大塚耕平の発言 (本会議)

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○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 会派を代表し、総理の所信表明演説に関して、総理に質問させていただきます。
 冒頭、国際紛争による子供を含む多くの犠牲者に哀悼の意を表します。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの紛争が一刻も早く停戦に至るよう、長く外務大臣も務められた岸田総理には、日本として何ができるのかを熟慮いただき、戦略的に行動していただくことを期待します。
 総理は所信の中で、人間の尊厳という最も根源的な価値を中心に据え、世界を分断、対立ではなく協調に導くとの日本の立場を強く打ち出していきますと述べました。ウクライナ、中東問題に対して今後どのように対処する方針か、伺います。また、所信に登場する岸田外交という表現の意味するところ及び意図についても併せてお伺いいたします。
 所信の最初は、経済、経済、経済と、経済を三回繰り返す項目名になっています。経済を動かす主体は家計と企業です。家計と企業に具体的かつ的確な政策が講じられなければ、経済、経済、経済という呪文の効果も現れません。
 総理は、総合経済対策策定を表明した九月二十五日の記者会見で、経済状況は改善しつつあると述べました。どのようなデータ及び状況を指して経済状況は改善しつつあると考えているのか、今後の議論の前提として総理の御認識をお伺いいたします。
 GDP需給ギャップがプラスに転じていることを勘案すると、今後編成される補正予算案の規模は何を基準として決定するのか、現時点での総理の所見をお伺いします。
 補正予算の前提となる総合経済対策が十一月二日に閣議決定されると報道されていますが、今週月曜日に国民民主党の提案は既に総理に提出させていただきました。
 生活減税四本柱として、第一にブラケットクリープ対策としての所得税減税、第二にトリガー条項発動及び当分の間税率、すなわち暫定税率廃止によるガソリン減税を含む燃料費高騰対策、第三に消費税五%減税による単一税率化とインボイス中止、第四に投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制導入等による法人税減税案をお示ししました。
 ブラケットクリープ対策は、賃上げ、所得増加によって適用税率が上がり、税負担が増える勤労者、家計の負担軽減策です。総理は、期限付所得減税の検討を指示したと報道されていますが、ブラケットクリープ対策を講じる方針か否か、お伺いいたします。
 ガソリン暫定税率の廃止法案を開会日に提出しました。総理は所信において、変化の流れをつかみ取る、その一丁目一番地は経済、先送りせず、必ず答えを出すと述べました。その決意が本気であれば、半世紀前の戦後復興期に道路建設のために必要という理由で創設された暫定税率、自動車重課税、二重課税をもういいかげんにやめませんか。総理に、トリガー条項凍結解除、暫定税率廃止に関する決意をお伺いいたします。
 次に、消費税減税についてです。
 十月からインボイス制度がスタートし、納税義務者である事業者は事務負担及びコスト増加に直面しています。消費税減税とインボイス中止について、総理の認識をお伺いいたします。
 インボイスに関連して、国際的な経済覇権の観点からお伺いします。
 日本経済が絶頂期を迎えた一九八〇年代以降、プラザ合意、BIS規制導入、国際会計基準導入が行われました。当時の日本経済の強さの要因であった円安、オーバーローン、ストック経営に対する欧米諸国からのカウンターであり、結果的に貿易黒字とバブル経済で得た日本の資産力は破壊されました。当時の政財官学、各界のリーダーはそのことに気付かず、日本経済は一九九〇年代以降の失われた三十年にいざなわれました。
 そこで、お伺いいたします。
 今回のインボイス制度導入の背景では、取引資金決済の電子処理を実現するため、電子インボイスについて、欧州ルーツの国際規格Peppolの採用が前提となっています。Peppolの採用によって今後の日本経済の慣行や税制にどのような影響が生じ得るか、現時点での総理の所見をお伺いします。
 失われた三十年の間に、総理が所信で述べたコストカット型経済が定着しました。今年一月二十七日、通常国会の代表質問において、日本の経営者の思考や企業戦略をスリム化、コストダウン至上主義等の悪弊、呪縛から解放するためにどのような政策を考えているかと質問させていただきました。
 今回の所信では、総理は、コストカット型経済からの完全脱却に向けて、思い切った供給力の強化を三年程度の変革期間を視野に入れて、集中的に講じていきますと述べました。共通認識に立っていただけたものと思います。
 その具体的な方策として寄与し得るのが、国民民主党が提案している第四のハイパー償却税制です。
 先端分野、戦略分野に関して、今や国家間の産業政策競争の時代です。設備投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制を導入すべきと考えますが、総理の所見をお伺いいたします。
