武見敬三の発言 (厚生労働委員会)
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○武見国務大臣 厚生労働委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げます。
厚生労働行政は、国民の生活を生涯にわたって支える使命を担っており、改めて責任の重大さに身の引き締まる思いでございます。
私は、国民の皆様の立場に立って、国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、社会のダイナミズムも取り入れながら、ワンチームで対応し、職務に邁進してまいります。
まず取り組むべき課題は、感染症対策です。平時からの感染症対応能力を強化するため、内閣感染症危機管理統括庁の設置に合わせて、本年九月に省内の感染症対策を主導する感染症対策部を設置しました。また、新たに設置する国立健康危機管理研究機構について、これまでにない我が国の感染症に関する科学的知見の基盤、拠点として、世界の感染症対応を牽引できるよう、着実に設立準備を進めます。
世界全体における強靱、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を目指すとともに、将来の健康危機の予防や発生時への備えのための取組の強化など、グローバルな課題に的確に対応します。
新型コロナウイルス感染症への対応については、来年度より通常の医療提供体制に移行できるよう取り組みます。あわせて、本年十月に行った病床確保料や治療薬の公費支援等の見直しを踏まえ、冬の感染拡大に備えて重点的、集中的な支援を行っていきます。
新型コロナワクチン接種については、本年九月から、生後六か月以上の全ての方を対象に秋冬の接種を実施しております。ワクチン接種により健康被害が生じた方については、引き続き、予防接種法に基づき迅速に救済をいたします。
また、コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症に悩む方々が適切な医療を受けられるような環境づくりも進めていきます。
医療DXの実現に向けて、本年六月に策定した医療DXの推進に関する工程表に基づき、着実に取組を進めます。質の高い医療の提供や医療、介護のイノベーションに向けて、医療、介護全般にわたる情報を共有、交換できる全国医療情報プラットフォームを創設するとともに、マイナポータルを活用し、公的な健診情報を自分自身で一元的に把握することが可能になるよう取組を進めます。また、電子カルテ情報の標準化や電子処方箋の着実な普及拡大等に向けて取り組むとともに、新しい医療技術の開発や創薬のための医療情報等の二次利活用、診療報酬改定DXによる医療機関等の間接コスト等の軽減を進めます。さらに、医療機関等におけるサイバーセキュリティー対策を着実に実行します。
デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードを活用したマイナ保険証は、デジタル社会における質の高い持続可能な医療の実現に必要不可欠であり、国民の皆様が健康医療情報に基づいたよりよい医療を受けることを可能にするものです。
このため、国民の皆様の不安や懸念の払拭を図り、安心してマイナ保険証を御利用いただける環境の整備に取り組みます。また、マイナンバー情報の総点検を着実に実施してまいります。
革新的な医薬品の開発を促進するため、質の高い研究を生み出し、製品化していくための環境整備を関係省庁と連携をしつつ一層取り組むとともに、せき止め薬を始めとする医薬品について、企業による増産等の総合的な対策により、安定供給を図ってまいります。また、こうした現状の課題を踏まえ、医薬品産業や流通、薬価制度の在り方の検討などを幅広く進めます。
医薬品等の安全性の確保や薬害の再発防止に一層取り組むとともに、薬物乱用防止対策にも取り組みます。その一環として、大麻等について施用罪を適用することなど、その濫用による保健衛生上の危害の発生を防止するとともに、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とするための関係法案を今国会に提出したところでございます。
少子高齢、人口減少社会において、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことが重要です。全ての世代で能力に応じて負担し、支え合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障を構築するため、子供、子育て支援の充実、どのような働き方をしても必要なセーフティーネットが確保される社会保障制度の構築、医療・介護制度の改革等に向けた取組を着実に進めます。こうした全世代型社会保障を構築するための改革について、年末までに改革工程を策定することとされており、関係省庁とも連携しつつ、検討を進めてまいります。
