西山淳一の発言 (外交・安全保障に関する調査会)

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○参考人(西山淳一君) ありがとうございます。
 今日は、このような外交・安全保障に関する調査会というところで発言する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、防衛産業で従事した経験がありますので、それをベースにお話しさせていただければと思っております。
 めくっていただいて、三ページ、我が国の防衛産業ということで、四ページに我が国の防衛産業の歴史的なことを書いてありますが、戦前、戦中は各種の防衛企業がありました。いわゆる軍需産業があったわけですが、敗戦と同時にそれが全て潰されまして、いわゆる戦後の空白期、七年の空白期があって、その後、戦後の状況が変わって朝鮮戦争等もありまして、自衛隊が創設された、それから防衛産業も復活されてきたということで、日本は、日米同盟の中で、専守防衛の枠組みということで、積極的に防衛をやるよりは経済活動の方に重点を置いて発展してきたと思います。
 この民生部門による産業構造ということで、各種の防衛装備品も開発し、あるいはライセンス国産等での生産もやってきたわけですが、その後、時代は大きく変わりまして、ここに代表的なというのを書いておきましたけれども、新興技術がどんどん出てきた、AI、バイオ、サイバーですね。それから、ウクライナ戦争が勃発した、グローバルサウスの問題とか気候変動、あるいは国内的には人口減、少子化と、こういうようなことに今直面しておりまして、この東アジアにおける安全保障環境も劇的に変わっているという、こういう認識であります。
 次のページ行きますが、では、我が国の防衛産業の規模ってどのぐらいかというと、これちょっと平成二十九年度でデータは古いんですが、ほとんど変わっておりませんので、このデータがちょうどあるのが、これを使っていますが、平成二十九年度でGDPは五百五十兆円、工業生産高が三百二十兆ぐらい、それから一般会計支出が九十七兆、防衛関係費はこのときには四・九兆で、防衛省向けの生産額は一・八七兆、つまり、国の産業の中の〇・六%であったと。昨年度も多分同じぐらいだと思います。今度、今年から、今年度から防衛予算が増えますので、これがまあ倍ぐらいになってくるかなというところにある大きな変わり目のときだというふうに認識しております。
 それから、次の六ページですが、各国の防衛事業の規模を比較してみました。これはディフェンス・ニュースというところが毎年出しているデータを整理したんですが、一番目から百番目まで書いてあるんですけど、一、二、三、四は米国ですね、ロッキード・マーチン、レイセオン、ボーイング、ノースロップ・グラマン、五位はGD社です。で、六番目に中国が出てきています。それからイギリス、また中国、アメリカと、こういうことで並んでいるんですが、実に日本の企業は三社のみと、このデータではですね。最後のところに書いておきました、右側の端に書いておきましたけれども、三菱重工が三十二位、川崎重工が五十一位、スバルが八十五位ということで、この年度のものには電気会社は一つも出てこない。なぜかというと、いわゆる企業の規模は大きいんですけれども、防衛のシェアが重工系で一〇%程度、電気会社系になると二から三%なんです。二から三%ではこの表に出てこないということになります。
 次のページに、同じデータなんですけれども、各年度の百社以内に入っている日本の企業の数を書いてみました。米国は四十五から五十ぐらいの間ですね。まあ米国が大きいのは当然なんですが。それから、EU二十七と、これはイギリスも含んでいるんですが、まあ二十から二十五ぐらい。日本は、二〇一二年から二〇一八年までは七、八社、まあ六から九の間が出ていたんですが、二〇一九年になると二社に減りました。これはどういうことかというと、二〇一八年まで中国のデータがなかったのでカウントされていなかったんですが、二〇一九年から中国のデータが入ってきて、中国が八社登場したと。これに伴いまして日本は八社から四社に減ってしまったと。二〇二二年になりますと、前のページで三社出ていましたけれども、二〇二二年になると二社になっていて、韓国は四社から三社、四社、三社ということで、韓国の企業の方が大きいというのが現状であります。
 次に、安全保障戦略全般のことについてまとめてみましたが、九ページに、国家安全保障戦略の中で、ODAとは別に装備品や物資の提供をする、そういうことができるようになるということが書かれておりまして、これが先般ニュースで見ますと、OSAという、政府安全保障能力強化支援というのができるようになりつつあるということなので、これを是非具体化していただきたいと、このように思っています。
 それから、国家防衛戦略、この中に、防衛生産基盤について、他に手段がない場合、国自身が製造施設等を保有する形態を検討していくとなっておりますので、これについては後で御説明したいと思います。それから、防衛装備移転の推進ですね。これについても後ほど御説明します。
 それから、防衛力整備計画の中で、国内企業の参画を促進するためにどうするかと。財政措置とサプライチェーンの調査と、こういうものが必要になってくるのではないかと思います。
 十ページに、これは防衛装備庁さんが出した資料なんですけれども、七つの項目が挙がっておりますので、これをそれぞれ全部御説明するとちょっと時間が足りませんので、この七つの項目のうち幾つかをお話しさせていただきたいと思います。