 所信では、半導体の供給力強化に言及しています。今年の夏、日本のラピダスとベルギーのimecの提携に関する調査のため渡欧し、EU代表部担当官等と意見交換してきました。アライアンスが成立するのは、相手にもメリットがあるからです。今回の提携でimec側にどのようなメリットがあると考えているのか、総理の認識を伺います。
 所信では、AI、自動運転、宇宙への取組にも言及しています。通信、測位及び画像衛星、AIの三つは、現代国家にとって重要な技術インフラ三要素です。三要素に自動車や家電製品等が接続され、兵器がつながれればLAWSになります。三要素を外国に依存するようでは、産業も経済も防衛も安全保障は成り立ちません。
 三要素のうち通信に関し、現在NTT法を含む関連法制見直しが議論されているようです。見直し議論や関係各社の主張が安全保障上の観点から懸念がないか、総理の認識を伺います。
 以上の諸減税の財源があるか否かも焦点です。
 経済を動かす主体は、家計と企業です。家計と企業に具体的かつ的確な対策を打たなければ、経済、経済、経済という呪文の効果も現れないと申し上げました。
 経済という概念的な存在、特にマクロ経済に対する対策だけで何とかなるような印象を与えた異次元の金融緩和は十一年目に入り、壮大な社会実験は袋小路に入っています。
 この間、自国通貨を発行する国の国債発行は無限大とするMMT、現代貨幣理論が登場した一方、伝統的理論派は古色蒼然たる財政健全化論を展開し続けています。
 国民民主党は、異次元緩和による財政ファイナンスが極まった中で、現実的な政策的工夫を明示しています。日銀保有国債を一部永久国債化して財源確保を図る一方、日銀保有のETF、REIT等を計画的に売却し、成長戦略と出口戦略を両立させるとともに、確保した財源を人材育成、技術開発、産業支援、防衛強化等の喫緊の課題に充当するという工夫です。本件について、通常国会に続いて総理の所見をお伺いします。
 家計も企業も人が動かします。産業も技術も人が生み出します。国民民主党が人づくりこそ国づくりを政策の柱としているゆえんです。
 新卒初任給を上げなければ、全体の賃金も上がりません。初任給引上げや、修士、博士号取得者、技術者、研究者の処遇に関する総理の所見、今後の政策的誘導についてお伺いします。
 技術等の進歩や変化が加速する中、現役層のリスキリングも重要です。
 リスキリング政策に熱心なスウェーデンでは、イルケスヘーグスコーランという職業訓練校が有効に機能しています。二年間のフルタイム教育を基本とし、座学と企業研修を組み合わせた実践的内容です。私が調査に行った二〇一七年当時、全国に約二百三十校、約五万人が通い、平均年齢三十二歳と聞きました。約六割は民間企業が運営し、残りの過半数は市町村等の公立です。学費は無料。失業している場合は、リスキリングに取り組むことを条件に失業時給与の八〇%まで給付され、生活費を補うために教育ローンも利用できます。つまり、所得水準を落とさずに二年間リスキリングに取り組めます。
 こうした制度の導入も含め、リスキリングに関する総理の方針を伺います。
 人材育成の前提として必要なのは、子供を産み育てやすい社会です。
 国民民主党は、今回の提案の子育て・人材育成四本柱の中で、関連施策の所得制限撤廃、年少扶養控除復活等をお示しし、所得制限撤廃法案は国会初日に再提出しました。子育て支援、教育に関する国、自治体の関連諸施策において所得制限を撤廃すること及び年少扶養控除復活に関する総理の所見をお伺いします。
 政府も児童手当の所得制限を撤廃しましたが、第三子以降の給付金三万円は、第一子、第二子が高校を卒業すると引き下げられると聞きました。そのような扱いとした考え方を総理にお伺いします。
 異次元の少子化対策は、年収の壁問題も取り上げ、労働時間延長や賃上げに取り組む企業に必要費用を補助する等の支援策を講じたことは一歩前進です。
 所信では、百六万円の壁に近づく可能性のある全ての方が壁を乗り越えられるようにするために十分な予算上の対応を確保しますと述べています。
 百六万円の壁では、従業員百一人以上の企業で月収八万八千円、年収換算約百六万を超え、週二十時間以上勤務等の条件を満たすと、第三号被保険者は年十六万円程度の保険料負担が発生します。壁越え前の手取りを確保するためには、収入を百二十五万円程度に引き上げることが必要です。
 今月から始まった対策では、壁越えの従業員一人当たり三年間で最大五十万円を助成しますが、従業員ではなく企業に支給する仕組みになっています。企業によって活用方法が異なる上、既に保険料を負担している従業員と新たに壁越えする従業員との公平性が課題です。公平な賃上げを目指す企業は不足分の資金負担が生じるため、そもそも壁越えを奨励しないという声も聞きます。
 そこで、この差額約十九万円を企業側に減税や損金算入を認め、百六万円の次は給料が百二十五万円になる仕組みを導入してはどうでしょうか。そうであれば、働くことを選択する人が増えると思います。総理の所見をお伺いします。
