮による核実験なども見過ごせません。
このような中、今年五月に広島で開催予定のG7サミット、ここで、核兵器のない世界、これが主要議題の一つになると思われます。ここで、日本政府として、G7サミットにおいて具体的にどのようなメッセージを発していくか。先ほど鈴木先生からお話少しありましたけれども、お三方にお聞きしたいと思います。お考えがありましたら教えてください。お願いします。
この発言だけを見る →本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。私も二〇二〇年の著作権法改正の際にそちらの参考人の席に座ったことがございます。本日は忌憚のない意見をお聞かせください。
まず、お三方に質問いたします。
昨今、核をめぐる情勢が緊迫しています。その大きなきっかけはやはりロシアによるウクライナ侵攻でありまして、先ほど佐野参考人おっしゃっていましたけれども、昨年八月のNPT運用検討会議でロシアの反対により合意文書が採択されなかったと。あと、また、アメリカとロシアの二国間条約である新START、これにおいても、先ほどもお話ありましたけど、昨年、ロシアがアメリカの査察を拒否する、条約の実効性が不安視されています。で、ロシアのみならずアジアでも、中国が核武装を強化しており、さらに北朝鮮による核実験なども見過ごせません。
このような中、今年五月に広島で開催予定のG7サミット、ここで、核兵器のない世界、これが主要議題の一つになると思われます。ここで、日本政府として、G7サミットにおいて具体的にどのようなメッセージを発していくか。先ほど鈴木先生からお話少しありましたけれども、お三方にお聞きしたいと思います。お考えがありましたら教えてください。お願いします。
猪
佐
佐野利男#11
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。
どのようなメッセージを発していくかというのは大変難しいと同時に、大体内容的には分かっていると思うんですよね。G7の首脳に被爆地、資料館を訪問していただくということもあるかと思いますし、それから今まで日本が培ってきた様々な努力をG7でシェアしていただくということがあろうかと思いますね。
と同時に、そういう一般的な話と同時に、やはり東アジアにおけるこの緊迫した状況というものをG7でシェアしていただいて、つまりウクライナの次は台湾だという話ですよね。そういう話をシェアしていただいて、現実的にどのような対応が取り得るのか。つまり、向こうはNATOがあるわけですが、太平洋にはNATOはないわけで、日米同盟、米韓同盟があるだけですね。その辺りの現実的な対応というものを日本を除くG7の首脳に十分認識してもらうというのが一番重要だと思います。
この発言だけを見る →どのようなメッセージを発していくかというのは大変難しいと同時に、大体内容的には分かっていると思うんですよね。G7の首脳に被爆地、資料館を訪問していただくということもあるかと思いますし、それから今まで日本が培ってきた様々な努力をG7でシェアしていただくということがあろうかと思いますね。
と同時に、そういう一般的な話と同時に、やはり東アジアにおけるこの緊迫した状況というものをG7でシェアしていただいて、つまりウクライナの次は台湾だという話ですよね。そういう話をシェアしていただいて、現実的にどのような対応が取り得るのか。つまり、向こうはNATOがあるわけですが、太平洋にはNATOはないわけで、日米同盟、米韓同盟があるだけですね。その辺りの現実的な対応というものを日本を除くG7の首脳に十分認識してもらうというのが一番重要だと思います。
戸
戸崎洋史#12
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。
G7の中でこの核軍縮に対する大きな意見の相違は恐らくないのだろうというふうに思いますけれども、やはり、そのG7という場で核兵器のない世界に向かっていくんだということを再確認すると、そのまず直近の一歩として、核兵器は決して使われてはならないということをここでも改めて確認していくと、広島の場で確認していくということは非常に重要なのだろうというふうに思います。
それからもう一つは、岸田総理がNPT運用検討会議でも御提案されましたヒロシマ・アクション・プラン、私、このヒロシマ・アクション・プランというのは非常にすばらしいものだったというふうに思いますけれども、これをそのG7の場で確認するといいますか、一緒に推進していくということを確認する、可能であれば、そのための具体的な措置ということで何かここに追加していくということ、そういったことがそのG7の場で合意できればとてもすばらしいのではないかなというふうに思います。
もちろん、その地域の問題、佐野大使もお話しされましたけれども、それぞれヨーロッパとアジアで非常に厳しい核の問題に直面しているわけですから、それをクロスリージョナルで確認し、そのための取組を一緒になって行っていくということも確認していただければなというふうに思っております。
