岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小池晃議員の御質問にお答えいたします。
これまでの経済の振り返りや反省の必要性についてお尋ねがありました。
我が国経済は、一九九〇年代のバブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景にコストカット型経済が続いてきました。この間、アジア通貨危機、不良債権問題、ITバブルの崩壊、リーマン・ショックなど様々な外生的危機や困難に見舞われ、消費と投資の停滞を招きました。
こうした中、アベノミクスの成果の上に立ちながら新しい資本主義の取組を進めることで、三十年ぶりの三・五八%の賃上げ、過去最大規模の名目百兆円の設備投資、五十兆円ものGDPギャップの解消など、明るい兆しが現れ始めていると認識をしています。
三十年ぶりに巡ってきた新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスをつかみ取り、低物価、低賃金、低成長のコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への変革を実現してまいります。
内部留保の還流についてお尋ねがありました。
コストカット経済の下で投資や賃金までが抑制されてきた中で、結果として、大企業を中心とした高水準の企業収益を背景に内部留保が増加しています。
新しい資本主義実現のためには、企業がこうした収益を現預金として保有するのではなく、成長のために賃上げ、人への投資、設備投資などの形で未来に向けてしっかり活用していくようになることが重要であると考えています。そして、そのための兆しが見えてきていると感じています。
賃上げ税制の強化、三位一体の労働市場改革など、生産性を引き上げる構造的な改革を加え、改革に加え、戦略物資について投資全体の予見可能性を向上させる過去の、過去に例のない投資減税、また特許などの所得に関する新たな減税制度、また人手不足に苦しむ中堅・中小企業の省力化投資に対する補助制度などにより、抜本的な供給力強化を実現し、持続的で構造的な賃上げにつなげてまいります。
そして、内部留保への課税についてお尋ねがありました。
企業の内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることから慎重な検討が必要であると考えています。そして、他方で、企業の抱える現預金を人への投資や設備投資などに活用いただくこと、これは重要であり、政府としては、これまで賃上げ促進税制や研究開発税制等を通じて、賃上げや投資に向けた企業の積極的な取組を後押ししてまいりました。
引き続き、あらゆる政策により、こうした未来への投資、促してまいります。
男女間の賃金格差についてお尋ねがありました。
男女、失礼、女性活躍は我が国の経済社会の持続的発展に不可欠であり、新しい資本主義の中核にも、女性活躍と所得向上、これを位置付けています。このため、男女間賃金格差の情報公開や同一労働同一賃金の遵守徹底等に取り組み、女性の所得の向上や男女間賃金格差の是正を図ってまいります。
また、性別役割分担意識は男女間賃金格差が解消されない要因の一つであり、長時間労働の是正や男女共に仕事と育児、介護を両立しやすい職場環境の整備を進めてまいります。
そして、非正規雇用労働者の処遇改善についてお尋ねがありました。
非正規雇用労働者の処遇改善や賃上げを図っていくことは重要な課題であると考えます。このため、最低賃金の引上げや賃上げしやすい環境整備に取り組むとともに、同一労働同一賃金の遵守徹底を図ってまいります。
また、希望する方が正社員として働くことができるよう、正社員化に取り組む事業主への支援を講ずるとともに、フリーランスの方が安心して働ける環境整備に取り組んでいきます。
こうした取組を通じて、男女問わず全ての方が多様な働き方を選択でき、生きがいを持って働くことができる社会づくりに取り組んでまいります。
そして、防衛力強化の財源と消費税についてお尋ねがありました。
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち、所得税については現下の家計の負担増にならないような仕組みとしているほか、全法人の九四%を対象外とするなど手厚い配慮をした上で法人税への付加税や、特殊な嗜好品であり一定の税収が確保できる物資としての性格に着目したたばこ税の引上げ、これらが予定されています。その実施時期については、昨年末に閣議決定した令和九年度に向けて複数年掛けて段階的に実施するとの枠組みの下、行財政改革を含めた財源調達の見通しに加え、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて判断していくこととしております。
いずれにしても、我が国経済は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えているとはいえ、現時点では賃金上昇が物価高に追い付いておらず、放置すれば再びデフレに戻りかねません。デフレ脱却を確実なものにする一時的な措置として国民の可処分所得を直接に下支えし、物価高による国民の負担を緩和していく必要があると考えています。
なお、各税目の税収については、それぞれ制度の改正や経済情勢の要因などにより変動しており、また消費税は社会保障の財源となっていることから、消費税が大企業や富裕層減税の穴埋めになったという御指摘は当たらないと考えています。
