西村康稔の発言 (経済産業委員会)

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○国務大臣(西村康稔君) おはようございます。第二百十二回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、原子力経済被害担当大臣、GX実行推進担当大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、内閣府特命担当大臣、原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当として申し上げます。
 我が国経済は、国際経済秩序の変化やコロナからの再興といったマクロ環境の変化に加え、これまでの様々な施策の効果もあり、過去最高水準の国内投資見通し、高水準の賃上げの実現など、潮目の変化が生じています。
 こうした潮目の変化を踏まえ、従来のデフレからの脱却のその先の、新しい時代の経済構造への変革が求められています。現在直面する物価高は、言わば輸入物価上昇によるインフレですが、これからの日本は、賃上げを伴う安定的な物価上昇に転換していく、着実にその方向に進んでいると信じます。
 今後も、継続する構造的な人手不足、人口減少といった状況を乗り越え、持続的賃上げを実現する新しい時代の経済構造への転換、改革を図る必要があります。私は、経済産業大臣として、政権運営の根幹たる経済政策に全身全霊で取り組み、山積する課題に一つ一つ答えを出していく、このミッションを完遂する覚悟であります。
 福島復興と東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・処理水対策は、経済産業省の最重要課題です。
 本年八月、福島第一原発の廃炉に向けた大きな一歩となるALPS処理水の海洋放出を開始しました。たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、ALPS処理水の処分が完了するまで、政府として全責任を持って取り組んでいくとともに、ALPS処理水の安全性の確保、風評対策、なりわい継続支援に全力で取り組みます。着実な廃炉の進展に向け、燃料デブリの取り出し等のための技術的難易度の高い研究開発を支援します。
 特に、漁業者の皆様が安心して漁業を継続できるよう、これまでの八百億円の基金を含む総額千七億円の政策パッケージを適時適切に、迅速に、着実に実行に移すとともに、輸出減が顕著な品目の販路拡大や加工体制強化、加工業者等への資金繰り支援を行います。
 あわせて、帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組、事業、なりわいの再建や新産業の創出、交流人口の拡大、芸術文化を通じた新たな魅力づくりなど、被災地の復興を着実に推進します。
 また、福島以外の地域においても、文化芸術コンテンツ産業等の海外展開や、ロケ誘致によるインバウンド需要の取り込みを進め、地域経済の活性化、地域における文化の再創造を支援します。
 脱炭素化の流れを我が国の成長につなげるGXの動きの中においても、エネルギーの安定供給は我が国経済社会にとって必要不可欠です。気候変動対応とエネルギー安定供給の両立、地政学リスクを踏まえた経済安全保障の確立の観点から、資源外交等を通じたLNGや重要鉱物の安定供給確保に加え、水素、アンモニアのサプライチェーン構築、CCSの事業環境整備に向けた検討を進めます。国内の制度設計、資源開発を含む総合的な取組を通じ、エネルギー危機にも備えた対策を進めます。
 足下のエネルギー高への対策として、出口も見据えた形で、燃料油価格、電気・都市ガス料金に係る激変緩和措置を来年春まで継続します。
 同時に、省エネ型の経済社会構造への転換を実現すべく、企業における省エネ型設備への更新を複数年度にわたり支援するとともに、家庭向けにも高効率給湯器の導入を推進します。あわせて、充電、水素充填インフラも含めた包括的な支援等を通じたクリーンエネルギー自動車の普及や、合成燃料の早期商用化を目指した実証研究を推進します。
 さきの通常国会におけるGX二法の成立を踏まえ、地域と共生した再生可能エネルギーの最大限活用、送電網の整備推進や蓄電池等の導入、安全最優先での原発再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の開発、建設等に取り組み、エネルギーの安定供給を恒久的に実現するためのあらゆる方策について検討します。
 賃上げについて、足下の潮目の変化を持続的な動きにしていく必要があります。まずは、賃上げ税制の減税制度の強化を検討します。加えて、取引適正化、価格転嫁対策を強力に推進するとともに、中小企業・小規模事業者の事業再構築や生産性向上の取組を支援します。また、大幅な円安を逆手に取った新規輸出一万者支援プログラムや小規模事業者持続化補助金を通じ、中小企業・小規模事業者の輸出・販路拡大、売上拡大を支援します。
 また、イノベーションの源泉である人への投資を未来への投資と捉え、政府がその呼び水となる支援策を実施するヒューマンニューディールが重要です。キャリア相談、リスキリング、転職までを引き続き一体的に支援し、政府全体で正規、非正規、社内、転職問わずキャリアアップできる環境を整備します。
