岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山口那津男議員の御質問にお答えいたします。
 重点支援地方交付金の積み増しについてお尋ねがありました。
 物価高の影響を受け厳しい状況にある生活者、事業者の方々をしっかりと支えるため、政府はこれまで、重点支援地方交付金を措置し、生活困窮者や子育て世帯、中小企業への支援を含め、地域の実情に応じた取組を支援してきました。今回の経済対策においても同交付金を追加し、引き続き支援をします。
 また、多くの自治体では、この夏以降、一世帯当たり三万円を目安に低所得者世帯への支援を開始してきました。重点支援地方交付金の低所得者世帯支援枠についても、今回の経済対策において追加的に拡大いたします。
 引き続き、同交付金を始め重層的な対策を講じることによって、物価高から国民生活と事業活動を守り抜いてまいります。
 中小企業の賃上げ支援についてお尋ねがありました。
 持続的で構造的な賃上げ実現に向けて、中小企業への支援が重要です。いただいた提言も踏まえ、価格転嫁対策、生産性向上支援、資金繰り支援に取り組んでまいります。
 価格転嫁対策としては、年二回の価格交渉促進月間における発注企業の価格交渉、価格転嫁の状況についての公表や、賃上げ費用の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を年内に策定することとしています。
 また、売上げ拡大や生産性向上など、経営者の挑戦を後押しするための支援を着実に進めるとともに、今後取りまとめる新たな経済対策において省人化、省力化投資の支援措置を強化してまいります。その際、御提言も踏まえ、商工会、商工会議所など、地域の中小企業支援機関が小規模事業者の申請書の作成を支援する体制、これを引き続き整備いたします。
 さらに、資金繰り支援として、賃上げに取り組む中小企業に対する低利融資の検討を進めるとともに、御提言いただいた経営者保証の提供を選択できる信用保証制度の年度内創設に向けた準備を進めてまいります。
 中小企業庁を司令塔に、関係省庁一丸となってこうした政策を着実に進め、中小企業における持続的な賃上げ、所得向上を実現してまいります。
 中小企業におけるカーボンニュートラルや省エネの取組についてお尋ねがありました。
 カーボンニュートラルの実現に向けて、中小企業も含め、社会全体のGXを進めていくことが重要です。
 中小企業の省エネ促進に当たって、専門家による省エネ診断や省エネ設備への更新に対し支援を行っていますが、その際、御指摘のように省エネ診断を参考とした設備導入を優遇するなど、一貫した支援を行うこととしています。また、設備導入のこの好事例について、事例集の公表や民間への講演等を通じた横展開を図っており、引き続き取組を充実させてまいります。
 こうした中小企業の省エネ取組を更に後押ししていくこととしており、今後取りまとめる経済対策で必要な施策を盛り込んでまいります。
 インボイスについてお尋ねがありました。
 インボイス制度の開始により、制度に対する御不安や御懸念を抱かれる方もいらっしゃると思います。そのような不安等に対しては引き続き適切に相談に応じていくとともに、来年の確定申告に向けては、税負担や事務負担を軽減する二割特例等をしっかりと周知した上で、事業者からの相談に対し適切にお受けする体制を整備してまいります。
 また、免税事業者の不当な取引排除や価格引下げに対しては、公正取引委員会を始め政府を挙げて取引環境の整備に取り組んでおり、引き続きこうした対応を的確かつ厳正に実施してまいります。
 引き続き、政府一丸となって、制度の施行状況等をフォローアップするとともに、事業者の立場に立って柔軟かつ丁寧に対応してまいります。
 農林漁業者の所得の確保、拡大についてお尋ねがありました。
 農林漁業に携わる方々が夢と希望を持って活動していくためには、安心して働ける所得が確保される環境が重要です。
 このため、議員御指摘のスマート技術の開発、実用化等による生産性の向上や、環境に優しい農業の実践等による付加価値の向上に向けた取組を促進してまいります。
 加えて、今後更に重要性を増すのが拡大する海外の食市場の獲得です。高品質な我が国農林水産物の輸出増加に向けた取組を後押ししてまいります。
 また、現下の状況に鑑み、肥料や飼料、燃油等の価格高騰対策を着実に実施していくとともに、適正な価格形成に向けた国民理解の醸成と具体的な仕組みづくり、進めてまいります。
 これらを通じて、農林漁業者の所得が確保、拡大され、我が国において農林漁業が魅力ある営みとして持続的に発展していくよう取り組んでまいります。
 高等教育の無償化についてお尋ねがありました。
 高等教育の無償化については、低所得世帯を対象に授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて実施してきたところであり、さらに、令和六年度から、負担軽減の必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大することとしています。
 そして、これに加えて、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について、執行状況や財源等を踏まえつつ、対象年収の拡大を含め、更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めてまいります。
 不登校対策についてお尋ねがありました。
 先日公表された調査結果では小中学校の不登校児童生徒数が過去最多になるなど、極めて憂慮すべき状況です。
 このため、先般の不登校対策等に関する合同会議の場において、緊急的に対処すべきものについて経済対策にも盛り込むよう、私から文部科学大臣に指示を行いました。具体的には、校内の教育支援センターの設置促進や、子供一人一人のICT端末を活用した心の健康観察の推進、スクールカウンセラー等の配置充実等について速やかに実行してまいります。政府としては、不登校に関する対策を強化し、子供の安全、安心確保に万全を期してまいります。
 若者やお一人様を応援する政策についてお尋ねがありました。
 若者への支援については、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することで、将来にわたる展望を描けるようにすることが重要であると考えており、ハローワークでの安定就労に向けた就職支援、公的職業訓練を通じた能力開発支援等を行っているところです。こうした取組に加えて、三位一体の労働市場改革などの生産性を引き上げる構造的な改革を進めることで、若者も含めた持続的な賃上げを実現してまいります。
 また、御指摘のお一人様への対応についても、こうした雇用施策を含め、性別、年齢を問わず、孤独、孤立に悩む方々に必要な支援が行き届くよう、引き続き政府一丸となって取り組んでまいります。
 医療・介護制度と同時改定についてお尋ねがありました。
