浅田均の発言 (本会議)

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○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
 私は、会派を代表して総理に質問いたします。
 今、多くの国民の皆さんにとって一番心配なのは、物価は上がるのに賃金、収入が増えない、賃金、収入が増えないから生活が苦しくなるということではないでしょうか。この問題を解決するには、賃金を上げる等して可処分所得を増やすか、物価を下げるか、あるいはそのいずれも実現する政策が必要です。
 私は、以下の循環、つまり、一、賃金が上がるから、物価が上がっても消費が減らない、二、物価が上がっても消費が減らないから、価格転嫁ができる、三、価格転嫁できるから、物価が上がり、GDPが増える、四、GDPが増えるから、賃金を上げることができる、こういう四つのステージから成る循環をつくり出すことが必要であるという観点から質問を始めます。
 まず、賃上げと価格転嫁について質問します。
 岸田総理は、地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げの実現を表明しています。今春の春闘では平均三・五八%の賃上げを実現できたと胸を張っていますが、組合のない企業も含めた中小企業は二%程度にとどまっているという数字もあり、まだまだ賃上げが隅々まで波及しているとは言えない状況です。総理はこの状況をどのように認識しておられますか。お答えください。
 総理は賃上げ税制を強化するための減税措置を表明しましたが、賃上げを企業の自主性に委ねるだけのスキームに持続性はなく、やはり必要なのは、いかにして経済を成長させるかです。
 経済は、コスト上昇分を価格に転嫁し、物価が上がることにより成長します。経済学の公準の一つと言ってもいいでしょう。
 ところが、帝国データバンクが七月に実施した調査では、価格転嫁率は四三・六%、つまり、コストが百円上昇した場合に、四十三・六円しか販売価格に反映できていないのが実態です。全く価格転嫁できない企業もいまだに一二・九%を占めています。これでは経済は成長しません。
 総理は、持続的な賃上げが可能となるよう、賃上げ費用の転嫁対策を強力に進めると表明されましたが、意味がよく分かりません。分かるような御説明をお願いします。また、従来の取組に加え、具体的にどんな対策を講じるのでしょうか。価格転嫁に関する具体策なしに賃上げを唱えても空念仏です。総理の認識をお尋ねします。
 次に、物価を下げる観点からの質問です。
 足下の急激な物価高から国民生活を守るための対策は急務です。
 これまで政府が実施しているスキームは、主として供給側の特定の事業者、団体に補助金を投入するという手法ですが、我が党は一貫して最終消費者への直接の支援、集めて配るのではなく、そもそも集めないことにより最終消費者の可処分所得を直接向上させるべきと主張しています。
 ガソリン高騰に対する激変緩和措置事業を来年春まで継続すると表明されましたが、今後も引き続き補助金を投入するのであれば、リットル二十五・一円分の当分の間税率を廃止し、その上で百七十五円程度まで補助金を投入するスキームに変えても要する費用は同じだと思いますが、まずは財源総額の多寡についてお答えください。その上で、最終消費者の可処分所得を直接向上させることが可能な当分の間税率の廃止をなぜ行わないのか、行えないのか、理由を明確にお答えください。
 岸田総理は所信の冒頭、変化の流れを絶対に逃がさない、つかみ取ると発言されました。しかし、変化を認識できない者に、変化の流れをつかみ取ることなどできようはずもありません。
 変化が起き始めたのは十年以上も前のことです。二〇〇七年にiPhoneが登場し、スマホが急速に普及してから、それまでにはなかった新たなサービス、新たなビジネスが可能になりました。その一つがライドシェアです。
 我が党がずっと主張してきたライドシェア導入について、総理は所信表明演説で、ライドシェアの課題に取り組むと極めて微妙な表現をされました。地域交通の担い手不足、インバウンド回帰による観光地等での移動手段の不足といった問題を解決するために、個人タクシー運転手の年齢上限を七十五歳から八十歳に引き上げるとか、外国人労働者にも広げるといったタクシー業界を守るための信じられないような対応ではなく、新たなサービスとしてのライドシェア導入にかじを切るという宣言と理解してよいのか、まずは総理の見解をお伺いします。
 多くの国では、ライドシェアを合法化するか否かは決着済みで、今や当たり前のサービスです。