 もう一つの壁である百三十万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養を外れ、年金と医療の社会保険料負担が発生します。百三十万円には残業代等も含むため、勤労者実態調査では約六割の人が就業調整の理由として百三十万円の壁を挙げています。
 今回の対策では、百三十万円を超えても、人手不足のための一時的勤務であることを事業主が証明すれば、扶養対象は維持されます。どのようなケースが一時的と判断されるのか、基準についての考え方を総理にお伺いします。
 今回の対策は、二〇二五年抜本改正までの時限措置と聞いています。抜本改正の方向性及び十八日に公表された技能実習制度の抜本見直し素案との関係について、総理の所見をお伺いします。
 総理は九月二十五日記者会見や所信において、成長の成果である税収増の還元、国民への還元と述べていますが、今回減税が実現する場合、それはインフレ課税分の戻しというべきではないでしょうか。総理の認識をお伺いします。
 政府、日銀は二%の物価目標を共有していますが、二%物価上昇が五年間続けば一〇・四%、十年間で二一・九%となります。債務者はその分債務が減少し、債権者はその分資産を失います。
 今年七月の中長期の経済財政に関する試算では、二〇二二年度の公債等残高の対名目GDP比が二一三・五%となった後、十年後の二〇三二年度は一七〇・七%まで低下しています。一般会計税収は一・三一倍となることを想定しています。まさしくインフレ課税であります。
 日本経済の最大の債務者は国であり、債権者は預貯金等を有する国民です。インフレ課税によって国は債務が軽減され、国民は資産を失います。
 国民にとって、インフレ率を上回る賃金上昇率を持続的に実現できなければインフレ課税を免れられません。インフレ率よりも高い賃上げ率を持続的に実現するための方策として具体的にどのようなことをお考えなのか、総理の所見をお伺いします。
 マクロ経済スライドが課されている年金生活者もインフレ課税の影響が大きく、高齢者層が主な顧客である産業分野も影響を受けます。年金生活者対策及びそうした産業分野への対策について、総理の所見をお伺いします。
 減税に加えて、直接給付も政策の選択肢となります。国民民主党は、地方創生臨時交付金を含む地方への各種交付金による直接給付も提案しています。総理の所見をお伺いします。
 六月に閣議決定された骨太の方針では、家計金融資産を開放し、資産運用立国実現によって現預金偏重の家計金融資産を投資に振り向けると記されています。
 所信でも、金融資本市場の変革に取り組むと述べ、資産運用業とアセットオーナーシップ改革をうたっていますが、これらに関して二点付言いたします。
 第一に、家計金融資産の九五%以上は円建てです。円安傾向の中で、資産運用を企図して外貨資産に投資する家計にとって、円安は資産形成にはプラスです。国民が総理の資産運用立国方針を聞いて外貨資産に運用する一方で、政府、日銀がドル売り円買い介入する事態は論理矛盾です。骨太の方針はこの点がそしゃくされていません。
 第二は、成長と資産運用の因果関係です。
 骨太の方針は、現預金偏重の家計金融資産の開放が持続的成長に貢献するという論理で組み立てられています。逆に言えば、家計金融資産が開放されなかったため、持続的成長が損なわれてきたということを主張しています。しかし、家計が現預金偏重になっている背景には日本経済の期待成長率が低いことが影響しており、現預金偏重は低成長の原因ではなく結果と言えます。
 現預金を原資にした銀行の国債投資は、低成長の結果として資金余剰部門となった家計や企業から、資金不足部門である政府へ資金を融通する循環構造です。つまり、骨太の方針の内容が実現するときには、政府が国債消化に窮し、金利が急騰する事態を迎えるということです。
 骨太の方針、中長期経済財政試算及び所信が相互に整合的であるか否か、総理の所見をお伺いします。
 最後に、所信で言及している認知症治療薬、レカネマブについて伺います。
 米国での販売価格は患者一人につき年間二・六五万ドル、約三百五十万円です。今後、日本で公的保険対象になる場合、患者の自己負担は高額療養費制度の上限があるため、七十歳以上の一般所得者、年収百五十六万から三百七十万円程度で、年十四万四千円と想定されます。認知症患者数は二〇二五年で約六百七十五万人、有病率一八・五%と推計されています。
 認知症対策が進むことは良いことですが、現役層にこれ以上の負担を課すことは避けるべきです。認知症施策及びレカネマブに関する総理の所見をお伺いします。
 経済、経済、経済と三回繰り返したのは、かつて英国ブレア首相が教育、教育、教育と述べた有名な演説を意識した工夫かと拝察します。経済の重要性には同意しますが、マクロ経済政策だけで何とかしようとする失敗を繰り返すことなく、技術を生み出し、経済を動かしている人、つまり国民に直接届ける政策が重要です。
 日本の未来は人、人、人、全ては人に懸かっていること、人づくりこそ国づくりと申し上げ、国民民主党を代表しての質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 大塚耕平

speaker_id: 4047

日付: 2023-10-26

院: 参議院

会議名: 本会議