この発言だけを見る →G7の中でこの核軍縮に対する大きな意見の相違は恐らくないのだろうというふうに思いますけれども、やはり、そのG7という場で核兵器のない世界に向かっていくんだということを再確認すると、そのまず直近の一歩として、核兵器は決して使われてはならないということをここでも改めて確認していくと、広島の場で確認していくということは非常に重要なのだろうというふうに思います。
それからもう一つは、岸田総理がNPT運用検討会議でも御提案されましたヒロシマ・アクション・プラン、私、このヒロシマ・アクション・プランというのは非常にすばらしいものだったというふうに思いますけれども、これをそのG7の場で確認するといいますか、一緒に推進していくということを確認する、可能であれば、そのための具体的な措置ということで何かここに追加していくということ、そういったことがそのG7の場で合意できればとてもすばらしいのではないかなというふうに思います。
もちろん、その地域の問題、佐野大使もお話しされましたけれども、それぞれヨーロッパとアジアで非常に厳しい核の問題に直面しているわけですから、それをクロスリージョナルで確認し、そのための取組を一緒になって行っていくということも確認していただければなというふうに思っております。
鈴
鈴木達治郎#13
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。
先ほども少しお話しさせていただきましたが、やはり核兵器は絶対使ってはならないという規範を是非広島からアピールしていただきたいのが第一。
それから、もう既にお二人からお話ありましたが、東アジアのこの緊張関係に対して拡大抑止の話と同時に、やはり対話外交をどうやって進めていくか、緊張緩和のための政策をどう考えていくかということについて是非お話を進めていただきたいと思います。
それから三番目は、先ほどのパワーポイントの私の資料の最後の方にあります、広島県、長崎県から出されているG7サミットの提言というのがありますが、その中で、先ほど申しました核軍縮と持続可能性に関するフレンズ会合や国連の軍縮会合というのがありますが、これ、ひとつ是非検討していただきたい。核軍縮の問題と持続可能性は、実は深い関係にあるということですね。
それから、その中でもう一つ私が特に注目しているのは科学的助言の創設というのがあるんですが、実はTPNWには科学的助言グループをつくるということが今決まったんですけれども、この核軍縮の分野で実は科学的助言する機関が国際的にはないんですね、気候変動にはIPCCという重要な機関があるんですけど。これも是非、もし、こういうG7のようなサミットで議論していただければと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →先ほども少しお話しさせていただきましたが、やはり核兵器は絶対使ってはならないという規範を是非広島からアピールしていただきたいのが第一。
それから、もう既にお二人からお話ありましたが、東アジアのこの緊張関係に対して拡大抑止の話と同時に、やはり対話外交をどうやって進めていくか、緊張緩和のための政策をどう考えていくかということについて是非お話を進めていただきたいと思います。
それから三番目は、先ほどのパワーポイントの私の資料の最後の方にあります、広島県、長崎県から出されているG7サミットの提言というのがありますが、その中で、先ほど申しました核軍縮と持続可能性に関するフレンズ会合や国連の軍縮会合というのがありますが、これ、ひとつ是非検討していただきたい。核軍縮の問題と持続可能性は、実は深い関係にあるということですね。
それから、その中でもう一つ私が特に注目しているのは科学的助言の創設というのがあるんですが、実はTPNWには科学的助言グループをつくるということが今決まったんですけれども、この核軍縮の分野で実は科学的助言する機関が国際的にはないんですね、気候変動にはIPCCという重要な機関があるんですけど。これも是非、もし、こういうG7のようなサミットで議論していただければと思います。
以上でございます。
赤
赤松健#14
○赤松健君 ありがとうございました。
これもお三方にお聞きしたいんですけど、おととし核兵器禁止条約が発効されまして、日本は参加していませんが、日本がこれに今後どのように向き合っていくべきか、御見解をお持ちでしたら教えてください。
この発言だけを見る →これもお三方にお聞きしたいんですけど、おととし核兵器禁止条約が発効されまして、日本は参加していませんが、日本がこれに今後どのように向き合っていくべきか、御見解をお持ちでしたら教えてください。
佐
佐野利男#15
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。
