赤池誠章の発言 (文教科学委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○赤池誠章君 委員派遣報告。
去る七月四日及び五日の二日間、京都府において、地方における文化に関する実情を調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、高橋委員長、今井理事、熊谷理事、竹内委員、松沢委員、吉良委員、そして私、赤池の七名でございます。
一日目は、まず、本年三月下旬から業務が開始されました文化庁京都庁舎を訪問いたしました。文化庁の京都への移転は、平成二十八年三月のまち・ひと・しごと創生本部の政府関係機関移転基本方針において決定されたものです。この取組は、中央省庁の本庁機能が地方に移転する初めての試みであり、単に東京一極集中の是正にとどまらず、文化芸術のグローバルな展開やデジタルトランスフォーメーション、観光や地方創生に向けた文化財の保存、活用などを始めとする新たな文化行政を推進する上でも、大きな契機になるものとされております。移転先の庁舎は、京都府庁の施設を活用して整備されたものであり、かつての京都府警察本部本館を改修した建物と、その隣に新築された行政棟の二棟で構成されています。
都倉文化庁長官を始め、京都庁舎で勤務する職員から、移転後の現状や課題について説明を聴取するとともに、庁舎内の文化財関係執務室や文化情報発信室を視察したほか、プロジェクター室では東京庁舎とのリモートによる対話方法について説明を伺いました。また、当委員会での質疑にリモートで答弁することを想定した場合の課題、京都庁舎への移動が完了した場合の職員数の見込み、関西における文楽の担い手を育成する取組の現状、職員が文化的な教養を積極的に体得することの必要性、職員やその家族の生活状況等について、意見交換を行いました。
次に、世界遺産である二条城を訪問いたしました。同城は、平成二十三年度からおよそ二十年の歳月を掛け、城内全ての歴史的建造物を中心に修理や整備が行われる予定となっており、本丸御殿の玄関などの保存修理の状況や、今後修理が行われる二の丸御殿内大広間などの現況について、同城を管理する京都市の担当者から説明を聴取しつつ視察を行いました。修理事業の実施経費に充てるため一口城主と呼ばれる募金が行われていることや、城内での音楽イベントなどの様々なイベントの開催、結婚式のための利用など、二条城の文化的な価値を共有するための取組についての説明も伺いました。
次に、京都国立博物館を訪問いたしました。同博物館では、松本館長や担当者から概要説明を伺った後、茶の湯で用いられる名わんを始め、新たに収集された絵画や工芸、彫刻等の展示を視察いたしました。また、同博物館内の文化財保存修理所を視察いたしました。修理技術者から、修理工程や必要な用具、原材料の確保状況、人材育成等について説明を聴取するとともに、極めて繊細な修理作業を間近に拝見することができました。
その後、一般社団法人国宝修理装こう師連盟の山本理事長と宇都宮専務理事及び公益財団法人美術院国宝修理所の岩下所長と意見交換を行いました。その中で、修理に不可欠な用具や原材料の生産についての支援、文化財の所有者が負担する修理費用に係る補助金の増額、現在手狭となっている修理スペースの拡充等について、国への要望がありました。また、女性の修理技術者が継続して従事できる雇用制度の内容や、一連の修理作業を一般見学の対象とし、その入場料収入を修理費用に充てる取組の可能性等について、率直なお話を伺いました。その際、同席した文化庁からは、修理スペース不足などの課題に対応するため、文化財修理センターの設置に向けて検討を進めている旨説明がありました。
次に、文化行政を取り巻く諸課題について、西脇京都府知事、門川京都市長、松本京都国立博物館長、福永京都国立近代美術館長及び山本一般社団法人国宝修理装こう師連盟理事長と意見交換を行いました。文化庁の京都移転に伴う文化行政の取組の現状、文化財の修理や保存、活用における課題、我が国の食文化や文化観光を推進する上で京都がリードしていくことの重要性等について、率直なお話を伺いました。
二日目は、まず、本年四月に開館六十周年を迎えました京都国立近代美術館を訪問し、収蔵庫や展示作品の視察を行いました。福永館長や担当者から、これまで同美術館が果たしてきた役割、美術・工芸・写真などの保存技術、視覚障害教育を行う地域の特別支援学校等と連携し、触覚や聴覚などを用いて作品を鑑賞する取組等について説明を聴取するとともに、年々増加する作品の収蔵スペースの確保などの課題についてもお話を伺いました。
次に、大徳寺を訪問いたしました。鎌倉時代に創建された大徳寺は、応仁の乱で荒廃するも一休宗純により再建され、また、豊臣秀吉や千利休などと関わりが深い歴史があり、境内には国宝、重要文化財の建造物や美術工芸品、特別名勝の庭園を多数有しております。今回は、江戸時代初期の寛永年間に建てられ、国宝に指定されている方丈について、昭和七年以来となる解体修理が行われている現場を間近に視察し、福代大本山大徳寺塔頭興臨院住職や京都府の担当者から、修理方法や進行状況等について説明を聴取しました。その際、約四百年前の寛永と記された畳を拝見し、その畳も修理して使い続ける旨のお話も伺いました。
以上、概略を申し述べましたが、おかげさまをもちまして、今回、多くの方々との非常に有意義な意見交換と実りある視察を行うことができました。改めて当委員会として、文化行政の重要性を踏まえ、文化庁の京都移転後もその機能強化が一層図られるよう、引き続き注視していく必要があると認識した次第です。最後に、今般の委員派遣に御協力いただきました関係機関の方々に対し、この場を借りまして厚く御礼を申し上げ、派遣報告を終わります。