岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大塚耕平議員の御質問にお答えいたします。
ロシアによるウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢への対処方針及び岸田外交の意味についてお尋ねがありました。
ウクライナ情勢について、我が国は、一刻も早くロシアの侵略を止めるため、G7議長国として国際社会と緊密に連携しつつ、対ロ制裁とウクライナ支援を引き続き強力に推進していきます。
イスラエル・パレスチナ情勢については、我が国は、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難した上で、イスラエル及びパレスチナを含む関係国や関係者等との間で意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期鎮静化や人質の即時解放、一般市民の安全確保、人道状況の改善などに向けた外交努力を続けていきます。
政権発足時、私は、岸田外交の在り方について、まず一つは我が国の平和と安全、さらには二つ目として、普遍的価値を守り抜き、そして三つ目として、地球規模の課題に向き合って国際社会を主導し、その上で自由で開かれたインド太平洋を強力に推進するとの方針、これを打ち出しました。
その後、国際社会が複合的な危機に直面し、分断を深めつつある中で、人間の尊厳を中心に据えた考えを打ち出し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化を強く世界に訴えています。
こういった基本方針の下、同盟国、同志国との連携を推進しつつ、グローバルサウスと呼ばれる国々を含む国際社会の幅広い支持と関与を得ながら、世界の安定と繁栄に向けた積極的な外交を展開していきます。
経済状況の認識と補正予算の規模、そしてブラケットクリープ対策についてお尋ねがありました。
経済状況については、春闘における賃上げは三十年ぶりの高水準である三・五八%、設備投資は過去最大規模の名目百兆円を超える見込みとなり、株価は三十年ぶりの水準に達しています。こうしたデータを踏まえると、コロナ禍での苦しかった三年間を乗り越え、経済状況は改善しつつあると考えています。加えて、御指摘のとおり、GDPギャップの解消も進みつつあります。
こうした中、今回の総合経済対策は、需要を単に埋め合わせる対策ではなく、日本経済の供給力を強化し、中期的なインフレ圧力に強い経済体質をつくるとともに、将来の成長に資する分野を厳選して対応してまいります。
経済対策に伴う補正予算の規模はこうした政策の積み上げの結果であり、国民生活に高い効果のある具体的な政策を積み上げてまいります。
所得税のブラケットクリープ対策は、構造的賃上げが持続する局面においては検討課題となり得ますが、我が国経済は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えているとはいえ、現時点では、賃金上昇を物価高に、賃金上昇が物価高に追い付いておらず、放置すれば再びデフレに戻りかねません。
ブラケットクリープ対策を考える段階ではなく、むしろデフレ脱却を確実なものとする一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の負担を緩和することこそ必要であると考えます。
そして、揮発油税等のトリガー条項と当分の間税率についてお尋ねがありました。
エネルギー価格高騰から国民生活やなりわいを守らなければならないという思い、これは全く共有をいたしますが、トリガー条項の凍結解除については、灯油や重油などが支援の対象外となるほか、ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱が生じる可能性があるなどの課題があるとも承知をしています。このため、燃料油価格対策として、燃料油価格の激変緩和措置を今般策定する経済対策において来年春まで継続することとしております。
揮発油税等については、平成二十一年に暫定税率を前提とした道路特定財源を廃止いたしましたが、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情を踏まえ、それまでの税率が維持され、当分の間税率とされたものであると承知をしています。
こうした状況は現在も変わりはなく、特に気候変動が社会課題となる中、こうした税制上の取扱いを変更することは考えておりません。
消費税減税とインボイス制度についてお尋ねがありました。
消費税については、急速な高齢化に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置付けられており、その税率を引き下げることは考えてはおりません。
また、インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを中止することは考えておりません。
さらに、電子インボイスについては、国際標準仕様のPeppolをベースとすることで、事業者は、受発注から記帳、入金消し込みまでの一連のバックオフィス業務の自動処理やデジタル完結が可能となり、税務申告も含め、手入力による事務負担やミスの軽減、こうしたものが期待されるものであると考えています。
引き続き、官民連携の上、取引全体のデジタル化の実現に向けて必要な取組、進めてまいります。
そして、ハイパー償却税制の導入とラピダス及びimecの提携についてお尋ねがありました。