 昔から近所の人や友人を車に乗せることはありましたが、ここにイノベーションが生まれたのは二〇〇七年、iPhoneが登場し、スマホが急速に普及してからのことです。スマホアプリで今お客さんを乗せられる自家用車ドライバーと今車で移動したいお客さんを瞬時にマッチングできるようになり、同時にドライバーの評価もアプリで瞬時に蓄積できるようになりました。
 こうして、昔からのお隣さんレベルを超えて大規模なシェアが実現可能になりました。シェアリングエコノミーの誕生です。重要なのは、このイノベーションがもたらした経済的意味合いです。使わなければ遊休資産である自家用車と、使わなければ潜在的な労働力にすぎなかったドライバーが、新たなゲームのルール下で付加価値、すなわちGDPを新たに生み出しました。
 これまで変化を認識できずライドシェアを封印してきたという事実が、まさに我が国の三十年に及ぶ経済停滞の原因を象徴的に示しています。総理はどのような御認識ですか、お答えください。
 このライドシェアも、抵抗なく広がったわけではありません。我が国と同様、大抵の国にはタクシー規制があります。許認可を得た事業者しか運営できず、特別な免許を有するドライバーしかお客さんを乗せられません。
 ライドシェアも、当初は多くの国で違法とされました。しかし、そうした国は、新たに生まれた革新的ビジネスを単に解禁するのではなく、安全性確保や犯罪対策等の一定のルールを設けて合法化に踏み切りました。ドライバーの犯罪歴チェック、定期的な車両点検、事故に備えた保険加入など、多くの国で義務付けられています。
 これに対し、新たなビジネスを一切否定してきたのが日本です。ライドシェアに限らず、日本はこうしたイノベーションに目を閉じ、成長の芽を摘んできました。変化の流れをつかみ取れなかった結果として、諸外国に比べ成長スピードが低下し、国民の暮らしは徐々に貧しくなってきました。
 ライドシェア導入は、総理が所信表明で述べた新しいフロンティアやイノベーションへの取組、スタートアップへの支援強化を推進するために解決すべき課題に取り組むと表明したという認識でよいか、答弁を求めます。
 検討に当たっては、ライドシェア事業者の責務の明確化、ライドシェア事業者の許可制、新規事業者の参入促進、外国人労働者や高齢者の参入は慎重に検討の四点が最低限不可欠であると考えますが、総理の見解をお示しください。
 成長戦略の本丸は規制の緩和、撤廃です。
 岸田総理は、九月二十一日、企業経営者や金融関係者らで構成するニューヨーク経済クラブでの講演で、突然、資産運用特区構想を打ち出しました。所信表明演説にはこの特区構想のことが触れられていませんが、総理の資産運用特区構想に変わりはないのか、まずはお尋ねします。
 我が党は、特区制度を活用して、税制見直しや多言語対応、在留資格の緩和を推進し、国内に新たな国際金融都市、市場を創設するという、まさに今回総理が打ち出した内容をマニフェストに明記し、二年前の通常国会では国際金融拠点特別区域整備推進法案を提出しています。
 我が党が政権を担う大阪府では、先日二十日、大阪市内に新たに進出した海外の金融関連事業者に対し法人地方税を最大十年間控除する制度などを定めた条例案が可決され、また、大阪市でも、九月に対象事業に法人市民税を全額控除する内容などを含む条例案が可決されました。同時に、吉村知事は、総理が表明した資産運用特区へも立候補したい考えを示しました。
 昨年十一月の衆議院本会議で、我が党議員の質問に対し、鈴木金融担当大臣は、我が国が国際金融センターとしての地位を確立するためには、国内の特定地域に施策を限定するのではなく、我が国自体がビジネスを行う場として魅力的な国家となることが重要と考えていると答弁されました。僅か一年の間で何をもって政府は考えを変えたのか、あるいは我が党の提案を今回思い切って採用するという英断をされた結果なのか、総理の認識をお尋ねします。
 消費税や所得税の減税となると、実質的に国民に還元されるのは来年度に入ってからでしょう。総理は、還元措置の具体化に向けて、所得税減税の検討を与党に指示したと発表しましたが、足下の物価高に対する対策で求められるスピード感についてどのような認識をお持ちですか、お答えください。
 我が党は、こうしたスピード感、即効性の観点からも、観点も含め、社会保険料の減免を中心とする提言を行っておりますので、関連して質問いたします。
 政府による経済対策は、これまで事業者等への補助金、非課税世帯への現金給付が中心で、資産を持つ年金受給者にも給付が行われる一方、本当に支援が必要な中間層や子育て世帯に恩恵が行き渡らない非効率的なものにとどまってきました。我が党はかねてより、減税や社会保険料の減免という、集めて配るのではなく、そもそも集めない経済対策を提言してきましたが、政府は減税について、低所得者層に効果がない、時間が掛かるなどを理由に一貫して否定的でした。