核兵器禁止条約について先ほど御説明する時間なかったんですが、この一番大きな問題点というのは、核兵器禁止条約に入った途端、日本が日米同盟と相入れない状況に陥るということですね。日米安保と両立しません。なぜならば、核兵器禁止条約は、核兵器の禁止のみならず核抑止の概念そのものを否定しているわけです。したがって、今非常に厳しい北東アジアの現実の中で、日本がこれに入ってしまうことは丸腰になるということを意味します。したがって、核兵器禁止条約に日本が入るという政策オプションはないと考えます。
この条約の会議があるわけですね、去年の六月にあって、来年もあるんですかね。これに出る出ないという話がありますが、私は出る効用はないと思っています。なぜならば、核兵器禁止条約、今六十八か国ですか、締結している全ての国はNPTのメンバーであって、NPTの場で十二分に議論できるわけですね。これ四週間、向こうは禁止条約の三日間でしたかね。したがって、議論の場はNPTで十二分に確保されていると。
それから、橋渡しということをよく言いますけれども、日本は橋渡しやってきたんですね、今まで、核兵器国と非核兵器国の間の。これは会長十分御存じのように、核廃絶決議というのを一九九四年からもうずっと続けて、この内容はまさに中道、中道といいますかね、真ん中を、核兵器国と非核兵器国のちょうど真ん中を狙った決議です、中道の決議です。そういう形で実質的に橋渡しの役割というのをやってきたんですが、この核兵器禁止条約については日本はもはや中間派ではありません。日本は核兵器国とほぼ同じ立場に立っていて、核兵器禁止条約派とはたもとを分かってきた経緯があります、考え方もそうです。したがって、核兵器禁止条約派と核兵器国及び西側同盟との橋渡しをするということは、日本にとっては極めて難しいことだというふうに考えます。
この発言だけを見る →核兵器禁止条約について先ほど御説明する時間なかったんですが、この一番大きな問題点というのは、核兵器禁止条約に入った途端、日本が日米同盟と相入れない状況に陥るということですね。日米安保と両立しません。なぜならば、核兵器禁止条約は、核兵器の禁止のみならず核抑止の概念そのものを否定しているわけです。したがって、今非常に厳しい北東アジアの現実の中で、日本がこれに入ってしまうことは丸腰になるということを意味します。したがって、核兵器禁止条約に日本が入るという政策オプションはないと考えます。
この条約の会議があるわけですね、去年の六月にあって、来年もあるんですかね。これに出る出ないという話がありますが、私は出る効用はないと思っています。なぜならば、核兵器禁止条約、今六十八か国ですか、締結している全ての国はNPTのメンバーであって、NPTの場で十二分に議論できるわけですね。これ四週間、向こうは禁止条約の三日間でしたかね。したがって、議論の場はNPTで十二分に確保されていると。
それから、橋渡しということをよく言いますけれども、日本は橋渡しやってきたんですね、今まで、核兵器国と非核兵器国の間の。これは会長十分御存じのように、核廃絶決議というのを一九九四年からもうずっと続けて、この内容はまさに中道、中道といいますかね、真ん中を、核兵器国と非核兵器国のちょうど真ん中を狙った決議です、中道の決議です。そういう形で実質的に橋渡しの役割というのをやってきたんですが、この核兵器禁止条約については日本はもはや中間派ではありません。日本は核兵器国とほぼ同じ立場に立っていて、核兵器禁止条約派とはたもとを分かってきた経緯があります、考え方もそうです。したがって、核兵器禁止条約派と核兵器国及び西側同盟との橋渡しをするということは、日本にとっては極めて難しいことだというふうに考えます。
戸
戸崎洋史#16
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。
私も、核兵器禁止条約に対する日本の対応、考え方というのは、ほぼ佐野大使と同じ意見でありますけれども、一点だけ付け加えるとしますと、核兵器の廃絶を目指していく中では、安全保障も規範も両方重要なんだというふうに思います。他方、規範だけを先行していったとしても、そこに安全保障が伴わなければ世界は混乱に陥ってしまう、より悪い世界になってしまうかもしれないというような危惧もあるという中で、それを両方、両輪として進めていかなければならないということは一点付け加えたいなと思います。
そして、オブザーバー参加ですけれども、私も、今の締約国会議に日本が参加すべきかというと、そうではないのではないかなというふうに思っています。この会議は締約国のためのまず会議であるということ、それにオブザーバーとして参加するというのは、基本的には中立であるべき、中立的なものであるべきなのに、そこに参加する国が良い国、参加しない国は悪い国というような色づけがなされるというのは少しおかしいかなというふうに思っていますし、それから、真剣な対話という意味であれば、この締約国会議などではなくて、別の場をつくって真剣に議論することというものもできる。