 地域における良質な雇用の拡大と成長投資の促進、地域経済を牽引する成長企業の創出に向け、中堅・中小企業・小規模事業者の人手不足を補う省人化、省力化を企業の規模に応じた適切な形で支援します。さらに、中堅・中小企業の成長に向けた税制措置を講じます。厳しい事業環境の中にある中小企業に対し、事業承継、事業再生、廃業等に係る相談体制の強化を行うとともに、中小企業の事業承継を後押しするため、事業承継税制における特例承継計画の提出期限の延長等を行います。また、インボイス制度の導入にも適応できるようきめ細かに支援します。また、ゼロゼロ融資の返済本格化を迎える中で、経営改善、再生支援を進めるための官民会議を新たに設置し、挑戦意欲がある事業者の支援を加速します。
 深刻な人手不足を背景とする物流の二〇二四年問題の解決を図るべく、荷主企業の物流施設の自動化、機械化を含むあらゆる支援等を実施します。
 強靱で柔軟な経済を構築するためには、国内において成長につながる投資を促すべく、一歩踏み込んで政策を進めることが重要です。特に、GX、DX、経済安全保障等、国として戦略的に重要な分野の中でも、民間での投資額の大きさによりリスクのある物資の国内投資、生産を促進するため、中長期的な予見可能性を示しつつ、生産活動に応じた減税措置の創設を検討します。また、持続可能性や信頼性等を満たす形で生産された重要物資の需要に働きかける政策を検討するなど、国際協調の下、グローバルに公正な市場、事業環境の整備に取り組みます。
 半導体や蓄電池、AI、量子等、今後の経済成長の鍵となる戦略分野について、国内投資、研究開発、人材育成等を支援します。特に半導体は、これまでTSMCの誘致やラピダスの支援などを進めてきましたが、引き続き、生産拠点整備や研究開発の支援等の取組を加速します。あわせて、関係省庁とも連携し、地域の理解を得た土地利用に関する規制の柔軟化や、工業用水等のインフラ整備にも取り組みます。
 昨年成立した経済安全保障推進法に基づき、半導体、蓄電池、重要鉱物など特定重要物資に係る国内生産設備の導入、研究開発等を通じたサプライチェーン強靱化支援にも取り組みます。
 また、経済成長にはイノベーションも不可欠です。日本を世界に誇るイノベーション拠点とすべく、知的財産から生じる所得に対して優遇する減税制度、いわゆるイノベーションボックス税制についても創設を検討します。また、国内のイノベーション推進に向け、破壊的イノベーションの創出を目指した研究開発や、AIの開発力強化、中小企業等における導入促進等に対する強力な支援とともに、スタートアップのグローバル展開や人材育成等に対し幅広い支援を行います。さらに、投資支援の拡充を含め、産官学連携で成長志向型の資源自律経済の確立に向けた取組も進めます。
 こうした我が国のイノベーションの可能性を二〇二五年大阪・関西万博において世界に発信します。ポストコロナの新たな世界、次世代技術・社会システムが形作る未来社会の姿を示すべく、海外パビリオン建設の遅延といった課題を解決しながら、万博の成功に向けて関係省庁や地元自治体等と一丸となってオールジャパンで取組を進めます。
 人口減少下にある我が国にとって、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXによる省人化、システムの高度化は急務です。このため、先行地域におけるドローンや自動運転トラック等の社会実装、インフラ管理のデジタル化に必要となるデジタルライフラインの整備、さらに、これらを支えるデジタル人材育成を進めます。
 同時に、デジタル化に伴うサイバー攻撃への強靱化を図るべく、産業界全体におけるサイバーセキュリティー対策強化の取組も支援します。
 ロシアによるウクライナ侵略、大国間競争の激化、深刻化する中東情勢など、地政学リスクの高まりが我が国の経済社会にも大きな影響を及ぼしています。こうした中、経済安全保障の重要性がますます高まっており、対外経済政策を抜本的に強化し、同盟国、同志国と連携しながら、強靱で信頼できるサプライチェーンの構築、経済的威圧への対応、重要鉱物の確保などに取り組みます。また、自由で公正な経済秩序の維持強化に向け、CPTPP等の経済連携協定やWTOなどの多国間の枠組みを活用します。さらには、これらの課題に対し、IPEF、日米経済版2プラス2といった新たな枠組みも活用してまいります。
 また、ロシアのウクライナへの侵略が継続する中、影響を受ける日本企業を引き続き適切に支援するとともに、日本企業によるウクライナ復興への貢献を支援します。
 貿易の活性化、対日投資の促進に加え、未来志向型産業の共創に係る支援等を通じ、グローバルサウスとの連携強化を推進してまいります。
 本年、日本とASEANは友好協力五十周年を迎えました。これからの五十年を視野に、共に未来を担う産業を創る共創をキーワードに、日・ASEANの産業協力強化に向けた具体的な取組を進めるとともに、アジア・ゼロエミッション共同体構想の推進を通じ、更に連携を深めます。また、これらを支える人材、特に時代を担う若手のネットワークづくりに取り組みます。
 以上、申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。先週取りまとめられた総合経済対策においても、必要な措置を講じてまいります。様々な御意見に耳を傾けながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。
 森本委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 西村康稔

speaker_id: 6755

日付: 2023-11-07

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会