高橋真木子の発言 (文教科学委員会)

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○参考人(高橋真木子君) ありがとうございます。高橋真木子と申します。
 私は私立大学の教員ですが、今日は法律改正に関連する二つの経験を持った者として意見を述べさせていただきます。
 一つ目は、本法案に係る省庁の審議会などへの委員としての関与です。
 具体的には、まず一つ目として、今までも話題に出たと思いますが、文部科学省科学技術・学術審議会の大学研究力強化委員会です。この議論を通じて、現在、選考、認定の過程にある、国際卓越とパッケージである、対を成す地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の検討、審査を担う事業推進委員会の委員も務めております。
 これに加えて、昨今と申しますか、済みません、昨今じゃないです、この十年以上、二十年以上ですね、大学の機能強化はもちろんいろいろなところで議論され求められてきたところですが、そのうち、大学の機能を少し分化させていくという意味では、研究力の強化は非常に重要な議論として一つのトピックでありました。その研究力強化の議論をした指定国立大学創設の議論、また、科学技術・学術審議会の下に設置されている産学連携関係の委員会の委員もさせていただいております。
 なぜこのような若輩者の私がこのような委員をさせていただいたかというと、今、光本参考人からおっしゃられた、二〇〇四年以降の国立大学の激変に実務者としてその荒波の中で仕事をしてきたという実体験からです。
 まず一つは、この委員としての経緯に関わったところと、自分自身が、この国立大学が変わっていく中で、その必要性と難しさ、そして課題があるけれども、それでも進めなくちゃいけないかというところを、私は今日この場で少し自分の経験も含めて申し上げたいと思います。
 二つ目の観点というのがまさにそれでして、今、日本の大学にはURAという研究推進支援の専門人材が、日本全国で、たったですけれども千六百人ほどおります。この方たちは、二〇一一年以降、文部科学省の政策により、大学の中で主に研究者とともに研究推進支援の役割を担う専門家として徐々にその定着を図ってきたところです。
 私自身、分子生物学で修士学を取った後、三十年間、約、いわゆるURAのような仕事をしてまいりました。現在では、そのコミュニティー、日本の中での千六百人をまとめるような形でのコミュニティーの形成にも貢献しておりますし、その中で、国際的な学会のようなものがありますけれども、ネットワークにも関与する機会を恵まれました。そこで得たのは、日本の大学の圧倒的な世界の流れに対しての蚊帳の外感であり、これでは非常にまずいという危機感です。
 今日、三つのことを申し上げたいと思って参りました。
 まず一つは、もう共有されているとは思いますが、日本の科学技術力低下に関する現状認識です。
 これはもう一定の認識を持っていらっしゃると思いますので非常に簡単に申し上げたいと思いますが、国際比較でいうと、各数字が非常にシビアな現状を示しています。
 主たる理由は四つほどあると思っておりまして、大学の基盤的経費の削減、競争的資金による事業の増加、ここが増えたことによって激増した大学及び研究者の事務コスト増、また、三点目として現役研究者の研究時間の減少、特に若手で顕著です。四点目は、研究者の任期制割合の増加。これらはいずれも連関する現象であり、これがひいては、一つとして科学者という職種への魅力の減少、二つ目は博士課程進学率の減少という、国に中期的に、中長期的にもうボディーブローのように利いてくる負のスパイラルを加速させています。今までの三人の参考人の先生方がおっしゃった意見も、このそれぞれの事象を捉えてどうすべきかということに刺さっているのだと思います。この危機的な状況を幾つかの大学の先生方が、総長、学長のリーダーシップで何とか変えていく方策、今回のこの事業というのはその方策の一つだというふうに私は理解しております。
 まず、これが一点目の科学技術力低下に関する現状認識です。
 この根拠、どうしてこの認識についてこの対策があり得るのかということと、このシステム、制度が動いたときに実際次にどのようなことが必要になってくるのかということについて、私の現場感覚を含めて申し上げたいと思います。
 まず、最初に申し上げた、世界から取り残されるという圧倒的な危機感と、どうすればうまくいくかということについては、連関するのでまとめて申し上げたいというふうに思います。先ほど私の実務経験と申し上げたユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーター、研究推進支援の専門人材に関連するところです。