 確かに減税には一定のリードタイムが必要なことは確かですから、消費税や所得税減税は来年度当初予算策定段階で緊急対策として断行する準備を今から始める一方、まずは低所得者層に対して極めて効果的である社会保険料の減免を実施すればよいのではないですか。社会保険料の減免は、現役世代の可処分所得を確実に増やすことから、賃上げの方向性とも一致し、景気浮揚策としても最適解であると考えます。
 国民に直接還元するには、給付金、消費税減税、所得税減税、社会保険料減免といった方策があります。我が党は、短期の緊急経済対策として、社会保障制度改革や将来世代への徹底投資といった、あるべき中長期的な政策方針にも通底する施策として社会保険料の減免を中心とする提言を行っていますが、総理は、経済対策を取りまとめるに当たり、今述べた四つ各々を採用した場合のメリット、デメリットをどのように認識して国民への還元方針を具体的に決定するのか、我が党の提言についての受け止めと併せてお答えください。
 次に、社会保障制度改革に関連して質問いたします。
 長期的な給付水準を試算する五年に一度の財政検証が来年の夏に公表されますが、今秋から厚労省の審議会で議論が本格化します。マクロ経済スライドを適用する場合のセーフティーネットの構築が急がれると認識していますが、無年金者への対応、現在の失業手当制度の問題点や課題を含めて、最低生活保障、最低所得保障制度の在り方、必要性について、総理の認識をお伺いします。
 デジタル歳入庁について質問します。
 我が党は、創設時より、保険料納付と納税を一体的に行う歳入庁の創設による徴税機能の適正化、公正化を訴えてきました。総理は、過去に例のないような大胆な取組に踏み込む決意、アナログを前提とした行財政の仕組みを全面的に改革するデジタル行財政改革を起動するとおっしゃいましたが、DX、デジタルトランスフォーメーションの進展により、今や、物理的な歳入庁を創設しなくても、e―Taxシステムを拡張することによりスムーズに移行できるデジタル歳入庁を創設することこそがデジタル行財政改革の本丸と考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 デジタル歳入庁が実現すれば、国税では当たり前のように行っている税額控除のような手法を、DX化を通じて社会保険料分野でも実施することが可能になります。政府は相変わらず、取組を行った企業に対して補助金を投入するスキームである年収の壁・支援強化パッケージを進めようとしていますが、これもプログラムを変更するだけで済む話です。例えば、百六万円の壁を超えた分だけに社会保険料を適用するとすれば、百六万円の壁は解消されます。こうした手法をデジタル歳入庁の中で行っていくことについて、総理の見解をお伺いします。
 政府、日銀は、これまでデフレ経済からの脱却を目標に異次元の金融緩和を続けてきました。成長しない経済の原因を物価に求め、物価目標が安定的に二%になるまで緩和を続けるというのが政府、日銀共通の方針です。
 これまで政府は、三十年続いてきたデフレ経済と言ってきましたが、今回の所信表明演説では、三十年来続いてきたコストカット経済という表現に変わりました。経済に関する総理の認識自体が変わったのか、御説明願います。
 賃金が上がらないのは物価が上がらないからです。国民の期待インフレ率が低く、企業は商品の価格を上げられないので、賃金を上げると経営が成り立ちません。消費者も価格が据置きでないと生活が成り立ちません。だから、賃金も価格も上げられないという状態が続いてきました。
 デフレ下での対応を全面的に否定するのは、これまでの政府の方針、政策を否定しているように聞こえますが、総理の見解をお伺いします。
 現在の状況は、名目賃金が上がらない中で物価が上昇していることから実質賃金が下がっているということであり、総理が物価高対策を講じているのに日銀が金融緩和を継続するのは国としての経済政策の統一性がないとの意見もありますが、総理の見解をお聞かせください。
 総理は、今回の経済対策の第三の柱として、成長力の強化、高度化に資する国内投資促進を掲げました。
 昨今のGDPギャップを鑑みれば、需要喚起のみならず、供給力強化を視野に対策を打ち出していくことには賛成です。総理は、半導体や脱炭素のように安全保障に関係する大型投資を始め供給力強化に資する施策に支援措置を集中すると述べましたが、供給力強化を政府が特定の分野に限定して主導するやり方は、これまで経産省が推進してきた各種事業での残念な結果をほうふつとさせます。
 例えば、GX、グリーントランスフォーメーション投資を促進するというのであれば、GXリーグへの参加を任意とするのではなく、政府が明確に期限を切って企業の参加を義務付ける方針を示し、その条件下で民間事業者の競争を促す仕組みを整えるべきではないでしょうか。