インボイス制度と消費税減税についてお尋ねがありました。
インボイス制度の延期、中止を求める署名については、中小・小規模事業者の方が抱かれている不安や御懸念の表れであると受け止めており、引き続き事業者の立場に立って柔軟かつ丁寧に対応してまいります。
インボイス制度導入前の四年間では、例えば、八%対象の食料品と一〇%対象の酒を仕入れた事業者が全て一〇%対象として税額控除をしたことによって納税額が低くなっていたという事例が複数例把握されていると承知をしています。インボイス制度は、将来の更なる消費税率引上げを見据えて導入するものではなく、こうした事例を防止するために必要な制度として導入したものであり、これを廃止することは考えておりません。
また、消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置付けられており、その税率を引き下げることは考えておりません。
マイナ保険証等についてお尋ねがありました。
マイナ保険証利用率の減少の原因については、ひも付け誤り等により国民の皆様が不安を感じられたことや、マイナ保険証のメリットが国民の皆様に十分浸透していないことなどがあると考えています。
このため、国民の皆様の不安払拭のための措置を着実に進めるとともに、マイナ保険証のメリットを実感いただけるよう、利用促進に向けた取組を積極的に行ってまいります。
その上で、現行の健康保険証の廃止は国民の不安払拭のための措置が完了することを大前提との方針にのっとって、ひも付けの総点検とその後の修正作業の状況も見定めた上で、更なる期間が必要と判断された場合には必要な対応を行ってまいります。
そして、介護保険についてお尋ねがありました。
高齢化と人口減少という大きな社会の変化を迎えている中、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ制度の持続可能性を維持すること、これは重要な課題です。
介護保険における利用者負担の在り方等については、骨太の方針二〇二三において年末までに結論を得ることとしており、利用者が必要なサービスを受けられるよう丁寧に議論、進めてまいります。
また、介護職員の賃上げについては、岸田政権は公定価格の見直しを掲げ、これまで累次の処遇改善を講じてきております。引き続き、ICT機器の活用による生産性向上の取組、経営の協働化等を通じた職場環境の改善、これらに加えて、次期改定に向けても、必要な処遇改善の水準の検討と併せて、高齢化等による事業者の収益の増加等が処遇改善に構造的につながる仕組み、これを構築してまいります。
離農を防ぐ支援と食料自給率についてお尋ねがありました。
近年、我が国の農業経営については、肥料、飼料等の価格高騰や度重なる自然災害の発生など、厳しい環境に直面してきたものと認識をしています。
このため、収入保険等の経営安定対策に加えて、肥料、飼料等の価格高騰対策を機動的に実施するほか、迅速な災害復旧に努めるなど、営農環境の改善、安定に取り組んできたところです。
さらに、先日策定した食料安定供給・農林水産業基盤強化に向けた緊急対応パッケージにおいて、水田における麦、大豆等の畑作物等への転換支援や飼料の供給強化に向けた耕畜連携への支援など、早急に取り組むべき施策を取りまとめたところであり、これらを今般の経済対策に盛り込んで速やかに実行に移してまいります。
また、食料自給率については、需要に応じた農業生産の実現など、農業生産と食料消費に関する様々な課題に関し、政府だけではなく、生産者や食品事業者など関係者が一体となって取り組むことによって解決していくことを目指し、これが実現した場合に達成可能な水準を目標として示しているものであります。
食料安全保障上のリスクが高まる中、担い手の育成確保や、農地の確保と有効利用、海外依存度の高い小麦、大豆、飼料等の国内生産の拡大などによって、官民連携して自給率目標の達成に向けて取り組んでまいります。
そして、大阪・関西万博の工事の遅れについてお尋ねがありました。
万博の工事の遅れについては、ドバイ万博の一年延期に伴う参加国側の設計等の遅れや、日本国内の施工事業者の需給逼迫といった事情で生じたものであり、参加国への個別伴走支援や施工環境の改善といった対策により対応する予定と承知をしております。建設工事を時間外労働の上限規制の適用対象外にするといった要請を受けて政府として検討しているという事実はありません。
また、会場費、建設費の増額については、西村経産大臣と自見万博担当大臣が大阪府知事、大阪市長、経済界代表とともに博覧会協会から必要額について説明を聴取したところと承知をしています。現在、両大臣を中心に、その内容について適切なものとなっているか必要な精査を行っているところであり、しっかり確認した上で大阪府、大阪市、経済界とも対応を協議いたします。
いずれにせよ、国民の理解が得られるよう、政府を挙げて取り組んでまいります。
なお、IR整備は万博とは別のプロジェクトであり、これ引き続きIR整備法等に基づき適正に対応してまいります。
そして、旧統一教会による被害の救済のための財産保全や過去の統一教会との関係の調査についてお尋ねがありました。
政府としては、旧統一教会の資産状況を注視しつつ、速やかに被害者の救済が図られるよう、現行法上のあらゆる制度を活用し、被害者救済のために最大限取り組んでまいります。