御指摘のハイパー償却税制は、取得額以上の特別償却を認める制度であると承知をしておりますが、減収に見合うだけの有効性があるかという点を踏まえて慎重な検討が必要であると考えています。
政府としては、戦略分野について、初期投資だけでなく投資全体の予見可能性を向上させる過去に例のない投資減税を始め抜本的な供給力強化のための措置を講じていきます。
そして、御指摘のimecはオープンイノベーション型の研究を重視しており、世界中の半導体関連企業と連携していると認識しておりますが、ラピダス社との連携を通じて、imecとしても、現在、世界で数社しか取り組んでいない次世代半導体の研究開発に携わることができる、こうしたメリットがあるものだと考えております。
今般の研究対策に、失礼、経済対策においても、半導体を始めとする戦略分野における投資促進に向け、先行して取り組むべき施策、これを盛り込んでまいりたいと思います。
そして、通信分野の安全保障上の懸念についてお尋ねがありました。
通信サービスの提供は、安心、安全な国民生活や円滑な経済活動の根幹であり、安全保障上も重要な社会インフラであると認識をしています。
現在、総務省の情報通信審議会等において、市場環境の変化に対応したNTT法を含む通信政策の在り方について議論が行われていますが、その中でも安全保障の確保、これは重要な論点の一つとなっており、そのような観点もしっかり踏まえながら検討を進めていくべきであると考えます。
そして、日銀が保有する国債等を財源として活用することについてお尋ねがありました。
日銀が保有する国債やETF等は、日銀が物価安定目標を実現するための金融政策の一環として保有しているものであると承知をしています。したがって、ETFの売却を含め、その取扱いについては、金融政策の一環として日銀において検討されるべき事柄であり、政府としてコメントすることは控えるべきであると考えます。
いずれにせよ、政府としては、喫緊の課題に対応するに当たっては、これに対応した安定的な財源を確保するなど、引き続き責任ある経済財政運営に努めてまいります。
そして、初任給の引上げや研究者等の処遇についてお尋ねがありました。
賃上げは、言うまでもなく岸田政権の最重要課題であり、成長と分配の好循環が回っていく、物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げが行われる、こうした経済を目指していきたいと思います。
賃上げを目指す上で、新卒者の給与、この引上げも重要である、このように認識をしています。このため、三位一体の労働市場改革を進めるとともに、若者が希望に応じた就職ができるよう、きめ細かな就職支援なども進めてまいります。
また、優れた研究者等を育成、確保する上で処遇改善は重要であり、博士課程学生への経済的支援、あるいはキャリアパス整備の充実、国立大学における人事給与マネジメント改革の実施状況に応じた運営費交付金の配分、こうした取組を行っており、博士号取得者等の社会での活躍を更に促進できるよう、産学官連携で取組を進めていくべきであると考えています。
そして、リスキリング政策に関する方針についてお尋ねがありました。
我が国においては、これまでも公的職業訓練を始めとする職業訓練の充実に取り組んでまいりました。
その上で、岸田政権においては、三位一体の労働市場改革を進める中でリスキリングによる能力向上支援を拡充することとしており、デジタル分野を中心とする公的職業訓練の充実に取り組んでいるほか、リスキリングに取り組む個人への直接支援である教育訓練給付を拡充する、さらには教育訓練中の生活を支えるための給付、また融資制度の創設についての検討、こうした取組を進めてまいります。
そして、子育て、教育施策の所得制限撤廃についてお尋ねがありました。
子育て、教育施策に関する各制度において所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断がなされるものと考えております。
そして、年少扶養控除については、政府として、本年六月に策定したこども未来戦略方針に基づき、当面の集中的な取組である加速化プランを進め、我が国の子供一人当たりの家族関係支出をOECDトップのスウェーデンに達する水準とすることを予定しています。このように、主として歳出面での取組で、前例のない規模で子ども・子育て政策の強化を図っております。そうした取組を進めている中でありますので、かつて子ども手当の創設に合わせて廃止された年少扶養控除の復活は、検討課題としてはおりません。
他方、加速化プランにおいては、児童手当について、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化の一環として、第三子以降の支給額を三万円とすることとしております。
そして、お尋ねがありましたこの多子のカウント方法については、そのカウント方法も含めて、制度の詳細については、これから、拡充の趣旨も踏まえつつ、引き続き検討を行うということにしております。よって、そのカウント方法について、現段階で具体的な制度設計、固まっているものではないということを申し上げます。
そして、年収の壁についてお尋ねがありました。
年収の壁については、今般、若い世代の所得向上や人手不足の解消の観点から、当面の対応策として、年収の壁・支援強化パッケージを取りまとめたところです。
具体的には、百六万円の壁については、企業による継続的な賃上げの取組を後押しする観点から、労働者の手取り収入が減少しないよう賃上げ等を行った事業主に対して、労働者一人当たり最大五十万円の助成を行うこととしております。