 十一ページには、昨年の十一月に西村経済産業大臣がお話しした中に、装備移転に関して、国が前面に立って装備移転を抜本拡大すると、こうおっしゃっていますので、このお話と、それから、先端的なデュアルユース技術、新しい技術は非常に重要ですので、この点についてもお話しさせていただければと思います。
 防衛産業の位置付けとして、十三ページ、装備庁さんの図表の、防衛産業の位置付け明確化と、製造施設等の国による保有というところについてお話ししますが。
 十四ページは、防衛装備調達、どういうふうにやられているかというと、一般輸入、これはFMSと違って民間での取引ですね。それから、FMS、ライセンス国産、共同国産、それから共同研究、開発、生産、それから国内の研究開発と生産と、こういうふうに分けられるのではないかと思います。
 戦後非常に大きな部分を占めていたのがライセンス国産なんですが、アメリカ等からの技術導入がだんだん難しくなってきて、ラ国の時代はもう終えん、終わりに差しかかっているのではないかなというふうに思います。
 では、共同国産とか共同生産とかに入っていく必要があるのではないか、あるいは共同開発、それから独自国産はもちろんやるべきと、このように思いまして、その独自国内研究開発、生産のところで、そこに、一番下、真ん中の枠の一番下に書いておいたんですが、日本版スカンクワークスというようなことも考えてはどうかと。
 スカンクワークスというのはロッキード・マーチンが始めた先端開発の秘密開発部門のことなんですが、U2偵察機、この間も気球を写真を撮っておりましたが、SR71という超音速の偵察機、F104、日本も導入しました。F117というステルス戦闘機、湾岸戦争で活躍しましたが、こういうようなのを開発してきたと。「トップガン マーヴェリック」という映画を見られた方もあるかと思いますが、最初のシーンに出てくる極超音速の戦闘機、まあ実験機ですが、あそこの尾翼のところにスカンクの絵が描いてありまして、ロッキード・マーチンのスカンクワークスがサポートしてあの映画も作っているということが映画を見ることによって分かります。
 それから十五ページは、そういうことで、防衛企業への支援項目ということで項目書いておいたんですが、企業の資金問題を解決すると、キャッシュフローの問題、あるいは前渡金をもっと出してほしいと。それから、サイバーセキュリティーも政府からの具体的な基準の設定が必要です。今、各社ちゃんとやりなさいよというぐらいで、ちょっと言い方雑ですけれども、基準が余り明確になっていないと。それから、会社の努力でやりなさいということでは、なかなか各国からも信用される形にならないのではないかなというふうに思います。生産ラインの維持、それから自主的な研究開発、会社が自ら開発して、できたのでこれ買ってくださいと、それはあなたが勝手に開発したんだよねと、お金生みませんよというふうになっていると思いますので、そういうことに対しても後から研究費を付けると、こういうこともあってもいいのではないかなと思います。
 それから十八ページに、先ほど出てきた、他に手段がない場合、国が製造施設を保有する形態ということで、他に手段がない場合というちょっと条件が付いているんですが、これをちょっと比較してみたら、表に書きましたけれども、アメリカにGOCOというのがあります、ガバメント・オウンド・コントラクター・オペレーテッド。つまり、設備は政府が持ちますと、で、会社が運用しますというか仕事をしますということで、そうすると、初度費あるいは建設費等、最初に掛かる費用が要らないので、民間としては非常に資金上楽になるわけです。こういうような枠組みを、他に手段がない場合というよりは、もっと積極的に活用していただけないのかなと。アメリカの場合、ステルス戦闘機、F22とか35を造っているフォートワース工場がこの事例になっております。
 これを調べてみますと、日本に公有民営という方式があると。交通インフラで例を調べますと、鳥取県の若桜鉄道とか三重県の伊賀線とか、国というか自治体が持って運用は会社にやらせるという、こういう例もありますので、決して日本はできない話ではないのではないかと、このように思います。それから、インドもGOCOモデルというのを検討しているということだそうです。
 ちょっとどんどん行きますが、十七ページにはサプライチェーン。サプライチェーンについては、やはりかなり具体的に調べる必要があると。サプライチェーン、各社にどこから何を買って幾らで買っているのだと聞くと、これは会社の秘密ですのでなかなかデータを出すことは難しいですということなんですが、方針の中に、回答の努力義務という文書が出ていますので、回答努力義務を徹底するということで、まあこの場合は装備庁さんだと思いますが、が積極的に主導して調査すると。
 そのアメリカでやった事例が十九ページに示しておりまして、これはS2T2というんですが、セクター・バイ・セクター、ティア・バイ・ティアということで、分野別に段階的に調査すると。対象機種は、これによりますと、AESAってレーダーですが、F18戦闘機とか軍事衛星とかですね、こういうものを対象にして、クリティカリティーとフラジリティーの点数を付けると。これは防衛専用なのか、あるいは専門の技術者がいるのか、そういうようなことをここに書いてある表に点数付けをして、その点数をこの右の下のところに、横軸がフラジリティー、縦軸がクリティカリティーなんですが、プロットして、右の上の方に入ったら何らかの対策が必要だと、政府は資金を援助するとか、合併させるとか、撤退するとか、こういうことを考えている。これもう十年もやっているわけですが、このような具体的なことが日本でも必要ではないかなと、このように思います。
