半田滋の発言 (財政金融委員会、外交防衛委員会連合審査会)
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○参考人(半田滋君) どうもありがとうございます。
今、防衛省の中を見ますと、元々いわゆる官僚組織である内部部局、これは内局と言います、それと制服組である各幕僚監部、この距離が今非常に開いている時期になっていると思っています。本来であれば、これは同じ防衛省という役所の中で意思疎通をして、そして現場で武器を使うユーザーである制服組の意見を聞いた上で、そしてまた、そこに無駄はないかとか、あるいは誇張はないかと、そういったことも精査をした上で我が国の防衛予算というものを今までは作ってきたんだというふうに理解しています。
ところが、ここ近年を見ていますと、背広組の皆さんがどうも上の方を見ていると。よく言われることは、首相官邸、内閣人事局ができてから他の役所と同じように官邸の方の顔色ばかり見るようになっていったと。官邸の御意向という形でむしろそれが下に下りてきて、こういった武器を買うという方向で検討しているからよろしくねみたいな話になってくる。先ほど御紹介したグローバルホークなんていうのはその典型でして、陸海空ともどこも手を挙げていないけれど、内局が政治案件として入れているものですね。
また、オスプレイもそうですね。これは沖縄県の普天間基地に海兵隊が二十四機配備をするというときに沖縄から強い反対運動が起きて、であるならば、防衛省・自衛隊が買って安全性を証明すればいいだろうということになって導入してきたと。これは陸上自衛隊が運用していますけれども、このオスプレイ導入を決めた当時、陸上自衛隊にはCH47という大型ヘリコプターが五十五機あって、アメリカ陸軍に次ぐ二番目の保有台数を誇っていたわけですね。空飛ぶロールスロイスとも言われて、大型で高速のヘリコプターを大量に持っていたのに、なぜオスプレイが必要かと。その辺り、つまり現場の意見が内局を通じて政治に逆に上がっていかなくなったと。これによって、非常にゆがんだ形の防衛予算の執行が続いているのが今ではないかというふうに思います。
特に私が覚えていますのは、二〇一八年の十二月に防衛計画の大綱を改定する際に、護衛艦「いずも」型の空母化が決まったことですね。「いずも」型護衛艦というのは、本来は、やってくる外国の潜水艦をいち早く発見して、それを撃退するためのいわゆる防御型の艦艇として開発され、そのとおり運用されてきたわけです。これを空母に変えるということは、まさに攻撃的兵器に変えるわけですから、本来専守防衛である我が国が果たすべき対潜水艦戦の大きな欠落が生まれることになったと。これ今、「いずも」型護衛艦、これは「いずも」と「かが」の二隻がありますけれども、時には空母型、時には対潜水艦戦用というふうに使い分けるというふうに言っていますが、元々これ対潜水艦戦用に設計された艦艇ですから、トップヘビーになって、つまり船首が重たいわけですね。到底空母型の船として使うのはふさわしくない。新しく別に造った方がむしろ安いぐらいなんです。そういった中途半端なことを、これ防衛計画の大綱のときに閣議で「いずも」型護衛艦の空母化を決めてしまったわけですね。
私、その当時、現職の東京新聞の記者として防衛省を担当していて、海上自衛隊の皆さんの落胆する顔というのをずっと見ていました。本来、今までの話と全然違う話が上から下りてくるようになってしまった。そういったその意思疎通の悪さ、そして妙な政治決定というものが続くことによって、我が国のこの防衛の体制というものがゆがんできているのではないかということが言えるだろうというふうに思います。
先ほどの三つの意見ですね、あとはその開発能力の問題ですけれども、これらはある意味やってみなきゃ分からないというところもあります。ただし、一度に同時にこれだけ多くのものを開発をしていくということはおよそ防衛省・自衛隊にとって経験したことがないぐらいの同時開発であり、同時量産開始なんですね。一つのものを計画をしてスタートするまで、今まで大体七年から十年掛かっているのが普通だったんです。それが急に去年の閣議決定に合わせてあれもこれもというふうにどんどんどんどん急激に乗っていったと。これは能力を超えるようなものを今やろうとしていないだろうかと。これ、将来のことはよく分かりませんけれど、将来恐らく禍根を残すポイントというのはどこだったかというふうに考えていくと、大風呂敷を広げて、その枠を埋めるような形で様々な国産兵器、あるいはFMSによるアメリカ製兵器の爆買いをしたことだったのではないかと、そんなふうに反省する日が来ないように、今からでもきちんとこの防衛予算の中身を再検証して、必要でないか、必要なものであるのかということを見極めた上でもう一度考え直す必要があるというふうに思います。