私も、賛成派、反対派の真剣な対話というのは大事だと思っていますけれども、それが締約国の会議の場であるべきかというと、そうでもないのではないかなというふうに思います。お互いが同じ立場で議論すると、別の場でというのが大事だと思っています。
この発言だけを見る →私も、核兵器禁止条約に対する日本の対応、考え方というのは、ほぼ佐野大使と同じ意見でありますけれども、一点だけ付け加えるとしますと、核兵器の廃絶を目指していく中では、安全保障も規範も両方重要なんだというふうに思います。他方、規範だけを先行していったとしても、そこに安全保障が伴わなければ世界は混乱に陥ってしまう、より悪い世界になってしまうかもしれないというような危惧もあるという中で、それを両方、両輪として進めていかなければならないということは一点付け加えたいなと思います。
そして、オブザーバー参加ですけれども、私も、今の締約国会議に日本が参加すべきかというと、そうではないのではないかなというふうに思っています。この会議は締約国のためのまず会議であるということ、それにオブザーバーとして参加するというのは、基本的には中立であるべき、中立的なものであるべきなのに、そこに参加する国が良い国、参加しない国は悪い国というような色づけがなされるというのは少しおかしいかなというふうに思っていますし、それから、真剣な対話という意味であれば、この締約国会議などではなくて、別の場をつくって真剣に議論することというものもできる。
私も、賛成派、反対派の真剣な対話というのは大事だと思っていますけれども、それが締約国の会議の場であるべきかというと、そうでもないのではないかなというふうに思います。お互いが同じ立場で議論すると、別の場でというのが大事だと思っています。
猪
鈴
鈴木達治郎#18
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。
TPNWについてのお二人の参考人の御意見、ちょっと私は違います。やはり、TPNWは日本が柱としている核兵器廃絶の究極の目標であり、岸田首相御自身も出口であるというふうに、重要な条約であるとおっしゃっていましたから、私は、重要な条約であるというふうに感じておられるのであれば、少なくともその趣旨に賛同を示し、協力をすると。もちろん、今お二人がお話しされたように、今すぐ署名、条約は難しいかもしれませんが、そのために努力をするという意思表示をすることが世界の核軍縮に向けてのリーダーシップを取るということだと私は考えていますので。
実際に、核の傘の国でも、ドイツ、オーストラリアを始めオブザーバーが参加されて、現場に行かれると分かりますが、いかにそれが緊張緩和に役立つかということですね。そのTPNWの今回の第一回締約国会議の場所でNPTとは大きく違ったのは、やはり市民社会の方々との対話の場が全然違うんですね。本会議の中で既に市民社会の方々が次々しゃべられるという、被爆者の方もしゃべられるということですね。
そういう意味で、そこに日本も含めた核の傘の国がちゃんと意見を述べると、なぜ我々は今参加できないのかということ。それは、やはり対話の場をつくるということは大事な意思表示になると思いますので、先ほど書かせていただきましたように、現実にさらに被爆者支援、被害者支援ですね、TPNWが今やろうとしている、これは日本のノウハウが非常に役に立ちますので、条約に参加していなくても協力ができる分野があると思いますので、そういうところは是非協力していったらいいんじゃないかと思います。
この発言だけを見る →TPNWについてのお二人の参考人の御意見、ちょっと私は違います。やはり、TPNWは日本が柱としている核兵器廃絶の究極の目標であり、岸田首相御自身も出口であるというふうに、重要な条約であるとおっしゃっていましたから、私は、重要な条約であるというふうに感じておられるのであれば、少なくともその趣旨に賛同を示し、協力をすると。もちろん、今お二人がお話しされたように、今すぐ署名、条約は難しいかもしれませんが、そのために努力をするという意思表示をすることが世界の核軍縮に向けてのリーダーシップを取るということだと私は考えていますので。
実際に、核の傘の国でも、ドイツ、オーストラリアを始めオブザーバーが参加されて、現場に行かれると分かりますが、いかにそれが緊張緩和に役立つかということですね。そのTPNWの今回の第一回締約国会議の場所でNPTとは大きく違ったのは、やはり市民社会の方々との対話の場が全然違うんですね。本会議の中で既に市民社会の方々が次々しゃべられるという、被爆者の方もしゃべられるということですね。