 欧米諸国のどの大学でも、今、いわゆる大学の二大職種、事務方と研究者以外に、大学をうまく回していくためには、それ以外に重要な専門家がいます。田中参考人がおっしゃった、新しい大学において産業界と窓口になるような組織、これには知財の専門家、契約の専門家、コンプライアンス、データ、それのような、大学の今までの方たちにはなかなかなし得ないような、また、今後も新しい、世界が動く中で大学が果たす役割を果たすためにいろいろな専門家が必要になります。そういう方たちをどうやって大学の中の一員として担わせて、大学の中に職種として定着させて、大学として組織がうまく回していくのか、これは非常に重要な問題で、日本だけの問題ではありません。もちろんアメリカもヨーロッパもそれに対して手を打ってきています。その一つの職種が、総称すればユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーターです。
 圧倒的な危機感ということについて、私は、そういう意味では、概念ではなく、今年の五月に体験した惨敗する思いを申し上げたいと思います。
 私は、日本のURAのコミュニティーの代表者ですが、この五月、南アフリカのダーバンで開かれました国際大会に行ってまいりました。参加者は世界四十か国から五百人程度、URAの専門家が集まる会議です。ここでは、二年に一回開かれているわけですが、アメリカやEUの大学のうち、いわゆるアフリカに対して連携を取りたいという人たちが非常に積極的にアフリカの大学に対するアプローチをしていました。
 今、我々が国内でアフリカの大学をどう認識しているかというと、指標で見れば、まだまだそんなに私たちの存在を脅かすものではないと思います。むしろ地域的だったり学術的なダイバーシティーの観点から、うまくイコール、うまくパートナーシップを結べるような相手だというふうにきっと思っていると思います。
 しかし、その五月のダーバンで感じたのは、ヨーロッパに関しては、ヨーロッパの連携、EUフレームワークというのがありますけれども、アフリカの大学といかに人としてつながり、ファンドをきちんとして共同で回し、そこから研究成果を生み、ひいては研究をうまく連携して共同研究で持っていくか、そのためのアプローチのために応援団、視察団を送っていました。また、アメリカの大学の方は、いかにアメリカのファンドをアフリカの大学と一緒につくって動かしていくかというために、アフリカのシステムについて、あっ、アメリカのシステムについてアフリカの大学に直接説明をするような、そういうセッションを多く持っていました。
 では、日本はどうかというと、あいにくその五百人の参加者のうち、私がその国際機構の二年間チェアを務めたんですけれども、私ともう一人、一緒に付いてきた人たちだけです。なぜかというと、一つには、まだURAの歴史が日本では浅いから、千六百人しかいないからですし、個々の大学でも活動をし始めていますけれども、そういう人たちがまだ大学の中で、あしたの仕事には関わらないかもしれないけれど、五年、十年先の国際連携のために大切だからそういうところに人を送るという判断がなかなかできないからだと思います。これは単に一つの例です。
 やはり、大学がこれから自分の大学の強みを生かし、場合によっては五年、十年先の投資のためにアフリカまで人を出すですとか、うちの大学の研究資源として最もいいパートナーはアフリカなのでという形で積極的な手を打っていくようなことをなかなか今の日本の大学ではしにくい、ここが一つ致命的に日本の研究力にとってダメージになるというふうに私は思っております。
 これには、これを解決するのはそう簡単なことではないです。もう既にいろいろな御議論がされていますし、お金も投じているということも理解しています。しかし、やはり私の実務経験から思うのは、個々の施策がピンポイントで連携をつなげるのがどうしても組織レベルではなかなか難しいということです。
 今の経験に基づくと、一番いい打てる手というのは、やはり大学のトップが自分のこととして、自分の資源でどう資源配分をし外の資源をうまく使えるかという、もう少しそのハンドリングを大学側に持たせること、そのためには今回の国際卓越と地域中核という政策パッケージは非常に有効であると思っております。このシステムをうまく回すために、今回の法案に関して、地域目標や地域計画が一人の学長の領域を超えて組織として意思決定をうまく進めていくために非常に重要だと思っております。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 高橋真木子

speaker_id: 2116

日付: 2023-12-05

院: 参議院

会議名: 文教科学委員会