医療分野では、人口構造の変化を見据えつつ、地域医療構想、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策を一体的に進めます。地域の医療機関の外来機能を明確化し、機能分化、連携を推進するとともに、かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に向けた検討や、医師の時間外、休日労働上限規制の円滑な施行に向けた準備を丁寧に進めます。
出産育児一時金については、本年四月から、その金額を四十二万円から五十万円に増額したところであり、出産費用の見える化について来年度からの実施に向けた具体化を進めます。
高齢者介護については、感染症や災害への対応力を強化しつつ、地域包括ケアシステムの深化、推進に向けた各種の取組を進めます。また、共生社会の実現に向け、普及啓発や本人発信の支援など、総合的な認知症対策を推進します。
あわせて、介護ロボット、ICT等を活用した生産性向上により、サービスの質の向上や勤務環境の一層の改善に取り組むとともに、必要な処遇改善を図るなど、総合的な人材確保対策を進めます。身寄りのない高齢者の身元保証等について、実態把握や課題の整理を進めます。
特に、来年は、六年に一度の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われる節目の年であり、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者、利用者負担、保険料負担への影響を踏まえ、患者、利用者が必要なサービスを受けられるよう、検討を進めます。
国民の健康寿命の延伸を図るため、来年度から開始する第三次健康日本21に基づいて、予防・健康づくりの取組を推進します。
また、事業主健診、産業保健体制の充実や、国立成育医療研究センターにおける女性の健康、疾患の研究等に関するナショナルセンター機能の構築を含めた女性の健康支援にも取り組みます。
受動喫煙対策については、引き続き、国民や事業者への周知啓発、設備の整備に対する支援等に取り組みます。また、本年三月に閣議決定されたがん対策や循環器病対策に関する基本計画に基づき、総合的な対策を進めます。
HPVワクチンについては、本年四月から九価のHPVワクチンの定期接種を開始するとともに、積極的勧奨の差し控えの間に機会を逃した方への接種機会の提供を進めます。また、花粉症を含むアレルギー疾患対策についても着実に推進します。
ハンセン病の元患者の御家族への補償制度を着実に実施するとともに、ハンセン病に対する偏見、差別の解消等に全力で取り組みます。また、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染された方々に対する給付金等にも適切に対応します。
原子爆弾被爆者援護施策については、引き続き、いわゆる黒い雨訴訟の原告と同様の事情にあった方々の早急な救済を図るとともに、保健、医療、福祉にわたる総合的な取組を進めます。
水道の基盤強化や広域な食中毒事案への対策強化等に着実に取り組んでまいります。また、さきの通常国会で成立した旅館業法等改正法の円滑な施行に努めてまいります。
雇用労働政策については、社会経済の変化の流れに沿った労働市場改革と働き方改革により、働く方々のウェルビーイングの向上を目指します。
まず、人手不足への対応が急務となる中で、目下の物価上昇に負けない賃上げを実現するとともに、賃上げが人材を引きつけ、人材への投資が能力向上をもたらすことで企業の生産性が向上し、その成果の適切な分配によって更なる賃上げにつながるという、成長と分配の好循環による持続的な賃上げの実現が求められています。
このため、関係省庁とも連携しつつ、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革に取り組み、構造的に賃金が上昇する仕組みをつくります。具体的には、学び直しを行う際の個人への直接支援の拡充、求人、求職、キャリアアップに関する官民情報の共有化、職業情報、職場情報の見える化に向けた情報基盤の整備等を進めます。
また、雇用のセーフティーネットを構築する観点から、雇用保険の適用拡大を含む制度の見直しを検討するとともに、ハローワークにおける人手不足職種のマッチング強化を行います。
最低賃金については、今年度の全国加重平均額は千四円となり、政府の目標である千円を達成いたしました。中小企業においても、新たな最低賃金への対応を含め、引き続きしっかり賃上げが行われるよう、生産性向上等に取り組む企業への支援強化等に取り組みます。
政府一丸となって取組を進めている働き方改革が目指すものは、働く方々の個々のニーズに応じて、多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現でございます。
正規雇用で働くことを希望する方々については、労働時間や勤務地等が限定された多様な正社員を含め、正社員への転換等の取組を進めるとともに、非正規雇用労働者の処遇改善を図るため、同一労働同一賃金の遵守に向けた取組の強化を図ります。
