半田滋の発言 (財政金融委員会、外交防衛委員会連合審査会)
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○参考人(半田滋君) 本日は、このような機会を設けていただきまして、ありがとうございました。
今、細谷先生の方から、大砲とバターの例え話をなさいました。バランスの取れた国家をつくることの必要性というのは、これは私も全く同感であります。
今日は、その大砲とバターのうち、大砲の中身について詳しくお話をしていこうと思います。
まず、お手元の資料の一ページ目をお開きください。
これは、アメリカ政府から我が国がFMS、対外有償軍事援助という仕組みで輸入をしているアメリカ製兵器の契約額の推移を棒グラフにまとめたものです。ここでお分かりのように、二〇一二年、第二次安倍政権になって以降、急激にこの契約額が増えていることがお分かりいただけると思います。二〇一五年には四千億円を超え、そして二〇一九年には七千億を超えました。
この大幅に増え始めた二〇一五年には、これは防衛費の不足というものが見込まれてきたわけです。これほど、アメリカとの契約額が増えるほど防衛費は比例して増えていきませんでしたので、その分どこにしわ寄せが行ったかというと、国内の防衛産業に行ったということであります。
その結果として、二〇一五年の四月に、防衛省は、最長五年だった国内企業への分割払を最長十年に延長する支出年限特別措置法を成立をさせました。つまり、企業にとってみれば、支払ってもらえると思っていた五年先が実は十年先に延びてしまうことになったと。そうすると、これは当然のことながら、企業としての見込みというのが立ちにくくなるわけでありますから、企業が取引を見切っていくというのは当然であると。したがって、近年、およそ百社ほどの国内の防衛産業が防衛部門から手を引いた、その結果として今回、この国会に防衛産業強化法案が出ているという、そういった巡り合わせになっているんだということだと思います。
次に、もう一ページお開きください。
先ほどのFMSの契約額を更に二〇二三年度まで延ばしたものがこの棒グラフであります。二〇二三年度のFMSによる契約額というのは一兆四千七百六十八億円、第二次安倍政権の二〇一九年の七千億円の実に二倍の契約をアメリカと結ぶことになっているということです。主なアメリカ製兵器としましては、二千百十三億円を投入して四百発購入することにしたトマホーク、そしてまた、下にあるように、これは護衛艦「いずも」、「かが」に載せる予定の垂直離着陸ができるF35B戦闘機、また右上にあるのはイージス・アショアを船に載せたイージスシステム搭載艦、こういったものを建造するということになって過去二倍ということになっているわけ、過去最高額の二倍を記録したということであります。
もう一ページお開きください。
このFMSで購入している兵器が我が国の安全に役に立つということであればこれは全く異存のないところなんですが、例えばここに出てきますグローバルホークの場合、これは実は、陸海空自衛隊が要求したものではなく、防衛省の背広組である内局が要求したいわゆる政治案件というふうに言われています。
日本が購入するのは、これはブロック30という一つ古いタイプのものでありまして、これ三機で五百十億円で契約を結びましたが、後に、これFMSという特殊な仕組みですから、アメリカ側から六百二十九億円と、百十九億円も突然値上げをされたわけです。これは、防衛省の規則で二五%値上げされた場合にはキャンセルできるとなっていますが、この値上げ率は二三%と寸止めをされたのでキャンセルできなかったということです。
今度導入するブロック30については、アメリカ軍が、これは旧式の機体なので中国の脅威に対抗できないということで、保有する二十機を全て廃棄することを決めたということです。まだ我が国にはあと一機入ってきていませんが、あと一機もこれはブロック30というアメリカが使えないと見限ったものがやってくると。
昨年の十二月に青森県の三沢基地にこの運用するための航空隊が発足をしましたけれども、このアメリカが使えないと言ったものを使うための航空隊ができるというのはどういうことなのかと、これは無駄遣いにならないかということであります。毎年の維持管理費百二十億円のうち、そのうち三十億円が三沢にやってくるアメリカ人技術者四十名の生活費に充てられると。一人頭七千五百万円ということですから、これは三沢の物価が高いということではなくて、巨額の費用を渡し過ぎではないかということだと思います。