そういう意味で、そこに日本も含めた核の傘の国がちゃんと意見を述べると、なぜ我々は今参加できないのかということ。それは、やはり対話の場をつくるということは大事な意思表示になると思いますので、先ほど書かせていただきましたように、現実にさらに被爆者支援、被害者支援ですね、TPNWが今やろうとしている、これは日本のノウハウが非常に役に立ちますので、条約に参加していなくても協力ができる分野があると思いますので、そういうところは是非協力していったらいいんじゃないかと思います。
赤
猪
三
三上えり#21
○三上えり君 よろしくお願いします。
会派、立憲民主・社民、広島選挙区の三上えりです。
本日はお忙しい中、大変貴重なお話をありがとうございます。まずは参考人皆様、お三方にお伺いしたいと思います。
ロシアによるウクライナ侵攻で、核兵器の使用という核保有国ロシアによる核の恫喝が行われている中、核の抑止であるNPT、この体制が機能しているかどうか。これ、危機的状況になっておりますけれども、この見解をまずお三方、一言ずつお願いいたします。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →会派、立憲民主・社民、広島選挙区の三上えりです。
本日はお忙しい中、大変貴重なお話をありがとうございます。まずは参考人皆様、お三方にお伺いしたいと思います。
ロシアによるウクライナ侵攻で、核兵器の使用という核保有国ロシアによる核の恫喝が行われている中、核の抑止であるNPT、この体制が機能しているかどうか。これ、危機的状況になっておりますけれども、この見解をまずお三方、一言ずつお願いいたします。よろしくお願いします。
猪
三
佐
三
佐
佐野利男#26
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。
先ほどちょっと申し上げましたが、NPTでの合意というのは非常に重要な合意なんですけれども、これは法的拘束力を持った合意じゃないんですよね。これは政治的な合意です。これ、毎回毎回運用検討会議で合意する、できないがありますけれども、この中で、核の使用あるいは核使用の恫喝というのに対して、ロシア自身がこれをしないということを言っています。それから、国連安保理の決議九八四でも、ロシアは消極的安全保証、消極的安全保証分かりにくいですが、核使用をしない、核の恫喝をしないという約束をしております。
したがって、これはNPT体制が機能するかどうかという問題よりも、むしろロシアの問題であって、ロシアはNPTの寄託国なんですよ、NPTの世話人なんですね。その国、そういうロシアが今回のような異常な行動に出ているということで、極めてロシア問題じゃないかと。で、それを止められなかったNPTというのはあると思いますね。ただ、先ほど申し上げた、これ、法的拘束力があるわけじゃないので、破られてしまえばそれきりなんですね。そういう弱さは持っているかと思います。
したがって、この消極的安全保証を条約化しようという動きは確かにございます。私は、それはやった方がいいと思うんです、そういう議論はした方がいいと思います。他方、条約化しても条約も破っているわけですよね、ロシアは。法的拘束力のある国際約束も破っているわけで、これは極めてロシアにユニークな問題だった、ではないかというふうに考えます。
この発言だけを見る →先ほどちょっと申し上げましたが、NPTでの合意というのは非常に重要な合意なんですけれども、これは法的拘束力を持った合意じゃないんですよね。これは政治的な合意です。これ、毎回毎回運用検討会議で合意する、できないがありますけれども、この中で、核の使用あるいは核使用の恫喝というのに対して、ロシア自身がこれをしないということを言っています。それから、国連安保理の決議九八四でも、ロシアは消極的安全保証、消極的安全保証分かりにくいですが、核使用をしない、核の恫喝をしないという約束をしております。
したがって、これはNPT体制が機能するかどうかという問題よりも、むしろロシアの問題であって、ロシアはNPTの寄託国なんですよ、NPTの世話人なんですね。その国、そういうロシアが今回のような異常な行動に出ているということで、極めてロシア問題じゃないかと。で、それを止められなかったNPTというのはあると思いますね。ただ、先ほど申し上げた、これ、法的拘束力があるわけじゃないので、破られてしまえばそれきりなんですね。そういう弱さは持っているかと思います。
したがって、この消極的安全保証を条約化しようという動きは確かにございます。私は、それはやった方がいいと思うんです、そういう議論はした方がいいと思います。他方、条約化しても条約も破っているわけですよね、ロシアは。法的拘束力のある国際約束も破っているわけで、これは極めてロシアにユニークな問題だった、ではないかというふうに考えます。
戸
戸崎洋史#27
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございました。