その上で、議員立法の法案や被害者救済の実効性確保について与野党各党において様々な動きがあると承知をしており、こうした動きに注視してまいります。
また、自民党においては、既に各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告するとともに、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないということを徹底する、このことを方針としているところであります。大切なことは、未来に向かって関係を絶つということであり、引き続きこの方針を徹底してまいります。
イージスシステム搭載艦の経費及び防衛体制の強化に係る経費についてお尋ねがありました。
イージスシステム搭載艦は、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護するために必要であり、その二隻の取得経費については、昨年末時点での積算に対し、その後の設計の進捗、為替レートの変動、物価上昇などにより経費の上昇につながったと承知をしています。引き続き、装備品全般の取得経費の低減に向けた努力を継続してまいります。
また、我が国の防衛体制の強化に係る経費については、戦後最も複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守るため必要となる防衛費の規模を積み上げ、そして導き出したものであります。このような経費を基に防衛力の抜本的強化を速やかに実現し、国民の命と平和な暮らし、そして我が国を断固として守り抜いてまいります。
沖縄における日米共同訓練、反撃能力の保有、普天間飛行場の辺野古移設及び代執行訴訟についてお尋ねがありました。
今月、新石垣空港において日米共同訓練を実施し、事態対処や国民保護、災害対処における衛生機能や輸送能力の向上を図りました。本訓練は、特定の地域における事態の発生を念頭に置いたものではありません。反撃能力については、相手からの武力攻撃そのものを抑止するものであり、万一相手からミサイルが発射される際にも、反撃能力により相手からの更なる武力攻撃を防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守り抜く、こうしたものです。
その上で、反撃能力としても活用し得るスタンドオフミサイルの配備先については、現時点では決まっておりません。
普天間飛行場の辺野古移設については、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると思っています。辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき、着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えています。
その上で、御指摘の代執行訴訟については、既に最高裁判所において変更承認申請に関する司法の最終判断が示されており、直ちに承認処分が行われるべきであるため、国土交通大臣において必要な対応をしたものであると認識をしております。
いずれにせよ、今後とも、様々な機会を通じて地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでいきます。
現下のイスラエル・パレスチナ情勢における我が国の対応についてお尋ねがありました。
我が国は、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難した上で、人質の即時解放、一般市民の安全確保、全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること、事態の早期鎮静化、これを一貫して求めてきています。
イスラエルに対しても、上川外務大臣からコーヘン・イスラエル外相に対し事態の早期鎮静化を働きかけたほか、十月十六日には辻外務副大臣が、二十五日には堀井外務副大臣が、それぞれ駐日イスラエル大使に対し、一般市民の保護の重要性、国際人道法に則した対応、人道支援活動を可能とする環境の確保等の協力を要請いたしました。
また、パレスチナとの間でも、上川外務大臣がマーリキー外務・移民庁長官との電話会談やカイロにおけるアッバース大統領との意見交換において引き続き事態の早期鎮静化に向けて取り組んでいくことを確認するなど、これまで様々なやり取りを行ってまいりました。
日本としては、こうした関係を生かして、引き続き、刻々と動く現地情勢に応じつつ、イスラエル及びパレスチナを含む関係国や関係者等との間で意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期鎮静化や人道状況の改善に向けた外交努力を積極的に続けてまいります。
そして、平和外交についてお尋ねがありました。
我が国は、憲法九条及び前文に示されている平和主義の理念の下、平和国家として、戦後八十年近くにわたって国際社会の平和や繁栄に貢献してきました。この取組は高く評価されています。
今なお続くロシアのウクライナ侵略などにより、国際秩序の根幹が揺るぎ、世界が歴史の転換点にある中で、今後ともこうした平和国家としての取組を続けていきたいと考えております。(拍手)
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