 大切なのは、政府が事業を特定して各種税制措置などの支援を行うのではなく、参入障壁を可能な限り低くするために規制緩和を大胆に実施し、競争環境を整えた上で供給側が自由に競争を行うことを促進することに重きを置くべきと考えますが、総理の認識をお伺いします。
 総理はまた、物価高対策として重点支援地方交付金の枠組みを追加的に拡大すると表明しました。
 これまで、感染症対策及び地方創生対策として国から地方公共団体に交付される新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、特に幅広い使途が認められた地方単独事業分については問題のある使い方が散見されたほか、基金の積み増しにつながったとの指摘もあります。
 今回のようにターゲットがはっきりしている経済対策における需要喚起については、地方自治体経由ではなく、例えばバウチャー制度やクーポン制度といった使途を明確にした上で国民に直接給付を行うことで、最終消費者が多様な中から自由に選択できる仕組みをつくっていくことが肝要なのではないでしょうか。
 国民自身の選択肢を広げることにより需要喚起という考えについて、総理の見解をお尋ねいたします。
 次に、外交、防衛について質問いたします。
 日本維新の会は、ウクライナへの支援として、身を切る改革の一環で党所属国会議員の歳費の一部を積み立てた資金から約一・五億円を使い、本年三月に新古品のピックアップトラック二十台や缶詰類を提供しました。そのピックアップトラックは、東部戦線千五百キロの範囲でそれぞれが約百キロの幅を受け持ち、機動的に移動しながら、防衛のためにドローン攻撃の電波を攪乱する役割を果たしており、その性能にふさわしい形で活躍していると聞いております。
 一方、岸田総理が広島サミットでゼレンスキー大統領に百台送ると約束した自衛隊車両は、聞くところによりますと、八月に二台、十二月に十五台、来年一月以降に四十五台、四月以降に四十台という信じられないスピード感で提供され、しかも、全て言わば廃車寸前の中古車といった有様です。まさに現政権の平和ぼけを示す好事例かと思いますが、総理の認識をお伺いいたします。
 今国会の最重要テーマは経済対策ですが、もう一つ重要なテーマがあります。憲法改正です。
 岸田総理は、これまで何度も、自身の総裁任期中での憲法改正のための国民投票実施を明言されてきました。任期とは来秋までの任期だということも明言されています。来秋までの国民投票実現に向けて、今国会で求められるゴール、成果物を総理はどのようにお考えなのか、お伺いします。
 衆議院では毎週憲法審査会が開催され、緊急事態条項についてほぼ論点が出そろっていますが、参議院においては開催頻度も少なく、しかも、議論の内容が国会議員の身分に関わる合区に関する事項ばかりが優先されています。憲法改正の発議に当たっては、両院それぞれの本会議で三分の二以上の賛成で可決する必要があります。
 総理はこの参議院の審議状況をどのように認識されていますか。これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待しますと言うだけでは、自身の公約の成否を野党に委ねてしまうことになりますが、それでもよいとお考えですか。自民党総裁としてリーダーシップを発揮すべきではないですか。お答えください。
 自民党の党是である憲法改正の国民投票を国民に約束した来秋までに実現できなかった場合、当然、総理は責任を取って次期総裁選に出馬することはないと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 総理は、百年後に、この国会が変革への大きなうねりを生み出した、そのように後世から評価されるよう、共に挑戦しようと呼びかけました。しかし、過去に例のないような大胆な取組の具体的なメニューが全くなく、どれも肝腎要の本丸から逃げていることを国民は見透かしています。これでは支持率が低迷するのも当然です。
 我が党は、総理に直接提言した緊急経済対策において、我が国が解決しなければならない中長期的な社会課題の解決に向けた国民的な議論を惹起する意味も込めて、社会保険料減免を中心とした提言を行いました。
 政府は、今までどおり改革の本丸から目をそらし、これからも制度維持、微修正という態度を続けています。これに対し、我が党は、現在取りまとめている政権構想の基となる成長戦略、新・日本大改革プランをプランBとして掲げ、改革を競い合う新しい政治を実践していくことを国民の皆様にお約束し、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 浅田均

speaker_id: 29554

日付: 2023-10-26

院: 参議院

会議名: 本会議