おっしゃるように、ロシアの態度によってNPT体制が直接的にも間接的にも非常に厳しい状況に追い込まれたといいますか、直面したのだろうと思いますけれども、他方で八月の運用検討会議が示したのは、これも私の報告でも少しお話しさせていただきましたけれども、ロシア以外の国々は、一生懸命このNPT体制が大事だということ、重要で今後も引き続き守らなければならないということを何らかの形で一生懸命示そうとした。ロシアの行動に対しても、これも全ての国というわけではありませんけれども、非難を繰り返していたということ。
そして、最終的にはロシアの反対によって採択できませんでしたけれども、様々な譲歩を行いながら、そのマイナス一以外の国々が最終文書の採択に向けて一生懸命努力をして、文書も最終日に上がってきたということで、それは、まあロシア以外ということになるかもしれませんけれども、締約国が、そのNPT体制は厳しい状況にあるけれども、また逆に、あるからこそ、より一層この体制を重視していかなければならないという表れだったのではないかなというふうにも思います。
この発言だけを見る →おっしゃるように、ロシアの態度によってNPT体制が直接的にも間接的にも非常に厳しい状況に追い込まれたといいますか、直面したのだろうと思いますけれども、他方で八月の運用検討会議が示したのは、これも私の報告でも少しお話しさせていただきましたけれども、ロシア以外の国々は、一生懸命このNPT体制が大事だということ、重要で今後も引き続き守らなければならないということを何らかの形で一生懸命示そうとした。ロシアの行動に対しても、これも全ての国というわけではありませんけれども、非難を繰り返していたということ。
そして、最終的にはロシアの反対によって採択できませんでしたけれども、様々な譲歩を行いながら、そのマイナス一以外の国々が最終文書の採択に向けて一生懸命努力をして、文書も最終日に上がってきたということで、それは、まあロシア以外ということになるかもしれませんけれども、締約国が、そのNPT体制は厳しい状況にあるけれども、また逆に、あるからこそ、より一層この体制を重視していかなければならないという表れだったのではないかなというふうにも思います。
鈴
鈴木達治郎#28
○参考人(鈴木達治郎君) 大体お二人の意見と同等ですね、同じです。NPT体制の問題は、もちろん、第六条をめぐってずっと対立が続いてきていますので、このロシアの問題以前からNPT体制が抱えている問題というのはあったと思います。でも、今回は特にロシアの一国の問題だというのは賛成です。
それから、今回の再検討会議、運用検討会議で、今、戸崎さんがおっしゃったように、残念ながら最終決議案、最終案は採択されなかったんですが、やはり、三週間、四週間、世界の外交官が集まって、核兵器国と非核保有国が一堂に会して議論する場はここしかないんですよね。それなりの努力をされたことはもう間違いない。かなりいろんな項目にわたっての最終決議案が出てまいったので、まあ全く無駄ではなかったかなと。やっぱりNPTは大事であるという、その重要な体制だ、重要な条約であるということの共通認識は確認できたということで、それはそれなりの価値があったかなと思います。
この発言だけを見る →それから、今回の再検討会議、運用検討会議で、今、戸崎さんがおっしゃったように、残念ながら最終決議案、最終案は採択されなかったんですが、やはり、三週間、四週間、世界の外交官が集まって、核兵器国と非核保有国が一堂に会して議論する場はここしかないんですよね。それなりの努力をされたことはもう間違いない。かなりいろんな項目にわたっての最終決議案が出てまいったので、まあ全く無駄ではなかったかなと。やっぱりNPTは大事であるという、その重要な体制だ、重要な条約であるということの共通認識は確認できたということで、それはそれなりの価値があったかなと思います。
三
三上えり#29
○三上えり君 その核兵器禁止条約が今、日本は参加していないという状況の中で、私の選挙区でもある広島では、被爆者団体そして広島市が中心になってこの条約早期締結に向けて署名活動を行っておりまして、今三百七十万人を超える人たちの署名が集まっています。
話にもよく繰り返されていますG7ですけれども、やはり各国の要人がこの被爆地広島にやってくるということはとても大きなニュースであって、大きなチャンス、世界に向けての平和、軍縮についての発信力、チャンスだと思っています。
この辺り、それぞれ、どういった形で国内外に平和、軍縮についてを伝えていくべきかの考えを鈴木参考人からお聞かせください。
この発言だけを見る →話にもよく繰り返されていますG7ですけれども、やはり各国の要人がこの被爆地広島にやってくるということはとても大きなニュースであって、大きなチャンス、世界に向けての平和、軍縮についての発信力、チャンスだと思っています。
この辺り、それぞれ、どういった形で国内外に平和、軍縮についてを伝えていくべきかの考えを鈴木参考人からお聞かせください。