もう一ページお開きください。
イージス・アショアです。これは、もう既に、二〇二〇年の六月に河野防衛大臣が第一弾ロケットのブースターを安全に落とせないということからこれは中止を言い出して、安全保障会議で中止が決まりました。しかし、この中止を決めたときにはもう既にアメリカ政府に百九十六億円を払っていたと。さらに、ここで全部キャンセルをすると巨額の違約金を支払う必要が出てくるということから、これは本来陸上に置くつもりで大きく造ったレーダーをそのまま船に載せるイージスシステム搭載艦にするということが決まったわけです。実際のところ、アメリカ政府側からは、これは何度も、これは地上版のイージス・アショアですよというふうに言われましたけれども、防衛省は、いや、いいんだということで船に載せることを決めたと。
もう一ページお開きください。
これが本年度の予算書に出てくるイージスシステム搭載艦です。一隻当たり二千二百八億円、地上イージスと比べると一千億円以上高額になっています。これを二隻建造しますので、予定よりも二千億円以上お金を出すことになったということです。
また、このイージス・アショア自体が、イージスシステム搭載艦自体が、大型のレーダーを載せる必要性から幅が四十メートルと。自衛隊の艦艇でイージス護衛艦というのは幅二十一メートルですから、倍の太さになったと。非常に鈍重な船になることが決まったということなんですね。
また、もう一ページお開きください。
これがスタンドオフミサイル、本年度予算に出ているものです。一番上、一二式地対艦誘導弾能力向上型、これを本年度から量産するということです。また、その下にあります島嶼防衛用高速滑空弾、これも本年度から量産をするということです。また、一番下にトマホークというのがあります。これは今年から導入をすると。
これらが入ってくるのは全部二〇二七年度なんですね。三種類の長射程のミサイルが同時に自衛隊に入ってくると。そんなに必要なのかということが当然疑問に出るわけですが、防衛省の説明では、国産のミサイルについては開発の遅れがあるかもしれないと、さらに、量産化に追い付かないかもしれないということからトマホークを補完的に買うというようなことも言われております。
しかしながら、この三文書の閣議決定は昨年の十二月十六日ですから、半年もたたないうちにもはや配備が遅れるというのは見通しが悪過ぎないかということが言えるだろうというふうに思います。
もう一ページお開きください。
これは、昨年の十二月に朝日新聞のインタビューに答えた、海上自衛隊の現場トップだった香田洋二自衛艦隊司令官のインタビューです。今回のGDP比の二%、そして五年間で四十三兆円という、過去の五年間と比べたら十七兆円も増える防衛予算について、このように述べています。
太い字のところを御覧ください。身の丈を超えていると思えてなりません。子供の思い付きかと疑うほどあれもこれもとなっています。また、下の太い字に移ります。陸上から海上へ、大型艦を小型化へと二転三転するイージスシステムは、まさに政治的な迷走の象徴です。今回二%の掛け声が先行し、政治からもあれもこれもやるべきだという声も強かったのではないでしょうか。それに悪乗りしている防衛省・自衛隊の姿が見えるのです。
まあ、傾聴に値する言葉かなというふうに思います。
最後、検証すべき事項。
イージスシステム搭載艦は、全長二百十メートル、全幅四十メートルと報道された。鈍重な艦艇となることから小型化が再検討されている。陸上に置くべきイージス・アショアを艦艇に載せる計画自体が非現実的ではないのか。価格も高騰する。税金の無駄遣いのシンボルにならないか。一二式地対艦誘導弾能力向上型、島嶼防衛用高速滑空弾、極超音速誘導弾という三種類の国産兵器の開発は実現するのか。多額の防衛費を投入して失敗という事態にならないか。
時間がないので詳細は省きますが、実は一二式地対艦誘導弾の場合、八八式地対艦誘導弾という、短射程から短射程に改良する際に、これ開発に失敗をして、防衛省から開発企業が延滞、遅延損害金二億円を支払わされる、また契約停止処分を受けるということを受けていますので、そういった技術的な問題に不安がないかということであります。
まずは、今回見直すべきはこの防衛予算の中身であって、総枠を大ざっぱに二倍でいいんだということではないだろうというふうに考えるわけであります。
以上です。