伊東信久の発言 (本会議)

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○伊東信久君 日本維新の会の伊東信久です。
 財政演説について、会派を代表して質問いたします。(拍手)
 我が国の経済は、長いコロナ禍を脱し、緩やかな成長軌道を描き始めています。内閣府の最新試算では、二〇二三年四月から六月期のGDPギャップがプラス〇・一%となり、需要不足が解消に向かっています。足下の七月から九月では個人消費や企業の設備投資がマイナスになるなど、いまだ予断を許さない状況ではありますが、賃金、税収などではよい兆候が表れています。
 一方で、エネルギー価格や輸入物価の高騰によって物価高が惹起され、国民生活に厳しい影響を与えています。今年の九月まで、実質賃金は十八か月連続でマイナスとなっています。
 かかる状況において行うべきことは二つあり、一つは、物価高対策と生活困窮者支援、もう一つは、規制改革によって健全な競争を取り戻し、経済が回復する自然な流れを後押しする必要があります。そこで、足下の経済状況や今必要な経済対策、そして規制改革について政府に質問いたします。
 まず、足下の経済状況と政府の経済対策についてお伺いします。
 足下では、物価と賃金の好循環が見え始めました。内閣府のGDPギャップもプラスに転換し、データ上は需要不足が解消したことになります。コロナ禍では、GDPギャップのマイナスを埋め合わせるために、巨額の補正予算を組み続けてきました。GDPギャップが解消したのであれば、なぜ総額十七兆円規模の経済対策を組むのでしょうか。総理に伺います。
 鈴木財務大臣は、過去の税収増分の還元について答弁した際、税収の上振れ分は使用済みであり、減税を行った場合は国債を発行しなければならないと発言しました。なぜ、このような状況下で無理に国債を発行してまで経済対策を行うのでしょうか。現在の局面で、ばらまきと言われかねない政策を実施する必要はあるのでしょうか。総理に認識を伺います。
 このようなばらまき色の濃い政策を行う一方、政府は、コロナ禍で拡張した財政の平時への回帰を掲げています。しかし、今般の補正予算総額は十三・二兆円、来年度の所得税、住民税減税を含めれば十七兆円台前半に上り、二〇二〇年度から減少を続けているものの、いまだにリーマン・ショックの発生した二〇〇九年度の補正予算に並ぶ規模となっています。総理が思うに、今は平時なのでしょうか、それともリーマン・ショックと並ぶ経済危機にあるのでしょうか。総理の認識を伺います。
 変化の時代にあっては、ばらまきをすることだけが対応策ではありません。一九七〇年代の日本では、オイルショックを逆手に取って高効率な省エネ社会への転換を果たし、自動車や電機など、新ビジネスを次々と生み出してきました。
 総理は、改造内閣に、変化を力にする内閣と命名しましたが、政府の経済対策からは、コロナ禍以降の社会の変化に対してどのように適応して日本の成長につなげるか、方向性が全く見えてきません。政府は、コロナ禍以降の社会の変化をどのように認識した上で、どのように変化を力にしようとしたのでしょうか。その認識が、国土強靱化や食料安全保障、花粉症対策など、特に政府の経済対策の第五節に掲げられている総花的な政策にどのようにつながったのでしょうか。総理の認識を伺います。
 このように、政府の経済対策からは長期的な改革の方針が見えてこないため、総理肝煎りで実施する所得税減税、給付の組合せについても、景気浮揚効果は余り見込めないでしょう。現役世代は、将来、負担が増加することへの不安から、減税分のお金は消費せず、貯蓄に回そうと考えるはずです。所得税減税にどの程度の景気浮揚効果を見込んでいるのでしょうか。総理と財務大臣に伺います。
 現役世代が今最も苦しんでいるのは、社会保険料の負担です。例えば、国民年金保険は、誰でも一律同額、一か月当たり一万六千五百二十円です。社会人になりたての若者からこの金額を徴収するのは、余りにも酷ではないでしょうか。
 日本維新の会の経済対策では、逆進性の高い社会保険料を減額し、可処分所得を増やします。加えて、年度末までに高校教育を無償とすることにより、現役世帯の教育費負担を和らげます。どちらの政策も、本来は長期的に腰を据えてやるべきことではありますが、私たちが思い描く未来を少しでも実感していただくために、まずは本年度実施する案となっています。
 翻って、政策を掲げる所得減税では、果たして来年度、再来年度やそれ以降、どのように国民の負担を軽減していくか、長期的な展望が見えてきません。
 特に、さきの予算委員会の質疑の中で我が党議員が指摘してきたように、既に社会保障制度、特に医療保険制度における給付と負担のバランスは崩壊しており、高齢化に伴って上がり続ける現役世代の負担は既に限界を超えています。我が党は、この構造問題を抜本的に解決すべく、医療制度改革タスクフォースを立ち上げ、後期高齢者医療制度の見直しを含む改革プランの取りまとめに入っています。
 総理は、この構造問題に対して共に立ち向かっていくお考えはあるのでしょうか。今回の所得減税を第一歩として、長期的に上がり続けている国民負担率の軽減に、とりわけ医療制度改革に取り組んでいくべきだと考えていますが、総理の御所見をお伺いします。
 社会保険料が今後一層増えていくことは明らかです。政府は、少子化対策の財源として、社会保険料に支援金を上乗せする方針です。これは、子育ての負担を子育ての当事者である現役世代に押しつけるものです。たとえ子育て世帯への給付が増えるとしても、同世代で子供を持たない人にとっては負担が増えることになります。つまり、単なる世代内での所得移転でしかありません。
 このような政策を取り続ければ、少子高齢化が一層進むことは間違いないでしょう。今後、団塊ジュニア世代が高齢化し、現役世代の人口が少なくなると、支援金は今の社会保険料同様にどんどん増えるのではないでしょうか。こども政策担当大臣の認識を伺います。