また、働き方の多様性を踏まえつつ、過労死等の防止、メンタルヘルス対策の強化を始めとする働く方々の健康と安全の確保に取り組むとともに、労使が安心して副業、兼業に取り組める環境の整備、労働時間等の適切な管理の下で行われるテレワークの普及、フリーランスの方々が安心して働くことができる環境の整備を更に進めます。
医師、建設業、自動車運転の業務等の時間外、休日労働上限規制については、来年四月からの施行に向けて、丁寧に準備を進めます。
職場における女性活躍を推進するため、男女間の賃金差に関する情報公表や、職場におけるハラスメント対策の推進等に取り組みます。
また、いわゆる年収の壁への当面の対応として、年収の壁・支援強化パッケージを開始しています。パート、アルバイトの方が年収の壁を意識せずに働くことのできる環境づくりを後押しするため、関係者と連携し、周知を行い、多くの方々にパッケージの効果が行き届くよう取り組みます。加えて、制度の見直しに取り組んでまいります。
さらに、育児期の男女が共に希望に応じてキャリア形成と育児の両立ができるよう、男性育休の一層の取得促進や、育児期を通じた多様で柔軟な働き方を実現するための仕組みづくりの検討を進めます。
このほか、年齢にかかわらず働くことができる社会の実現に向けて、七十歳までの就業機会の確保を推進するとともに、外国人労働者に対する就職支援の強化、働きやすい環境整備等に取り組みます。技能実習制度については、一層の適正化に努めつつ、関係省庁と連携し、新たな制度の創設に向けた検討を進めます。
また、新卒者等に対しては、大学等と連携をし、きめ細やかな就職支援を行うとともに、いわゆる就職氷河期世代の方々について、就労や社会参加を支援します。
地域共生社会の実現に向け、複数の生活課題を抱えている方々や、地域社会から孤立している方々など、様々な支援ニーズに対応していくため、包括的な支援体制の構築に取り組みます。
生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度については、住まいにお困りの方々が安定した住居を確保し、安心して生活できるようにするための支援の強化等に向けた議論を進めます。
成年後見制度の利用促進に向けて、関係省庁と連携をし、第二期基本計画の着実な実施に取り組みます。また、第四次自殺総合対策大綱の下で、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、関係省庁と連携をし、自殺対策を強化するとともに、困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、来年四月に予定されている、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の円滑な施行に取り組みます。
障害者や難病患者の方々が、地域や職場において、本人の希望に応じて、その方らしく暮らし、働くことができるよう、昨年十二月に成立をした障害者総合支援法等改正法の円滑な施行に向けた準備を進めます。また、今後の障害者雇用率の段階的な引上げに向けて事業主への支援を強化し、障害者の雇用機会の拡大と雇用の質の向上を図ります。
加えて、高齢者施設や障害者施設、精神科病院等における様々な虐待行為やハラスメント行為はあってはならないことであり、このような行為を防止するため、相談、通報窓口の周知や職員等への研修等を推進します。
年金制度については、被用者保険の更なる適用拡大や公的年金制度の所得再分配機能の強化、個人型確定拠出年金等の私的年金制度の見直し等について検討を進めます。
年金事業運営については、適用拡大を踏まえた対象者への適用や正確な年金給付等に引き続き全力で取り組むとともに、年金手続のオンライン化を推進します。
近年、様々な災害が全国各地で発生しています。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。相次ぐ自然災害から国民生活を守ることができるよう、医療、福祉、水道施設の強靱化に取り組みます。
また、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い思いの下、東日本大震災による被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策等に引き続き全力で取り組みます。
援護施策については、先般の法改正により遺骨収集の集中実施期間が二〇二九年度まで延長された趣旨を踏まえ、国の責務として、可能な限り多くの御遺骨を収容し、御遺族に早期にお渡しできるよう、全力を尽くします。また、慰霊事業に取り組むとともに、支給継続が決まった戦没者等の妻に対する特別給付金を始め、戦傷病者や戦没者遺族に対する給付金等の支給、中国残留邦人等に対する支援策も、引き続き、きめ細かく実施をします。
厚生労働行政は幅広く、更に様々な課題がございますが、一つ一つ思いを込めて取り組んでまいります。
委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようお願いをいたします。
以上でございます。(拍手)