細谷雄一の発言 (財政金融委員会、外交防衛委員会連合審査会)
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○参考人(細谷雄一君) 福山先生、大変鋭い御指摘、御質問いただきまして、誠にありがとうございます。二点いただきました貴重な御質問に対してお答えをさせていただきます。
一点目でございますけれども、今後このウクライナでの経験を経てどのような方向で日本が防衛を考えていくべきかというような趣旨かと存じますけれども、私は、やはりこの日本が対外的に間違ったシグナルを送らないということが過去二十年の経験から学べることではないか。
これは、アメリカについて申し上げれば、アメリカはコソボ戦争やイラク戦争で、言ってみれば過剰な介入主義によって、ロシアに対してあたかもロシアの周辺国に対するレジームチェンジを起こすような、そういったような警戒感を与え、カラー革命が行われたとき、二〇〇四年のウクライナでのオレンジ革命のときに、ロシアのプーチン大統領は恐らくそれがアメリカの陰謀によってレジームチェンジをしたというふうに認識したんだろうと言われております。一方で、トランプ大統領の米国第一主義あるいはバイデン大統領のカブールからの撤退の決断というものが、今度は逆に過剰なアメリカの内向きな、リーダーシップの欠如というものの印象を与えてしまった。
つまり、過去二十年間、アメリカがロシアに対して、あるいは国際社会に対して過剰な介入主義と過剰なリーダーシップの放棄というような私は誤ったシグナルを与えてしまった。これは、アメリカの政策そのものを批判するというよりは、アメリカの意図というものがどのように伝わるかというストラテジックコミュニケーション、戦略的コミュニケーションの問題だと思っています。
その誤解というものを、間違っても今のアメリカ政府は今後中国、台湾に与えてはいけない、私はこれ、中国、台湾両方に対して誤ったシグナルを与えてはいけないということだろうと思います。もしもそうだとすれば、私はここでの日本の役割というのはより大きいのだろうと思います。G7において、外交を通じて日本が国際社会にどういったメッセージを送るか、より包摂的な、法の支配に基づいた外交を重視した包摂的な国際秩序を模索するというメッセージ、私は適切なメッセージだと思っております。
そして、二点目でございますけれども、簡潔に申し上げますと、私はこれからの日本の防衛力、つまりは、福山先生がおっしゃるとおりの、日本の他国に比べて非常に大きな財政赤字という中でどのように防衛力を強化するのか。そのときに、私は鍵となるのは技術革新だと思っています。
世界で多くの場合、例えば先ほど一九五〇年代のアメリカのアイゼンハワー政権のニュールック政策について申し上げました。そして、イギリスが二十世紀初頭にドレッドノート型の戦艦を造るときも、多くの場合が財政的な困難が技術革新を生み出した。私はこれが日本にはまだ足りないんだろうと思っています。
つまりは、財政支出を拡大するだけではなくて、財政支出を抑えながら防衛力を強化するための、内側からいかにして日本の技術革新を生み出すか。これは、AIであるとかドローンであるとか、ウクライナが今回の戦争で大量の自国製のドローンを使って防衛をしているわけですから、そういった意味では、日本も新しい戦場、新しい攻撃、これはサイバー攻撃も含まれますけれども、こういったものに対する技術革新とAIを用いたより高度な研究、技術開発に基づいた防衛力というもの、より少ないコストでより効果的な防衛力を充実させることが今後の課題になるだろうと思っています。