 一つ支援制度をつくれば一つ負担を増やすという今の少子化対策のやり方で、本当に現役世代が安心して子育てができるとお思いでしょうか。総理の認識を伺います。
 エネルギー価格の高騰にも現役世代は苦しめられています。しかし、事業者へ補助金を渡すことでガソリン価格を引き下げようとする燃料油価格激変緩和対策事業でも問題点が明らかになっています。
 会計検査院は、本事業で交付した補助金の効果について調査したところ、ガソリン価格の値下げ幅は、交付された補助金の額よりも少ないことが明らかになりました。このように、事業者への補助金は、全額が価格転嫁されるとは限りません。また、当初の狙いを外れ、価格転嫁されなかった補助金が実質的に事業者を支援してしまうことにもつながりかねません。
 日本維新の会は、集めて配るのではなく、そもそも集めない経済対策を主張しています。補助金ではなく、価格そのものを引き下げる政策こそが、消費者に効果が直接及び、競争環境もゆがめない、最も効率のいい政策であると考えます。
 政府は、ガソリン価格の高騰に際して、どのような判断で事業者への補助金を政策の手段として選んだのでしょうか。また、慮外に事業者を支援してしまうことについては、どのようにお考えでしょうか。総理の見解を伺います。
 日本維新の会は、ガソリン価格の高騰対策として、暫定税率の廃止を主張しています。一方で、総理は、令和四年五月二十五日の参議院本会議にて、気候変動が社会課題となっている中で、当分の間税率の廃止については慎重であるべきだと述べています。
 気候変動の対策のために必要というのであれば、ガソリン税を一般財源化したことと矛盾するのではないでしょうか。お金に色はついていないのですから、財政全体を広い目で見て、行財政改革を行うことで捻出できないのでしょうか。これを踏まえて、暫定税率はきっぱりと廃止するべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 政府の経済対策では、生産性向上を含む供給力強化に向けた取組を行うとしていますが、供給力の強化は、ばらまきによってはできません。既得権を打破して規制改革を推進し、イノベーションを推し進めなければなりません。規制改革について質問をいたします。
 まず、規制改革のシンボルとして、ライドシェアについてお伺いします。
 今国会の所信表明演説で、総理は、ライドシェアの課題に取り組むと述べられました。しかし、政府の経済対策の中には、「不便の解消に向けた地域の自家用車・ドライバーの活用の検討」という表現が表れるのみで、ライドシェアの言葉が消えました。これは、既に海外で導入されているいわゆるライドシェアと同じものでしょうか、それとも、既得権益のキメラ的な、地域限定のライドシェアもどきなのでしょうか、どちらでしょうか。
 ライドシェアへどのような態度を取るかは、既存の業界団体との関係性と新しいテクノロジーによる新市場の創造のどちらを重視するかの分かれ目であると考えます。
 先日の規制改革推進会議では、ワーキンググループの委員七名が、二〇二四年をめどに、ライドシェア事業を新たに位置づける法律の制定を検討するように求めました。加えて、年内をめどに、現行法の運用見直しに向けた具体的な方針を打ち出すように求めています。当然、変化を力にするために、この提言の内容を重く受け止め、意見書のスケジュールどおり推進するおつもりであると信じていますが、いかがでしょうか。総理及び規制改革担当大臣にお尋ねします。
 次に、農業分野の規制改革についてお伺いします。
 政府の経済対策には、食料安全保障を冠した農業の支援策が数多く含まれています。しかし、先月、会計検査院が、水田活用の直接支払交付金事業という、水田で畑作をするという実質的に米の減産を進める補助金について調査したところ、百三十億円余りが不適切に交付されていました。不適切な交付がこれだけの額に上るのは、良質な米をより多く生産したいという農家の熱意に反しており、そもそも無理がある政策だったのではないでしょうか。総理の認識を伺います。
 本気で食料安全保障を強化したいのであれば、米農家にふだんからより多くの米を生産していただき、並行して海外市場も開拓して、輸出にも力を入れるのが筋だと考えます。もし有事になれば、輸出用の米を国内に回すことで、すぐに食料を確保することができます。アメリカやオランダ、ドイツなど諸外国に倣って、米の減産を進める政策は改め、米農家の努力を後押しし、米の輸出を進めるべきと考えますが、総理の認識を伺います。
 最後に、雇用分野の規制改革についてお伺いします。
 政府の経済対策では、構造的賃上げに向けて、三位一体の労働市場改革を進めるとしています。しかし、構造的な賃上げを起こすには、捕捉率の高いセーフティーネットの整備から始めて、人材の流動化を進めることで、労働者の生活の安全を守りながら成長産業に容易に移動できる、いわゆるフレキシキュリティーを構築しなければなりません。
 フレキシキュリティーが実現することで、労働者にとっては、情熱を持って働くことのできる仕事を見つけることにつながり、また雇用者にとっては、今までは大企業などの正社員としてなかなか雇うことのできなかった優秀な人材を採用するチャンスが広がります。人材の流動化を進める必要性及びそのための具体的な対応策について、総理の見解を伺います。
 選挙対策のばらまきを行いながら、長期的には規制には手を入れず、潜在成長率も高まらない、そのような政府の経済対策に対して、日本維新の会は、社会保険料減免を行うことを柱に、緊急的に必要な物価高政策や生活困窮者支援を実施し、規制改革、社会保障制度を通じて長期的な構造改革を実現し、持続可能な社会を実現していくことをお約束して、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

speech_id: 121205254X00720231120_035

発言者: 伊東信久

speaker_id: 23221

日付: 2023-11-20

院: 衆議院

会議名: 本会議