 令和六年度は、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等の報酬の同時改定が行われる大きな節目の年に当たります。御指摘のように、医療、介護の提供体制や人材確保、働き方改革といった観点は重要であり、同時改定においては、今般の経済対策における物価高騰や賃金上昇への対応を踏まえつつ、それに加えて、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者、利用者負担、保険料負担への影響も踏まえ、患者、利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行ってまいります。
 今後のウクライナ支援についてお尋ねがありました。
 ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、ウクライナ支援を強力に推し進めていく必要があります。
 日本はこれまで、ウクライナ関連支援として総額約七十六億ドルの協力を表明し、実施をしてきています。また、ウクライナの中長期的な復旧復興に向け、我が国の知見や経験を生かしつつ、地雷対策、瓦れき除去や電力等の基礎インフラ整備を含む生活再建など、引き続き日本ならではのきめ細かい支援を実施してまいります。また、ウクライナの復旧復興のためには、民間企業関係者の関与も不可欠です。この点、来年初めに開催予定の日ウクライナ経済復興推進会議なども通じながら、官民一体となった対ウクライナ支援を力強く推進していく考えです。
 核兵器禁止条約第二回締約国会合へのオブザーバー参加及び今後の核軍縮への具体的な取組についてお尋ねがありました。
 核軍縮をめぐる情勢が一層厳しいものになっている今こそ、核兵器のない世界の実現に向けて現実的で実践的な取組を着実に進めていかなければなりません。
 こうした思いから、私は、昨年、NPT運用検討会議に出席をし、ヒロシマ・アクション・プランを提唱しました。また、本年五月のG7広島サミットでは、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書となるG7首脳広島ビジョンを発出しました。本年九月の国連総会の機会には、FMCTハイレベル記念行事を主催し、FMCTの早期交渉開始に向けた国際社会の関心を改めて喚起するとともに、核兵器のない世界に向けた関係国の決意を改めて示すことができました。
 そして、御指摘の核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておらず、いまだその出口に至る道筋は立っていない、これが現状です。我が国は、唯一の戦争被爆国として核兵器国を関与させる努力をしなければなりません。
 本年十二月八日及び九日には、核兵器国と非核兵器国の双方からの出席を得て、それぞれの国の立場を超えて自由闊達な議論を行う、核兵器のない世界に向けた国際賢人会議の第三回会合を長崎において開催することとしました。諸般の事情が許せば私自身も出席すべく、調整を行っているところです。
 日・ASEAN関係の深化に向けた取組についてお尋ねがありました。
 ASEANは日本にとっての伝統的なパートナーであり、良好な日・ASEAN関係は日本の平和、繁栄のために不可欠です。また、ASEANは、世界の成長センターであるとともに地政学的要衝に位置をしており、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現に向けた要です。
 ASEANが掲げるインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPは、FOIPと本質的な原則を共有しており、手を携えて、海洋協力、連結性、SDGs、経済等で具体的な協力を進めていきます。
 本年十二月に東京で開催する特別首脳会議では、過去五十年の交流を通じて培った信頼関係を将来につなぐべく、新たな協力のビジョンを打ち出し、幅広い具体的協力の実施計画を発表し、日・ASEAN関係の一層の強化に向けた次世代の方向性を示したいと考えています。
 海上保安庁による平時の国際貢献や有事における自衛隊との役割分担の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、海上保安庁では、法の支配に基づく海洋秩序を維持するため、御指摘の海上保安政策プログラムを含め、諸外国への能力向上支援や各国海上保安機関等との連携協力を進めています。
 今後とも、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、しっかりとリーダーシップを発揮してまいります。
 また、有事における海上保安庁と自衛隊との役割分担については、本年四月に策定された統制要領に基づき、海上保安庁は、非軍事的性格を保ちつつ、国民保護措置や海上における人命の保護等を実施することとしており、今後も両機関の連携協力を不断に強化してまいります。
 災害復旧及び防災・減災対策についてお尋ねがありました。
 まず、六月以降の相次ぐ大雨や台風でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 災害からの復旧については、政府としても、被害を受けた道路、病院等に係る災害復旧事業による支援を行っているほか、梅雨前線豪雨等による災害を激甚災害に指定するなどしているところであります。
 また、浸水想定区域に所在する災害拠点病院については来年四月から止水板の設置等による浸水対策を講ずることとしており、必要な支援を行っているほか、指定避難所についても浸水対策を含めた防災機能の強化を支援しているところです。
 このほか、今回の経済対策では、国土強靱化、防災・減災など国民の安全、安心の確保を柱としているところであり、引き続き、災害復旧及び防災・減災対策に総合的に取り組んでまいります。
 そして、健康保険証の廃止についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、マイナ保険証には、患者本人の健康、医療に関するデータに基づいたより良い医療の提供が可能となるなどの多くのメリットがあり、我が国の医療DXを進める上で基盤となる仕組みです。
 現行の健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提であり、マイナ保険証への移行期においても全ての国民が安心して保険診療を受けられるよう、当分の間、マイナ保険証を保有していない方全てに資格確認書を申請によらず交付をいたします。
 政府としては、ひも付けの総点検とその後の修正作業を着実に進めるとともに、マイナ保険証のメリットを実感していただけるよう、利用促進に向けた取組を積極的に行ってまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-10-26

院: 参議院

会議名: 本会議