そして、税制上の配慮、御提案をいただきました。御提案いただきました税制上の配慮、お聞きしている限り、この企業に対しての措置ということにおいては変わりはないのではないかと思います。その上で、その具体的な制度設計について、もう少しこれをお伺いしないとその実効性について評価することは難しいと感じたところでもあります。
そして、百三十万円の壁については、事業主の証明により被扶養者認定を円滑化するものでありますが、その要件の一時的な収入変動には、収入が増加した状態の固定化が見込まれない、あるいは繁忙期に労働時間を延ばす、こういった場合が該当すると考えております。
そして、その上で、引き続き、被用者保険の更なる適用拡大などの制度の見直しに取り組んでまいります。次期年金制度改正に向けて社会保障審議会年金部会において議論を開始しており、今後も、関係者の意見を伺いながら丁寧に議論をしてまいります。
なお、この制度の見直し議論は、これまで、十月十八日に公表された技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書のたたき台とは特段の関係なく進めてきているところであります。
そして、国民への還元の位置付けについてお尋ねがありました。
今般、国民への還元に当たっては、過去二年のコロナ禍における税収の増収分の一部を分かりやすい形で国民に還元したいと考えております。
この税収の変動には様々な要因が影響を与えますが、この過去二年間の税収増の要因をインフレに求めるということについては限界があるのではないかと思います。よって、そのインフレ課税分の戻しとの指摘は当たらないと思っております。
そして、賃上げやインフレ対策についてお尋ねがありました。
賃上げは岸田政権の最重要課題であり、成長と分配の好循環が回っていく、物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げが行われる経済、これを目指してまいります。賃上げ税制の減税措置の強化などの措置を講ずるとともに、三位一体の労働市場改革、中小企業の省力化投資など、生産性を引き上げる構造的な改革や賃上げ費用の価格転嫁対策等を進め、今年の春闘で見られた賃上げの流れを持続させていきたいと考えます。
そして、我が国の経済は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えているとはいえ、現時点では賃金上昇が物価高に追い付いておらず、放置すれば再びデフレに戻りかねません。デフレ脱却を確実なものとする一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の負担の緩和、これを図ってまいりたいと思います。
御提案の地方への交付金による直接的な支援としては、物価高対策のための重点支援地方交付金の低所得者世帯支援枠があり、多くの自治体でこの夏以降、一世帯当たり三万円を目安に支援を開始してきました。物価高に最も切実に苦しむ高齢者を含めた低所得者の方々の不安に配慮し、寄り添った対応を図るべく、この枠組みを追加的に拡大し、経済対策に盛り込んでまいります。また、物価高で苦しむ事業者のなりわいを守る観点から、今申し上げた低所得者世帯支援枠以外の重点支援地方交付金についても追加をいたします。
そして、資産運用立国に関する骨太の方針と所信表明演説の整合性についてお尋ねがありました。
我が国の家計金融資産の半分以上は現預金が占める中、金融資本市場の変革に取り組むことで、貯蓄から投資へのシフトを促し、我が国経済の成長と国民の資産取得の増加につなげていくことは重要であると考えています。
そして、貯蓄から投資へ為替政策との関係について、貯蓄から投資へと為替政策との関係については、為替相場の過度な変動に対しその安定を図るための為替介入と、貯蓄から投資へということは異なる政策目的であり、両者は矛盾する関係にはないと考えています。なお、この資産運用立国に向けた取組は、国内金融商品の充実など国内投資を促進する取組もあり、外貨資産への投資のみを促進するものではないと考えています。
そして、国債の消化との関係については、安全資産である国債は金融機関にとってリスク管理上引き続き極めて重要な運用対象であり、そして、家計が投資を行う際にも、分散投資を行う対象として国債は重要であると考えています。こうしたことを踏まえますと、貯蓄から投資へのシフトが直ちに国債の安定消化に支障を来すものではないと考えています。
そして、これらを踏まえれば、骨太の方針等と所信表明演説の内容は整合しているものであると考えており、貯蓄から投資へのシフトを通じた成長と分配の好循環の実現に向けて取り組んでまいります。
そして、アルツハイマー病の新薬であるレカネマブ及び認知症対策についてお尋ねがありました。
アルツハイマー病の新薬であるレカネマブについては、現在、高額医薬品として、中央社会保険医療協議会において、通常の薬価算定の手続に先立って薬価算定方法の議論を行っています。イノベーションの評価や医療保険財政に与える影響等を踏まえつつ、これ適切に対応してまいりたいと考えます。
そして、認知症対策については、認知症治療の新時代を踏まえた早期発見、検査・医療サービス等が提供をされる体制整備、また治療薬の研究開発を更に進めるとともに、認知症の方が尊厳と希望を持って暮らすことができる社会の実現に向けて、認知症の方や御家族等の意向を十分に踏まえつつ、総合的に認知症施策、推進してまいりたいと考えております。(拍手)
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