 二十ページに防衛産業の再編のことをちょっと書いてありまして、先ほどの森本先生の意見とちょっと違うんですが、米国では、クリントン政権のときにいわゆる最後の晩さんというのがありまして、ペリー国防次官が各企業を呼んで、いつまでもこんなにたくさんでやっていたら無理ですよと言った。その結果、三十五の大きな企業買収、合併が起きて、四社ぐらいに再編されたと。ところが、先ほどの前の方でディフェンス・ニュースのデータを見てみますと、二〇二二年トップ百には米国企業四十六社もありますので、この再編して大きなのできたんですが、再編しない規模の小さなところでもまだまだ日本のよりずっと多いと、大きいと、こういうことではないかと思います。
 その下に、週刊ダイヤモンドが昨年、四つの統合会社というのはどうだというのを出していますが、これは、これが解かどうかというのは別としまして、こういうようにメディアからも意見が出てくるので、これの再編について国として検討してはどうかなというふうに思っております。
 二十一ページ、防衛装備移転。移転については、ちょっと歴史的に書いてみましたけれども、武器輸出三原則のときは武器輸出禁止一原則だったというのが私の理解で、二〇一四年、ちょっと開いたんですけど、企業側からすると、本当にドア開いたんでしょうかというクエスチョンマーク付きだったわけです。二二年になって、昨年の方針で、これから拡大するということですので、今後の拡大に期待しております。
 二十四ページは、今までの事例として、フィリピン向けのレーダーとかウクライナ向けの防弾チョッキ、ヘルメットと、こういうものはやっていますが、武器輸出が本格的に始まっているとはとても言えないなと、このように思っています。
 二十五ページに、会社で勤めた経験からいうと、よく武器輸出は死の商人だと言いますけれども、言われますけど、そんなことはないのですと。防衛企業は死の商人ではありませんし、死の商人にはならないのです。つまり、民間が勝手に売ったら、それは死の商人かもしれませんけれども、防衛企業というのは国の安全保障に資することが大前提で、国の方針でもって輸出する、つまり、輸出の可否について民間では判断できないというのが防衛装備品、武器の輸出だと。
 それから、もう一つ考えるべきは、相手国にとって安全保障に資するかということも考えておくべきではないかなと。前の行になりますが、要は、武器輸出する相手は同盟国とか友好国であって、敵に売りたいという人はいないわけです。つまり、同盟関係、友好関係を強化するためにやるというのが武器輸出の観点だと思います。
 それを阻害する要因と二十六ページに書いたんですが、ここで一つ大きく言いたいのは、輸出許可のところに輸出バージョンの制式化、つまり、自衛隊が買う形ではなくて、輸出版の形を国として制式化してもらって、それを輸出するんですと。そうすれば、マニュアルを英文化するかとか、ここの部分は出しちゃ駄目だというのをブラックボックスを作るとか、それから、今輸出しようと思うと開発費の一部を国庫に返還しなさいというようなこともあるようですけれども、そうではなくて、やはり国が輸出すると、それを民間企業が物を作るのだと、こういう形でやるべきではないかなと思っております。
 二十七ページは、国産のものはこういうのがありますと。
 それから、二十八ページには、輸出の候補として一例が、書いておきました。
 ちょっと時間来ましたので、研究開発のところを一言言いますと、三十一ページに、研究、基礎的な研究、ここでイノベーションが起きているわけです、それを防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度ということで研究資源を出しましょうと。でも、これを物にしていくためには、ここの間は死の谷といっているんですが、これを越えるための資金援助、設備支援等が国として必要ではないかと、各国もこのようなことをやっていますので、それを実行すべきではないかというふうに思っています。
 まとめますが、三十三ページには、昨年の国家安全保障政策等で、三文書で安全保障政策は大転換されたと思います。それから、防衛産業への支援の具体化として、例えばGOCOというのがあるのではないかなと、このように思います。それから、国際的な競争力を増すためには、やはり産業再編が必要ではないかなというふうに私は思っております。防衛装備移転は国家事業で、友好国との関係を強化すると。で、民間が勝手に輸出してよいものではないということであります。それから、研究開発に対しては、死の谷を越える支援策を是非具体化していただきたいということで、その国際共同開発の一つの大きな例としては、今、次期戦闘機でグローバルプロジェクトとして始まりましたので、これを積極的に推進していただきたいというふうに思います。ただ、そのときに、国際共同開発と言ったんですが、自国に技術があってこそそういうことに参画できると。つまり、技術は技術で買うんだと、こういうことが重要だというふうに思っております。
 それから、ここで言うのはちょっと違うのかもしれませんが、防衛産業に従事している人たちは、我々は国のためにやっているという誇りを持って、誰の前でも私は防衛産業で働いているんですと言える気概を持ってほしいんだと、このように思っております。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 西山淳一

speaker_id: 34656

日付: 2023-04-26

院: 参議院

会議名: 外交・安全保障に関する調査会