山崎正恭の発言 (北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会)

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○山崎(正)委員 ありがとうございました。
 次に、拉致問題の解決には、日本国民の世論の形成が重要であります。このことは、松野官房長官も所信演説の中で、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが力強い後押しとなると語られていましたが、では、一体どうやってそういった国民的な世論を具体的に形成していくかということです。
 この大変重要な部分におきましては、先日、産経新聞に掲載されました家族会の横田早紀江さんの「めぐみへの手紙」の中で、早紀江さんが、「すべての国民の皆さま。どうか、北朝鮮に捕らわれたままの被害者を改めて思い、声をあげてください。拉致事件を「わがこと」と考え、解決に向けて動き出すよう日本政府を後押ししてください。」と強く訴えられていますが、この我が事として考えるということが拉致問題にとって本当に重要な肝の部分であると思います。
 実は、私は、議員になる前は中学校の社会科の教員でありました。今、中学校において拉致問題は、一般的には、中学三年生で習う公民分野の教科書の最後の方に、国際社会の諸課題の中の一つとして領土問題等とともに掲載され、学ぶことになっています。また、特設の授業として行うかどうかは学校に任されており、DVD「めぐみ」を使用しての人権学習の啓発については文部科学省から通知が出ています。
 私自身が社会科教員としての実践を振り返ったときに、この早紀江さんが訴えておられる我が事として考えるという部分について、どこまで我が事として捉え、考え、生徒に対して訴えることができていたのかと考えた場合には、大きな反省の念しかございません。
 実は、この我が事として考えるということにおいて、非常に難しいなと感じた面が最近ございました。
 実は、私の母校の高校が今年創立百五十周年で、その記念事業の実行委員長を私が務めておりまして、我々卒業生と生徒の皆さんとで共に記念講演をつくっていくという取組がございました。テーマは、今このときに考えるべきこととして、平和となり、私の地元高知県にウクライナから人道回廊を通ってロシア経由で奇跡的に避難してきた二十歳の青年がいましたので、彼との交流を通して、ウクライナから見える平和の大切さと題して学んでいきました。
 その中で、私の母校の生徒たちは、そうやって命からがら日本に到着して安全な日本に住んでいるので、彼はきっとこの安全な日本に家族を呼びたいであろうと予測していましたが、実は、彼との初回の交流のときに彼の口から出てきたのは、今の自分の一番の望みは、一日も早くウクライナに帰国して母国のために戦いたいということでありました。
 これにはさすがに高校生たちも驚いていましたが、私たち卒業生、大人が更に驚いたのは、ウクライナ青年が戦場に行って戦いたいと言ったことに対して、高校生が誰も止めなかったことでありました。母国を思う強い気持ちを誰も止めることはできない、彼のこの純粋な気持ちを止めるのは私たちのエゴではないかとの意見が多くを占めました。
 私が強く思ったのは、日本も戦後七十八年がたつ中で、高校生たちも、教科書の中や学校で習う平和学習の中では、戦争はいけない、命はかけがえのない大切なものであるということは十分理解できていると思いますが、いざ、このように、目の前に戦場に行って戦うという自分たちとほぼ同世代の若者が現れた場合に、なかなかリアルに、そして我が事として捉えることは難しいんだなということを痛感いたしました。
 そこで、もし自分の親や兄弟、大切な人がウクライナに行って戦場で戦うと言っても止めないのかとの質問をぶつけてみると、多くの高校生が、それは止めると答えましたが、最後まで止めないという生徒もいました。
 その後、ウクライナ青年から、誰人であってもこの私の思いを止めることはできないとの発言もあり、この交流学習の最後の最後まで、生徒たちは、自分の大切な人だったら止めるが、彼の強い意思も尊重してあげなければならないのではないかというはざまで悩みに悩みましたが、高校生が戦争、平和ということをリアルに我が事として捉え、考え、悩み、苦しんだことの中で、大きな人としての成長がありました。
 話を元に戻しますが、拉致問題を若い人を始め国民の皆さんに我が事としてどう考え、取り組んでもらうのか、一人一人の本気度が試されていると思います。拉致問題を学校現場でど真ん中から取り組めば、子供たちは間違いなく、連れ去っていった人、国が分かっているのに、被害に遭った日本人をどうして取り返すことができないのかという至極明快な答えに行き着くと思います。このことは、早紀江さんが「めぐみへの手紙」の中で述べられている、「明々白々な主権侵害を受け、半世紀にわたり同胞を救えないありようは、「日本国の恥」そのものではないでしょうか。」という部分にも当たり、それに答えていく教師にも苦しみと葛藤が生まれますが、今こそ、被害者や家族に本気になって寄り添い、松野官房長官が所信で言われていたように、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題として、子供たちに最重要な人権問題として考えさせていくことが非常に重要であると考えます。
 そこで、拉致問題を風化させずに国民世論を大きく形成していくには、我が事として捉える教育がますます重要だと考えますが、拉致問題に関する教育の現状の認識と、今後の方向性についてお伺いします。

発言情報

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発言者: 山崎正恭

speaker_id: 4975

日付: 2023-12-04

院: 衆議院

会議名: 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会